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親会社と子会社の決算期は同じにする必要があるのか?

2019年07月03日

  • 会計・財務
溝口 聖規 グロービス経営大学院 教員

決算期統一に関する会計ルール

日本の連結会計のルールでは、連結グループに属する親会社と子会社の決算期は統一することを原則としています。しかしながら、特例として親会社と子会社の決算期に3ヵ月以内の差異が認められています(ただし、その場合であっても差異の期間中に親子間での重要な取引がある場合は、連結決算上の調整が必要です)。この特例は、海外子会社には12月決算会社が多いことが理由として挙げられます。


例えば、中国のように法律で決算期が決定されている国では決算期の変更ができません。その場合、原則通りとすると、子会社は自社の決算とは別に親会社の決算期に合わせて仮決算をする必要があり、子会社の事務負担が増えます。また、海外子会社は経理部門などのリソースが不十分であり、親会社と比べて決算作業に時間が必要となるといった実務的な問題に対する対応とも言えるでしょう。そのため、連結グループにおいて、親会社の日本法人は3月決算、海外子会社は12月決算というケースが少なくありません。この場合、親会社の4月~3月の業績に対して海外子会社の1月~12月までの業績が取り込まれることになります。

最近の傾向

しかし、最近では、IFRS(国際財務報告基準)の影響もあり、原則通り親会社と子会社の決算期を統一する会社も増えています。その際、子会社を親会社の決算期に合わせるケースだけでなく、親会社の決算期を子会社に合わせて変更するケースもあります。

決算期統一のメリット

決算期の統一により、親子間の業績のズレが解消され、海外子会社の業績がよりタイムリーに連結決算に反映されることになるため、連結決算数値の精度が向上します。企業活動のグローバル化が進みグループ全体における海外子会社の割合が大きくなればその効果はなおさらでしょう。したがって、株主や投資家などに対する財務報告の観点から望ましいと言えます。また、会社の事業管理においても、連結ベースでの予算策定や業績管理・評価、事業の効率化などの点では親子間の決算期が統一されている方が望ましいと言えます。

決算期統一のデメリット

一方で、親子間の決算日統一には、実務的には子会社の決算早期化といった課題も生じます。これは、親会社が決算期を変更する場合も、子会社の決算期を変更する場合も同様です。親子間の決算期が統一されると、子会社も親会社と同様のスピードで決算作業が求められます。会計システムや経理部門の人的リソースの整備など、子会社の決算早期化を図る手立てが必要になります。

溝口 聖規グロービス経営大学院 教員

京都大学経済学部経済学科卒業後、公認会計士試験2次試験に合格し、青山監査法人(当時)入所。主として監査部門において公開企業の法定監査をはじめ、株式公開(IPO)支援業務、業務基幹システム導入コンサルティング業務、内部統制構築支援業務(国内/外)等のコンサルティング業務に従事。みすず監査法人(中央青山監査法人(当時))、有限責任監査法人トーマツを経て、溝口公認会計士事務所を開設。現在は、管理会計(月次決算体制、原価計算制度等)、株式公開、内部統制、企業評価等に関するコンサルティング業務を中心に活動している。


(資格)
公認会計士(CPA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、公認内部監査人(CIA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA)

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