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青年海外協力隊・綿貫大地氏が抱く志「アフリカにビジネスで貢献する」――グロービス公認クラブ「アフリカ部」 イベントレポート②

2019年05月17日

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クラブ活動 グロービスアフリカ部 活動レポート

グロービスの学生が、共通の目的や問題意識を持つ仲間と自主的に取り組むクラブ活動の活動事例紹介。

前回に続き、先日行われたグロービス経営大学院 公認クラブ活動「アフリカ部」が主催する講演イベントの内容をお届けします。

青年海外協力隊員として、念願のアフリカへ

青年海外協力隊に合格した綿貫氏が赴任先に決めたのは、西アフリカのベナン共和国。人口約1,000万人、公用語はフランス語。コットンやパームオイルの生産、港湾業などが主要産業の国だ。


「あまり戦略的ではないのですが」と前置きしつつも、ベナンを選んだ理由を綿貫氏はこう語った。「東アフリカは公用語が英語で、日本からの距離も西アフリカより近いので、日本人の起業家がすでにたくさんいるのです。一方でベナンは、現地に進出している日本企業は今のところ1社のみ。また西アフリカ諸国経済共同体というのがあり、将来的にもっと貿易や産業の自由化が進むのではないかという見方もあります。個人的にフランス語も学びたかったし、そんな理由からベナンを選びました」


綿貫氏の職種は「コミュニティ開発」。教師などの職種であれば、働く場所もカリキュラムも用意されているが、コミュニティ開発はまず仕事のタネを探すところから始める。最初の3ヶ月間はひたすら街を散歩し、現状の把握やネットワークをつくることに専念したという綿貫氏。そこから自分にできることを見出し、現在は2つの活動を行っている。


1つは、農家の利益向上プロジェクト。売上と経費を可視化し、現状の利益を確認する。市場に行ってアンケートを取り、消費者のニーズを知る。ニーズを踏まえたうえで、今後の栽培・収穫計画を考える。この一環の流れを農家とともに実践し、「つくったものを売る」から「売るためにつくる」へ意識をシフト。農家がきちんと利益が得られる体制を整えることが目標だ。


もう1つは、障害者のビジネス支援。以前アメリカの国際機関の援助により、鶏とウサギの飼育施設が建設されたが、感染症の流行で援助がストップしてしまった。施設運営を再開しようにも、鶏やウサギを購入するお金がない。そこで綿貫氏は、3ヶ月の散歩期間中に知り合ったマイクロファイナンス(貧困層向け小規模金融サービスの総称)のディレクターと施設をつなげ、融資を依頼。現在は財務収支計画表をともにつくり、収益向上を目指しているという。


「ベナンはマイクロファイナンスが手厚く、マイクロファイナンスの会社が100社くらいあり、行政機関である『省』もあります。でも現地の人は『どうせ無理』と融資を最初から諦めている。そこに僕みたいなよそ者が入ることで、実現することが多々あります。初期投資のお金さえあれば現地の人ももっと成功できるはずなので、マイクロファイナンスはもっと活用されるべきだと感じています」


ベナンでは、公務員か大企業に所属している人を除いて、国民の約7割がインフォーマルセクター(開発途上国にみられる経済活動において、公式に記録されない経済部門のこと)と言われている。公務員・会社員の平均月収は2万円ほど。一方で組織に属していないが、彼らより稼いでいる人も多くいるという。


「僕が通っている床屋さんは、月3〜4万円くらい稼いでいるそう。まわりには床屋がたくさんありますが、そのお店は清潔感があって入りやすいのです。競合との差別化を少し意識するだけで、誰もが収益を上げられる可能性を持っていると思います」

起業家としての新たなスタート

「僕がいなければ、僕が行動を起こさなければ、絶対に変わらなかったであろう現実。それが徐々に変わっていく光景を目の当たりにして、僕は初めてボランティアの醍醐味を知ることができました」


そう語る綿貫氏は、実はすでに起業への第一歩を踏み出しているという。ベナン人と日本人の創業パートナーとともに事業を計画しており、綿貫氏は青年海外協力隊の任期を終える今年10月に正式に起業家となる予定だ。


「詳細はまだ明かせませんが、飲食系のビジネスを考えています。まずはアフリカの『健康』に貢献するために飲食事業を。その後は、起業したい若者とマイクロファイナンスを繋げて『機会』を提供する起業家支援。ゆくゆくは『教育』にも携わっていきたいです」


これらの事業プランは、現在行っているプロジェクトから大いにヒントを得ているという。「アフリカにビジネスで貢献する」という志を胸に、熟考を重ねながら活動を進めてきた集大成が、ついにビジネスとして動き出そうとしているのだ。


「僕がここまでやってこられたのは、志があったからこそ。日本とは違う理由、たとえば貧困や紛争が原因で志を持てない人がアフリカにはたくさんいます。そういう人たちが志を持って自分の道を生きられるように、一起業家として支援していきたいと思っています」


ベナンの街や人々、文化などを切り取った写真の紹介も交えながら、綿貫氏の講演は終了時間を迎えた。任期を終え帰国する10月には、再びアフリカ部のイベントで登壇し、自身がスタートするビジネスについて具体的に紹介したいという。アフリカへの情熱を貫いた綿貫氏が今後いかにして志を実現していくのか、今後も注目していきたい。

アフリカ部とは

アフリカを起点に社会的課題の考察や、途上国のビジネス開発などの勉強会を継続的に実施し、グローバルな視点や、より深い示唆を得る機会を創出するクラブ。在校生・卒業生約250名(2019年1月時点)が在籍し、アフリカに関わる起業家やNPO法人関係者を招いた勉強会、アフリカビジネスのケーススタディ(事例研究)、意見交換会などの活動を行っています。

クラブ活動とは

社会の「創造と変革」に貢献することをテーマに掲げ、グロービスの学生が自主的に取り組む活動です。共通の目的や問題意識を持った同志が集い、それぞれのクラブが多彩なテーマで独自の活動を展開しています。学年の枠を超えて、在校生と卒業生が知識や経験を共有し合うクラブ活動は、志を実現につなげるための場として、大きな意味を持つものとなっています。


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