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部下が熱を帯びるために上司ができる3つのこと

2019年03月01日

  • 組織行動
  • 実践的
  • キャリア
村山 昇 キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

物が熱を帯びるパターン~加熱・伝熱・発熱

物が熱を帯びるパターンを3つ挙げてみます。1番目に、物に直接火を当てる。するとその物は熱を帯びます。いわば外部からの直接的加熱の方法です。2番目に、物を湯に浸ける。湯の熱が伝わって、その物が熱を帯びます。これは外部からの間接的伝熱です。3番目は、味噌や醤油の醸造を思い浮かべて下さい。コメや豆を蒸して、水や塩とともに樽の中に入れます。そして酵母菌を振りかけます。すると、コメや豆が発酵をはじめ、自ら熱を発し、成分を変化させていきます。

発酵型で一人ひとりが自ら熱を帯び変化する

さて、これを「人」が熱を帯びることに引き延ばして考えてみたいと思います。まず、部下・メンバーの熱意を上げるために、上司・リーダーは直接本人に向かって叱咤激励や指導をします。これはつまり1番目の直接加熱のやり方です。効果的にはたらく場合もありますが、叱咤のみが度を超すと、ハラスメントになってしまう危険性もあります。


次に多くの社員のやる気を一斉に変えたいときもあるでしょう。そんな場合は、人事を刷新したり、報酬制度を抜本的に変えたりして、社内の雰囲気を変える手立てがあります。さらには、組織文化を理想のものに変えていくことも重要な施策になります。そのように社内環境という湯の温度を上げることで、じわり伝熱的に社員に熱を帯びさせていくのが2番目の方法です。

そして3番目の発酵型。これが最も難しいものですが、最も根本的で強力な熱の帯び方になります。上司やリーダー・経営者は、一人ひとりの社員の内にある自己啓発性をうまく刺激し、自律意識醸成の手助けをします。この3番目の発酵型は、一人ひとりの社員の内発的動機を呼び起こし、自ら発熱させ、自らの変化を促すものです。そして「個として立つ職業人」に育てていくものです。


発酵型によって一人ひとりの社員が熱を帯びるために、上司・リーダー・経営者は何を酵母菌とすべきでしょうか?――それこそ理念・ビジョンであり、哲学であると私は考えます。


ただ、理念・ビジョンなら何でもいいかというとそうではありません。発酵という反応を起こす主体はあくまでコメや豆です。酵母菌がきちんと受け入れられるように、理念・ビジョンも上司・組織側の独りよがりな押しつけであってはダメで、変化する主体と共有されなくてはなりません。また、樽という環境、すなわち組織文化や制度も、発酵活動に適したものでなくてはならないでしょう。

村山 昇キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。

『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)をはじめ、管理職研修、キャリア開発研修、思考技術研修などの分野で企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

GCC(グロービス・キャリア・クラブ)主催セミナーにて登壇も多数。


1986年慶應義塾大学・経済学部卒業。プラス、日経BP社、ベネッセコーポレーション、NTTデータを経て、03年独立。94-95年イリノイ工科大学大学院「Institute of Design」(米・シカゴ)研究員、07年一橋大学大学院・商学研究科にて経営学修士(MBA)取得。


著書に、『キレの思考・コクの思考』(東洋経済新報社)、『プロセスにこそ価値がある』(メディアファクトリー)、『個と組織を強くする部課長の対話力』『いい仕事ができる人の考え方』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

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