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社会起業家を悩ませる、「普通のベンチャー経営」では上手くいかない理由 

2018年10月02日

  • 組織行動
  • 創造
  • 実践的
髙原 康次 グロービス経営大学院 教員

社会起業家は、通常の起業家と違った種類の、そして往々にして根深い悩みにぶつかっています。一見すると、社会善を掲げて経営をするソーシャル・ベンチャーは、ボランティアの協力、寄付による金銭的支援、メディアの注目獲得など、その経営は一般企業よりも有利に思える側面もあります。しかし、経営会議では悩ましい議論が展開されています。


例えば、「目の前の困っている人を放置できません。この組織の存在意義を思い出してください。社長、この新規案件を私のチームでやらせてください。私はこの仕事をするために、ここに来たのです」――受け入れられなければ辞めてやる位の勢いで、現場のリーダーが迫ってきます。


一方で、「今は新規案件に取り掛かるキャッシュの余裕はありません。それよりも今月の経営目標数字の進捗度合いはどうなんですか。資金提供者からも本業に集中すべきだと、この前言われましたよね」――と事務局長が制止してきます。


このように社会起業家は、通常の営利企業が目指す目標数字である売上・利益以外の社会インパクトを追求することで、経営の複雑性が上がります。社会善を掲げるからこそ、ステークホルダー間で引き起こされる重大な副作用があることも確かです。


加えて、ソーシャル・ベンチャーが取り組む事業では、経済的リターンが十分見込めない状況があります。要因としては、入り組んだ規制、既得権益者の抵抗、支払い余力の低い受益者・未整備の流通網等々が挙げられます。


従い、一般的なベンチャー経営に比べ、ソーシャル・ベンチャー経営の方が難しい場面が多いのです。


本シリーズでは、政府も市場も解決に失敗している社会課題解決に取り組み、インパクトの極大化を主目的とするソーシャル・ベンチャー経営の難所とその勘所を取り扱います。私たちKIBOWインパクト・インベストメント・チームのメンバーが、投資検討や支援活動の中や、グロービス経営大学院の「ソーシャル・ベンチャー・マネジメント」の講義、自身で経営に携わっているNPOなどで実際に用いている社会起業家への処方箋をご紹介します。また、社会起業家の経営支援を行っている他団体の持つ事例や処方箋も紹介していきたいと思います。


社会起業を志す、もしくは社会起業家の支援に関わりたいビジネスパースンのみなさんに、お役に立つ内容をお届けできればと思います。

髙原 康次グロービス経営大学院 教員

東京大学法学部卒業、グロービス・オリジナルMBA修了/丸紅で海外営業、貿易実務、合弁会社運営などに携わった後、グロービスに入社。人材紹介部門(営業責任者)、人事総務(採用責任者)、法人営業を経て、ファカルティ本部に在籍し、科目開発・講師育成に従事する。専門領域は、社会起業。社会活動を行うプロフェッショナル向けコーチングや東日本大震災後に設立された各種団体で資金調達や経営支援を行う。宮城県山元町の農業生産法人GRAマネジメント・アドバイザー、NPO法人GRA理事、地域で活動する高校生を支援する一般社団法人全国FROM PROJECT常務理事、一般社団法人KIBOWインパクト投資メンバーを務める。米国CTI認定コーアクティブ・コーチ(CPCC)。コーアクティブ・リーダーシップ・プログラム修了。

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