大阪校
大阪校学生ブログ
- ◆MBA生活
【MBA生活】営業職がMBAを学ぶ理由
【氏名】豊見本 貫太
【勤務先】株式会社ミスミ
【入学年】2013年
■ご挨拶・自己紹介
グロービス 2013期生の豊見本 貫太(とみもとかんた)です。
単科生として2012年7月期のクリティカル・シンキングを受講して以来、
グロービス経営大学院にお世話になっております。
現在、私は、株式会社ミスミにて工業用部品の営業を担当しております。
ミスミは、紙カタログおよびインターネットを通じて商品を販売する会社なので、
業界においても営業担当者が存在することはあまり知られていません。
背景として、もともと営業マンを必要としないビジネスモデルが構築されていたからです。
そうした背景をもつ企業で営業という仕事に従事している為、
営業の価値について普段から考えるようになりました。
今回は、営業に従事する人間にとってのMBAを学ぶ意義について、
営業の価値を織り交ぜながらお話できればと思います。
■そもそも営業って何だろう?
皆さんは、「営業」と聞いてどんなことを思い浮かべますか?
真っ先に思い浮かべるのは「モノ・サービスを売る仕事」ではないでしょうか。
他にも、「利益を生み出す」、「価値ある情報を顧客から得る」といったことや、
はたまた、「競合からシェアを奪う」「顧客と交渉する」「クレームを処理する」
なんてことを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
私は、商品やサービスを認知させ、興味をもってもらい、好きになってもらい、
購入に際して疑問を払拭し、気持ちよく注文し続けていただく一連の活動と、
これらの活動を行う土台となる顧客との信頼関係を作り上げることが営業の仕事だと
考えています。
数年前に、ある就職活動中の学生にこんなことを言われました。
「営業はクリエイティブじゃないから就きたくありません。」
このように言われ、結構なショックを受けたことを覚えています。
今であれば自信を持って言えます。「営業こそ、クリエイティブな職業」だと。
■最近、営業について思うこと
ただ、最近の営業は「パッケージ化」が進んでいるように思うのです。
これまでの営業職は、ある意味「職人芸」のような位置付けだったと認識しています。
つまり、営業におけるノウハウは属人的なものであり、その芸風は盗むものだと
営業駆け出しの頃に教えられました。
近年においては、営業プロセスを分析することで、プロセス毎に"あるべき姿"が特定され、
トレーニング次第では、誰でも一定レベルで成果を出せる時代になってきたのではないでしょうか。
具体的には、いわゆる営業トークを統一するだけでなく、顧客からの質問に対してどんな
切り返しをするか、1日の行動の仕方まで決めてしまうことを「パッケージ化」と呼びました。
企業によっては「営業の型」なんて言い方をする場合もあります。
要するに営業スキルというのは言語化することで、暗黙知から形式知に
変えることができるという考え方です。
こうした潮流に拍車をかけているのが、CRM(顧客管理)に代表されるIT技術の発展だと
考えています。
「システム」によって顧客との接点を創出し管理することで、顧客価値を最大化させることが
できるという考え方です。
ここで私が言いたいのは、営業マンは「システム」に置き換わり得る存在になりつつある点です。
突出した個の力を発揮できなければ時代に置いて行かれてしまうという危機感が
徐々に芽生え始めました。
■営業職がMBAを学ぶ意義
ちなみに企業活動の範囲で、今も昔も変わらず営業というポジションでしか
できないことは何でしょうか?
あえて一つだけ挙げるとしたら、顧客がもつ鮮度の高い
「1次情報」に常に接触できる点ではないでしょうか。
この点が、営業担当者が介在する価値だと信じています。
ちなみに、「今度こんな商品が出ます」といった情報をお客様から直接聞いた場合、
それは1次情報になります。
そして、その情報は「営業がこんな情報を取ってきた」と社内に展開され、2次情報になります。
私は、まさに1次情報の取得時において、MBAで学ぶ知識やモノの考え方が
活かされると考えるようになりました。
ところで、皆さんが情報の出し手だった場合、どんな営業担当者であれば
気を許して情報を出すでしょうか?
特に正解はないと思いますが、1つ言えるとしたら、自分のことや自分が所属する組織について
よく理解してくれている営業担当者に対しては、情報を出しても良いと考えないでしょうか。
ただ、ここで言う「理解」については様々なレベルがあるように思います。
例えば、お客様が所属する業界の特性と、その業界におけるお客様のポジションでは
レベル感が異なります。
また私は、目の前に座っている担当者の立場の理解も非常に重要だと考えているのですが、
これに関しても、理解のレベル感が異なることはお分かりいただけると思います。
つまり、様々なレベル感で理解できてはじめてお客様を理解できたと言えるのではないでしょうか。
そして、そのレベルになってようやくお客様の話に心から共感できると考えています。
このようにお客様を様々な視座をもって理解したい時に、MBAのカリキュラムを通して教わる
「フレームワーク」が役に立ちます。
「3C分析」や「5つの力分析」など様々なフレームワークを学ぶことで、
瞬時に漏れなくお客様が属する業界について考察を深めることができます。
また、様々な企業のケースをもとに異なる業界から集う仲間と議論しながらクラスが進行します。
したがって、営業の現場でも「いつか見た風景」に出くわすことが多く、
お客様の話に深く共感できるようになったと感じています。
共感できている雰囲気というのは不思議と相手に伝わるもので、より多くの1次情報を
引き出せるようになったと実感しています。
もちろん、むやみやたらに多くの情報を引き出せば良いわけではなく、取捨選択したいものです。
そのためにはお客様の理解だけでなく、自分が所属する部署の事業戦略も
理解できていなければなりません。
自社がどこを目指しているのかといった視点を持ちながら仕事をすることで、
お客様から得るべき価値ある情報は絞られるようになります。
■最後に
営業という仕事は気持ちの浮き沈みがどうしても起こりがちだと思います。
自部署の事業戦略を理解することは、自分が行っている仕事にどういう意味があるかを
理解することに繋がります。
自分の仕事の意味を理解できさえすれば、長期的にモチベーションをコントロールすることが
できると考えています。
幸いにもグロービスでは、「経営道場」や「企業家リーダーシップ」など志系科目という括りで
自分と向き合い、自分が一体何者であるかを考える科目が用意されています。
こうした点が、グロービスをユニークな存在にしているように思います。
ここまで営業担当者がMBAを学ぶ意義について書かせていただきました。
共感できない点もあるかもしれませんが
営業担当者こそMBAで学ぶ意義が大きいという考えは変わりません。
ぜひ皆さんのご意見もお聞かせください。