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投稿日:2026年01月14日
投稿日:2026年01月14日
子育て層の学びに関する実態調査レポート
子育て中に学ぶことは、現実的な選択なのでしょうか。
「時間も気持ちも余裕がない中で、学ぶことに意味はあるのだろうか――」
そんな疑問や迷いを持つ方も少なくないかもしれません。
本調査では、子育て層の学びへの関心や行動、そして実際に学びを選んだ人たちがどのような変化や効果を感じているのかを明らかにしました。
子育てをしながら学ぶことは、特別な選択ではない
子育てをしながら学ぶことは、限られた一部の人だけの選択ではありません。
本調査からは、迷いや不安を抱えながらも、学びについて考え始めた人たちの実態が見えてきました。「今の生活の中でも、学びを考えてよいのかもしれない」――本調査は、そうした視点を持つきっかけを示しています。
グロービス経営大学院(以下、グロービス)は、子育て層を対象としたアンケート調査(以下、一般調査)と、グロービス在学中に子育てを経験した在校生・卒業生を対象としたアンケート調査(以下、在校生・卒業生調査)を実施しました。一般調査では、子育て層の77.5%が学びに関心を持っている一方で、68.8%が行動に移せていないことが明らかになりました。また、育児とキャリアの両立においては、「責任のある業務を任せてもらえず、評価されにくい」と感じる人が少なくないことも指摘されています(内閣府男女共同参画局調査※)。
学びを選んだ人たちが実感している変化
こうした状況の中で、グロービス在学中に子育てを経験した在校生・卒業生を対象とした調査では、8割以上が「ビジネススキルや知識が向上し、仕事の幅が広がった」と回答しました。さらに、キャリア面にとどまらず、6割以上が「子どもへの好影響」を、約半数が「自己肯定感の向上」を実感していることも明らかになっています。
多くの在校生・卒業生は、学びを始めるにあたって不安や迷いを感じていましたが、調査からは、特別な環境が最初から整っていたわけではなく、仕事や家庭とのバランスを考えながら、できる範囲で環境を整え、学びを継続してきた様子がうかがえました。
以下では、データと具体的な事例をもとに、子育てをしながら学びに踏み出した人たちが、どのように考え、どのような工夫を重ねてきたのかをご紹介します。
※内閣府男女共同参画局調査 「令和6年度 仕事と生活の調和推進のための調査研究 ~キャリア形成と育児等の両立を 阻害する要因に関する調査」
目次
- 【一般調査】
子育て層の約8割が「学び」に関心の一方、うち7割は行動に移せていない
子育て中の学習、約半数が「肯定的に捉えられている」 - 【在校生・卒業生調査】
子育てを経験の在校生・卒業生、約9割が「子育て中の学習に不安」の一方、うち7割が「今が学ぶタイミング」と決断
8割以上が「仕事の幅が広がった」、6割以上が「親が学ぶことで子どもへの好影響」を実感 - 【学生コメント】
子育てをしながら学んだ人はどのように一歩を踏みだしたのか - 【グロービス経営大学院の各種制度】
子育て中でも安心して学び続けられる仕組み - 【調査を受けてのコメント】
グロービス経営大学院 研究科長 君島 朋子
グロービス経営大学院 教員 米良 克美
子育て中の学びは、特別な選択ではなかった
本調査から浮かび上がったのは、子育て中に学ぶことが、限られた一部の人だけの特別な選択ではないという点です。学びたいという関心を持ちながらも、「今は難しいのではないか」「家庭や仕事との両立ができるのか」と迷いや不安を抱える人が多い一方で、実際に学びに踏み出した人たちの姿からは、その先に生じた変化も見えてきました。
グロービス在学中に子育てを経験した在校生・卒業生の多くは、最初から時間的・心理的な余裕があったわけではありません。不安や迷いを抱えながらも、仕事や家庭とのバランスを考え、できる範囲で環境を整えながら学びに取り組んでいたことが分かりました。その結果、学びは仕事やキャリアへの効果にとどまらず、子どもとの向き合い方の変化や、親自身の自己肯定感の向上など、生活全体に前向きな影響をもたらしている様子がうかがえます。
これらの結果は、子育て中に学ぶことが「何かを犠牲にする選択」や「完璧な環境が整ってから始める特別な決断」ではなく、今の生活を前提としながら、自身のキャリアや成長について主体的に考える中で選び得る、現実的な選択肢の一つであることを示しています。
学生コメント
子育てをしながら学んだ人はどのように一歩を踏み出したのか
学生コメント
子育て中に学ぶことは難しいと感じていた方が、実際にどのように一歩を踏み出したのか、回答者の声をご紹介します。
「学ぶなんて無理」から「踏み出してよかった」へ ー学びの環境をできる範囲で少しずつ整える
子どもがまだ小さくて、正直「学ぶのは相当難しい」と思っていました。しかし、会社で管理職として次のステップに進める可能性がある今の時期に学んでおけば、将来の仕事の幅や昇進の機会に直接役立つだろうと思ったのです。小さい子どもがいる状況も完璧ではなかったですが、今できる範囲で工夫すれば学ぶ時間は作れると考えました。そこで子どもの世話や家事は、妻と役割を話し合い、必要な部分だけ期日をつけて協力してもらうことで調整しました。スキマ時間に勉強することや、生活の中でやれることを少しずつ動かすことで、学ぶ環境は思った以上に整えられましたし、実際に仕事やキャリアにも活かせているので踏み出してよかったなと感じます。
(村上 博史さん オンライン校 子ども3人 2025年卒業)
家庭だけを優先すべき、という考えを見つめ直したことで、選択肢が広がった
「子どもが小さいうちは、家庭を最優先にすべき」。そう考え、学ぶことに踏み出せずにいました。体験授業をきっかけに、家庭との向き合い方を変えずに学ぶ方法もあるのではないか、と考えるようになりました。最初は、子どもとの時間が減ることへの抵抗感もありましたが、完璧な環境を整えてから始めることはできないと感じ、授業の受け方や生活リズムを工夫しながら、家族と相談して一歩を踏み出しました。
土曜日に授業を受ける、振替制度を活用する、子どもにもできることを任せる。そうした工夫を重ねる中で、逆に子どもと過ごす時間も、より意識的に向き合えるようにもなりました。他にも子どもが隣で本を読むようになるなど、私だけではなく家族で学ぶことが特別ではない日常の一部になり、家庭を大切にしながら学ぶという選択肢があることを実感しています。
(小坂 有美さん オンライン校 子ども2人 2024年卒業)
「迷っている場合じゃない」ー"キャリア2周遅れ"の焦りが背中を押した
2人目の育休中、同期を見渡してふと気づいたんです。“私はキャリアが2周遅れだ…”と。このまま何もしなければ、さらに後れを取ってしまう。そこで、「もう迷っている場合じゃない」と腹をくくり、まずは学びを始める一歩を踏み出すことに決めました。最初は、子どもと接する時間が減るような気もしましたが、子どもの成長を待っても「今からなら大丈夫」という時は来ないと感じ、迷いよりも行動を優先する気持ちが強くなりました。「子どものリズムや家庭の状況に合わせつつ、無理なく進めよう。できなければやめればいい」そんな気持ちで一歩踏み出しました。
(鳥海 友理子さん オンライン校 子ども2人 在校生)
「子どもの成長を待つと自分も歳を重ねる」ー迷いを家族に話して踏み出した
これまでのキャリアは会社の人事や状況に流されるままだったので、「このままでは自分の行き先を自分で選べない」と不安に感じていました。そんな中、会社の研修で学んだ内容や学び方が面白く、会社以外でも自分で学ぶことで一線を越えられるかもしれないと感じました。子どもが小さいこともあり迷いましたが、子どもの成長を待っていると、自分も歳を重ね、体力や気力が持たないと思いました。そこで、家族にも正直にすべてを話して理解を得ました。授業はオンラインでも受けられるし、家事や仕事も少しずつ工夫すれば両立できるかもしれないと冷静に考えて一歩踏み出しました。結果、学びを通じて、自分のキャリアを自分で選べる自信も得られたので、特別なタイミングを待たなくて良かったと実感しています。
(作田 龍平さん 大阪校 子ども1人 2025年卒業)
「今は無理かも」とずっと躊躇していた ー"完璧な環境"はないけど工夫して両立
異動で自分の知識不足を痛感し、「いつか学ぶ必要がある」と思っていましたが、30代は結婚や出産・育児を考えると「今は無理かも…」とずっと躊躇していました。出産後はさらにハードルが高く感じましたが、「子どもが成長するのを待っても悩みは尽きない」と考え直しました。単科生制度でクリティカルシンキングの授業を受け、時間は工夫次第で作れることを知り、自分にも学ぶ余地があると実感できたことが大きかったです。家族や友人のサポートを相談しながら、夜子どもが寝た後に勉強する日々。完璧な環境はなかったけれど、工夫すれば両立できると感じ、少しずつ自分のキャリアを選んでいける手応えを得ています。
(KAさん オンライン校 在校生)
子育て中でも安心して学び続けられる仕組み
子育てと仕事を両立しながら学ぶうえで、「続けられるかどうか」は大きな不安の一つです。
グロービス経営大学院では、時間や場所に制約がある子育て層でも学びを継続できる学習環境と制度を整えています。
・子育てや仕事と調整しやすい開講スケジュール
平日夜間(19時〜22時)および週末の開講。パートナーとの育児分担や、子どもの就寝時間などを活用したり、状況に合わせて選択が可能です。
詳細はこちら。
・オンラインで質の高い学びを確保
通学とオンラインを柔軟に併用できるため、子どもの成長や環境変化にも柔軟に対応できます。双方向のディスカッションを重視した授業、学びの質は通学と変わりません。
詳細はこちら。
・ 授業振替制度/長期履修制度/休学制度
急な子どもの発熱や仕事の都合などで欠席する場合も、同一期内に複数クラスを開講している科目の場合は、他のクラスに振り替えて受講することが可能です。
また、やむを得ず学びを一時的に止める必要が生じた場合にも、学びを諦めずに続けられるよう、標準2年のカリキュラムを最大5年まで延長可能な長期履修制度や、出産や家庭の事情に応じて利用できる休学制度(最長2年)があります。
詳細はこちら。
・単科生制度
本科入学前に、1科目(3ヶ月)から受講できる制度。「自分にできるか」「本当に役に立つか」を確かめつつ、仕事や育児を両立するイメージを持ちながら段階的に学びを始められます。
詳細はこちら。
調査を受けてのコメント
君島 朋子
グロービス経営大学院大学 経営研究科 研究科長(日本語MBA)
学校法人グロービス経営大学院 常務理事
グロービス・マネジメント・スクール マネジング・ディレクター
迷いながらでも大丈夫。子育て中に学びを考えるという選択
今回の一般調査からは、多くの子育て中の方が「学びたい」という思いを持ちながらも、時間や環境の制約に加え、自分自身の成長のために時間やお金を使うことへのためらいを感じている現実が見えてきました。子育てに限らず、介護や健康、地域での役割など、人生のさまざまな局面において、「今は自分のことを後回しにすべきだ」と感じてしまうことは、決して特別なことではありません。
一方で、在校生・卒業生への調査からは、そうした不安や迷いを抱えながらも学びを選んだ方々が、学びを通して視野を広げ、意思決定やキャリアの選択に前向きな変化を感じている様子がうかがえました。特に印象的だったのは、その変化がご本人にとどまらず、家族との関係や、子どもとの向き合い方にも良い影響をもたらしていると実感している方が多かったことです。
また、今回の調査やインタビューからは、最初から整った環境があったわけではなく、学びを始めてから少しずつ生活や時間の使い方を調整していったという声も多く聞かれました。完璧な環境が整っていなくても、学びを続ける中で、自分なりのペースや形が見えてくることもあります。
子育て中は、「今は我慢する時期」と捉えてしまいがちです。しかし今回の調査結果は、学びが何かを犠牲にする行為ではなく、今の生活を前提にしながら、人生やキャリアの可能性を少しずつ広げていくための、一つの現実的な選択肢になり得ることを示しているのではないでしょうか。
もし、ここまで読み進める中で、少しでもご自身の状況と重なる部分を感じた方がいらっしゃれば、「今すぐ決断しなくてもよい」「迷いながら考えていてもよい」と、少し気持ちを楽にしていただくきっかけになればと思います。自分の人生やキャリアについて立ち止まって考える時間を持つこと自体が、将来につながる前向きな一歩になることもあります。
グロービス経営大学院では、オンラインクラスや授業振替制度、単科生制度など、人生のさまざまな局面にある方が、それぞれのペースで学びを続けられる環境づくりに取り組んできました。これからも、一人ひとりが自分の意思で学びを選び、自分なりの形で成長していける環境を整え続けていきたいと考えています。
米良 克美
グロービス経営大学院教員
熊本大学薬学部卒業(薬剤師)
熊本大学大学院薬学教育部博士後期課程修了
BOND University MBA Program修了
学位:博士(薬学)、MBA
今の生活のままでも、続けられる学び方がある。
企画段階から、調査の背景や設問設計について意見を交えながら関わってきましたが、今回の調査を通して、子育て中という多忙な時期においても、学びに取り組むことがキャリア形成や自己成長に前向きな変化をもたらしていることが確認できました。
日頃、グロービス経営大学院で教員として学生と接する中でも、オンライン受講などを活用しながら、限られた時間の中で学びを続けている子育て世代の姿を多く目にしています。そうした方々は、無理を重ねて頑張っているというよりも、学びを通して視野を広げながら、仕事への向き合い方やキャリアの考え方を少しずつ更新しているように感じます。
学びは結果として人とのつながりを広げ、家庭や子どもへの向き合い方にも良い影響をもたらしていきますが、その出発点にあるのは、大きな覚悟や特別な決断ではありません。自分の置かれた環境を前提に、「今の生活の中でも続けられる学び方がある」と気づくことが、次の一歩につながっていくのだと思います。
本調査が、子育て世代の方々にとって、自分なりのペースでキャリアや人生について考え、無理のない形で一歩を踏み出していくためのきっかけになれば幸いです。
<調査概要>
【一般調査】
調査対象:小学生以下の子どもを持つ男女
調査期間:2025年8月21日~9月1日
調査方法:インターネット調査
有効回答数:668名
モニター提供元:株式会社ジャストシステム
【在校生・卒業生調査】
調査対象:グロービス経営大学院 在校生・卒業生(グロービス経営大学院在学中に10歳以下の子育てを経験した男女)
調査期間:2025年10月3日~10月19日
調査方法:インターネット調査
有効回答数:350名
子育て中の今、自分の未来にも向き合う
子育て中に、なぜ「今、学ぶ」という選択をしたのか。
家族や仕事との向き合い方は、人によって異なります。
その決断の背景と、学びと生活のバランスを学生のリアルな声で紹介しています。

