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投稿日:2025年07月26日

投稿日:2025年07月26日

コンサルタントにMBAは必要か?市場価値を高めるキャリア投資の真実

本橋敦子
グロービス コンテンツオウンドメディアチーム

はじめに|成長を続けるコンサルティング業界と人材ニーズ

近年、DXやグローバル化の加速を背景に、コンサルティング業界は急成長を遂げています。企業の変革を支援する需要が高まり、新卒採用は拡大し、中途採用も活発化しています。その一方で、クライアントの期待は高度化し、単なる分析スキルや業界知識だけではなく、経営全体を俯瞰する力と即応力が強く求められています。

こうした環境下で、MBA(経営学修士)はコンサルタントにとってキャリアを飛躍させる大きな武器となりつつあります。

この記事からわかること

  • コンサルタントにとってMBAが評価される背景と必要性
  • MBA取得がキャリア(転職・昇進・年収)に与える具体的効果
  • グロービスMBAが重視する「志」とその実務的意義
  • 卒業生のキャリア事例から学ぶ実際のメリット
  • MBAを検討する際に押さえるべきポイントと注意点

【注記】

  • 本ページに掲載しているグロービス経営大学院の卒業生の声は、グロービス経営大学院 公式サイト 学生の声(https://mba.globis.ac.jp/student/)から内容を引用しています。
  • 卒業生の肩書きは、インタビュー実施当時のものです。

MBAがもたらす「体系的な経営知識」

コンサルタントにとって最も重要なのは、個別の専門領域を超えて経営全般を体系的に理解する力です。

  • 財務・会計:企業の収益構造や資金繰りを読み解き、改善策を提案する基盤
  • マーケティング:市場環境や顧客行動を分析し、事業戦略に落とし込む力
  • 組織・人材マネジメント:変革を実現する組織設計と人材育成の知識
  • 戦略論:不確実性の高い時代における競争優位の構築手法

これらは現場のOJTだけでは断片的にしか学べません。MBAでは体系的に整理されたカリキュラムを通じて知識を獲得でき、実務に直結する提案力を高められます。

ケースで磨く「業界横断の意思決定力」

コンサルタントは特定の業界にとどまらず、多様な領域に対応する必要があります。MBAのケースメソッドでは、製造業、IT、ヘルスケア、サービス業など幅広い業界の事例を疑似体験し、経営者になりきって意思決定を迫られます。

この訓練により、未知の業界でも迅速に論点を整理し、戦略を描ける柔軟性が養われます。これは実務で直面する「明日から新しい業界の案件を担当」という状況において大きな力を発揮します。

経営者視点を体験するMBAの意義

コンサルタントは経営者ではないものの、クライアントに寄り添いながら経営の意思決定を支援する立場にあります。しかし、実務では経営者の立場を本当の意味で体験する機会は限られています。

MBAでは、ケースやグループワークを通じて「経営者ならどう判断するか」を繰り返しシミュレーションします。これにより、経営者の視野・視点を自らの中に取り込み、より説得力のある提案ができるようになります。

コンサル業界出身・MBA卒業生の実例

「ビジネス戦闘力」を磨き成果につなげる

「子会社出向をきっかけに『成果につながる戦闘力を高めたい』と決意しました。学位そのものではなく、その修得過程における“ビジネス戦闘力の獲得”を目的に、MBAを目指すことにしました」

(デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社/山田 知寛さん)

「挑戦する勇気」と「自信」がキャリア資産に

「グロービスで得たのは、やればできるという『自信』と、自分の可能性を信じて挑戦する『勇気』です」

(IQVIAソリューションズ ジャパン株式会社/木原 史雄さん)

人的ネットワークが独立・起業を後押し

「全国にいる多様な仲間たちに気軽に相談し、的確なアドバイスをもらえる環境は、非常に心強く、グロービスで得たネットワークの大きな価値を日々実感しています」

(WyM Consulting 代表/高橋 佳希さん)

「会社名に依存せず、自分の価値を高めたい」

「『今の私は、会社の名前がなくても、世の中から必要とされるビジネスパーソンなのか?』という問いに、自信をもって「YES!」と答えることはできませんでした。これが、MBA取得を決断する決定打になりました」

(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社/原 有貴子さん)

まとめ|コンサルタントにMBAは必要か?

MBAはコンサルタントにとって、市場価値を高める有力なキャリア投資です。

  • 体系的な経営知識を習得することで、幅広い案件に対応できる力がつく
  • ケース学習を通じて、未知の業界でも意思決定できる柔軟性が育まれる
  • 経営者視点の体験によって、より実践的で説得力のある提案が可能になる
  • さらに、人的ネットワークや「志」といった内面的な資産も形成される

短期的な昇進や転職に直結するだけでなく、中長期的にキャリアを設計するための土台となるのがMBAです。重要なのは学位そのものではなく、「何を学び、どう活かすか」という主体的な姿勢。

つまりMBAは、コンサルタントにとってキャリアの幅と深みを広げる最も有効な手段の一つであるといえるでしょう。

本橋敦子

グロービス コンテンツオウンドメディアチーム

大学卒業後、全国紙の記者として10年勤務。仙台支局で事件・事故、裁判、行政、スポーツ、東日本大震災の被災地を取材したほか、異動後の東京経済部では流通・小売り、通信、フェムテックなどをテーマに執筆した。現在はグロービスにて、オウンドメディア「GLOBIS学び放題×知見録」 の編集を担当。