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投稿日:2025年07月31日

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USCPA(米国公認会計士)とはどんな資格?取得のメリットや難易度、キャリアパスまで徹底解説

吉峰史佳
グロービス コンテンツオウンドメディアチーム

USCPA(米国公認会計士)は、グローバルに活躍するビジネスパーソンにとって、非常に価値の高い資格です。国際的な会計知識と実務能力を証明するこの資格は、キャリアアップや新たな挑戦の扉を開く可能性を秘めています。

本記事では、USCPAの基礎知識から、取得の魅力、資格取得までのステップ、受験資格、難易度、そしてMBAとの比較、さらには取得後のキャリアパスまで、徹底的に解説します。グローバルな舞台で活躍したい方、会計・財務の専門性を高めたい方は、ぜひ最後までお読みください。

目次:この記事でわかること

目次

  • USCPA(米国公認会計士)とはどんな資格か
  • USCPA(米国公認会計士)取得の魅力とは?
    • キャリアアップ・スキルアップにつながる
    • グローバルなキャリア形成が可能
    • 働きながら資格取得が可能
  • USCPA(米国公認会計士)になるための道のり5ステップ
    • 資格取得の勉強
    • 試験への出願
    • 試験会場を選ぶ、日本で受験が可能
    • USCPAの試験を受ける
    • 合格後にライセンス申請
  • USCPA(米国公認会計士)の受験資格について
    • USCPA(米国公認会計士)の受験料
  • USCPA(米国公認会計士)の難易度や必要な勉強時間
    • 難易度・合格率は?
    • 合格するために必要な勉強時間
  • MBAとUSCPAの比較
  • MBA取得者とUSCPA取得者のキャリアについて
    • MBA取得者のキャリア
    • USCPA(米国公認会計士)のキャリア
  • ビジネスを学ぶならグロービス経営大学院
  • まとめ

USCPA(米国公認会計士)とはどんな資格か

USCPA(United States Certified Public Accountant)は、その名の通り、米国各州が認定する公認会計士の資格です。日本の公認会計士と同様に、会計監査、税務、財務報告など、幅広い分野で専門的な知識とスキルを持つことを証明します。

グローバル経済が加速する現代において、米国会計基準(US GAAP)や国際財務報告基準(IFRS)に関する知識は、国際的なビジネスシーンで不可欠となっています。USCPAは、米国会計基準(US GAAP)や国際財務報告基準(IFRS)への理解を深め、これらを実務に応用できる能力を証明します。特に、多国籍企業や国際的な会計業務において、その専門性は高く評価されています。※ただし、国によっては現地資格が別途必要な場合もあります。

USCPA(米国公認会計士)取得の魅力とは?

USCPA資格の取得は、あなたのキャリアに多大なメリットをもたらします。ここでは、その中でも特に魅力的な3点をご紹介します。

キャリアアップ・スキルアップにつながる

USCPA資格は、会計・財務分野における高い専門知識と実務能力の証です。この資格を持つことで、企業内の経理・財務部門での昇進や、より責任のあるポジションへの道が開かれます。また、監査法人やコンサルティングファームでは、専門家としての信頼性が高まり、大規模なプロジェクトや国際案件に携わるチャンスが増えるでしょう。会計知識だけでなく、ビジネス全般に対する深い理解も身につくため、自身のスキルアップにも大きく貢献します。

グローバルなキャリア形成が可能

USCPAは国際的に通用する資格であり、取得することでグローバルな活躍の場が大きく広がります。外資系企業への転職はもちろん、日系企業の海外事業部門や、国際的な監査法人での勤務など、国境を越えたキャリア形成が可能になります。英語でのビジネスコミュニケーション能力と、国際会計基準への深い理解を兼ね備えた人材は、世界中で高く評価されます。将来的に海外での勤務を考えている方や、国際的なビジネスに関わりたい方にとって、USCPAはまさに「パスポート」となるでしょう。

働きながら資格取得が可能

USCPAの試験は、年間を通じて受験が可能であり、試験科目ごとに合格が認められる科目合格制度を採用しています。これにより、自身のペースで学習を進めることができ、働きながらでも資格取得を目指しやすいという特徴があります。多忙な社会人でも、英語力と専門知識の両方を計画的に磨くことで、ステップアップが可能です。特に英語での会計用語や法令文を理解する力が問われるため、事前準備が重要となります。資格予備校の学習サポートやオンライン教材なども充実しており、自身のライフスタイルに合わせて学習方法を選択できる点も大きな魅力です。

USCPA(米国公認会計士)になるための道のり5ステップ

USCPA資格の取得は、計画的にステップを踏むことで実現可能です。ここでは、その主な5つのステップをご紹介します。

1.資格取得の勉強

USCPA試験は、会計、監査、税法、ビジネス環境の4科目で構成されており、広範囲にわたる知識が求められます。効率的な学習のためには、専門の予備校のカリキュラムを利用したり、オンライン教材を活用したりすることが一般的です。英語での試験となるため、会計知識だけでなく、英語の読解力も同時に鍛える必要があります。過去問演習や模擬試験を繰り返し行い、本番に備えましょう。

2.試験への出願

各州によって受験資格や出願手続きが異なります。自身の学歴や取得単位が受験資格を満たしているかを確認し、必要書類を揃えて出願します。多くの場合、会計学やビジネス関連の単位取得が求められますので、不足している場合は追加で単位を取得する必要があります。出願プロセスは複雑に感じるかもしれませんが、予備校のサポートなどを活用するとスムーズに進められます。

3.試験会場を選ぶ、日本で受験が可能

USCPA試験は、米国だけでなく、日本を含む世界各地の指定されたテストセンターで受験することができます。日本では東京と大阪のテストセンターでUSCPA試験を受験することが可能です。ただし、受験可能な州ライセンスには制限がある場合があるため、希望する州が日本での受験に対応しているか事前に確認が必要です。これにより、渡航費や滞在費を抑えながら、慣れた環境で試験に臨むことができます。事前に会場の雰囲気やアクセス方法を確認しておくと良いでしょう。

4.USCPAの試験を受ける

各科目の試験はコンピューターベースで行われ、試験時間は各4時間です。試験中は電卓の使用が許可され、休憩時間も設けられています。試験形式は、Multiple Choice Questions(MCQ:多肢選択問題)とTask-Based Simulations(TBS:総合問題)の2種類があります。日頃の学習で培った知識を最大限に発揮できるよう、時間配分を意識し、落ち着いて解答しましょう。

5.合格後にライセンス申請

全科目に合格しただけでは、USCPAとして活動することはできません。最後に、ライセンス申請を行う必要があります。ライセンス取得には、各州が定める実務経験(例:1〜2年の監査・税務・会計実務)に加え、倫理試験(Ethics Exam)の合格などが求められます。州によっては、公認会計士(CPA)資格を持つ上司の下での勤務が必須とされることもあります。これらの要件を満たし、州の会計士委員会に申請することで、USCPAとして正式に登録され、晴れてその専門性を活かしたキャリアをスタートすることができます。

USCPA(米国公認会計士)の受験資格について

USCPAの受験資格は、米国各州の会計士委員会がそれぞれ定めています。そのため、自分がどの州のライセンスを目指すかによって、必要な学歴や取得単位が異なります。

一般的には、「120~150単位」の大学単位が求められ、そのうち一定数の会計単位とビジネス単位の取得が必須となることが多いです。例えば、アラスカ州やワシントン州など、比較的少ない単位数で受験資格が得られる州もあれば、ニューヨーク州のように高度な単位数が求められる州もあります。自身の学歴や取得済みの単位を確認し、不足している場合は、追加で大学の科目履修や予備校の単位取得サポートなどを利用して要件を満たす必要があります。受験を検討する際は、必ず志望する州の会計士委員会のウェブサイトで最新の情報を確認するようにしましょう。

USCPA(米国公認会計士)の受験料

USCPAの受験料は、科目ごとに設定されており、また出願料や登録料なども発生します。目安としては、1科目あたり250ドルから300ドル程度、全科目で1,000ドル前後が試験本体の受験料となります。これに加えて、NTS(受験票)の発行手数料や、海外での受験であればInternational Testing Fee(国際試験手数料)などが加算されるため、総額で2,000ドル程度の費用を見積もっておくと良いでしょう。為替レートによって変動するため、最新の情報は公式サイトで確認するようにしましょう。

USCPA(米国公認会計士)の難易度や必要な勉強時間

USCPA試験は、その専門性の高さから一定の難易度があります。USCPA試験は、1科目ごとに合格できる「科目合格制」や、絶対評価(75点以上で合格)を採用している点で、日本の公認会計士試験(相対評価・一括合格)よりも、働きながらの合格が目指しやすい設計です。

難易度・合格率は?

SCPA試験の難易度は、日本の公認会計士試験よりも低いと言われることがあります。これは、日本の公認会計士試験が相対評価であるのに対し、USCPAは絶対評価(75点以上で合格)であるため、努力次第で合格できる可能性が高いからです。

科目ごとの合格率はAICPAにより公表されており、年度や科目により異なりますが、おおむね40%〜60%程度で推移しています(例:FAR 45%、AUD 48%など)。各科目の出題範囲は広く、英語での問題文を理解する能力も求められますが、専門学校の学習サポートなどを活用することで、効率的に合格を目指すことが可能です。

  • FAR (Financial Accounting & Reporting): 財務会計。会計基準や企業結合など、広範囲な知識が問われます。
  • AUD (Auditing & Attestation): 監査論。監査の手続きや倫理規定など、実務に近い内容が出題されます。
  • REG (Regulation): 企業法と税法。米国の法律や税法に関する知識が必要です。
  • BEC (Business Environment & Concepts): ビジネス環境と概念。経済学、ファイナンス、IT、コーポレートガバナンスなど、幅広いビジネス知識が問われます。

合格基準は全科目共通で、100点満点中75点以上です。各科目に合格すれば、18ヶ月間は有効となりますので、自分のペースで着実に合格科目を増やしていくことができます。

合格するために必要な勉強時間

USCPAの合格に必要な勉強時間は、一般的に1,000時間から1,500時間程度が目安とされています。これは、英語での学習と、広範な専門知識を習得するための時間です。

もちろん、個人の英語力や会計知識の基礎レベルによって変動はありますが、毎日コツコツと学習を継続することが重要です。働きながら学習する場合でも、1日2〜3時間の学習時間を確保し、週末にまとめて学習するなど、工夫次第で十分に合格を目指せるでしょう。計画的に学習スケジュールを立て、効率的な学習方法を見つけることが、合格への近道となります。

MBAとUSCPAの比較

キャリアアップを考える上で、MBA(経営学修士)とUSCPA(米国公認会計士)はどちらも魅力的な選択肢です。しかし、学ぶ内容やキャリアパスには明確な違いがあります。

MBAは、経営全般に関する知識とスキルを体系的に学ぶ学位であり、戦略、マーケティング、組織論、ファイナンスなど、多岐にわたる分野を網羅します。リーダーシップや意思決定能力の向上、異業種・異職種へのキャリアチェンジを目指す方にとって有効です。

一方、USCPAは、会計・財務に特化した専門知識と、実務能力を証明する資格です。国際的な会計基準への理解を深め、監査、税務、財務報告などの専門家として活躍を目指す方に適しています。

MBAが「経営全全体を鳥瞰し、戦略を立案する能力」を養うのに対し、USCPAは「企業の経済活動を正確に把握し、その健全性を担保する専門能力」を養うと言えるでしょう。どちらを選ぶかは、ご自身のキャリアゴールや興味のある分野によって異なります。

MBA取得者とUSCPA取得者のキャリアについて

MBAとUSCPAは異なる専門性を持つため、その後のキャリアパスも多様です。しかし、両者が連携することで、より強力なキャリアを築くことも可能です。

MBA取得者のキャリア

MBA取得者は、経営全般の知識と戦略的思考を活かし、多様な業界で活躍しています。代表的なキャリアパスとしては、以下のようなものがあります。

  • 事業会社の経営企画、マーケティング、新規事業開発部門:企業全体の戦略立案や、新たなビジネスチャンスの創出に貢献します。
  • コンサルティングファーム:企業の経営課題解決を支援するプロフェッショナルとして、多種多様なプロジェクトに携わります。
  • 投資銀行、ファンド:企業の評価や投資判断、M&A戦略の策定など、高度な金融知識とビジネス洞察力が求められる分野で活躍します。

MBA取得者は、リーダーシップを発揮し、組織を動かすポジションを目指すことが多い傾向にあります。

USCPA(米国公認会計士)のキャリア

USCPA資格取得者は、会計・財務の専門家として、多岐にわたるキャリアパスを歩むことができます。資格取得によって、転職の選択肢が広がり、より魅力的な企業やポジションへの道が開かれます。

  • 監査法人: PwC、EY、KPMG、Deloitteなどの大手監査法人(Big4)や中小監査法人で、企業の財務諸表監査や内部統制の評価などに従事します。国際的な業務に携わる機会も豊富です。
  • コンサルティングファーム: 会計・財務に関するコンサルティング、M&A支援、企業再生、システム導入支援など、専門知識を活かして企業の課題解決をサポートします。
  • 事業会社(外資系・日系グローバル企業)の経理・財務部門: 国際会計基準に基づいた財務報告、連結決算、予算管理、資金調達など、企業の経営に直結する重要な業務を担います。特に外資系企業では、USCPAの知識が必須となるケースも多いです。
  • 金融機関: 証券会社、銀行、保険会社などで、財務分析、リスク管理、投資分析などの業務に携わります。

USCPAは、会計・財務の専門性を強みに、安定したキャリアを築きたい方や、グローバルな舞台で活躍したい方に特におすすめの資格です。

ビジネスを学ぶならグロービス経営大学院

グロービス経営大学院は、「創造と変革の志士」を育成することをミッションに掲げ、実践的な経営教育を提供しています。会計知識だけでなく、経営戦略、マーケティング、リーダーシップなど、ビジネスリーダーとして不可欠な幅広い知識とスキルを、実践的なカリキュラムを通して学ぶことができます。

例えば、グロービス経営大学院のアカウンティング科目では、USCPAで培った会計知識を土台として、企業価値評価やM&A、資金調達など、より実践的な経営判断に役立つ会計の視点を学ぶことができます。

また、ファイナンス」科目では、企業の資金調達や投資戦略、リスク管理など、会計と密接に関わる財務の意思決定について深く掘り下げて学びます

これらの科目は、USCPAで得た専門知識を、経営全体の視点と結びつけ、より高度なビジネス判断ができる人材を目指す上で強力な相乗効果をもたらすでしょう。

ビジネススキルを総合的に高め、将来のリーダーとして活躍したいとお考えの方は、ぜひグロービス経営大学院の体験クラスにご参加ください。実際に授業の雰囲気を体験し、学びの質を肌で感じていただけます。

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まとめ

USCPA(米国公認会計士)は、グローバルなビジネスシーンで通用する会計・財務の専門資格です。その取得は、キャリアアップ、グローバルな活躍、そして働きながらでも目指せるという大きな魅力があります。

取得までの道のりや難易度はありますが、計画的な学習と、自身のキャリアゴールに合わせた戦略的な取り組みによって、十分に実現可能な目標です。会計・財務の専門性を極めたい方、国際的なフィールドでの活躍を夢見る方にとって、USCPAはまさに強力な武器となるでしょう。

そして、USCPAで得た専門知識を活かし、さらにビジネスを俯瞰する視点やリーダーシップ能力を磨きたいと考えるなら、グロービス経営大学院での学びが、あなたのキャリアを次のステージへと導くはずです。ぜひ、ご自身のキャリアの可能性を広げるために、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

体験クラス&説明会日程

体験クラスでは、グロービスの授業内容や雰囲気をご確認いただけます。また、同時開催の説明会では、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)や忙しい社会人でも学び続けられる各種制度、活躍する卒業生のご紹介など、パンフレットやWEBサイトでは伝えきれないグロービスの特徴をご紹介します。

「体験クラス&説明会」にぜひお気軽にご参加ください。

STEP.1参加方法をお選びください

ご希望の受講形式と同じ形式での参加をおすすめしています。

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  • 8/6(水) 19:30~21:30

    オープンキャンパス

    開催:オンライン(Zoom開催) ※体験クラスはありません。
    グロービスMBAプログラムへの進学(出願)を検討している方向け

  • 8/7(木) 19:30~21:30

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催)
    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け

  • 8/13(水) 19:30~21:30

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催)
    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け

該当する体験クラス&説明会はありませんでした。

※参加費は無料。

※日程の合わない方、過去に「体験クラス&説明会」に参加済みの方、グロービスでの受講経験をお持ちの方は、個別相談をご利用ください。

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※社員の派遣・研修などを検討されている方の参加もご遠慮いただいております。こちらのサイトよりお問い合わせください。

吉峰史佳

グロービス コンテンツオウンドメディアチーム

早稲田大学第一文学部、東京大学大学院情報学環教育部を修了。HR業界紙の編集者、AI開発スタートアップでの広報を経て、現職でグロービスのオウンドメディア編集に従事。自身もグロービス経営大学院 経営研究科 経営専攻を修了している。