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投稿日:2025年06月18日
投稿日:2025年06月18日
「MBAは意味ない」は誤解?—ハーバードMBA卒でも無職、グロービス経営大学院が教えるAI時代に必要な“人間力”
- 本橋敦子
- グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
「ハーバードMBA卒でも4人に1人が無職」――2024年、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)卒業生の約23%が3ヶ月後も就職できていないというデータが、世界に衝撃を与えました。AIの進化によって「若手を育てるよりAIのほうが高コスパ」といった空気が広がる中で、「MBAの価値は本当にあるのか?」と疑問を持つ方もいるでしょう。
しかし、これは「MBAが不要になった」のではありません。むしろ、AIに代替されない人間ならではの力を体系的に鍛える場として、MBA教育の本質的な価値がいっそう高まっているのです。本記事では、AI時代が突きつける人材育成の課題をデータと共にひもときながら、MBAの意義、そしてグロービス経営大学院の独自性と強みを紹介します。
AI時代の人材育成クライシス:若手育成の空白と社会のリスク若手の業務機会が奪われている
現実AIの急速な進化は、若手人材が経験を積む「実践の場」を大きく奪いつつあります。
- 基礎業務のAI化:ChatGPTやGitHub Copilotのような生成AIは、これまで新人が担当してきた基礎的な業務を次々と肩代わり。Microsoftの調査では、コードの約30%がAIによって自動生成されていると報告されています。
- 採用戦略の変化:多くの企業が新卒採用を縮小し、即戦力となる中堅層を重視。大手テック企業では、過去2年で新卒採用が25%減少し、2~5年の経験を持つ人材の採用が27%増加しています。専門職・MBA保持者すら直面する就職の壁「高度なスキルさえあれば大丈夫」とは言い切れない時代が到来しています。
- 専門職の失業率上昇:2025年の調査によると、コンピュータサイエンス専攻の新卒失業率は6.1%、コンピュータエンジニアリング専攻では7.5%に達しています。
- 名門MBAでも苦境:ハーバードMBAでは、2024年卒業生の23%が3ヶ月後も就職していません(2022年は約10%)。同様の傾向はスタンフォードやウォートンでも見られます。
※参考資料
Open Data Science - Your News Source for AI, Machine Learning & more
Satya Nadella Says AI Now Writes 30% of Microsoft’s Code
https://www.newyorkfed.org/research/college-labor-market
Hindustan Times: Unemployment plagues MBA graduates; Harvard, Stanford students are no exception
ここで見えてくるのは、「MBAを持っていること自体が価値を持つ時代ではなくなった」という事実です。AI時代に求められるのは、単なる知識や資格ではなく、人間ならではの思考力、実行力、共感力を備えた人材です。
つまり、MBAそのものの価値が下がったのではなく、“中身のあるMBA教育”の重要性が高まっているのです。企業が即戦力志向を強める今だからこそ、人材育成を体系的に行い、「人間力」を磨く場としてのMBAは、むしろ必要不可欠な存在になっています。
AIに代替できない「人間力」を育てるMBAの本質的価値
AIは定型業務や分析作業を高速・高精度でこなしますが、以下のような領域は、今後も人間にしか担えない価値領域です。
- 複雑な問題に対する創造的解決力 AIは既存データをもとに「予測」はできますが、未知の課題に対して直感や妄想、ひらめきからイノベーションを起こすのは人間だけです。
- 不確実な状況下での意思決定と行動 前例のない局面での判断や、リスクをとった実行には、人間の勇気と責任感が問われます。
- 多様な人々と共創するリーダーシップ 異なる価値観・バックグラウンドを持つ人々を巻き込み、共感を得て前に進む力。これはAIには模倣できません。
- 「問い」を立てる力と意味の創出 AIは答えを出すツールであり、「そもそも何を問うべきか」は人間の役割です。
MBAはこれらの力――いわゆるソフトスキルを、体系的かつ実践的に鍛える学びの場です。議論・プレゼン・グループワークなどを通じて、思考力・伝達力・共創力を体得していきます。
グロービス経営大学院の強み:志と人間力を育てる
実践型MBAグロービスのMBA教育は、「知識の詰め込み」ではなく、「人間力」と「志」を軸にした独自の教育で構成されています。
1.実践的な学びの場と多様な人材
- グロービスには、多様なバックグラウンドを持つ社会人が集まります。教員陣は実務経験豊富なプロフェッショナルであり、学生同士も年齢、業種、職種、国籍を超えて多様な視点と経験を持ち寄ります。
- ケースメソッドを用いたディスカッションでは、正解のないビジネス課題に対し、それぞれの視点から意見をぶつけ合い、思考を深めます。これにより、単なる知識の暗記ではなく、「自分で考え、自分で答えを出す」という自律的な問題解決能力が養われます。
2.ソフトスキルを徹底的に磨くカリキュラム
グロービスでは、ディスカッション中心の授業を通じて、
- 論理的思考力
- 他者と協働する力
- 自ら問いを立てる力
- 価値観の異なる人と対話する力
- 明確に伝えるプレゼン・交渉力
- 論理で割り切れない状況で経営判断する力
このようなソフトスキルこそ、AIには代替できない「人間の力」であり、グロービスではこれを中心に据えています。
グロービスの学生は、ビジネスで成果を上げるために欠かせない「正しい思考プロセス」を基礎から学びます。そのうえで、ケースメソッドを通じた意思決定の模擬訓練をこなし、グループディスカッション、ビジネスプランの策定、自社課題のレポート作成などでより実践につながる学びを得ることができます。
学生の実体験と成功事例
- 学生Aさんの声:「グロービスで学んだ戦略的思考法を活用し、企業の経営課題を解決しました。結果として、経営陣から高く評価され、プロジェクトリーダーに昇進しました」
- 学生Bさんの声:「ケースメソッドで培ったリーダーシップ力を活かして、プロジェクトの遅延を解消しました。チームの信頼を回復し、クライアントとの関係を強化できたことが、私のキャリアに大きな影響を与えました」
3.「志(Kokorozashi)」を核とした教育
- グロービスの教育において特に強調されるのが「志(Kokorozashi)」です。これは、単なる個人的な目標や野心ではなく、「何のために自分は生きるのか」「社会にどう貢献したいのか」という、人生を懸けて成し遂げたい使命や大義を意味します。
- 2025年5月に米国ワシントンD.C.で開催された世界最大級の人材・組織開発カンファレンス「ATD25」では、グロービス経営大学院の教員である若杉忠弘氏によるセッション「The Power of Compassion-Driven Leadership: Insights from Japan(思いやりを原動力としたリーダーシップ:日本からの示唆)」が開催され、大きな共感を呼びました。 American Honda Motor Company、Toyota North America、SAP、PHILIPS China、AECOMなど、世界的な企業の経営幹部らが参加し、定員を大きく上回って満席となりました。
- このセッションで特に反響を呼んだのが、「志(Kokorozashi)」という日本独自の教育哲学です。「個人の情熱」と「社会の課題」を重ね合わせたビジョン形成こそが、AIに代替できない人間ならではの価値創出を生む――この理念に、多くの世界的企業の幹部が共感を示しました。
- 参加者からは「今回のATD25の中で最も印象に残ったセッションだった」という声が上がるなど、大きな共感を呼びました。
4.強固な人的ネットワーク
- グロービスの大きな強みは、卒業後も続く強固な人的ネットワークです。共に学び、苦楽を共にした仲間たちは、生涯にわたる貴重な財産となります。
- 異業種・異職種のプロフェッショナルたちが集うこのネットワークは、新たなビジネスチャンスの創出だけでなく、キャリアの転機や困難な局面においても、互いに支え合い、高め合う存在となります。AIが人間関係を代替できないからこそ、この「人間同士のつながり」の価値はますます増大しています。
「思いやり=強さ」という新たなリーダー像が拓く未来
変化と不確実性が支配する時代、トップダウンでは人は動きません。共感し、支え合い、対話を通じて人を動かす「コンパッション・ドリブン」なマネジメントが求められています。ATD25で紹介した「思いやり=強さ」というリーダー像は、まさにAIでは実現できない、人間らしい力の価値を象徴しています。
グロービスでは、
- ディスカッション中心の授業:活発な議論を通じて、多様な視点を取り入れ、多角的に物事を捉える力を養います。
- 実践的な学び: 実際のビジネスシーンを想定したケースメソッドを通じて、実践的な課題解決能力を培います。
- 多様なバックグラウンドを持つ仲間との協働: 異なる業界や職種の受講生との交流を通じて、多様な価値観に触れ、共創する力を育みます。
「ハーバードMBA卒でも無職」は、単に学歴ではなく人間力をどう磨いてきたかが問われる時代への警鐘です。AIがどれだけ進化しても、「志を持ち、思いやりをもって人を導けるリーダー」の価値は決して揺らぎません。
グロービスは、こうした未来を切り拓くリーダーを育てるための実践的な学びの場です。
体験クラス&説明会日程
体験クラスでは、グロービスの授業内容や雰囲気をご確認いただけます。また、同時開催の説明会では、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)や忙しい社会人でも学び続けられる各種制度、活躍する卒業生のご紹介など、パンフレットやWEBサイトでは伝えきれないグロービスの特徴をご紹介します。
「体験クラス&説明会」にぜひお気軽にご参加ください。
STEP.3日程をお選びください
体験クラス&説明会とは
体験クラス
約60分
ディスカッション形式の
授業を体験
学校説明
約60分
大学院・単科生の概要や
各種制度について確認
グロービスならではの授業を体験いただけます。また、学べる内容、各種制度、単科生制度などについても詳しく確認いただけます。
※個別に質問できる時間もあります。
説明会のみとは
学校説明
約60分
大学院・単科生の概要や
各種制度について確認
グロービスの特徴や学べる内容、各種制度、単科生制度などについて詳しく確認いただけます。
※個別に質問できる時間もあります。なお、体験クラスをご希望の場合は「体験クラス&説明会」にご参加ください。
オープンキャンパスとは
MBA・入試説明
+体験クラス
大学院の概要および入試内容の
確認やディスカッション形式の
授業を体験
卒業生
パネルディスカッション
卒業生の体験談から
ヒントを得る
大学院への入学をご検討中の方向けにグロービスMBAの特徴や他校との違い、入試概要・出願準備について詳しくご案内します。
※一部体験クラスのない開催回もあります。体験クラスの有無は詳細よりご確認ください。
※個別に質問できる時間もあります。
該当する体験クラス&説明会はありませんでした。
※参加費は無料。
※日程の合わない方、過去に「体験クラス&説明会」に参加済みの方、グロービスでの受講経験をお持ちの方は、個別相談をご利用ください。
※会社派遣での受講を検討されている方の参加はご遠慮いただいております。貴社派遣担当者の方にお問い合わせください。
※社員の派遣・研修などを検討されている方の参加もご遠慮いただいております。こちらのサイトよりお問い合わせください。
本橋敦子
グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
早稲田大学文化構想学部卒。新聞記者を経て、グロービスのオウンドメディア編集を担当。