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投稿日:2024年04月05日

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アジャイル(アジャイル開発)とは?開発手法の特徴やメリットを解説

アジャイル(アジャイル開発)とは

ソフトウェア開発の際に、綿密な計画を用いる「ウォーターフォール開発」とは異なる概念を用いた「アジャイル開発」を採用する企業が増えてきました。ここでは、アジャイル開発とは一体どのようなものなのかを解説します。

アジャイル開発の定義

アジャイル開発は、大規模なプロジェクト構造に依存せず、より小規模な単位での実装とテストを繰り返す開発手法として定義されています。このアプローチは、2001年に著名なソフトウェア開発者17名が共同で発表した「アジャイルソフトウェア開発宣言(アジャイルマニフェスト)」によって形式化されました。これは従来のウォーターフォールモデル(あらかじめ開発工程を設計し、前工程が完了したら後の工程へと移り、最終工程まで進むと全体が完成するという手法)に比べて開発サイクルの短縮を実現するもので、その迅速性から「アジャイル」(俊敏な)と命名されています。

開発プロセスにおいては、プロダクトの価値を最大化することを目的として、機能単位に優先順位を付け、反復的な小サイクルで開発を進行します。このアプローチにより、進行中の開発においても仕様の変更が可能となり、サービスの市場投入までの時間短縮が実現できます。この手法はソフトウェアやシステム開発だけに留まらず、経営戦略においても効果的な手法として注目されています。

アジャイル開発のプロセス

アジャイル開発では、通常1週間から4週間の短期間のサイクル(イテレーション)でプロジェクトを進めます。イテレーションとは、開発を小さなサイクルに分け、それを繰り返すことを意味します。この期間内に、要求の確認、開発、テストを行います。例えば、特定の機能やユースケースを単位として、要求の分析、開発、テストを行い、それを何度も繰り返すことでプロジェクトを進めます。

以下のように、アジャイル開発は反復的なプロセスを通じて、柔軟かつ効率的にプロジェクトを進行します。

  1. リリース計画:
    まず、開発チームを結成し、イテレーション期間内に開発する機能を計画します。この段階では、機能の優先順位、要求内容、開発の規模、プロジェクトの目標を明確にします。

  2. 開発:
    計画に基づいて各機能を実装し、必要なテストや設定を行います。

  3. リリース:
    テストに合格した機能をリリースします。リリース後には、機能の改善点を話し合い、必要に応じてプロジェクトの目標に基づき再度ステップ1から3を繰り返します。

アジャイル開発が重要視される背景

アジャイルは、ソフトウェア開発における「マネジメントの不確実性」や「ビジネスの不確実性」を解消するために取り入れられる手法です。

マネジメントの不確実性を解消する

プロジェクトの実施にあたっては、計画と実際の進捗に不一致が生じる可能性が存在するものです。例えばプロジェクト開始時の作業量や期間の見積もりが、プロジェクト進行の過程で変動することがあります。従来の開発手法は、詳細な事前計画に基づいて進捗を管理することが一般的でしたが、予期せぬ出来事に対応しにくいという課題が指摘されていました。開発途中で新技術やツールが出現したり、予見できない問題に直面したりした場合、計画の見直しに大きなコストがかかってしまいます。

これらのマネジメント上のリスクを軽減するために、アジャイル開発手法が重要視されるようになりました。アジャイルの採用により柔軟な対応が可能となり、計画と実際の進捗との間のギャップを縮めることができるようになります。

ビジネスの不確実性を解消する

プロジェクトの進行管理の問題にとどまらず、企業の手掛けるビジネス全体において、競合他社の新規参入、技術革新、消費者嗜好の変化などの外部要因が影響を与えることもよくあります。企業には市場の変化に応じて、プロジェクトの方向性や優先順位を変更するといった柔軟なアプローチが求められます。さらに法律や政治状況の変動も、開発プロセスや企業運営に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

とくにグローバル企業の場合、各国・地域の法規制の変更に迅速に対応する必要があります。このような環境ではアジャイルな開発手法が採用されることが多く、柔軟かつ迅速な対応を可能にするアジャイルの原則がより重要視されています。

アジャイル開発でよくある誤解・失敗

アジャイルは比較的新しい概念のため、革新的な部分のみが取り上げられ誤った解釈をされることがあります。ここでは、アジャイルを取り入れる前に知っておくべき誤解や失敗を紹介します。

低コストで実現する

アジャイル開発は、プロジェクトを迅速かつ効率的に進行させる方法として知られていますが、自動的に低コストで進められるわけではありません。この手法を効果的に運用するためには、プロジェクト参加者間での頻繁なコミュニケーションが必要です。参加者が持つ多様な視点や期待を調整するためのコミュニケーションコストの増大は、避けられない課題です。またアジャイルは変化に強いとされていますが、実際の運用はプロジェクトメンバーの能力や教育レベルに依存します。

また、迅速な開発サイクルに重点を置くと、技術的な適切さや製品の品質保持が犠牲になるリスクもあり、最終的にはプロジェクトのコストが増大する可能性があります。アジャイル開発を適用する際には、これらの費用対効果とリスクを熟考し、バランスよく進める必要があるのです。

計画の必要がない

アジャイル開発では、将来の課題や現在の問題に対する柔軟な対応が重視されるため、計画や開発資料が不要であるという誤解が生じることがあります。しかしプロジェクトを成功に導くためには、継続的な計画の見直しが不可欠です。アジャイルを採用する開発現場では、日々の計画変更を審議するために、頻繁にミーティングを実施し、現実的かつ達成可能な目標を設定します。

また、開発の進捗に応じて、実際の進捗と成果の計画を更新し続ける必要もあります。このようにアジャイル開発では計画しなくてよいわけではなく、むしろ柔軟で現実的な計画策定と見直しが鍵となります。

高品質にならない

アジャイル開発では、短期間のサイクルで製品をリリースし、ユーザーフィードバックを通じてニーズに迅速に対応することが特徴です。このプロセスにより、アジャイルによって開発されたプロダクトは迅速に完成しても、その結果として品質が低下すると誤解されがちです。

しかし、アジャイル開発が品質の低下を前提としているわけではありません。実際にアジャイルでは品質を確保するための手法を見直し、テストの自動化や無駄の排除などを行います。従ってアジャイル開発は単に「安くて早い」だけではなく、高品質な製品を最短でリリースしようとする手法です。

アジャイル開発の手法

アジャイル開発はプロダクトや組織、理念によって「スクラム」「エクストリーム・プログラミング(XP)」「ユーザー機能駆動開発(FDD)」などの手法が選択されます。

スクラム

スクラムは、アジャイル開発のアプローチの中で幅広く採用されている開発手法です。この手法はラグビーのスクラムになぞらえ、チーム全体に柔軟にタスクを割り当て、迅速かつ柔軟な開発を実現することを目指しています。スクラムの実践では、チームメンバー間の密接なコミュニケーションを通じて、短期間の開発サイクルを連続的に回していくことが求められます。効果的なスクラム運用には、チーム内の綿密なコミュニケーションが不可欠であり、その欠如はプロダクト開発の障害となり得ます。スクラムは透明性、柔軟性、および継続的な改善を重視し、アジャイル開発を成功させるための重要な枠組みとして機能します。

エクストリーム・プログラミング(XP)

エクストリーム・プログラミング(XP)も広範囲にわたり採用されています。これは「コミュニケーション」「シンプリシティ」「フィードバック」「勇気」「リスペクト」という5つの基本価値をもとにし、全体の作業を細かく区切り、開発プロジェクトが変更されることを前提に進める手法です。エクストリーム・プログラミングの特徴としてはペアプログラミング(1台のPCを2人で利用してプログラミングする手法)やテストファースト(テストプログラムを先に作成して、本プログラムを作成する手法)などの特定のルールに基づいて効率的な開発を行う点にあります。このためプログラマーを中心としたチーム構成が一般的であり、柔軟な技術力とともにチームワークが求められます。

ユーザー機能駆動開発(FDD)

ユーザー機能駆動開発(Feature-Driven Development, FDD)は、プロジェクト全体を通じてユーザーに提供する機能価値の最大化に重点を置いています。具体的には、動作するソフトウェアを定期的にリリースすることで、ビジネス価値を迅速に提供することを目指しています。ユーザー機能駆動開発ではプログラムの進捗を視覚化することで、ユーザーとのコミュニケーションが強化され、より柔軟な開発サイクルの実現が可能となります。

アジャイル開発のメリット・デメリット

アジャイル開発のメリット

  • 修正工数が少ない
    アジャイルでは小規模な開発サイクルによって開発が進行するため、大規模な計画の立て直しを未然に防ぎ、不具合発生時の修正工数が少なく済むのが利点です。対照的にウォーターフォール開発の場合、問題発生時の修正にかかる費用や時間が著しく増大する傾向があります。これに対し、アジャイルでは問題の早期発見と迅速な修正が可能となります。

  • 柔軟な仕様変更とフィードバック
    アジャイルでは、プロジェクトの計画段階で綿密な仕様やゴールを固定化せず、開発途中での変更や追加を柔軟に行います。これにより、ユーザーとの継続的なコミュニケーションを通じて得られるフィードバックに基づき、変化するユーザーの要求に迅速に対応することが可能となり、高いユーザー満足度を達成するプロダクト開発が実現します。

アジャイル開発のデメリット

  • 開発の方向性がブレやすい
    アジャイルの特性上、柔軟な仕様変更が可能であるため、改善や変更の繰り返しによって、初期計画からの逸脱やプロジェクトの方向性のブレが生じるリスクがあります。この不安定さのため、プロジェクトの長期的な展望を立てづらくなることがあります。

  • スケジュールと進捗の把握が難しい
    詳細な計画やスケジュールを設定せずに短期間の開発サイクルを重視するアジャイルでは、プロジェクト全体の進捗やスケジュールの把握が困難になりがちです。各チームが独立して進行することで、仕様変更などが多発した場合にプロジェクト全体のコントロールが難しくなるのです。このような状況は、プロジェクトの成果物の品質や納期に影響を与える恐れがあります。

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まとめ

アジャイルは、システムやソフトウェア開発の分野で広く採用される手法であり、頻繁なイテレーションを通じてプロジェクトを柔軟に進める特徴を有しています。この手法ではチームの共有理念や優先順位、目前の課題に基づいてプロダクトを開発し、リリース後のユーザーフィードバックを基に変更を行うことが可能です。アジャイル開発は、変化に迅速に対応しつつ高品質な製品を市場に提供することを可能にし、従来のウォーターフォール型の開発に比べてプロジェクト進捗を踏まえた計画設計を効率的に実現します。このため、アジャイル開発のメリット/デメリットを理解したうえでウォータフォールとアジャイルのどちらを採用するのかを判断することが重要です。

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