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投稿日:2024年04月08日 更新日:2024年09月18日
投稿日:2024年04月08日
更新日:2024年09月18日
機械学習とは?仕組みやディープラーニングとの違いを紹介
機械学習とは
機械学習は、大量のデータセットから潜在的なパターンや規則性を抽出する手法であり、人工知能技術の基礎を成しています。従来の統計的手法に基づく分析と比較して、機械学習は新たな洞察の発見や高度な予測精度を実現する可能性を秘めています。
機械学習の分析の仕組み
機械学習においては、コンピューターに膨大な量のデータを供給し、多種多様なアルゴリズムを適用してデータを解析します。そして、これらのアルゴリズムの反復的な適用を通じて、データの特性や規則性がより明らかにされます。使用するアルゴリズムは、分析対象のデータの特性や分析目的に応じて選ばれ、特定の課題に最適化されています。
例を挙げると、迷惑メールのフィルタリングでは、IPレピュテーション(IPアドレスの評判に基づいてスコアリングを行い、通信の許可、もしくは不許可を判断する仕組みのこと)やスパムメールに頻出するキーワードを識別するアルゴリズムが用いられ、迷惑メールと正規メールを区別しています。
機械学習とディープラーニング(深層学習)、統計学の違い
ディープラーニング(深層学習)と統計学は、機械学習の全体像をより深く理解するために有用な概念です。それぞれの重なるところや違うところを見ていきましょう。
ディープラーニングの特徴
ディープラーニングは、機械学習のうちの一手法、という関係にあります。従来の機械学習は人間がデータの特徴を手動で指定し、機械に学習させていました。このパターンの機械学習は現在でも存在します。
一方、ディープラーニングではニューラルネットワーク(人間の脳の働きを模した方法でデータを処理するようにコンピュータに教える人工知能の一手法)によりデータから自動的に特徴を抽出しています。結果として、人間がデータを指定する手間が削減されたのです。
統計学の特徴
統計学と機械学習は、両者ともにデータ分析とモデル構築を通じて理解を深める点で類似しています。これらの手法は、データからパターンや規則を探求し、未知のデータに対する予測を行う能力を有しています。
一方で両者の違いは、統計学が確率的なアプローチを用いてデータの説明可能性を重視するのに対し、機械学習はデータからの自動学習と予測精度の向上に主眼を置く点です。
また統計学では人間が事前に思いつく範囲での変数を用いたモデル構築が一般的ですが、機械学習では(特に上述のディープラーニングでは)人間の想像を超えるような変数からも高精度な予測モデルを構築することが可能です。なお、機械学習の中には、統計学的なパターンや規則の発見、予測モデル化といった要素を含まないものもあります(後述の「強化学習」の一部)。
機械学習の具体的な手法
機械学習には「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つの手法があり、それぞれ特徴や得意とする領域が異なります。
教師あり学習
教師あり学習は、人工知能に対してあらかじめ「正解データ」を与えて行う学習手法を指します。この方法では、入力データとそれに対応する正確なアウトプット(ラベル)を組み合わせて学習させることで、コンピューターが自動的に予測する能力を獲得します。
教師あり学習の主なタスクには「識別」と「回帰」が含まれます。「識別」では、たとえば迷惑メール検知ソフトのように、特定のキーワードや送信元データから「通常メール」か「迷惑メール」かを「識別」するのです。「回帰」は、ある変数を含んだモデル式によって数値の予測が行われます。例えば天気予報の降水量予測においては、過去の膨大な気象データから降水量を予測するモデル式が作られており、それに現在の気象データを当てはめて予測が行われます。教師あり学習の大きな特徴として、人間が事前に「質のよい」正解データを提供することで学習時間が短縮され、高い精度の予測が可能になる点が挙げられます。
教師なし学習
教師なし学習は、ラベル付けされていないデータセットからコンピューターが自律的にパターンや構造を発見する学習手法です。この方法では明確な目標出力データが存在せず、データセットの中の特性や関連性をコンピューターが自己学習によって探求します。2012年、Googleによる教師なし学習を用いたAIの開発で、インターネット上の画像や動画からわずか一週間で猫の認識能力を獲得した事例は、この分野の進歩を象徴する出来事として広く知られています。教師あり学習であれば、猫の画像はこれ、猫ではない画像はこれと、ラベル付けさせた状態でデータを読ませるところ、そうしたラベル付けをせずにただ大量の画像等を読ませただけ(教師なし学習)で、ある画像が猫かそうでないか見分ける能力を得られたのです。
教師なし学習の核心は、データ間の類似性や関連性を見つけ出し、それに基づいてデータをグルーピングするプロセスにあります。このプロセスを「クラスタリング手法」と称し、ネットショッピングのレコメンデーションシステムなどに応用されています。この手法により、顧客の居住地や購入価格、性別など共通点を基にグループ化することが可能です。教師あり学習の「回帰」は統計学においても一般的な予測手法であるのに対し、クラスタリングは未知の(想定外の)パターンを発見できる可能性があるという点が、統計学との違いと言えます。
強化学習
強化学習は、将来的な報酬を最大化する行動を学習する方法です。このアプローチは、囲碁プログラム「AlphaGo」が世界チャンピオンを破ったことで広く知られるようになりました。強化学習は教師なし学習と同様に、あらかじめ正解データが与えられない点が特徴的です。
しかし、行動に基づいて得られる報酬を最大化することを目指すという点で異なります。教師あり・なし学習と異なり、強化学習では初期段階でのデータセットが用意されていないため、システムは試行錯誤を重ねながら学習を進めます。この過程で、システムは望ましい出力に対して高い報酬を与え、そうでない出力に対しては低い報酬を与えることにより「良い行動」を識別し学習していきます。強化学習は株式取引のタイミングや競争的なゲームにおける戦略決定など、複雑な意思決定が必要な場面に応用されています。人間が予測困難なシナリオでも適応可能であるため、機械が人間の判断能力を超える可能性を持つ分野として注目されています。
機械学習の限界
このように、新たな洞察の発見や高い予測精度、その実現に要する時間や人手の節約といった点で画期的な機械学習ですが、万能ではありません。そもそも、統計的なモデルに基づく場合、示される予測結果はあくまでも「当たる確率が高い」予測であって、100%確実な予言ではありません。
さらに、与えるデータに誤りや偏りがあれば、たとえ高度なコンピュータでも出力されるモデルや予測値は妥当では無くなります。機械学習による予測や判定は、ともすると「人間のする判断よりも、私情が挟まれないから公平で正確だ」という期待を伴いがちですが、このような限界は考慮しておく必要があります。
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まとめ
ビジネス面での応用においてインパクトの大きい、機械学習技術について解説しました。機械学習の主要な特徴は、人間が入力データと求める出力結果を提供することにより、コンピューターが自動的にデータを分類・予測する能力にあります。従来のアプローチでは、正解を導き出すための特徴を手動で定義する必要がありましたが、ディープラーニングの進化により、コンピューター自身がこれらの特徴を独立して学習できるようになっています。しかし現段階では完全な精度を保証するものではなく、システム設計時にはこの限界を考慮することが欠かせません。このように機械学習技術は進歩しているものの、その応用には依然として慎重なアプローチが求められているのです。
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