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投稿日:2015年07月08日 更新日:2020年03月10日
投稿日:2015年07月08日
更新日:2020年03月10日
学びを成果につなげるためには? ―MBA志士4人からの助言
とてつもない変化の時代にあって、「学ぶ」ことはビジネスパーソンとしての必要条件だが、それは必ずしも「成果を出す」ための十分条件ではない。学びを大きな成果につなげるためには、プラスアルファの何が必要なのか――。グロービス経営大学院でMBAを取得した後、実践の場で大きな成果を上げたことが認められ、あすか会議2015においてアルムナイ・アワードを受賞した創造と変革の志士4人に聞いた。
JPMCアセットマネジメントの小野学氏
JPMCアセットマネジメント 代表取締役 兼 日本管理センター 執行役員
小野学 氏 (グロービス経営大学院2007期生)
<編集部解説>
丸紅から日本管理センターに転身。その後、担当する事業部を発展させて事業会社を設立、新たな不動産流通のスキーム創出に挑戦中。
「MBAで学んだ理屈や理論が、実践の場ですんなり適用できたことは一度もない」と小野氏は言う。「せっかくMBAを学んだのに!」と最初はショックを受けたが、次第に分かってきた。うまくいかないのが当たり前なのだ――と。ならば早く失敗してしまえ。1つの失敗に長く拘泥せず、さっさと打ち切る身軽さも必要だ。そのことに気づいた時、スピード感の次元が変わった。
今も学び続けている。グロービス経営大学院に在学中から10年間、毎日1冊の本を読むことを自分に課してきた。なぜ続けられるのか。「1日3回食べること、1日1回寝ること、朝起きた時と寝る前に歯を磨くことと同じように、生活の一部にしてしまえばいい」。学び続けるためには、それを意識しなくなるくらいの習慣化が必要だ。
i-plugの田中伸明CMO(左)、中野智哉CEO(中)、山田正洋CTO(右)
i-plug 代表取締役 CEO
中野智哉 氏 (グロービス経営大学院2010期生)
<編集部解説>
グロービス経営大学院に在学中、同期生の山田正洋氏が「起業の勉強会をしないか?」と中野氏に声をかけたのが全ての始まりだった。後に田中伸明氏が加わり、卒業後i-plugを創業。新卒に特化したダイレクトリクルーティングサービス「Offer Box」を展開し、急成長中。
なぜ起業できたのか、なぜ成功できたのか。その問いに対する中野氏の答えは極めてシンプル。「行動せよ」である。グロービスで学んでいた頃から、「やろうと思えば誰でも起業できる」と思っていた。だが実際には「誰でも」というわけではない。分かれ目は、ひとえに行動するか、しないか――である。
「志がいくら高くても、MBAの勉強をいくらやっても、頭の中にあるだけでは何の役にも立たない。実際に行動して試行錯誤する。動き回っているとネットワークが広がる。行動しなければ何の価値も生むことはできない」(中野氏)
学びと行動、この両輪を同時かつ最速で回せ。まずは最初の一歩から。
アルインコの小山勝弘氏
アルインコ 代表取締役社長
小山勝弘 氏 (グロービス経営大学院2009期生)
<編集部解説>
小山氏は、2010年、建設現場の足場製造をコアビジネスとするアルインコの代表取締役社長就任。リーマンショック後の回復と成長を牽引。2014年12月には東証2部から東証1部への指定変更を果たした。
宮城県気仙沼生まれ。父親はマグロ遠洋船の船乗りだった。命をかけた仕事である。幼少の頃から、明日は親の命がないかもしれないと生死を身近に感じる環境で生きてきた。
ビジネスや経営は、海の仕事に比べれば身体的な危険はない。だが、「志」や「情熱」は、「命」と同じ意味合いを持つのではないか。小山氏はそんなふうに言う。
命は瞬間の連続である。だから、志も今この瞬間に集中させる。
「人は生きてきた時間や経験によってではなく、今をどれくらい真剣に生きているかによって、その大きさや輝きが決まる」(小山氏)
命がけで取り組む。志を高く掲げる。そうすれば、自分が思い描く人生の道筋は拓けてくる。命と志はつながっている。
ワールド・モード・ホールディングスの加福真介氏
ワールド・モード・ホールディングス代表取締役
加福真介 氏 (グロービス経営大学院2012期生)
<編集部解説>
ファッション・コスメティック業界に特化したコンサルティング事業などを展開。組織変革を進め、新戦略を実行。全社一丸となって目標を達成する組織に導いた。
グロービス経営大学院で最初に受けた「クリティカル・シンキング」の講師から、頭の整理の仕方を学んだ。衝撃だった。「経営ノート」には加福氏が咀嚼した学びの記録がぎっしり詰まっている(写真)。
一方、別の講師からは「当事者意識」を叩き込まれた。ケースを読んで3Cや5Fで環境分析した時、「社員が増えた」と言ったら「増えたんじゃない!経営者であるあなたが増やしたんだ!」と厳しく突っ込まれた。全ては自分の責任の下で起きている現象なのだ、傍観者であるな、他責にするな、と。
社内だけではない。業界の風潮が悪いのであれば、業界そのものを変えるのがリーダーの仕事だ。制度が悪いのなら、制度を自ら変える方策を考えよ。リーダーが「環境がこうなっている」と言うのは言い訳だ。決してやってはいけない。
環境を分析して終わりにするな。見えてきた課題や脅威そのものを変えていくのはリーダーである自分自身なのだ。その意識改革が、加福氏を本物のリーダーに育てた。
左から田中伸明氏、山田正洋氏、中野智哉氏、小野学氏、小山勝弘氏、加福真介氏
◆2015 年 グロービス アルムナイ・アワード受賞者(敬称略)
創造部門:
株式会社JPMCアセットマネジメント 代表取締役 兼 日本管理センター株式会社 執行役員
小野学 (グロービス経営大学院2007期生)
株式会社i-plug
代表取締役 CEO 中野智哉 (グロービス経営大学院2010期生)
Co-Founder取締役 CTO 山田正洋 (グロービス経営大学院2010期生)
Co-Founder取締役 CMO 田中伸明 (グロービス経営大学院2010期生)
変革部門:
アルインコ株式会社
代表取締役社長 小山勝弘 (グロービス経営大学院2009期生)
ワールド・モード・ホールディングス株式会社
代表取締役 加福真介 (グロービス経営大学院2012期生)
「グロービス アルムナイ・アワード」は、ベンチャーの起業や新規事業の立ち上げなどの「創造」と、既存組織の再生といった「変革」を率いたビジネスリーダーを、グロービス経営大学院 (日本語MBA プログラムならびに英語MBA プログラム)、グロービスのオリジナルMBA プログラムGDBA(Graduate Diploma in Business Administration)、グロービス・レスターMBA ジョイントプログラムによる英国国立レスター大学MBA の卒業生の中から選出・授与するものです。選出にあたっては、創造や変革に寄与したか、その成功が社会価値の向上に資するものであるか、またそのリーダーが高い人間的魅力を備えているかといった点を重視しています。
創造部門で受賞した小野学氏は、丸紅株式会社で分譲マンション開発のプロジェクトマネージャ等に従事した後、日本管理センター株式会社に転じ、執行役員アセットマネジメント事業部長を経て現任。転職後は、「不動産オーナー」「投資家」「金融機関」の3者を地域横断的にマッチングするビジネスモデル「イーベスト」を新規事業として立ち上げました。事業のさらなる成長のために株式会社JPMCアセットマネジメントを起業し代表取締役に就任。全国47都道府県の中古マンション・アパートを借上げ、満室にする唯一の企業となり、地方・都市横断的な不動産流通のスキームを創り上げることにより、「地方創生」を不動産ビジネスの側面から支えています。
初のチームでの受賞となった株式会社i-plug(中野智哉氏、山田正洋氏、田中伸明氏)は、新卒に特化したダイレクトリクルーティングサービス「Offer Box」を展開。現在(4期目)を迎え、16年卒の学生登録数は1万8,000人を突破、企業利用数は900社に到達しています。i-plugのダイレクトリクルーティングシステムは、新卒採用に定着している「マス型母集団形成」を見直し、新卒者が早期離職するというミスマッチの問題解消につながる革新的な人材サービスであると評価され、第4回日本HRチャレンジ大賞の「イノベーション賞」も受賞しています。
変革部門で小山勝弘氏は、2010年、建設現場の足場製造をコアビジネスとする当時創業70年のアルインコ株式会社の代表取締役社長就任。就任当時、リーマンショックで売上利益とも大幅に落ち込んだ状態からスタートし、組織・事業変革を重ねています。就任当時290億円だった売上を現在420億円にまで伸ばし、利益も過去最高益を更新しています。2014年12月には東証2部から東証1部への指定変更も達成。建設現場、特に足場施工職人の安全や作業負担軽減の為に高性能の足場を開発し、市場に急速に浸透させたことは、安全第一の現場創造につながり、社会貢献度は非常に高いものです。
加福真介氏が代表取締役を務めるワールド・モード・ホールディングスはファッション・コスメティック業界に特化した、コンサルティング事業、広告およびプロモーション全般の事業、販売員採用及び育成の事業を展開しています。販売員の採用事業において先行する大手資本の競合他社を相手にシェアNo.1を実現した後、組織変革や事業の新戦略を策定、実行し、同社を全社一丸となってファッションクライアントの課題をトータルで解決する組織に導きました。年商は就任時の40億円から150億円へ売上成長を遂げ、現在は年商1,000億円を目標に事業に邁進しています。