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投稿日:2021年01月14日

投稿日:2021年01月14日

「“今”だからこそ考えたい『これからの生き方。』」 特別セミナーレポート

北野 唯我氏
作家/株式会社ワンキャリア 取締役

2020年11月、グロービス経営大学院は、参加者約600名の特別セミナーをオンラインで開催した。本記事では、その様子を一部ご紹介したい。

スピーカーは、株式会社ワンキャリアで取締役を務める、実業家でありビジネス書作家の北野唯我氏。2020年8月に出版された著書『これからの生き方。自分はこのままでいいのか? 問い直すときに読む本』(世界文化社)の内容も交えながら講演いただいた。

自身のキャリアを発展させるために大切なこと

グロービス経営大学院の教員である山岸園子との対談形式で行われた本セミナー。最初に山岸が問いかけたのは、博報堂、海外留学、ボストンコンサルティンググループを経てITベンチャー役員を務める北野氏の、キャリア選択時の判断軸について。幼少期から感受性が強く、子どもの頃に阪神・淡路大震災も経験した北野氏は、「死んだときに後悔したくない」という価値観を常に判断軸にしてきたという。

「優秀なビジネスパーソンの条件とは?」という参加者からの質問には、「努力ではなく工夫できる人」と即答。「工夫とは、目標があり、その達成のためにどうすべきか考えること。まだ成果が出ていないときは自分を疑ってしまいがちだが、日本の優れた文化資産のほとんどが鎖国時代にできているように、キャリアは鎖国と開国を繰り返して発展していくもの。自らが孤独になる時間を許すことが大切」と語った。

価値観を言語化するためには

では、自身のキャリアを考える上での軸となる「価値観」は、どのように言語化していけばいいのか。北野氏の回答は「記憶と記録を繰り返す」こと、そして「他者との衝突を恐れない」こと。

「僕は日々のルーティンが驚くほど多く、日記も高校時代から残している。記憶を形に残すことで主観が客観になり、価値観はシャープになっていく。また、他者とのぶつかり合いの中でしか磨かれない部分もある。衝突して傷ついて初めて、本当に大切な価値観を見出すことができる」

山岸が「価値観をクリアにすべき理由」を尋ねると、「クリアにしなくてもいいが、生き方が決まっていないと働き方も定まらない」と北野氏。「目指す生き方や志を一言で答えられる人もいるが、たいていは複数の価値観で構成されている。だから自分の価値観を分解して言語化することを推奨している」

また、「価値観」と「強み」の違いについては、「ナチュラルにできて誰かから感謝されやすいことが強み。そこに関係なく自分が大切にしたいものが価値観」と持論を語った。

自分のバランスシート(賃借対照表)を大きくするルーティンを持つ

新刊のタイトルにもなっている「これからの生き方」を自身に問うべきタイミング。それは「人生の節目」だと北野氏は言う。苦しいときこそ「本当の目的」や「本当に大切にしたいこと」、つまり価値観を問われる。そのタイミングで価値観を言語化しておくと、再び苦しい時期が来た際に脳内で検索しやすくなるという。

価値観を言語化し、生き方を定めた後は、「実現」へのプロセスを進むことになる。そこで重要なのは「自分のバランスシート(賃借対照表)を大きくするルーティンを持つこと」。ここでいうバランスシート(以下、BS)とは人的資産やナレッジなども含めた資産のこと。自分にとってのBSとは何かを考えた上で、実現に向けてBSが貯まっていく感覚を持てるルーティンを1日2〜3分でもいいから持つことが重要だと説いた。

「僕もまだ“現在進行形”で経営をしているし、まだまだ未熟者だと思っている。余計なプライドは捨てて初心を大事にしている。でももし今日の話の中でひとつでも学びを持ち帰っていただけるのであれば嬉しい」。セミナーの結びでそう謙虚に語った北野氏。事前審査型オンラインサロンの開設も話題となっているので、興味のある方はぜひチェックを。

北野 唯我氏

作家/株式会社ワンキャリア 取締役

兵庫県出身。就職氷河期に博報堂へ入社。ボストンコンサルティンググループを経て、2016年、ワンキャリアに参画。子会社代表などを経て、現在取締役として人事領域・戦略領域・広報クリエイティブ領域を統括。30歳のデビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)が20万部、『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)が12万部。最新作に同時発売の『分断を生むエジソン』(講談社)、『OPENNESS(オープネス) 職場の空気が結果を決める』(ダイヤモンド社)で、著者累計35万部。最新作に『これからの生き方。』(世界文化社)がある。1987年生。