グロービス・ライブラリー

  • マーケティング
  • イノベーション
  • リーダーシップ
  • あすか会議
  • 卒業生の活躍
  • イベント
  • 新型コロナ

2021年01月12日

2021年01月12日

第3部分科会A「危機的状況の中におけるリーダーシップ」レポート

モデレーター

岩佐 大輝 氏
株式会社GRA 代表取締役CEO
グロービス経営大学院 2012年卒業

パネリスト

武田 武士 氏
株式会社武田の笹かまぼこ 代表取締役社長
グロービス経営大学院 2019年卒業
野本 周作 氏
株式会社エー・ピーホールディングス 取締役 執行役員COO
グロービス経営大学院 2010年卒業
平川 大計 氏
有限会社平川食品工業 代表取締役
グロービス経営大学院 2018年卒業

※あさって会議とは

グロービス経営大学院の教育理念である「能力開発」「志」「人的ネットワーク」を育てる場を継続的に提供するために、オンラインで開催したビジネスカンファレンス。日本全国、世界各地から、各界で活躍する2,200名ものグロービス経営大学院の学生(在校生・卒業生)および教員が一堂に集い、心ゆくまで語り合い、次の行動への決意を固めました。

「あさって会議」という名前は、「未来(あす)に向かって一人ひとりが新たな一歩を踏み出す。その一歩がやがて大きなうねりとなり、さらに遠い日本・世界の未来(あさって)を創る。そんなカンファレンスにしたい」という想いから、学生有志の皆さん(学生企画委員)によって名付けられました。

大口取引先の倒産、東日本大震災、コロナウィルスなど、突然の外部環境の変化によってもたらされた経営危機。リーダーは、これらにどういう覚悟や想いでそれに立ち向かい、乗り越えてきたのか。本セッションでは、コロナと対峙した当時と今の状況、組織や社員に対する想いなどを語っていただいた。

コロナ禍でリーダーがくだした決断、取った行動

モデレーターを務める岩佐氏はまず、コロナによってもたらされた数々の問題に対して行った意思決定と行動について、パネリストに問いかけた。

業界に先駆け、全店一斉休業を決断した、居酒屋チェーン「塚田農場」。COOを務める野本氏は、当時をこう振り返る。

「4月2日から約2か月にわたり休業した。大切にしたのは、会社の理念だ。当社は六次産業の活性化を目指して生産者と直接つながり、良質な食材と料理を適正価格で提供することで、世の中に寄与している。こうした志を持つ企業が、売上を目的に店を開け、その結果、感染拡大を招くような事態は避けなければならないと思った」

東日本大震災の被災経験を持つ武田氏は、当時を踏まえ、以下のように言及した。

「3.11では多くの命が失われ、気持ちも大きく落ち込んだ。しかし、下がり切ってしまえばあとは回復するだけ、と頭を切り替えた。一方、コロナはいつ収束するのかわからない。先行き不透明で社員も不安を感じている。定期的にミーティングを設け、会社の現状や今後の対策を、数字を含めて共有することが大切だと考えている」

危機的状況のなかでの消費者との結びつき、メッセージの発し方

続いて、岩佐氏は、消費者との関係を構築するための取り組みに話題を移した。

一朝一夕では実現できない強固なファンづくりが大事、と話すのは平川氏だ。

「当社は消費者目線で、製品のレベルアップを重ね、リブランディングにも取り組んできた。こうした積み重ねが今になって生きている」

武田氏は、具体的な取り組みとして、EC販売の注力を挙げた。

「背景にはフードロスの観点があった。製品を廃棄・返品せず、『訳あり商品』『名産セット』として販売したところ、購入につながり、リピーターも獲得できた。消費者には、『助けてください』ではなく、『旅行気分を味わいませんか』『遊びに来れない友人に宮城の味を届けませんか』というメッセージを発信した」

コロナ禍だからこそ、得られたチャンス

決断と実行を繰り返してきた三氏。岩佐氏は、そのなかで見えてきた勝ち筋について尋ねた。

ピンチはチャンス、と言い切る野本氏は、大きく三つのチャンスをつかんだと話す。

「一つは、営業再開後に『久しぶりに来た』『名前だけは知っていた』というお客様の来店が増えたこと。これは、休業中もプレスリリースによる情報発信を続けたことが大きい。二つ目は、堅調なプライベート需要に着目し、宴会需要からの業態変更を進めている点。三つ目は、本社移転などをはじめとする聖域なくコストの圧縮が挙げられる。コロナは、構想はあったものの実行できなかったことを思い切り進められるチャンスになっている」

平川氏は、ピンチになるとアドレナリンが出る人ほど現状を変えられる、と持論を展開。

「世の中が危機的な状況にあれば、内部の意識も変わる。そこに対し、経営者や会社の強固な姿を見せると行動が変わる」

武田氏は仲間との連携による市場の創造を勝ち筋とし、自身の事例を披露した。

「グロービスの仲間とのつながりで2社とコラボレーションを進めている。地元企業との取り組みも始めた。そのうえで、当社もプレスリリースを都度配信し、メディアを介した話題作りを行っている。新しい市場を創ること、情報を発信し続けることが大切」

コロナは収束の兆しを見せず、災害不安も常に付きまとう。混沌のなか、リーダーシップをどう発揮し、生き抜いていくのか――。本セッションは、この問いに対する多くの示唆を得られる貴重な機会となった。

モデレーター

岩佐 大輝 氏

株式会社GRA 代表取締役CEO
グロービス経営大学院 2012年卒業

パネリスト

武田 武士 氏

株式会社武田の笹かまぼこ 代表取締役社長
グロービス経営大学院 2019年卒業

野本 周作 氏

株式会社エー・ピーホールディングス 取締役 執行役員COO
グロービス経営大学院 2010年卒業

平川 大計 氏

有限会社平川食品工業 代表取締役
グロービス経営大学院 2018年卒業