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【特集|withコロナの時代 変わるビジネス】必要とされる個人の能力

2020年05月02日

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吉田 素文 グロービス経営大学院 教員
嶋田 毅 グロービス電子出版発行人 兼 編集長、出版局 編集長
河村 有希絵 グロービス経営大学院 教員

withコロナ時代、ビジネスはどのように変わるのでしょうか。テーマごとにグロービス経営大学院の教員がオピニオンを紹介します。本記事のテーマは、個人のスキルです。

自己制御、情報処理、コミュニケーションの力を高め、更なる成長を実現する

筆者:吉田素文 (グロービス経営大学院 教員)


withコロナでは、これまで当たり前だった社会活動・組織のあり方、そして我々の働き方も根底的に変化する。職種によって程度の違いこそあれ、我々の仕事の多くは既に多くが情報の獲得処理、分析解釈、表現伝達に係わるものであり、その傾向は更に強まる。その中では、早急に以下のスキルを再点検、そして強化することが必要だ。


まずは「情報処理能力」。どのような範囲から有用で信頼できる情報を入手し、自身で妥当性を確認し、それらを分析・解釈し結論を素早く導くか。更に、一旦出した結論も積極的に疑い、継続的に進化・深化させられるかが重要だ。不確実性の高い世界では、こうした柔軟かつ強固な力こそ頼りになる。クリティカルシンキングの強化を基盤とし、自身の情報ソースの再検討と拡張、最新の情報処理ツールを使いこなせる力が重要だ。


次に「明確かつハートフルなコミュニケーション力」。テレワークでの会議やチャットでの会話、そしてメール等文章を用いたコミュニケーションにおいて、何をどう理解し、表現できるかが、より一層、個人の価値を決めるようになる。論理的で簡潔な表現力に加え、理解力、共感力、質問力といった、広義のファシリテーション能力の出番だ。


最後は、「セルフコントロール力と自己成長力」。個人として活動し、価値を生む状況が増え、大きな活動の自由度が生まれると同時に、その効果・効率には大きな違いが生じる。規律ある時間の使い方、感情や気分も含め自身の心的状態を適切に把握、制御し、自身の心と身体を適切に保つ基本動作が重要だ。それができれば時間的・心理的余裕が生まれる。それを新たな、より広い知識や能力の獲得に充て、新しいことを積極的に、素早く学び成長できるかが、最終的に大きな差となって現れる。


このようなスキルを意識的に高め、マルチタスクで効率的に、かつ柔軟で成長実感がある働き方への転換を、今こそ真剣に確立すべき時なのだ。

withコロナ時代を生きる3つの思考スキル

筆者:嶋田毅 (グロービス経営大学院 教員/グロービス電子出版発行人 兼 編集長、出版局 編集長)


withコロナの時代とは、これまで以上に不確実性の高い中でより適切な意思決定をしなくてはならない時代です。そうした時代に必要の能力や心構えをいくつか挙げてみました。


①シミュレーション力:これは将来に適切に備える力につながります。例えばこの4月現在であれば、いつコロナが収束に向かうかを数パターンシミュレーションし、それぞれの状況に応じた適切な打ち手を考える必要があるでしょう。いわゆるシナリオ・プランニングの手法も応用して、いくつかの「ありうる未来」を日常から構想する能力がより必要となってきます。


②メディアリテラシー:これは上記①の条件ともなってきますが、多種多様な情報が行きかうメディアの中からバランス良く適切な情報を取捨選択し、それらを自分の頭の中で整理・統合し、自分の考えの根拠とする力が必要になります。誰がどのようなポジションや思惑から語った話なのか、俗耳に馴染みやすい扇動的な言説(その極端なものは陰謀論)に乗せられていないかなど、「情報」についてより敏感になる必要があります。自分で考えずに他人の受け売りをするのは止めましょう。


③バイアスに敏感になる:どのような状況であっても人間はバイアス(『MBA心理戦術101』 )から逃れられないものですが、withコロナの時代には、そうしたバイアスがいつも以上に人々の思考に影響を与えることがあります。「正常性バイアス」「権威」「自信過剰」「確証バイアス」「楽観バイアス」などです。たとえば 「自信過剰」 についていえば、根拠はないのに自分だけはコロナウイルスで重症化したり死亡したりしないと思い込んでいる人はかなり多いはずです。実はこうしたパンデミックの状況は、バイアスに引きずられないことも含め、人間の理性が試されている場面ともいえるのです。

withコロナの時代に適応するために

筆者:河村有希絵 (グロービス経営大学院 教員)


コロナの前は安定してた?コロナ禍じゃなかったときは、居心地がよかった?


絵本作家の五味太郎さんからの問いかけです。


すでにVUCAの時代と言われて久しく、世の中は変化し続け、予測は困難になる一方。そもそも個人の人生というレベルでは、太古の昔から計画通りに生きることでさえ困難で、その困難さが増している世界、というのが実態ではないかと思います。今回は、それが新型コロナ感染症というかたちで世界的なレベルで顕在化しています。従来、変化が加速化する時代に必要だと言われてきたスキルは、大きくはコロナを経ても同じだと考えられるでしょう。究極、進化論で論じられているように、変化に対応する者が生き残るのです。


では、今回のコロナが、全部ではないにしても部分的には不可逆的な変化を生んでいるという前提としたときに、具体的にどのようなスキルをもって適応していけばよいのでしょうか。大きく3つのスキルを挙げたいと思います。


一つは、情報をもとに動く力。フェイクニュースに騙されるな、情報ソースに当たり一次情報を集めよ、とはよく言われているとおりですが、素早く広く、正確な情報を収集して、少し先を見通すことです。遠い未来を見通すのは相変わらず難しいとは言え、今回、例えば海外で何が起きているのか、人々はどう対応し、何に成功・失敗しつつあるのか、科学的にはどこまで分かっていて、何は未知か、それらを知ることによって、さほど遠くない未来のために自分の備えるべきこと、攻めるべきことが自ずと明らかになることが多くあったのではないでしょうか。そして、単なる正確な情報収集力にとどまらず、急激な変化に対応するために小さな意思決定を積み重ね、動き、試行錯誤することが、生き残っていくことにつながります。


二つ目は、切り替える力。オンラインが急激に増えました。在宅も増えました。一方でこの難局を乗り切るために最前線で働く方は働き詰め。プライベートと仕事、遊びと学習、自分と他者との境目があいまいになっています。そこからストレスにつぶされそうになったり、結果的に時間を浪費してしまうこともあるでしょう。意思をもって切り替える、集中する、あるいはそう出来る環境を自分で作っていく力が必要になってくると思います。


最後に三つ目、想像する力。他者の立場や気持ちを知る場面と余裕が制限されています。外出や集会は、いずれ物理的には可能になるでしょうが、ここで生まれた恐怖と自衛本能が分断を助長する危険性が叫ばれています。社会が変化に適応していくために多様性が貢献することはもはや自明であったはずです。今まで経験のない環境下で、自分はどのような人たちに、どのような貢献が出来るのか――そこを想像する力があるかないかはビジネスの成否を直接的に左右するでしょう。


今は難局にありますが、物理的には難しくとも意図的につながり、情報を交換し、想像し、動き、力を合わせて乗り切りたいものです。

吉田 素文グロービス経営大学院 教員

立教大学大学院文学研究科教育学専攻修士課程修了。ロンドン・ビジネススクールSEP(Senior Executive Program)修了。大手私鉄会社を経て現職。グロービスでは、ケースメソッド等インタラクティブな経営教育の方法論を専門とし、多数の質の高い講師・クラスを創出。論理思考・問題解決・コミュニケーション・経営戦略・リーダーシップ・アカウンティング・組織論等の経営の広範な領域においてのコンセプト・プログラム・コンテンツ開発多数。グロービス経営大学院での講義の他、企業での経営者育成、シニアマネジメント向けプログラムの設計、および企業の実際の戦略・組織課題を扱うセッションの講師を多数務める。著書に『ファシリテーションの教科書』(東洋経済新報社)がある。

嶋田 毅グロービス電子出版発行人 兼 編集長、出版局 編集長

東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。

グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

河村 有希絵グロービス経営大学院 教員

東京大学法学部卒業、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了。

大学卒業後、ボストンコンサルティンググループにて17年間、様々なマネジメントコンサルティング業務に携わる。この間、内閣官房国際広報室に国際広報戦略アドバイザーとして出向、風評被害対策などを担当。

その後、株式会社チェンジウェーブに共同代表として参画し、企業の変革サポートと変革リーダーの育成に取り組む。

2015年 株式会社コギト・エデュケーション・アンド・マネジメント設立、マネジメントコンサルティング及び教育事業に従事。2017年より、三菱鉛筆株式会社 顧問を務める。

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