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ディズニーランドのファストパス、公式アプリで取得可能に……顧客の行動データ獲得を巡る工夫とは

2019年08月02日

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大島 一樹 書籍・GLOBIS知見録編集部 研究員

7月23日から、東京ディズニーランド/ディズニーシーで「ファストパス」が公式アプリで取得できるようになりました。


ご存知の方も多いと思いますが、ファストパスとは人気のアトラクションについて、入場時間が指定される代わりに行列に並ばず優先的に入れる整理券のことです。


これまではアトラクション付近にファストパス発券機があり、そこでしか券は取れませんでしたので、混雑時には「ファストパスを取るための行列」や「朝イチで入園後発券機までダッシュ」といった光景が見られました。それが、アプリを予めインストールしてアカウントを作っておけば、パーク内のどこからでもファストパスを取得できるようになったのです。指定時間を気にして走り回る必要がなくなり、パレードを見ながらファストパスを取得するといったことも可能となり、より効率的にパーク内を周ることができるようになります。


ここまで読んで公式アプリという言葉に、「おや?」と思った人もいるかもしれません。そう、実はつい昨年、東京ディズニーリゾートの公式アプリがリリースされているのです。このアプリは、チケットやグッズの購入だけでなく、パーク内の位置情報やアトラクションの待ち時間が表示されたり、ショーの抽選やレストランの予約ができたりと多彩な機能がありましたが、今回いよいよファストパスの発券という新機能が追加されたというわけです。

こうした施策の目的としては、もちろん利用客の利便性向上が挙げられますが、必ずしもそれだけではありません。背景には、顧客の行動データが大きな価値を持っているということがあります。


行動データとは移動や購買など、ある人が実際に行った行動を反映したデータのことを指します。公式アプリを使う人は、メールアドレスや氏名などの個人情報を登録してアカウントを作っています。その人がさまざまな場面でアプリを操作することで、いつ入園し、どの順序でアトラクションを回り、その際どのタイミングでファストパスを取得し、そして食事をし、お土産を買い、退園したかといった行動のデータが取れるのです。パーク内の位置情報を見たい人がGPS機能をオンにしていれば、パーク内のどこにどの時点でいたかについてもデータが残ります。


このようにして取得したデータを解析することで、混雑の緩和や平準化、イベントやアトラクションの追加・新設などに活用できることは想像に難くありません。アプリのプッシュ通知を用い、その人の遊び方の傾向や好みに合わせた広告表示、クーポンの配布などもできそうです。

最近、残念ながら大規模なトラブルで有名になってしまいましたが、セブン-イレブンジャパンの「7pay」やファミリーマートの「ファミペイ」といったコンビニ各社のコード決済サービスにも、こうした行動データ取得という目的があります。


つまり、コード決済を利用するには、あらかじめ専用アプリに個人情報を登録する必要がありますので、そのアプリを使ってもらうことで個人情報と紐付いた行動データが集められるのです。顧客属性と購買行動を結びつけるだけであれば、かねてからコンビニ各社ではPOSシステムが有名でした。


また、近年は「nanaco」や「Tカード」といった電子マネーが使えるカードも普及してきていました。それでも、スマホアプリを通じたデータ取得の方が、個人の属性と結びつける精度が高い(レジでのPOSデータの時代は、店員が見た目で判断して入力していました)、個人の履歴を辿れる、クーポン配布など店側からのプッシュに対する反応が得られる、購買以外の行動を取れる可能性が広がっている等の理由から有効だとの判断があったのでしょう。


スマホアプリ、通信環境、ビッグデータ解析等、テクノロジーの進化によって、ビジネスでできることがかつてないほど多彩に広がっています。顧客の行動データをできるだけ取得しようとするあの手この手の施策は、その分かりやすい一例です。一方ではプライバシーに関わる情報をどこまで守るかという問題もありますが、この傾向はまだまだ続きそうです。


【参考図書】
『テクノベートMBA 基本キーワード70』
グロービス、嶋田 毅 (著)、PHP研究所
1620円

大島 一樹書籍・GLOBIS知見録編集部 研究員

東京大学法学部卒業後、金融機関を経てグロービスへ入社し、思考系科目の教材開発、講師などに従事。現在は書籍・GLOBIS知見録編集部にて企画、執筆、編集を担当するとともに、「グロービス学び放題」のコンテンツ開発を行う。共著書に『MBA定量分析と意思決定』、『改訂3版 グロービスMBAクリティカル・シンキング』(以上ダイヤモンド社)など。

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