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投稿日:2019年05月23日

投稿日:2019年05月23日

みんなが当たり前のようにAIを理解し、使いこなす時代を目指して――グロービス公認クラブ「人工知能研究会」 幹事インタビュー

クラブ活動
人工知能研究会 活動レポート

グロービスの学生が、共通の目的や問題意識を持つ仲間と自主的に取り組むクラブ活動の活動事例紹介。

グロービス経営大学院の公認クラブのひとつである「人工知能研究会」。AI(人工知能)の技術や、それを活用したビジネスモデルを研究し、各自の創造と変革へとつなげることが活動の目的だ。すでにAIに代替される職業が出始めているなど、目覚ましい進化を遂げている分野だけに、動向を逐一把握しているという経営者やリーダーは多いだろう。

クラブの発足は2017年5月。2018年12月の取材時には横山慶一氏、現在は平澤崇氏が代表幹事を務めており、Facebookグループのメンバーは1,700名(2019年4月現在)にのぼる。イベントで校内の教室を利用する頻度は、50ほどある公認クラブの中で最も高く、外部の有識者を招いた大規模講演から少人数の勉強会まで各種イベントを積極的に実施していることが特徴だ。

AIは今後の社会を大きく変えうる重要な要素でありながら、専門性が高いゆえに敬遠されがちという側面もある。その点、人工知能研究会で開催されるイベントは初心者向けのものも多く、「構えずに気軽に参加してほしい」と横山氏は言う。

そこで今回は、幹事3名へのインタビューに加えて、2018年12月14日に開催された講演イベントの様子をレポートする。これからAIを学びたいと考えている方は、ぜひ本記事をクラブ参加への足がかりにしてほしい。

(左から、渡部氏・横山氏・伊達氏・平澤氏)

AIを知ることは、これからの世の中がどう変わるかを知ること

人工知能研究会の創設者は、卒業生であり株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所代表取締役の荒瀬光宏氏。クラブ発足のきっかけを荒瀬氏はこう語る。

「デジタルテクノロジーやIoTで世の中が大きく変わろうとしている今、何十年も前の経営学だけをひたすら勉強していても意味がない。過去のケースを学ぶことも大事ですが、我々が活動するのは未来ですから。せっかくビジネススクールで学ぶなら、これからの世の中がどう変わっていくかを見極めながら自身の活動に活かすことが大切。それがひいては日本の競争力向上につながっていくのだと思います。そう考えたときに、中でも一番重要で知っておく必要があるテクノロジーはAIかなと思いました。」

(創設者の荒瀬氏)

「人工知能研究会を立ち上げてみようかと思っているのだけれど・・・」と、当時のセクション(同じ年度に入学した学生を1グループ40名程度に分ける制度。学生によりセクションごとの理念が創られ、それに基づき自主運営されている)のメンバーに持ちかけたところ、思いのほか好反応で荒瀬氏の思いつきはそのままトントン拍子で形になった。そのときのメンバーの一人が、現在も幹事を務めている卒業生の伊達貴徳氏。横山氏はもともと一参加者だったが、中心的存在として参加し続け、荒瀬氏が卒業するタイミングで2代目代表幹事となった。

クラブメンバーの参加理由はさまざまだ。AIそのものをビジネスにしている人もいれば、自身の領域に活かすために知識を得たいという人もいる。そのため参加者の関心に合わせて多様なテーマでイベントを行っているという。

「AIは重要なテクノロジーですが、それ自体は手段であり目的ではありません。企業の提供する価値のあるべき姿が描かれていて、それを実現する戦略や戦術の中の一要素にすぎません。ですからAIを知ったうえで、どの市場のどのような課題に対してAIでソリューションを提供するのかということに着眼する必要があります。そのため私たちは、「〇〇×AI」などの組み合わせをテーマにした分科会を開催する一方、ほかのクラブと合同でイベントをすることも多いです。グロービス・アントレプレナーズ・クラブ、グロービス農業ビジネスの会、グロービス製薬ビジネスの会、価値観共有クラブとのコラボレーションも実施してきました。幹事以外のメンバーが率先して企画し開催するケースもありますね」と荒瀬氏。「人工知能研究会が目指すゴールは、この研究会が不要になること。つまりみんなが当たり前のようにAIを理解し、使いこなす時代が到来することです」

エンジニア出身の伊達氏は、実際にプログラミングを体験するハンズオンも過去10回ほど行っている。

「AIを体験してみたいという声がきっかけで始めました。プログラミング初心者でも簡単にできるような内容にしているため、とても喜んでもらえています。まずはどんな形でもいいのでアウトプットすることが大事だと思います。東京校だけでなく全国のキャンパスでも開催しました」

クラブ活動への参加を通じて、デジタルテクノロジーをリードする側へ

発足から2年近くが経ち、クラブのあり方に変化はあったのだろうか。

普段はAI活用のコンサルティングに従事し、クラブのイベントで登壇することも多い横山氏は、次のように述べた。「知識がないと夢だけが広がりがちなAIですが、参加者から『AIにできることとできないことがわかってきた』と言われることが増えました。AI関連の事業を考えている人から相談を受けることもよくあります。みなさんの活動に少しでも役立てていると思うと、幹事をやってよかったと感じますね」

(2代目代表幹事:横山氏)

クラブ運営の秘訣について尋ねると、「自分たちがやりたいことをやっているだけ」と横山氏。「何か知りたいことがあったときは、人工知能研究会の名前で有識者にオファーをしてイベントに登壇してもらいます。登壇いただく方にとっても、参加者とのつながりができるなどメリットがありますので、win-winの関係を実現できています」

このコメントには荒瀬氏も共感。「誰か著名な人の話を聞きたいと思ったとき、私はFacebookからアプローチすることが多いのですが、私個人の名前よりも人工知能研究会の名前を出した方が興味を持ってもらいやすいですね。『1,700人のメンバーが所属し、AIについて勉強している』『ぜひお話をお聞きしたい』と心を込めてメッセージを送ります」

クラブ運営を「ほとんど趣味」と発言する伊達氏は、イベントを企画するようになって視野が広がったという。「グロービスでは普段、『学生』の立場ですが、自分でイベントを企画することで『教員』の立場も徐々に理解できるようになりました。事前準備に丸一日かかることもあり、大変さも痛感(笑)。ただ、教えることで逆に教わることも多くあります。またAIに興味を持った方が、自身の事業や業務でAIを活用したり、私やみなさんの知見やネットワークが広がったりと、いいかたちでAIのビジネスに繋がっていることを実感します。」

(幹事:伊達氏)

義務感ではなく、純粋な探究心でクラブ運営に携わっている幹事3名。最後に人工知能研究会の参加を検討している方に向けて、メッセージをいただいた。

「みなさんのニーズに合わせた研究会にしていきたいと思っています。AIはもちろん、テクノロジー全般で何かわからないことややりたいことがあれば、ぜひ声をかけてください」と横山氏。

「一部、中級者向けのイベントもありますが、8割以上のイベントは初心者の方でも気負わず参加できる内容です。入門編のイベントも増やしていきますので、初めての方も気軽に参加してほしいですね」と伊達氏。

最後に荒瀬氏は、グロービスの学生への期待を込めて次のように締めくくった。「これから第4次産業革命で世の中が大きく変わり、マシンやロボットはこれまで人間がやっていたさまざまな仕事を代替するようになっていきます。一方で人間には創造力やデジタルリテラシー、リーダーシップが今まで以上に求められるようになってきます。グロービスで学ぶからには、自らデジタルテクノロジーをリードする側になってほしい。人工知能研究会がそのきっかけになれば嬉しいです」

(※肩書きはインタビュー当時のものです)

「人工知能研究会」が主催する講演イベントのレポートはこちら

「人工知能研究会」とは

人工知能(AI)を中心としたデジタルテクノロジーによる創造と変革への適用事例、スタートアップ事例などの研究を通じて、新しい時代におけるAIの活用と成功の条件を学びつつ、会員相互のネットワークを図るクラブ。分科会活動やイベントを開催し、人工知能関連の他団体との交流を含めた活発なネットワーキングにも力を入れています。

クラブ活動とは

社会の「創造と変革」に貢献することをテーマに掲げ、グロービスの学生が自主的に取り組む活動です。共通の目的や問題意識を持った同志が集い、それぞれのクラブが多彩なテーマで独自の活動を展開しています。学年の枠を超えて、在校生と卒業生が知識や経験を共有し合うクラブ活動は、志を実現につなげるための場として、大きな意味を持つものとなっています。

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