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青年海外協力隊・綿貫大地氏の決意「必ずアフリカにプロフェッショナルとして戻ってくる」――グロービス公認クラブ「アフリカ部」 イベントレポート①

2019年05月17日

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クラブ活動 グロービスアフリカ部 活動レポート

グロービスの学生が、共通の目的や問題意識を持つ仲間と自主的に取り組むクラブ活動の活動事例紹介。

前回のインタビューに続き、先日行われたグロービス経営大学院 公認クラブ活動「アフリカ部」が主催する講演イベントの内容をお届けします。

一時帰国中の青年海外協力隊員・綿貫氏による講演イベント

今回の登壇者である綿貫大地氏は、大学時代にザンビアでボランティア活動した経験を持ち、現在は青年海外協力隊員として西アフリカのベナン共和国に赴任している。もともと北住氏が彼のブログなどに注目しており、クラブメンバーの紹介を通じて、今回の一時帰国のタイミングで講演会の開催が実現した。

冒頭の挨拶で北住氏は、「ただ話を聞くだけでなく、質問があれば随時してほしい。これは!』と感じたことや『モアモヤしたこと』など何でもいいので持ち帰っていただき、後日フェイスブックなどでぜひ共有してほしい」と言及。そのコメント通り、質問や会話が飛び交う和やかな雰囲気の会となった。


参加者のバックグラウンドはさまざま。「現地視察でアフリカに訪問した」というAfriMedicoのメンバーやこれから西アフリカで事業を行う予定の起業家、アフリカの雑貨や美術品を扱う会社に勤めている人など、すでにアフリカに関わりのある人もいれば、「高い志を持っている人の話を聞きたい」「こういう機会がないとアフリカと関われない」「人生に迷っているので打開するきっかけをつかみたい」といった参加理由の人も。仙台校の学生からのオンライン参加もあった。


2日前に日本に戻ってきたばかりという綿貫氏。自身のこれまでの経歴から青年海外協力隊に入った経緯、ベナンでの活動内容などについて、約2時間にわたり講演が行われた。

大学を休学し、ボランティアスタッフとしてザンビアへ

以前から国際協力、なかでもアフリカに興味があったという綿貫氏。大学を休学し、NPOのプログラムを通じてザンビアでボランティア活動に参加した。最初の半年間はアメリカでボランティア活動のためのファンドレイジングに従事。次の半年間はザンビアに滞在し、衛生管理やHIVに関する知識を現地の小学校に普及する活動を行った。自ら希望し、中学校の数学教師も務めていたという。


 その中で強く感じたのが「無力感」と「援助に対する疑問」であったと、綿貫氏は言う。

「アフリカの役に立ちたいと思って半年間滞在しましたが、スキルも経験もなかった大学生の僕は、結局現地の人に助けられっぱなしでした。それでもボランティアの世界では、援助する側とされる側の間に力関係が生じる。そこに疑問を感じながら活動していた半年間でしたね」


帰国して日本の大学を卒業後、イギリスのサセックス大学の大学院に進学した綿貫氏。イギリス発祥の学問である開発学を専攻し、修士号を取得した。


開発学とは、国における開発課題を研究する学問。クラスメイトには国連を志望する人や、JICAやNGOなどの国際機関に勤めている人、発展途上国の官僚などが多かったそう。経済学・政治学・社会学・文化人類学・医学などのあらゆる観点から、さまざまな事例を研究することに重きが置かれており、「法則より多様性を重視する学問」だと綿貫氏は言う。


「国際開発や国際支援において正解はありません。現地のニーズにそぐわない商品をつくってしまうなど、一歩間違えばネガティブなインパクトを与えることもあり得ます。その可能性を常に自問自答しながらも、自分の信念を持って現地に関わる。そこが難しいところだと感じています」


このコメントには北住氏も共感。「ビジネスも同じ。正義というものはなくて、自分がどのポジションを取ってやっていくか。そのポジションすら常に疑いながら進めていく必要があると、私もいつも思っています」と発言した。


イギリスの大学院は1年間。その中で論文を書いて就活もしなければならず過酷だったが、約50ヶ国もの学生が集まる学部ならではの楽しさもあったという。「いろいろな価値観に触れられましたし、各国とのコネクションもできました」

三菱ふそうトラック・バスでの成長、そして転職

綿貫氏が大学院修了後に目指した道はJICA。選考では残り30人に残ることができたものの内定にはいたらず、非常に悔しい思いをしたという。最終的には、内定をもらった三菱ふそうトラック・バスに入社を決めた。


配属先の物流部では、海外から部品を輸入する際の進捗管理やコスト削減を担当。最初のうちは思うように仕事を進められず、朝から晩まで働きづめの毎日だったが、少しずつ努力が報われ始め、3年経った頃には幹部候補生としてドイツや中国で研修を受けるまでに成長できた。


しかしちょうどその頃、突然ある不安が綿貫氏を襲ったという。

「大学時代にザンビアにいたとき、『必ずアフリカにプロフェッショナルとして戻ってこよう』と誓って、それ以来ずっと夢ノートを書き続けていました。あるときそれを眺めていたら、『俺はアフリカに近づけているのか?』という不安が突然湧いてきたんです。今の会社でマネージャーくらいの立場になってから再びアフリカを目指そうと思っていたけど、たとえこの会社でプロフェッショナルになったとしても、果たしてアフリカに近づけるのだろうか…と」


そこで綿貫氏は、以前から尊敬していた実業家・杉村太郎氏が設立したキャリアデザインスクール「我究館(がきゅうかん)」に通い始める。自らの人生を振り返り、強み・弱みを明確にしたうえで、自分の人生において大切にしたい価値を洗い出していく。その過程で改めて認識した自身の志は、「アフリカにビジネスで貢献する」ことだった。


その頃、綿貫氏は20代後半。1日でも早くアフリカに直結する場所に身を置くべく、アフリカ駐在ポストのある企業を中心に転職活動を開始した。

新たに湧き起こった「起業」への思い

転職先に決めたのは、洗剤や消毒剤を製造している大阪の化学メーカー・サラヤ。社会貢献や環境事業に注力しており、2011年にはアフリカに進出していた。当時のアフリカ代表のフェイスブックをたまたま見つけた綿貫氏は、さっそく「働かせてほしい」というメッセージを送信。すると「ちょうど日本から人材が配置されたばかりのため、まずは日本の本社に勤務してみてはどうか」という話になった。


最初は国際物流部に配属され、2年目にアフリカ事業を行う海外事業部へ異動。3年目には自社初の中南米拠点・メキシコ販社の立ち上げという大役を担った綿貫氏。転職して間もない頃、将来アフリカで現地法人を任されるためにはマネジメントやマーケティングの知識が必要だと感じ、グロービス経営大学院に単科生として1年間通った経験もあった。3年でさまざまなノウハウを身につけ、ひと回りもふた回りも成長した綿貫氏だったが、その一方で「アフリカへ行く」という目標になかなか近づけない焦りを再び感じ始めることになる。


「グロービスに通う中で『起業したい』という思いも芽生えてきました。グロービスの学生は能力も高いですが人間性も素晴らしく、そういう人たちと一緒に会社ができれば、すべてのステークホルダーにポジティブな影響や利益を与えられるのではないかと思ったのです。そんな会社を僕が自らつくりたいと思うようになりました」


サラヤの退職と、アフリカでの起業を視野に入れ始めた綿貫氏だったが、ビジネスモデルを具体的に構築するためにはまず市場のニーズを知らなければならない。ビジネスのキーパーソンとなる現地人とのコネクションも重要だ。さらには現地ならではの商習慣も理解しておく必要があるだろう。


それを叶える手段として綿貫氏が選んだのが青年海外協力隊だった。ボランティアに無力感と疑問を感じた若き日の自分はもういない。2社での勤務を通じてさまざまな経験を積んだ今の自分なら、きっと何かを成し遂げられる。そしてアフリカでの起業に向けて大きな一歩を踏み出せる。そう確信しての決断だった。


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アフリカ部とは

アフリカを起点に社会的課題の考察や、途上国のビジネス開発などの勉強会を継続的に実施し、グローバルな視点や、より深い示唆を得る機会を創出するクラブ。在校生・卒業生約250名(2019年1月時点)が在籍し、アフリカに関わる起業家やNPO法人関係者を招いた勉強会、アフリカビジネスのケーススタディ(事例研究)、意見交換会などの活動を行っています。

クラブ活動とは

社会の「創造と変革」に貢献することをテーマに掲げ、グロービスの学生が自主的に取り組む活動です。共通の目的や問題意識を持った同志が集い、それぞれのクラブが多彩なテーマで独自の活動を展開しています。学年の枠を超えて、在校生と卒業生が知識や経験を共有し合うクラブ活動は、志を実現につなげるための場として、大きな意味を持つものとなっています。


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