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「知・情・意」の観点から仕事とキャリアを眺めよう

2019年01月04日

  • 組織行動
  • 思考
  • 実践的
  • キャリア
村山 昇 キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

哲学者カントは、人間の精神のはたらきとして「知・情・意」の3つを考えました。彼は「私は何を知りうるか|私は何を望んでよいか|私は何をなすべきか」との有名な問いを示し、人間の知性・感情・意志を吟味検討しました。知・情・意を現代的に概括すると次のようになるでしょうか。


〈知〉
・知性に関わる心のはたらき
・賢さ、分析、理論
・真や利の価値を目指す
・アタマ/手/足で行う
・科学、技術・エンジニアリングの世界


〈情〉
・感情に関わる心のはたらき
・優しさ、感性、美意識
・美や快の価値を目指す
・胸で感じる
・芸術、デザインの世界


〈意〉
・意志に関わる心のはたらき
・正しさ、洞察、内省、観
・善の価値を目指す
・肚で観ずる
・倫理、哲学、宗教の世界

仕事をする上でも、キャリアをつくっていく上でも、この「知・情・意」3つの要素はとても大事です。「知」だけに偏る仕事は無味乾燥になり、人びとの共感を得ることができません。「情」だけに走ってしまうと、あらぬ方向に逸脱する危険性があります。また「意」だけに凝り固まると、柔軟さや寛容さを欠くことになります。

夏目漱石が書いた『草枕』の有名な冒頭の一節―――

智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。

も、実は、この知・情・意について、どれか1つに偏らないことが人生において大事だぞと教えてくれているものです。

「VUCA(ブーカ)」の時代と言われるようになりました。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)が増す時代にあって、商品・サービスづくりも、個人のキャリアも、単調な一本槍ではうまく状況が打開できなくなっています。


大事なのは、自分を豊かにふくらませて、3つの方向から物事を考え、感じ、行動していくことです。そうすることで、より深い知・より深い情・より深い意の次元に下りていくことができます。

母親が我が子に対し「賢い子・優しい子・正しい子」になるように願うのと同じく、仕事人としての私たちも「賢い仕事・優しい仕事・正しい仕事」を生み出したいものです。新しい年をスタートするにあたって、知・情・意の観点から自分の仕事・キャリアを俯瞰してみてはどうでしょうか。

村山 昇キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。

『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)をはじめ、管理職研修、キャリア開発研修、思考技術研修などの分野で企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

GCC(グロービス・キャリア・クラブ)主催セミナーにて登壇も多数。


1986年慶應義塾大学・経済学部卒業。プラス、日経BP社、ベネッセコーポレーション、NTTデータを経て、03年独立。94-95年イリノイ工科大学大学院「Institute of Design」(米・シカゴ)研究員、07年一橋大学大学院・商学研究科にて経営学修士(MBA)取得。


著書に、『キレの思考・コクの思考』(東洋経済新報社)、『プロセスにこそ価値がある』(メディアファクトリー)、『個と組織を強くする部課長の対話力』『いい仕事ができる人の考え方』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

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