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投稿日:2025年08月27日
投稿日:2025年08月27日
データサイエンスとは?〜身近な事例から解説
- 吉峰史佳
- グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
現代社会では、スマートフォンやSNS、ECサイトの利用履歴から、製造現場のセンサーデータまで、あらゆるものがデータとして日々大量に生み出されています。これらをただ眺めるだけでなく、ビジネスをはじめ医療、行政、スポーツなどの意思決定や新たな価値創造に活用する鍵となるのが「データサイエンス」です。
この記事では、データサイエンスとは何か、その具体的な活用事例や企業にもたらすメリットについて、ビジネスパーソンが知っておくべきポイントを簡単に解説します。
データサイエンスとは
データサイエンスとは、統計学、情報科学、人工知能といった複数の学術分野の知識を横断的に活用し、データから新たな知見や価値を導き出す学問・技術分野のことです。
ビジネスでの活用を例にとれば、単にデータを分析するだけでなく、ビジネス上の課題を解決するための洞察を得ることが目的となります。データサイエンスの力は、企業の意思決定をより客観的で効果的なものに変えていきます。
データサイエンスと統計学の違い
統計学は、データを整理・分析し、事象の規則性や傾向を明らかにする学問です。
一方、データサイエンスは統計学に加え、機械学習やAIなどの先端技術を組み合わせ、より幅広い課題解決や意思決定支援に応用される、実践的なアプローチといえます。
データサイエンスの活用シーン
データサイエンスは、私たちの身近な例から、社会を支えるインフラまで、さまざまな分野で活用され、ビジネスに革新をもたらしています。具体的な活用例をいくつか見ていきましょう。
活用例①ECサイトにおけるパーソナライズされた体験
ECサイトのパーソナライズされた商品レコメンド機能は、データサイエンスの代表的な活用例です。
ユーザーの購買履歴や閲覧履歴、さらには性別、年齢、所在地といった多様なデータを分析し、一人ひとりの好みに合わせた商品を提案します。
これにより、ユーザーは新しい商品との出会いを楽しめ、企業側は売上の向上と顧客満足度の向上に繋げることができます。この技術は、顧客との関係を深める上で不可欠なものとなっています。
活用例②製造業における需要予測と在庫管理
製造業における需要予測と在庫管理の最適化も重要な活用例です。
過去の販売データや外部要因(季節、天気、キャンペーン情報など)を分析することで、将来の需要を正確に予測することが可能になります。
これにより、生産計画を最適化し、過剰在庫によるコスト増や、在庫不足による機会損失を最小限に抑えることができます。サプライチェーン全体を効率化する上で、データサイエンスは欠かせないツールです。
活用例③ビジネス分野における売上予測や顧客分析
企業では、顧客データや市場データを分析することで、売上予測やマーケティング戦略の最適化にデータサイエンスが活用されています。
例えば、購買履歴やウェブサイトの行動データ、SNSでの反応などをAIで解析することで、顧客のニーズを予測し、最適なプロモーションや商品提案を行うことが可能です。
これにより、企業は売上向上や顧客満足度の向上を実現でき、データに基づく意思決定が経営の成長を支える重要な手段となります。
データサイエンスの3つのメリット
データサイエンスを導入することで、企業は単なる効率化だけでなく、競争優位性を確立するための大きなメリットを享受できます。
メリット①意思決定の精度向上
一つ目のメリットは、精度の高い意思決定です。
勘や経験に頼るのではなく、データに基づいた客観的な分析によって、より正確な経営判断や戦略策定が可能になります。
市場トレンドや顧客の行動を深く理解することで、リスクを最小限に抑えつつ、成功確率の高い事業投資やマーケティング施策を実行できます。これにより、企業の成長をデータドリブンで加速させることができます。
メリット②新たなビジネスモデルの創出
二つ目のメリットは、新たなビジネスモデルの創出です。
顧客データや市場トレンドを深く分析することで、既存事業の延長線上にはない、革新的なサービスや製品のアイデアが生まれる可能性があります。例えば、サービス利用者の行動データを分析し、そのニーズを先回りして満たす新機能を開発するなど、データから新たな価値を創造する力が得られます。
これは、競争の激しい現代において、企業が生き残るための鍵となります。
メリット③業務の効率化とコスト削減
三つ目のメリットは、業務の効率化とコスト削減です。
データ分析により、社内の無駄な業務プロセスを特定し、自動化や効率化を図ることができます。例えば、コールセンターの問い合わせデータを分析してFAQを充実させたり、営業活動のデータを分析して最適なルートを割り出したりすることで、人件費やリソースの削減に繋がります。
これにより、企業全体の生産性を向上させることが可能になります。
データサイエンスとAIの関係性とは
データサイエンスは、AI(人工知能)や機械学習と密接に関わっています。AIが「人間の知能を模倣する技術」であるのに対し、データサイエンスは「AIを動かすためのデータ」を扱い、分析する役割を担います。
データサイエンティストは、AIが学習するためのデータを収集・整理し、その分析結果からビジネスに役立つ洞察を導き出す専門家です。AIが高度な分析を行うためには、質の良いデータと、それを扱うデータサイエンスの知識が不可欠です。
両者は車の両輪のような関係にあり、互いに補完し合うことで、より大きな価値を生み出します。
AIの歴史
AI研究は1950年代に始まり、特に1956年の「ダートマス会議」がその起点とされています。初期のAIは、専門家の知識をコンピューターにインプットする「エキスパートシステム」が主流でしたが、膨大な知識が必要なため実用化は困難でした。
その後、統計学を基盤とした機械学習が登場し、データからパターンを学習する道が開かれました。
そして、2010年代に入り、計算能力の向上とビッグデータの普及により、人間の脳を模した「深層学習」が大きなブレークスルーを果たし、現在のAIブームへと繋がっています。
機械学習とは
機械学習は、AIを構成する主要な技術の一つです。
これは、人間が明示的にルールを教えなくても、データからパターンやルールを自律的に学習し、予測や分類を行う技術です。例えば、迷惑メールを自動で判別する機能は、これまでのメールデータから「迷惑メールの特徴」を機械が学習して実現しています。
また、音声認識や画像認識、自動運転など、多岐にわたる分野で応用されています。機械学習は、データサイエンスが導き出す洞察を、現実のシステムに実装するための核となる技術です。
データサイエンスの将来性
データサイエンスは今後もビジネスのあらゆる領域で、その重要性を増していくでしょう。多くの企業がデータ活用を経営の中心に据え、競争力を高めていくことは間違いありません。
データサイエンスの歴史
データサイエンスの概念は比較的新しいものですが、そのルーツは統計学や計算機科学に遡ります。
1990年代には「データマイニング」という言葉が流行し、企業に蓄積された大量のデータから有益な情報を掘り出す試みが始まりました。
2000年代には「ビッグデータ」という言葉が注目され、SNSやモバイルデバイスから生み出される非構造化データの活用が課題となりました。
そして現在、データサイエンスは、これらの技術を統合し、ビジネスの意思決定を支援する総合的な学問として急速に確立しつつあります。テクノロジーの進化とともに、データサイエンスは常に形を変えながら発展し続けています。
データサイエンスの問題点
データサイエンスが発展する一方で、いくつかの問題点も指摘されています。
一つは「データの品質」です。分析の元となるデータに誤りや偏りがあると、どんなに高度なアルゴリズムを使っても、正しい結論は導き出せません。
また、「データサイエンティストの人材不足」も深刻な課題です。専門知識を持つ人材の需要が高まる一方、供給が追いついていません。さらに、個人情報の取り扱いやアルゴリズムの透明性など、倫理的な問題も無視できません。これらの課題を解決することが、今後のデータサイエンスの健全な発展に不可欠です。
データサイエンスの今後
今後は、データ分析プロセスの自動化や、AIとデータサイエンスのさらなる融合が進んでいくでしょう。また、クラウド環境の発展により、中小企業でもデータ活用が身近になります。
さらに、データセキュリティやプライバシー保護に対する意識の高まりから、これらの課題を解決するための技術やルールづくりも重要になります。
データサイエンスは、テクノロジーの進歩とともに進化し続け、私たちの生活やビジネスをより豊かにする力となるでしょう。
データサイエンティストになるにはビジネススキルも必要
ビジネス界でデータサイエンティストとして活躍するには、PythonやRといった専門的な分析スキルだけではなく、ビジネスの課題を理解し、データ分析を通じてその解決策を提示する「ビジネススキル」が不可欠です。
具体的には、分析結果をもとに売上予測や顧客行動の傾向を示し、経営層に新しい施策の提案を行ったり、他部署と協力して改善策を実行したりする場面で必要になります。また、複雑なデータの洞察をわかりやすく可視化し、意思決定を後押しするコミュニケーション力も重要です。
独学で技術を習得することも可能ですが、実践的なビジネススキルは、座学だけではなかなか身につきません。
グロービス経営大学院でビジネススキルを身につけよう
大学の専門学部でデータサイエンスの理論を学ぶことは重要ですが、グロービス経営大学院には、「テクノベートMBA」というプログラムがあります。
「テクノベートMBA」とは、テクノロジーを活用してビジネスに革新的な価値を生み出したいビジネスパーソンのためのプログラムです。従来の理論に加え、AIやデータサイエンスを実務に活かすスキルを学び、新たな価値創造をリードできる力を養います。ビジネスにおけるデータサイエンスの活用を学ぶ科目として、例えば、「AI&データサイエンス」などがあります。
さらに、実際のビジネスケースを題材とした「ケースメソッド」を通じて、分析力、論理的思考、プレゼンテーション能力といった、経営に必要なスキルを養います。データサイエンティストとしての専門知識だけでなく、リーダーシップや戦略構築能力も身につけることで、企業の中核を担う人材へと成長できるでしょう。特定の資格取得を目指すこととは異なり、ビジネスの現場で通用する総合力を養うことができます。
グロービスの授業を体験できる体験クラス&説明会はこちらから詳細をご確認ください。
まとめ
データサイエンスは、単なる技術ではなく、ビジネスの成長を加速させるための強力なツールです。
データを活用し、自ら変革を起こせるリーダーシップは、これからの時代を生き抜くビジネスパーソンにとって必須のスキルとなるでしょう。
ぜひ、データサイエンスを学び、新たなビジネスの可能性を切り拓いてください。
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吉峰史佳
グロービス コンテンツオウンドメディアチーム
早稲田大学第一文学部、東京大学大学院情報学環教育部を修了。HR業界紙の編集者、AI開発スタートアップでの広報を経て、現職でグロービスのオウンドメディア編集に従事。自身もグロービス経営大学院 経営研究科 経営専攻を修了している。