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投稿日:2025年07月07日
投稿日:2025年07月07日
【あすか会議2025開催レポート】第21回を水戸で初開催――全国・海外から1,200名が参加
7月5日(土)・6日(日)の2日間にわたって、第21回となる「あすか会議2025」が水戸市民会館にて開催されました。全国各地および海外から、グロービス経営大学院の在校生・卒業生・教員、さらに政界・経済界・学術界・メディアを代表するリーダーたちが集結。会場には約1,200名が集い、立場や世代を超えた対話と学びが繰り広げられました。
【あすか会議2025概要】
あすか会議(ASKA=Assembly for Synergy, Knowledge and Ambition)は、グロービス経営大学院の教育理念である「能力開発」「志」「人的ネットワークの構築」に基づき、年に一度開催されるビジネスカンファレンスです。講義や教材では得られない最先端の経営知に触れ、業界や立場を超えた参加者同士の濃密な対話を通じて、自らの志を再確認し、未来の可能性をともに描くことを目的としています。
あすか会議2025は、学長・堀義人の開会挨拶とともに幕を開けました。冒頭、堀は今年のあすか会議が水戸開催に至った背景について語りました。
水戸市民会館に新たに誕生したグロービスホールは、構想段階からあすか会議の開催を想定して設計された場所であり、全体会・分科会あわせて6つのセッションを展開できる設備を備えています。さらに、オーバーツーリズムが問題視される中で、「あえて観光客が少ないユニークな場所で集うことの意義」を問い直したいと語りました。
水戸は、グロービスが長年取り組んできた「水戸ど真ん中再生プロジェクト」の中心地でもあります。グロービス経営大学院の水戸・特設キャンパスの開設をはじめ、スポーツ、エンタメ、メディア、地域開発など多分野にわたる活動が進行しており、堀は「地方創生の魁モデルを、ここ水戸で体感してほしい」と呼びかけました。
また、水戸は徳川光圀公の水戸学に始まり、明治維新の思想的・歴史的転換を担ってきた地でもあります。こうした背景を踏まえ、「創造と変革の志士が集う場として、水戸はふさわしい」と語る堀の言葉には、強い決意と地域への想いが込められていました。
最後に、あすか会議がグロービスの教育理念である「理論と実践を融合した能力開発の場」「生涯にわたる人的ネットワーク構築の場」「自らの志と生き方(キャリア)を見つける場」を体現する場であることを改めて共有し、「ぜひこの2日間、あすか会議の全てを体感してほしい」と語りかけ、開会式を締めくくりました。
あすか会議学生企画委員長の挨拶
続いて、あすか会議学生企画委員長の石井 将臣さん(名古屋校・2024年入学)より開会のご挨拶がありました。石井さんは半年間にわたるこれまでの準備を振り返りながら、「この2日間が参加者一人一人にとって人生の分岐点となるように」との想いを込めて、熱意を持って取り組んできたことを語りました。
【あすか会議2025 コンセプト】
Meet Up!
水戸(Meet)から始まる上昇(up)気流
「ここから生まれる新たなシンカ」
「あの時、志を持ってこの道を選んだ。」
「その志は、今も輝いているだろうか?」
初開催のこの地で、多様な志が出会い、進化し、深化する。
最高の仲間と最初の一歩を踏み出そう。
新しい自分に…Meet Up!
第3部全体会では「グロービス アルムナイ・アワード」の授賞式を執り行い、創造部門・変革部門・ソーシャル部門の3部門、合計5名に授与しました。
▼詳細は以下のお知らせ記事をぜひご覧ください。
特任副学長挨拶
「グロービスで過ごす時間の中で、私が一番好きな時間が、このアルムナイ・アワードのスピーチです」
授賞式の冒頭、田久保はそう語り、受賞者一人一人の歩みに対して深い敬意を表しました。「一燈照隅、万燈照国」という言葉を引用し、「卒業生がそれぞれの場所で灯をともす存在になれば、地域、社会、そして世界はよりよくなっていく」と呼びかけました。
続けて、「活躍の形や成功の定義は、人によって異なる。誰かの評価ではなく、自分自身の価値基準で前に進んでほしい」と語り、会場全体に温かくも背筋の伸びるような空気が広がりました。
全体会・分科会プログラム一覧
あすか会議では、「全体会」「分科会」「学生企画:パワーナイト*」「学生企画:リーダーズディスカッション*」「学生企画:ナイトセッション」といった多層的なプログラムを通じて、参加者同士が深く思考し、語り合う場が設けられます。初開催となる水戸の地で、各界のリーダーや実務家、そして在校生・卒業生が一堂に会し、多様なテーマに向き合いながら、それぞれの“問い”と“志”を深めていきました。
*6月29日(日)オンライン開催(学生企画:パワーナイト/リーダーズディスカッション)
全体会
各界を代表するトップリーダーの志に触れる場です。魂を揺さぶるような言葉が参加者一人一人の内面に静かに浸透し、ときに人生観を大きく揺り動かすような瞬間が生まれました。以下はプログラムの詳細です。
第1部全体会 AIが変える世界と社会~世界はどう変わり、企業と人間はどう行動すべきか~
AIの急速な進化が、ビジネス、政治、働き方、倫理観を根本から変えつつある。新たな時代において、企業は成長戦略をどう描き、人はどのような価値を生み出せるのかを探る。
【パネリスト】
安野 たかひろ 氏(チームみらい 党首)
平 将明 氏(デジタル大臣 衆議院議員)
【モデレーター】
君島 朋子(グロービス経営大学院 研究科長)
第2部全体会 トランプ時代の世界の行方 ~不確実性を増す世界の動向を探る~
トランプ大統領の復権によって揺れる国際秩序。米中対立の緊張、同盟国との再構築、日本の針路は。地政学が複雑さを増す中、国際政治・安全保障の専門家たちが未来への視座を語る。
【パネリスト】
神保 謙 氏(慶應義塾大学 総合政策学部 教授/公益財団法人国際文化会館 常務理事)
竹中 平蔵 氏(慶應義塾大学 名誉教授)
村田 晃嗣 氏(同志社大学 法学部 教授)
【モデレーター】
秋山 咲恵 氏(株式会社サキコーポレーション ファウンダー/三菱商事株式会社 取締役)
第8部全体会 AIとトランプが変える世界~激動の時代に私たちはどう戦うか~
トランプ政権の再浮上や生成AIの進化が常識を揺るがす今、私たちはどう適応し未来を拓くべきか。激動の時代を生き抜くための視点と戦略を探る。
【パネリスト】
落合 陽一 氏(合同会社落合陽一事務所 メディアアーティスト/筑波大学 准教授/ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 代表取締役会長CEO)
島田 太郎 氏(株式会社東芝 社長執行役員 CEO)
関灘 茂 氏(A.T. カーニー株式会社 アジアパシフィック代表 兼 日本代表/グロービス経営大学院 教員)
【モデレーター】
廣瀬 聡(グロービス経営大学院 研究科長〈英語MBAプログラム〉)
分科会
各界のリーダーたちによる最新の知見や実践を共有しながら、参加者同士が多様な視点を持ち寄って議論を深める場です。政治・経済、テクノロジー、グローバル、地域社会など、さまざまな社会課題をテーマに、6会場同時開催・2日間で計24セッションが展開されました。以下は一部プログラムの詳細です。
第4部分科会(経営/経済)M&Aによる成長戦略の最前線~スタートアップはいかにして非連続な成長を遂げていくのか~
スタートアップの成長を左右するM&A戦略のリアルを、実践者たちが語り、成功の要諦に迫る。
【パネリスト】
志水 雄一郎 氏(フォースタートアップス株式会社 代表取締役社長)
髙島 宏平 氏(オイシックス・ラ・大地株式会社 代表取締役社長)
端羽 英子 氏(株式会社ビザスク 代表取締役)
【モデレーター】
間下 直晃 氏(株式会社ブイキューブ 代表取締役社長 グループCEO)
第4部分科会(社会・文化)観光・インバウンド最前線~8兆円産業から15兆円産業へ・その可能性を探る~
訪日観光が急成長する今、観光を“次の輸出産業”とするための戦略と地域活性の未来を語る。
【パネリスト】
大谷 明 氏(ひたちなか市 市長)
加藤 史子 氏 (WAmazing株式会社 代表取締役 CEO)
山野 智久 氏 (アソビュー株式会社 代表取締役 CEO)
【モデレーター】
楠本 修二郎 氏(カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役会長/ZEROCO株式会社 代表取締役社長)
第5部分科会(キャリア)起業家を育てる教育~次世代のイノベーターを育む教育戦略とは~
挑戦心や創造力を育むには何が必要か。起業家精神と社会課題解決のマインドを育てる教育の最前線に迫る。
【パネリスト】
漆 紫穂子 氏(品川女子学院 理事長)
各務 茂夫 氏(開志専門職大学 学長)
【モデレーター】
許勢 仁美(グロービス経営大学院 副研究科長)
第5部分科会(社会・文化)令和の米騒動に見る日本の食と農~どうする?日本の農業~
価格高騰や担い手不足など、日本の農業が抱える課題にどう立ち向かうか。変革の道筋を探る。
【パネリスト】
生駒 祐一 氏(テラスマイル株式会社 代表取締役)
佐々木 伸一 氏(株式会社ルートレック・ネットワークス 代表取締役社長)
【モデレーター】
岩佐 大輝 氏(株式会社GRA 代表取締役 CEO)
第6部分科会(志と生き方)稼ぎを上げ、人生を豊かに生きるキャリア術~これだけは知っておきたい人生戦略~
人生100年時代、働きながら幸福度を高めるには?市場価値を上げ、仕事も私生活も充実させる実践的キャリア戦略に迫る。
【スピーカー】
藤原 和博 氏 (「朝礼だけの学校」理事長/教育改革実践家/リクルート社初代フェロー/和田中学校・一条高校元校長)
第6部分科会(経営/経済)エンタメを産業化する手法~コンテンツ利用拡大のこれからの可能性~
生成AIやWeb3の進化がコンテンツ産業に新たな地平を拓き、エンタメの産業化を加速。業界の先端を走るフロントランナーたちが、新たな価値創造と未来の可能性を語る。
【パネリスト】
明石 ガクト 氏 (ワンメディア株式会社 代表取締役 CEO)
樹林 伸 氏(作家)
古市 憲寿 氏(ESCAPE.ID)
【モデレーター】
前田 裕二 氏(SHOWROOM株式会社 代表取締役社長)
第7部分科会(テクノベート・AI)ヘルスケア×AIの可能性~AIが拓く医療の未来~
超高齢社会を迎える中、医療現場の課題解決や新たな価値創出を担うAIの可能性に注目。診断支援から遠隔医療、個別化医療まで、未来の医療を展望する。
【パネリスト】
安宅 和人 氏 (慶應義塾大学 環境情報学部 教授/LINEヤフー株式会社 シニアストラテジスト)
菊池 亮 氏 (ファストドクター株式会社 代表取締役 医師)
中尾 豊 氏 (株式会社カケハシ 代表取締役社長)
【モデレーター】
宋 美玄 氏 (丸の内の森レディースクリニック 産婦人科医・医学博士)
第7部分科会(キャリア)人材を引き付ける働き方とは~心理的安全性の高い職場をつくる方策~
人材が輝く職場づくりの鍵は「心理的安全性」。働き方改革が進む今、企業が成長し続けるための最前線と、魅力ある職場づくりのヒントを探る。
【パネリスト】
小室 淑恵 氏(株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長)
矢野 和男 氏 (株式会社日立製作所 フェロー/株式会社ハピネスプラネット 代表取締役 CEO)
【モデレーター】
若杉 忠弘 氏 (株式会社グロービス シニア・ファカルティ・ディレクター/グロービス経営大学院 教員)
ナイトセッション
全体会・分科会に登壇したゲストとの距離がぐっと近づく、学生主導の夜の対話企画。インフォーマルな空気感の中で生まれる“本音”のトークが、新たな気付きや人とのつながりを生み出します。日中のセッションとはひと味違う、濃密な時間が流れました。
閉会式
学生企画委員長の挨拶
2日間にわたるあすか会議も、いよいよ閉会の時間を迎えました。閉会式では、あすか会議学生企画委員長の石井さんが登壇。総勢55名の学生委員が、6つのチームに分かれて企画・運営に取り組んできたこれまでを振り返りつつ、会の成功を支えてくれた全ての登壇者・参加者・関係者へ感謝の言葉を述べました。
「ひとりの挑戦が、誰かの背中を押す。そして、そこから新たな挑戦の連鎖が生まれていく。ここにいる1,200名の新たな一歩が、やがて世界の流れを変え、日本を動かしていく。皆さんで、新たな一歩を踏み出しましょう」
続けて堀が、21回目となるあすか会議を締めくくる言葉として、来年に向けた成長の大切さを呼びかけました。
「この場で再び皆さんと会うとき、自分がどれだけ成長できているか。それがすべてだと思います。1日1日の努力の積み重ねが、1年後の大きな進化につながる。私自身も、グロービスも、常に進化を続けています。来年また、この水戸で会える日を楽しみにしています」