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投稿日:2022年03月30日  更新日:2024年09月18日

投稿日:2022年03月30日
更新日:2024年09月18日

マーケティングとは?戦略の立て方・成功する施策のポイントを解説

村尾 佳子
グロービス経営大学院 教員
マーケティングとは、「売れる仕組み」づくり?「顧客のニーズにこたえること」?意外とあいまいな意味や定義について解説します。

「マーケティング」とは

マーケティングとは、一言でいうと「売れる仕組みを作ること」です。他にも「顧客に価値を伝えること」「顧客から望む行動を引きだすこと」など、マーケティングに携わる多くの実務者が、さまざまな定義をしています。また、マーケティング活動が意味するところは、市場調査、商品開発、広告宣伝、販売促進、営業、販売など非常に多岐にわたります。その中で最も大切な共通点は、マーケティングの中心にいるのは顧客であり、顧客のニーズに応え、自然と顧客が引き付けられるような仕組みを作ることです。

マーケティングの定義とセールスとの違い

さらに詳しく、マーケティングの定義について整理していきましょう。例えば、世界中のマーケティング実務者や研究者が会員となっているアメリカ・マーケティング協会(AMA)は、「マーケティングとは、顧客に価値を創造、伝達、提供し、組織および組織をとりまく利害関係者を利するように顧客との関係性をマネジメントする組織の機能および一連のプロセスである」(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」,2014)と定義しています。ほかにも、近代マーケティングの父ともいわれるフィリップ・コトラーは、「マーケティングとは、人間や社会のニーズを見極めてそれに応えることである。マーケティングを最も短い言葉で定義すれば、『ニーズに応えて利益を上げること』となろう」(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」,2014)と定義しています。

また、マーケティングにおける有名な論文のひとつである「マーケティング近視眼」の著者であるセオドア・レビットは「顧客を引きつけ、維持するという企業目的を達成するために、総力を挙げてやらなければならないすべてのことを、一手に引き受けるのがマーケティングである」(「レビットのマーケティング思考法―本質・戦略・実践」,2002)とし、ピーター・ドラッカーはさらにその役割を、「セリングの必要性はこれからも続くだろうと考えられる。しかしマーケティングの狙いはセリングを不要にすることだ。マーケティングの狙いは顧客を知りつくし、理解しつくして、製品やサービスが顧客にぴったり合うものになり、ひとりでに売れるようにすることである。理想をいえば、マーケティングの成果は買う気になった顧客であるべきだ。そうなれば、あとは製品やサービスを用意するだけでよい」(「マネジメント」,2001)としています。

 以上のことからも、マーケティングは長期的に製品やサービスを買ってもらうための仕組み作りであり、顧客ニーズや顧客満足を起点としていることが分かります。一方で、セールス(セリング)は、短期的に売上をあげるための売り込む手段であり、企業などの売り手を起点としている。顧客ニーズが多様化し、変化が早い現代においては、売り手起点の考え方では、製品やサービスが顧客に受け入れられません。繰り返しになりますが、最も大切な共通点は、マーケティングの中心にいるのは顧客であり、顧客のニーズに応え、自然と顧客が引き付けられるような仕組みを作ることです。

マーケティングの歴史について

マーケティングの在り方は、時代とともに進化を続けてきました。モノを中心とした「マーケティング1.0」から、顧客を中心とした「マーケティング2.0」、そして価値を中心とした「マーケティング3.0」などの変化に伴い、目的や時代の背景、企業の提供価値、顧客との関係性も変化を続けていることが分かります。

マーケティングの歴史

マーケティングの主な種類について

①マスマーケティング
不特定多数に向けて行うマーケティングのことです。マーケティング活動の主な手段としては、テレビやラジオ、新聞、雑誌といった媒体を活用した広告が挙げられます。幅広い顧客層にリーチできる一方で、広告費は高額になります。また、不特定多数の顧客に情報を届けるため、住宅や自動車、食品、日用品など、年齢や性別などの属性を問わない商材に向いている手法です。

②ダイレクトマーケティング
ダイレクトマーケティングは顧客一人一人に対して直接的にコミュニケーションし、製品やサービスの購入を促す手法です。顧客のニーズに合わせたマーケティングを行うことで、顧客の満足度・信頼度の向上につなげることができます。

③インバウンドマーケティング
一方向的に顧客へアプローチするマスマーケティングに対して、インバウンドマーケティングは顧客から自発的に製品やサービスに興味を持ってもらうことによって成立する手法です。WebサイトやSNSなどを活用し、顧客にとって価値のあるコンテンツを発信することで、認知拡大や興味喚起を行うことができます。すでに商品やサービスについて興味を抱いている顧客が多く、購入意欲が高いことが大きな特徴です。

④Webマーケティング
SEOやインターネット広告、メールマガジン、オンラインセミナーなど、Web上で行うマーケティング手法です。デジタル媒体を活用するマーケティング手法をデジタルマーケティングと総称し、Webマーケティングはそのうちのひとつです。

⑤SNSマーケティング
InstagramやX(旧Twitter)、TikTok、FacebookといったSNSを活用し、ブランディングや販売促進などを行う手法です。近年インターネットの技術革新やスマートフォンの普及によって、SNSで情報収集を行う顧客が増えています。各媒体によって、特徴や強み・弱みが異なるため、それぞれに合った戦略を立てることが重要です。

マーケティングの基本プロセス・戦略の立て方

マーケティング戦略の全体像をまずは見てみましょう。マーケティング戦略には大きく全社レベル、事業レベル、製品レベルの3階層があります。多くの企業では複数の事業を行っており、さらに事業ごとに多くの製品やサービスを扱っています。

一般的にマーケティング戦略と言うと、製品レベルや事業レベルを指します

マーケティング戦略立案の流れ

マーケティング戦略立案の具体的な流れは次の通りです。分かりやすくするために、事例をベースに考えていきましょう。あなたはサービス企画担当者で、今後売れるサービスを提案するというミッションを担っているとします。

マーケティング戦略立案の流れ:1.環境分析と市場機会の発見、2.セグメンテーションとターゲティング、3.ポジショニング、4.4P(マーケティングミックス)、5.マーケティング施策の実行と効果検証(評価)、そして改善へ

1.環境分析と市場機会の発見

まずは、「今後どのような市場にチャンスがありそうか?」ついて考えます。

PEST分析3C分析、さらにはSWOT分析などを行いながら、社会にどのような構造変化が起こりそうなのか、その中で顧客がどのように変化しそうか、などに注目をし、自社が強みを持っている、もしくは強みを構築できそうな市場機会を発見します。さまざまな仮説を検証するために市場調査なども適宜行います。

2.セグメンテーションとターゲティング

限られた経営資源を有効に利用するために、不特定多数の顧客を小集団に分け(セグメンテーション)、その中からどの顧客にアプローチするのか(ターゲティング)を考えます。セグメンテーションは、どのような軸で顧客を分けるかが非常に重要で、複数の軸を組み合わせてつかうことも多いです。セグメンテーション変数としては、消費財では、地理的変数、人口動態変数、心理的変数、行動変数の4つがあります。例えば、ターゲットを、「30代の時代の最先端を追いかけたいライトユーザー」というように語ったとしたら、30代という人口動態変数、時代の最先端を追いかけたいという心理的変数、ライトユーザーという行動変数の3つのセグメンテーションの軸でターゲティングしている、ということになります。

3.ポジショニング

顧客はさまざまな製品やサービスを頭の中で比較し、検討しています。ポジショニングとは、ターゲット顧客の頭の中に独自のポジションを描き、明確でユニークな差別化イメージを植え付けるための活動です。製品やサービスのセールスポイントを、顧客のニーズがあり、かつ顧客に刺さる2つの言葉で差別化していくのです。

4.4P(マーケティングミックス)

ターゲットとポジショニングに沿って、4Pについて検討していきます。4Pはマーケティングミックスとも呼ばれ、いわゆる施策と打ち手を検討していくことになります。重要なことは、ターゲットとポジショニングとの整合性です。「こんな顧客ターゲットで、こういうコンセプト(ポジショニング)だからこういう値段で、こういうチャネルで露出していこう、さらにはこういう広告宣伝をしよう」というように全体の流れがひとつのストーリーとなって一貫性が担保されなければならないのです。

5.マーケティング施策の実行と効果検証(評価)、そして改善へ

マーケティング施策を実行する上で重要なのは、施策の目的と期待効果を実行前に見積もり、実行後、効果検証をすることです。このプロセスがないと、何が良くて、何が悪かったのか検証できず、結果として組織に知見がたまりません。必要なKPI(重要業績評価指標:Key Performance Indicators)を設計し、目標を共有し、確実に次につなげ改善していくためにも、非常に重要な営みです。市場と顧客は刻々と変化していきます。同時に競合も存在します。マーケティングはあくまでも成功確率を上げるためのものであり、少しでもその確率を上げるために、組織内に市場から学んだデータや知見を積み重ねることが重要なのです。

STP-4Pのフレームワーク

マーケティング戦略立案の流れをひと通り見てきました。そのうち、2.セグメンテーションとターゲティング、3.ポジショニング、4.4P(マーケティングミックス)については、フィリップ・コトラーが提唱したとされるSTP-4Pというフレームワークで考えられます。STPと4Pのそれぞれの意味合いは次の通りです。

STP-4Pのフレームワーク:S=「市場細分化(Segmentation/セグメンテーション)」、T=「ターゲット市場の選定(Targeting/ターゲティング)」、P=「競合との差別化(Positioning/ポジショニング)」、4P=Product(製品)、Price(価格)、Place(流通、チャネル)、Promotion(販売促進)

S=「市場細分化(Segmentation/セグメンテーション)」

T=「ターゲット市場の選定(Targeting/ターゲティング)」

P=「競合との差別化(Positioning/ポジショニング)」

4P=マーケティングミックスと呼ばれ、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通、チャネル)、Promotion(販売促進)を含む。

製品レベルの視点では、「誰に何をいくらで売るか、それをどのように認知させ、どのように供給するか」を総合的に考えていきます。しかし多くの製品を事業部内で扱っている場合、個々の製品ごとに最適な戦略を考え実行していると、事業全体や企業全体で見たときに、お互いの製品間にカニバリゼーションが発生したり、リソースの重複などの無駄が生じたりする可能性があります。そのため、事業レベルでの視点や全社レベルでの視点が必要となり、さらに全社のブランドという観点も重要になります。

なぜ今、マーケティングが重要なのか?

なぜ今、マーケティングが重要なのでしょうか?それは、経営資源を効率的かつ有効に使えるから。そして、時代の変化に適応するための原動力になるからです。

なぜ今、企業にとってマーケティングが重要なのでしょうか。企業が存続し続けるためには、継続的に利益を生み続けることが必要です。そのためには企業が生みだす製品やサービスを顧客が欲しいと望み、最終的に選び、購入してもらわなければなりません。つまり顧客に選ばれ続ける必要があるのです。それにより初めて売上が上がることとなり、売上が上がることは、顧客に選ばれていることと同義であり、売上が下がることは、顧客が離れていっている、さらに踏み込んで言うと、顧客に必要とされていないということを意味します。

では、売上だけを意識すればよいのでしょうか。答えはNOです。フィリップ・コトラーがマーケティングを「ニーズに応えて利益を上げること」と短く定義しているように、利益が重要なのです。そのためには顧客が満足する商品やサービスを作り、原価がどれぐらいかかり、さらには価格をいくらにするのか、誰にどのように販売するのか、どのようなメッセージをどのようなメディアで届けるのか、などさまざまなことを考え、必要なコストをかけ、そして適切に利益を生みださなければなりません。この一連のプロセス全てがマーケティング活動なのです。製品やサービスごとの売上、そして最終利益は企業の業績に直結しますので、企業活動にとってもマーケティングは非常に重要です。

企業経営におけるマーケティングの意義は、①経営資源を効率的かつ有効に使える②時代の変化に適応するための原動力となる、と言えます。外部環境が激変する昨今の状況下では、市場は刻々と変わり、顧客もそれに合わせて急速に変化していきます。それに加えて、世代間の価値観や行動特性のギャップも広がりつつあります。

これらを的確に捉え、正しいマーケティングプロセスを企業経営に取り入れることで、数打てば当たる的な発想の非効率な施策を止められ、また無駄に人的リソースやコストを投資することから逃れられるのです。そして企業の生産、開発、営業、人事などのさまざまな機能に対しても、顧客ニーズをベースとしながら、未来を見据え、必要な役割を提示し、変化を促すことができるのです。

最新マーケティングの潮流やトレンドとは?

顧客の立場に立ったマーケティング施策である「オムニチャネル」と「コンテンツマーケティング」が、今のトレンドです。

2007年にiPhone、そして2008年にAndroidが登場し、スマートフォンをひとりが一台ずつ持つ時代になり、世界は一変しました。誰もがさまざまな情報をどこからでも好きなタイミングで、自由に世界に向けて発信することができるようになり、流通する情報量は指数関数的に増え続けています。人々はいつでも世界中の情報を得て、世界中とつながれるようになり、オンライン上にさまざまな新しいサービスが登場しました。「人間の行動様式が変わる」ことは「顧客の行動が大きく変わる」ことを意味しており、マーケティングにはさまざまな新潮流が生まれました。

今、最低限押さえておくべきマーケティングにおける2つのポイントについて見てみましょう。

1.オムニチャネル

オムニチャネルとは、商品の認知から購買に至るプロセス、さらにはアフターサービスも含み、全てのプロセスを顧客がネットとリアル店舗をシームレスに選択できる顧客体験を実現することを言います。

顧客はごく普通にインターネットとリアルの場を行き来するようになり、企業はこの流れに対応せざるを得ない状況となりました。従来はオンラインショップとリアル店舗は別々に運営されているケースが多かったのですが、最終的にどこで購入するかの選択権は完全に顧客にあります。例えば、ポイントがインターネットとリアル店舗どちらのチャネルで購入しても獲得でき、さらにどちらのチャネルでも自由に使えるというようなことが期待されるようになりました。おそらく対応できない企業は遅かれ早かれ、顧客を失っていくことになるのでしょう。ただ実際には、対応するにはその仕組み=システムへの投資が必要となり、二の足を踏んでしまっている企業が多いのも事実です。

2.コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、潜在顧客や見込み顧客が検討するプロセスにおける関心事に沿って、価値ある情報(コンテンツ)を作成し、提供することにより、興味関心を喚起し、さらにはその商品への欲求を高め、信頼獲得や最終的には購買決定につなげる目的で行うマーケティングの手法です。

スマートフォンが普及して以来、人間は日常的にニュースメディアやSNSなどの、多くの情報を消費するようになりました。その半面情報があふれており、企業の一方的な広告への反応は鈍くなり、さらには個人が広告を表示させない選択もできるようになっています。その一方で、人間は自らが知りたい情報については積極的に検索しています。つまり現代の企業にとって重要なことは、自分たちが伝えたいことを広告で一方的に発信することではなく、顧客の立場に身を置き、自社の商品を検討して、最終的に選択してもらうために、「顧客の検討行動のプロセス上にある関心に沿った情報を届ける」ことなのです。

マーケティングの成功事例

マーケティングの成功事例として、ユニクロのオムニチャネルが挙げられます。

いちはやくオムニチャネルに取り組んだ事例として、ユニクロについてみてみましょう。私も日常的に大変お世話になっていますが、ユニクロで一切の買い物をしたことがないという方はもはやいないのではないかと思うほど、日本では老若男女問わず、普及しているブランドではないでしょうか。

消費者として実体験されている方も多いと思いますが、ユニクロの顧客との接点は全国のリアル店舗、オンラインストア、アプリ、LINE(お友だち登録)などとさまざまにあります。それら全てが共通の会員IDで管理されており、顧客は自由に自分のタイミングで好きなチャネルでストレスなく買い物ができ、さまざまなメリットを享受できます。

例えば、オンラインで購入した商品をリアル店舗で受け取ったり、リアル店舗で品切れになっている商品や取り扱いがなかった商品について、店舗からオンラインストア経由で購入し、それを店舗で現金決済ができたり、という仕組みが構築されています。顧客は一切のストレスを感じることなく、自由に自分の都合とタイミングで好きな買い物体験ができるのです。

またユニクロは、年齢や性別、住所などの個人情報と紐づいた購買情報(来店頻度や、どの店舗でどのような商品を購入したかなど)を保有しており、これらのデータを適切な商品開発や在庫管理に活かすことができます。ビッグデータを活用したデータドリブンマーケティングという観点からも最先端をいっています。

また「UNIQLO IQ」というAIチャットボットの活用も有名です。LINEアプリでお友だち登録すると、お買い物アシスタントとして、おすすめコーディネートの提案や人気商品、店舗の在庫情報なども案内してくれ、顧客満足度を高めると同時に、人間の手間をかけることなく効率的に顧客の関心や情報を収集できるのです。しかし、これだけのことを実現するには莫大なシステム投資も必要となります。全ての企業が同じような施策を実施するのは非常に難しいですが、重要な点は顧客の立場で、ストレスフリーな体験価値を考えるということです。まずはできることから始めてみるのが重要です。

マーケティング施策を成功させるためのポイント

ユニクロの事例をもとに、マーケティング施策を成功させるためのポイントについて整理してみましょう。

①顧客起点で体験価値を考える
マーケティング施策を成功させる上で最も重要なことは、顧客起点で一連の体験価値を設計するということです。そのためには、顧客がどんな人なのか、どういったニーズを持っているのか、自社製品やサービスにたどり着くまでにどんなペインがあるのかといったことを突き詰めて考える必要があります。

②複数の施策やチャネルを組み合わせる
ひとつの施策で人を動かすことは難しいため、考えられる課題に対して、複数の打ち手を組み合わせて、全体の戦略を構築することが大切です。また、ユニクロのように店舗とECなどのチャネルを組み合わせて、顧客の利便性を向上することも、体験価値を最大化する上で有効な手段といえるでしょう。

③顧客データを蓄積して活用する
IT技術やデータ処理技術の進化に伴い、データを活用したマーケティング手法が一般的になっています。ユニクロの事例のように、人の手を使わずに顧客の関心や情報を収集できるため、効率的な施策運用が可能です。また、蓄積した膨大な顧客情報を分析し、データに基づいた仮説を立てることで、施策の精度を高めることができるでしょう。

マーケティングの重要フレームワーク「3C」「プロダクトライフサイクル」

3C

マーケティングの重要フレームワーク①3C分析:「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」

3Cは、「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の頭文字です。この中でマーケティングを考えていく上で、常に中心にあり、思考の起点となるのは「市場・顧客」です。「自社」は、全社のブランディングなどを考えるときは全社視点となり、事業部の戦略を考えるときは事業部視点、商品やサービスのマーケティングを考えていくときは商品・サービス単位で考えることとなります。

一般的に商品やサービスのマーケティングを考えるときは、まず「市場」を考えます。ここで注意したいのは対象市場の定義はひとつとは限らないことです。例えば、グロービス経営大学院を事例に考えてみると、MBA市場、社会人教育市場、オンライン教育市場とさまざまな捉え方ができます。当然、市場が異なれば、市場規模や対象顧客、さらには競合となるサービスも違ってきます。

プロダクトライフサイクル(製品ライフサイクル)

マーケティングの重要フレームワーク②プロダクトライフサイクル:導入期、成長期、成熟期、衰退期

導入期、成長期、成熟期、衰退期と製品・市場の発達段階に応じて、顧客のタイプやそれぞれの関心ごと、商品知識、競争環境などに違いがあり、マーケティング課題も変わってきます。発達段階ごとにとるべきマーケティング戦略には定石があり、それを理解しておくことにより、無駄な失敗をしなくてすみます。

社会学者のロジャースは、顧客をイノベーター(マニア)、アーリー・アダプター(初期採用者)、アーリー・マジョリティ(初期大衆)、レイト・マジョリティ(後期大衆)、ラガード(採用遅延者)の5つに分類し、それぞれの関心や行動特性が異なることを指摘しています。例えば、イノベーターとアーリー・アダプターはいわゆる新しいもの好きの特性を持っており、その中でもアーリー・アダプターは周囲からは思慮深い成功者と思われている人が多く、オピニオンリーダーとして製品の評価形成に影響力を持つと言われています。そのため、導入期のマーケティングにおいてはこの層をいかに取り込むかが重要になってきます。

マーケティングを効率的に学ぶには?

効率的にマーケティングを学ぶには、知識をインプットする→アウトプットする→フィードバックを受ける→考え方を改善する、という正しい学びサイクルが重要です。

上記のとおり、マーケティングの意義やメリット、成功事例や基本的なプロセスを見てきました。企業活動において顧客に必要とされ続けるためには、マーケティングが欠かせません。つまり、全てのビジネスパーソンが身に付けておくべきスキルでもあると言えます。

では、どのように学べば、効率よくマーケティングについての知識が身に付くでしょうか。主に3つの習得方法があります。

①書籍で学ぶ
書店には、初学者にとって手に取りやすいさまざまな種類の書籍が並んでいますので、まずは興味に沿ったもの読んでみましょう。グロービスでもさまざまなマーケティングの書籍を出版しています。

②動画で学ぶ
最近は、無料や安価でビジネススキルについて解説する動画も増え、映像を通じて学ぶビジネスパーソンが増えています。書籍を読むより時間がかからず、また要点を押さえたものが多いため効率的に知識をインプットできます。一方で、書籍と同様に基本的に受動的な学びのため、知識を定着させるには繰り返し反復して学ぶ努力が必要なのですが、それを行わずに「学んだつもり」になってしまうこともあります。

③ビジネススクールでディスカッションをして学ぶ
マーケティングを集中して学べる講座を受けるのも方法のひとつです。大学の講義のように講師の話を一方的に聴くだけのセミナーは多数開講されていますが、「使える」学びを手に入れたいのであれば、インプットした知識を用いてディスカッションする形式の講座を選ぶのがよいでしょう。ビジネスで成果を出すためには、以下の4つのポイントを押さえなくては、効率的に仕事で活かせる学びになりません。

 ①知識をインプットする

 ②知識をつかいアウトプットする

 ③アウトプットに対し他者からフィードバックを受ける

 ④フィードバックを踏まえて、自分の思考を改善する

「マーケティング・経営戦略基礎」講座詳細

グロービス経営大学院でも、さまざまな人と実際の企業事例をもとにディスカッションができる形式のマーケティングに関連する講座を用意しています。こちらの講座では、ビジネススクールで扱う経営戦略とマーケティングの全体像と、代表的なビジネスフレームワークの使い方を学びます。富士フイルムやバーミキュラなどのケース(企業事例)の分析を通じて、実務で活かすための知識やスキルを身に付けることができます。

<こんな方におすすめです>

  • 自社のマーケティング戦略を深く理解したい
  • 3CやSWOT分析などのフレームワークを実務で使いこなせるようになりたい
  • 効果的なマーケティング施策を考えられるようになりたい

まとめ

「マーケティング」はよく聞く言葉ですが、さまざまな見方があり、定義も多様なため、言葉は知っていても、実際にどのようなものかを説明できる人は少ないのではないでしょうか。マーケティングを学ぶことで、「どう売上を上げるか?」「どう戦略を立てるか?」など、ビジネスパーソンとして成果を上げるために長く使える考え方を得ることができます。

 マーケティングについてなんとなくは知っているけど…という方も、仕事で日々マーケティングに向き合っている方も一度、マーケティングの知見をより効率的に成果に紐付けるために、体系的に学んでみるのはいかがでしょうか。

興味を持たれた方は、ぜひ「体験クラス&説明会」にご参加ください。グロービス経営大学院の授業の特徴や提供科目の内容、キャンパスライフなどについて詳しくご案内しています。

体験クラス&説明会日程

体験クラスでは、グロービスの授業内容や雰囲気をご確認いただけます。また、同時開催の説明会では、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)や忙しい社会人でも学び続けられる各種制度、活躍する卒業生のご紹介など、パンフレットやWEBサイトでは伝えきれないグロービスの特徴をご紹介します。

「体験クラス&説明会」にぜひお気軽にご参加ください。

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ご希望の受講形式と同じ形式での参加をおすすめしています。

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  • 12/14(土) 10:00~12:15

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催) ※卒業生スピーチあり
    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け

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    体験クラス&説明会

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    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け

該当する体験クラス&説明会はありませんでした。

※参加費は無料。

※日程の合わない方、過去に「体験クラス&説明会」に参加済みの方、グロービスでの受講経験をお持ちの方は、個別相談をご利用ください。

※会社派遣での受講を検討されている方の参加はご遠慮いただいております。貴社派遣担当者の方にお問い合わせください。

※社員の派遣・研修などを検討されている方の参加もご遠慮いただいております。こちらのサイトよりお問い合わせください。

村尾 佳子

グロービス経営大学院 教員

関西学院大学社会学部卒業
大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策専攻修士課程修了
高知工科大学大学院工学研究科博士後期課程修了
学位:博士(学術)

その他プログラム:グロービス・オリジナル・MBAプログラム(GDBA)修了

大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。グロービス経営大学院の事業戦略、マーケティング戦略立案全般に副研究科長、並びに常務理事として携わった後、現在はロボットを扱うスタートアップの会社でCMOとして事業を率いる。教員としては、「リーダーシップ開発と倫理・価値観」、「企業家リーダーシップ」、「マーケティング・経営戦略基礎」、などのクラスを担当する。また複数の企業やNPOに取締役や理事として関与する。共著に『志を育てる』、『グロービス流キャリアをつくる技術と戦略』、『27歳からのMBA』シリーズ(東洋経済新報社)などがある。

※グロービスオリジナルMBAプログラム(GDBA)については以下参照ください
  『大学院開学とGDBAの位置づけ』
  https://mba.globis.ac.jp/about/outline/history.html#gdba