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投稿日:2020年03月04日
投稿日:2020年03月04日
ファイナンス×マーケティングをテーマとした共同イベントを開催。異色コラボが生まれた舞台裏に迫る ――グロービス公認クラブ「グロービス・ファイナンス・クラブ」 「グロービス デジタルマーケティング クラブ」幹事インタビュー
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- 「グロービス・ファイナンス・クラブ」「グロービス デジタルマーケティングクラブ」 活動レポート
グロービスの学生が、共通の目的や問題意識を持つ仲間と自主的に取り組むクラブ活動の活動事例紹介。
2007年の設立以来、『ファイナンスの理論と実践の融合』『シカゴ大学やペンシルバニア大学ウォートン校に負けないファイナンスMBAの創出』を目的に活動するグロービス・ファイナンス・クラブ(以下、GFC)。2019年4月現在、1,348名のメンバーが所属。徹底した現場主義の考えのもと、資本市場で起きているリアルケースを用いてメンバーのファイナンススキル向上を図っている。
グロービス経営大学院の数ある公認クラブの中でも “骨太の存在”として知られるGFCが、グロービス デジタルマーケティング クラブ(以下、デジタルマーケティングクラブ)と共同開催している『ネット業界ファイナンス勉強会』が好評だ。
デジタルマーケティングクラブは、『テクノロジーの進化と、企業・ビジネスをつなげる橋渡し』を目的として2014年に設立。デジタルマーケティング業界で活躍する有識者を招いたイベントや、実務での課題解決を目的とした勉強会を定期的に行っている。2019年4月現在、795名が所属している。
ファイナンスとデジタルマーケティング。一見、接点のなさそうなこの異色のコラボレーションはどのように実現したのか。また、それぞれのクラブ活動についてGFC代表幹事を務める田中博文氏(2006期東京校)と、デジタルマーケティングクラブ代表幹事を務める村上佳代氏(2011期東京校)に話を伺った。後半では、2019年2月に開催された「第2回ネット業界ファイナンス勉強会」の模様もあわせてレポートする。
IT企業のファイナンスを語るなら、マーケティングの知見は避けて通れない
まずは、両氏の経歴から紹介しよう。田中氏は、あさひ銀行(現:株式会社りそな銀行)にて法人営業、戦略財務コンサルティングに携わる。その後、キュービーネット株式会社(QBハウス)にて執行役員経営企画室長を務め、経営企画全般、IPO準備に従事。2004年、みずほ証券株式会社に入社し主幹事担当者として、多数のMBO案件含めIPO実績を残す。その後、日系証券会社の投資銀行部門にてM&Aアドバイザリーチームのヘッドとして活躍。2010年にジェイ・キャピタル・パートナーズ株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。現在、株式会社プラスメディ執行役員CFOも兼務する。
一方の村上氏は、デジタルコンテンツ会社起業、デジタル系大手コンサル会社、大手ネット系事業会社のマーケティング責任者を経て、現在はマーケティングコンサルタント、テクノロジー人材のヘッドハンターとして活躍。さらには、「テクノロジー」「リーダーシップ」「経済的自立」によって、女性の活躍を支援する『Woman in Technology International JAPAN』代表を務める。
異なるバックボーンを持つ二人を結び付けるきっかけとなった人物がいる。「ネット業界ファイナンス勉強会」の主催者でもある、大石雅彦氏(2015期東京校)だ。
大石氏は、2019年からGFCの幹事団に名を連ねるほか、デジタルマーケティングクラブのメンバーとしても活動している。
「3年ほど前に、マスコミ業界で新規事業やM&A業務に従事する大石さんが、私を訪ねてきた」と田中氏。
「当時の彼はとあるネットベンチャー企業の買収・経営統合に携わっており、とても苦労していました。その課題感をファイナンスのプロが集まるGFCのメンバーに相談し、一緒に学び合いたいと申し出があったことが勉強会開催のきっかけでした。勉強会には30人以上が集まり、大いに盛り上がりました。大石さんの話はデジタルマーケティングとも重なる部分が多かったので、デジタルマーケティングクラブの村上さんに声をかけたのです」
村上氏は当時をこう振り返る。「3人で初めて話したときに私が『ネット業界は成長が見込める企業ならたとえ赤字であっても買収や合併は普通にありえる』と言ったら、田中さんが『赤字の会社を買うなんてありえない』と非常に驚いていたことが印象的だった。私や大石さんにとっては当たり前の感覚も、田中さんからするとそうではない、というギャップが面白かったです。また、デジタルマーケティングクラブのメンバーの中には社内の重責を担う人物も多く、マーケティングはもとよりファイナンスにも精通していく必要性を感じていました。そういった経緯から、デジタル系企業のM&Aをテーマに課外授業的に行うのはどうか、という話に発展し、GFCとのコラボレーションが始まりました」
こうして実現した第1回の勉強会は、2018年12月に開催。大石氏がコンテンツメーカーとなり、株式会社メルカリが同年10月に実施した企業買収をテーマにし、盛況のうちに終わった。
コラボレーションの価値は、自分の引き出しにない気づきがあることだと田中氏は話す。
「最先端のマーケティングにファイナンスを融合させると、こういう話になるのだと発想を養えることがこの勉強会の魅力。マーケティングとファイナンスという立ち位置のまったく違う2つが一緒になるからシナジー効果も大きいし、妙味もある。GFCのみで行う勉強会とはまた違う雰囲気があります」
ファイナンスをとことん突き詰める
グロービス公認クラブの多くが、ワークショップやディスカッション形式といった参加型のプログラムを設けるなか、GFCは幹事団がリードする形を取っている。これは設立当初から変わらないスタンスだと田中氏は話す。
「GFCの勉強会は幹事メンバーによるレクチャーが基本で、インタラクティブなことはあまりしていません。リアリティのあるファイナンスをとことん突き詰めることを重視しているので、傍から見るとマニアックなクラブに見えるかもしれないですね。ですが、そこにおもしろさを感じてくれる人がここ3年ほどで増えたように感じます。中には経営層に進言できるくらい力をつけたメンバーもいます。こういう人がクラブから育つようになれたことは感慨深いですね」
田中氏がハードワークと両立しながら10年以上にわたり、GFCの活動を続けてこられたのには2つの理由があるという。
「1つ目は、テーマに困らない点です。毎回、新しいケースをあつかうことで自分自身が勉強させてもらっている部分があります。2つ目は、ビジネスマッチングになること。メンバーから研修やファイナンスアドバイザーの依頼をもらうことは実際多いです。これは私だけでなくメンバー間でも生まれています。こういったつながりが生まれるのもクラブ活動の醍醐味だと感じています」
今後もファイナンス領域の学びを深めていくという設立当初からの想いをブラさずに持ち続けたい、と田中氏は口元を引き締めた。
ナショナルクライアントの実例から身近な実務まで、明日への学びに
村上氏は、2018年にデジタルマーケティングクラブの代表幹事を芳賀洋行氏(2010期東京校)から引き継いだ。年2回開催する業界有識者を招いた大規模なイベントは、コンセプトをそのまま引き継ぎながらも、ナショナルクライアントの実例を積極的にあつかうなど、新しい変化がうかがえる。
「著名な方でも、うれしいことにグロービスの名前を出すと登壇してみようかなという気になってくださるようです。せっかくなのでグロービスの看板をうまく活用し、さらなる“大物”をぜひお招きしたいです」そう話す村上氏は、有識者の話す業界最前線の事例から学ぶものは非常に大きい、と言葉に力を込める。
「皆さんのフィジビリティースタディ(実行可能性調査)の場として活用してもらえるとクラブの価値も上がるし、私たちのやりがいにもつながります。もちろん、その後の懇親会を目的にご参加いただくこともウェルカムです。肩ひじを張らずに、ぜひ足を運んでください。新しい学びや人との出会いが必ずあると思います」
また、実務における課題解決を目的に、現場で実際に用いるデータを使ったクローズドの勉強会も村上氏の代からスタートした取り組みだ。
「勉強会は幹事団の声から生まれたプログラムです。『メールの開封率を上げるには、どのようにライティングすべき?』など、本当に身近なテーマをあつかっています。大小さまざまな視点から知識を深め、明日からの業務にぜひ役立てていただければ。たくさんの方の参加をお待ちしています」
「グロービス・ファイナンス・クラブ」と「グロービス デジタルマーケティング クラブ」が共催する発表会のイベントレポートはこちら
「グロービス・ファイナンス・クラブ」とは
「ファイナンスの理論と実践の融合」 「シカゴ大学やペンシルバニア大学ウォートン校に負けないファイナンスMBAの創出」を目的に継続的に勉強会を開催。直近の資本市場で起きているリアルケースをもとに参加メンバーと知識と知恵を共有し、メンバーのファイナンスレベル向上をめざすクラブ。
「グロービス デジタルマーケティング」クラブとは
今や企業や社会のデジタル対応は当たり前。進化の早いテクノロジーとビジネスをつなげるための橋渡しとして、デジタルマーケティングの有識者を招いた大規模イベントやクローズドな講演会・勉強会などを定期的に開催。「しっかりデジタルマーケティングを活用できる」状態をめざすクラブ。
クラブ活動とは
社会の「創造と変革」に貢献することをテーマに掲げ、グロービスの学生が自主的に取り組む活動です。共通の目的や問題意識を持った同志が集い、それぞれのクラブが多彩なテーマで独自の活動を展開しています。学年の枠を超えて、在校生と卒業生が知識や経験を共有し合うクラブ活動は、志を実現につなげるための場として、大きな意味を持つものとなっています。
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