GLOBIS Articles

  • テクノロジー
  • イノベーション
  • クラブ活動
  • イベント

投稿日:2019年03月08日

投稿日:2019年03月08日

FinTechとは何か?OsidOri(オシドリ)の起業ストーリーと目指す未来――グロービス公認クラブ「FinTech研究会」 イベントレポート

クラブ活動
FinTech研究会活動レポート

グロービスの学生が、共通の目的や問題意識を持つ仲間と自主的に取り組むクラブ活動の活動事例紹介。

日本でFinTech(フィンテック)という言葉が使われ始めて4、5年が経過し、金融サービスのあり方は日に日に進化を遂げている。そんなFinTechのトレンドを研究し、自らの事業活動の創造と変革に活かすためのクラブ活動が、2016年4月に発足したFinTech研究会である。

クラブメンバーは900名以上(2018年12月現在)。3ヶ月に1回のペースで、メンバーで集まる会合(全体会)を開催し、「キャッシュレス」「クラウドファンディング」「ブロックチェーン」などのテーマに沿ったゲストを招いて講演やイベントを行っている。また、1ヶ月に1回は幹事メンバーで集まり、関心のあるテーマについて勉強会を実施。Facebookページでの情報交換も盛んだ。

2018年12月には9回目となる全体会が開催された。今回はそのイベントレポートを、代表幹事・副代表幹事へのインタビューとともにお送りしたい。

幹事に聞く、FinTech研究会発足の経緯

FinTech研究会の幹事団は15名。なかでも先頭に立ってクラブ活動を牽引するのは、グロービス卒業生であり代表幹事の宮本敬史(たかし)氏と、同じく卒業生で副代表幹事の佐々木喬史(きょうじ)氏だ。

(左:宮本氏、右:佐々木氏)

宮本氏は、ビットワレット(現楽天Edy)や楽天、決済関連のコンサルティング会社などを経て、2018年6月に株式会社OsidOri(オシドリ)を設立。共働き夫婦のお金の管理をスマートにするアプリサービス事業を展開している。佐々木氏は、信用金庫や銀行などの金融畑を経て、現在は社会的インパクト投資の財団事業やソーシャルビジネスの非営利団体運営に、事業立ち上げメンバーとして携わっている。

FinTech研究会発足のきっかけは、2016年のあすか会議(http://aska.globis.ac.jp/)だったという。グロービスの学生自らがテーマを設定して参加者を募る少人数制ディスカッション「パワーモーニング」にて、当時FinTech関連のコンサルティングを手がけていた宮本氏がFinTechをテーマにディスカッションを行ったことが始まりだ。そこに佐々木氏も参加しており、そのままクラブとして活動を継続する運びになった。

「その頃、FinTechという言葉を耳にする機会は増えつつあるものの、まだまだ世の中に浸透しきっていない状態でした。僕自身もっと深く分析したいと思っていましたし、グロービスには金融業界の方がたくさんいるので、せっかくなら大勢の方を巻き込んで幅広くやりたいなと思った」と、宮本氏は当時を振り返る。

発足から約2年半で1000名規模にまで拡大したFinTech研究会だが、お二人はどんな思いで運営をリードしてきたのだろうか。本業と並行しての幹事業務は決して楽ではないと推測されるが、お二人から返ってきたのは「楽しい」というポジティブなワードだった。

「純粋に、FinTechに尋常じゃないほどの想いがあるんですよ」と笑ったのは宮本氏。「グロービスの授業にただ通っているだけだと、知り合えるのはクラスの仲間や同じセクション(グロービス経営大学院に同じ年度に入学した学生を、1グループ40名程に分ける制度。学生により、グループ毎の理念が創られ、その理念に基づき自主運営されている)の人くらい。でも、クラブ活動を通じてFinTechに詳しい人とのコネクションがたくさんできて、僕自身の知見も広がりましたし、メンバー同士の情報共有も濃いものになりました。発足当初からのコンセプトである『FinTechを深く追究する』という部分を実現できていると感じています」

佐々木氏もメンバーとの繋がりについて触れた。「立ち上げ期から参加しているので、仲間との関係性や絆は深まっています。そんな仲間ができたことは、幹事をしていて良かったことのひとつですね。あとは、ぐいぐい引っ張っていくリーダーシップの経験もできました。ただ、これからのフェーズには、サーバントリーダーシップと呼ばれるような後ろから後押しするリーダーの形が必要になってくるでしょうから、うまくシフトしていけたらと思っています」

成熟期を迎えるFinTech研究会の課題とこれから

一方で、課題に感じている部分もいくつかあるという。宮本氏が挙げたのは組織の「新陳代謝」。現在のメンバーは2015・2016年度に入学した学生が中心だが、活動を継続していくうえで2017・2018年度に入学した在校生の参加を増やしたいのだそうだ。また、全体会の登壇者は主にメンバーのコネクションを通じて依頼しているため、各分野の精通者とのネットワーク拡大も急務だという。

FinTech研究会では、今後重視していくキーワードとして「コミュニティの形成」を挙げている。クラブが成熟期に入りつつある今、幹事団からの発信だけでなく内発的に意見が交わされ、より多くのメンバーが積極的に活動に関わるような状態を目指していきたいのだという。

「まずはFacebookでの情報提供の仕方を変えていきたい」と佐々木氏。「我々がニュースを発信するだけでなく、メンバーそれぞれに自分の活動内容や参加したセミナーのレポートをアップしてもらうようなページにしていきたいです。そこから発展して、リアルな場でもメンバー同士が自発的に意見したり、ビジネスアイデアを持ち寄って相談したりできるコミュニティに進化していけばいいなと。外部の人たちとの連携や外へのアウトプットも強化して、単なる内輪の勉強会ではないオープンなクラブ活動にしていけたらと思っています」

宮本氏もまた、「メンバー同士の相互コミュニケーションを増やしたい」と語った。「参加者の話を聞いていると、特定の分野にすごく詳しかったりするんですよ。FinTechベンチャーで働いている人もたくさんいると思いますし、そういう人たちのコミュニケーションが活発になる場を提供できれば、クラブ活動の価値もさらに上がるのではないかと思っています」

最後に、FinTech研究会への参加を検討している皆さんへメッセージをいただいた。

「FinTechの状況は目まぐるしく変化しています。これまではベンチャーが業界を壊すという概念が主流でしたが、最近は企業がFinTechを取り込んでいかに活用するかを考える時代。そういった最新情報が手に入るのがFinTech研究会。単なる学ぶ場ではなく、そこからビジネスが生まれるような場をつくっていきますので、メンバーもしくは幹事としてぜひ参加してみてください」と宮本氏。

佐々木氏からは、「FinTechは自分には関係ないと思いがちですが、金融はほぼすべての生活や事業に関わってくるもの。それが今、大きく変化しようとしているんです。その変化を理解してグロービスでの学びと融合することはとても重要ですし、そう思ってもらえるようにより良い運営をしていきます。ビジネス相談なども遠慮せずしてもらえたら嬉しい」と力強いコメントが寄せられた。

第9回全体会 そもそもFinTechとは何か?

第9回全体会は、FinTech研究会幹事の佐々木氏による挨拶で幕を開けた。

「発足から2年5ヶ月でクラブメンバーは917名。1000名を超えるとGEC(グロービス・アントレプレナーズ・クラブ)などの大型クラブに次ぐ規模になります。来年以降も3ヶ月毎に全体会を開催していきますが、今後はテーマや登壇者のリクエストをメンバーから積極的に募りたいと思っています。全体会とは別に、1ヶ月ごとに幹事で集まって勉強会もしていますので、より深く勉強したい方は幹事会へぜひお越しください。」

今回の全体会の講演テーマは、代表幹事の宮本氏による「FinTech動向の2018年振り返りと2019年予測」。また、宮本氏がCEOを務める株式会社OsidOriの起業ストーリーについても、ともに創業したCOO中山知則氏より紹介いただくというプログラムだ。

宮本氏の登壇の前に、参加者一人ひとりによる自己紹介が行われた。銀行勤務で今後のFinTechの流れを知りたいという人、FinTechへの対応が遅い大企業を動かすヒントを知りたいという人、仕事とは関係ないがブロックチェーンに興味があるという人など、参加者のバックグラウンドはさまざま。「FinTechはほぼすべての生活や事業に関わってくる」という佐々木氏の言葉を自分なりに実感している人たちが、多忙な時間の合間をぬってここに集まっている。

自己紹介を終え、宮本氏の講演がスタート。まずは初めて参加した人にも理解しやすいよう、FinTechの概要の説明から始まった。

「FinTechはFinanceとTechnologyを掛け合わせた造語で、ITを活用した革新的な金融サービスのこと。金融分野にも、もともとテクノロジーは存在していましたが、セキュリティなどの『守り』が重視されていて、『攻め』の概念はあまりなかった。ITを活かしてユーザビリティを高め、よりユーザーファーストなサービスを提供していこうというのが、FinTechの根底にある考え方です。スマートペイメントや仮想通貨、クラウドファンディングなどが例ですね」

たとえば「スマートペイメント」は、決済のシームレス化を図るサービス。楽天ペイ、LINE Pay、PayPayはもちろん、SuicaやETC決済なども該当する。消費者から加盟店へお金が流れるまでには、イシュア(クレジットカード発行会社)やアクワイアラ(加盟店獲得会社)、決済代行といった多様なプレイヤーが存在。支払いタイミングについても、ネット決済、来店前決済、退店後決済などさまざまなパターンがあり、近年のスマートペイメントを取り巻く環境は非常に複雑になっている。

他にも、ブロックチェーンをベースにした新しい通貨である「仮想通貨」、大衆からお金を調達する「クラウドファンディング」「ソーシャルレンディング」、会計・経理・精算などのサービスをASPで提供する「法人向けサポート」、最適な投資・資産運用プランをアルゴリズムにより提供する「投資・資産運用・ロボアドバイザー」、クレジットカードで買いものをした際の端数を自動的に貯金や投資にまわす「お釣り系サービス」、与信の仕組みが近年変わりつつある「レンディング(融資)」、自分のアプリ内で銀行取引データなどを一元管理できる「PFM (Personal Financial Management)」、個人間でお金のやりとりをする「送金・割り勘系サービス」…。宮本氏が紹介したFinTechを構成する要素は、ざっと挙げても10近く。これだけ多くの企業や組織がFinTech領域に参入し、社会にイノベーションを起こそうとしているのだ。

2018年のFinTechニュースランキング

2018年のFinTech動向を振り返るにあたり、10大ニュースを自分なりにランクづけしてきたという宮本氏。この1年のトレンドを把握できるとあって、参加者の関心はより一層高まったように見えた。

10位は、お釣り系サービスの躍進。「『finbee』『しらたま』『トラノコ』『マメタス』など、いろんなサービスが生まれ盛り上がりました。毎日の買いものが貯金や投資に繋がるという、おもしろい考え方だと思います」。

9位は、オープンAPI。「2017年5月の銀行法改正を受け、2018年4月に各銀行が自社のAPI方針を発表しました。銀行が持つ顧客の金融データへのアクセスが可能になっていくということですね。今後はルールが整備され、銀行とFinTechベンチャーとの連携がより進んでいくと思われます。最近では、預金残高や入出金明細を参照できるだけでなく、振込なども行える『更新系API』も出てきています」

8位は、送金アプリの明暗。「2017年に『Kyash』などの送金サービスがスタートし、盛り上がりそうな分野でしたが、先駆け的存在だった『paymo』が2019年5月にサービスを終了するなど難しい局面を迎えています。お互いが同じアプリを持っていないと送金できないので、誰もが気軽に使える仕組みをつくらないと難しいのではないかと感じます」

7位は、マネーフォワードの拡大。「2017年に上場して資金を獲得し、クーポンアプリ『tock pop』や『Money Forward Mall』、AI融資審査モデル開発など、いろんな事業に挑んでいます。金融庁や日銀、医療業界出身者を入れるなど人材強化にも力を入れており、金融分野の中でも真っ当な道を進んで伸びている会社だなという印象」

6位は、企業連携。「NTTドコモとTHEOが組んで、dポイントで投資ができる『THEO+ docomo」をスタート。他にもSBI証券とCCC、みずほ銀行と第一生命、ヤフーと三井住友など、FinTechまわりで各社がタッグを組んだ年でした』

5位は、支払い方改革。「年初から給与前払いの仕組みがいろいろと出てきたり、『働いた分を翌日にもらう』『支払い時期をずらす』といったサービスが出てきたりと、支払いの仕方が変わってきています。給与の概念自体も変わりつつあり、デジタルマネーでの支払いを厚労省が検討し始めたこともトピックスですね」

4位は、LINEの金融化。「今年はLINEが金融分野に大きく舵を切りました。もともとLINE Payはやっていましたが、公共料金を払える『請求書支払い』への対応、『10円ピンポン』、損保ジャパンと組んだ『LINEほけん』、みずほ銀行と組んだ『LINE BANK』など、金融分野の新たな事業を続々と開始。年初に蒔いたタネが今年後半になってババッと芽生えてきた印象です」

3位は、巨額調達の嵐。「今年のFinTechベンチャーはかなりの額の資金調達をしています。ロボアドバイザーのウェルスナビは85億円・累計107億円、テーマ型投資のFOLIOは70億円、モバイル決済のOrigamiは66億円…など、巨額調達が目立ちました」

2位は、仮想通貨。「ビットコインは2017年の暮れに230万円にまで高騰しましたが、その後は下落トレンド。個人投資家の売り、各国の規制が厳格化されたこと、採掘(マイニング)の撤退が相次ぎ…と、仮想通貨業界は苦しい状況にある」

そして1位は、キャッシュレス。「キャッシュレスへの動きは近年ずっとありますが、官民一体となって動いたのが今年。経産省は4月にキャッシュレス・ビジョンを掲げ、現在約20%のキャッシュレス比率を2025年までに40%、将来的には80%にまで引き上げる目標を立てました。それにともない、キャッシュレス決済5%還元をはじめ、カード手数料を下げるなどの話も出ています。民間分野では、PayPayをはじめとするQRコード決済や、無人決済コンビニの登場などで盛り上がりました」

2018年のFinTechを振り返り、宮本氏はこんな言葉で締めくくった。「仮想通貨580億円大盗難事件に始まり、PayPayの100億円バラマキで終わる、“金金金”の1年だったような気がします」

2019年のFinTech動向予測

新しい年を迎えるにあたり、FinTechを取り巻く状況の変化として宮本氏が予測したのは、「FinTechベンチャーの減少」「銀行の提携」「新しい覇権争い」の3つ。

「特にB to C向けのFinTechベンチャーが減るのではないかと思います。すでにサービス化ができあがっているところが多いので、提携やM&Aの方向に動いていくのでは。B to Cがひと段落したことで、B to B向けは増えていくかもしれません」

銀行の提携に関しては、「景気が低迷するかもしれないという雰囲気が出始めているし、地銀の足もとの悪さは今までもずっと言われ続けている。純粋に“ガッチャンコ”するというよりは、アライアンスなどで集約されていくのではないでしょうか」と言及した。

3つ目の覇権争いについては、「LINEがこれだけ金融事業に進出しているので、そもそも金融に強い楽天や、メルペイなども加わって、戦いが激化していくと思います。あとは、もともとユーザーを持っているイオンやセブンはどうするのか、メガバンク3行やキャリアはどう動くのか、マネーフォワードは覇権争いに食い込んでくるのか、もしくは寄り添うのか? も気になるところ」と、業界がさらに複雑化していくであろうことを示唆した。

自身もB to C向けFinTechベンチャーの代表として、共働き夫婦のためのお金管理アプリ『OsidOri』のサービス展開を進めている宮本氏。FinTechを知り尽くす同氏が起業を通じてどのようなビジョンを実現しようとしているのか。そこに関心を寄せていた参加者も多いだろう。後半パートでは、OsidOri創業者の一人であるCOO中山氏からサービス概要や今後の展望について語られた。

株式会社OsidOri(オシドリ)が目指す未来

「共働き夫婦のお金の管理をスマートに」をコンセプトにプロダクト開発を進めているOsidOri。2018年6月に設立、7月にFinTech協会加入、11月の「グロービスベンチャーチャレンジ(GVC)2018」大賞や1月の「X-Tech Innovation 2017」協賛企業賞など、いくつかのビジネスコンテストでも受賞を果たしている。

ターゲットは共働き夫婦で、その数は増加を続けており全国で2400万人にのぼる。彼らの特徴は、ダブルインカムゆえに「個人のお金」と「夫婦のお金」、2つの家計を管理しなければならないこと。ゴルフクラブやコスメなどの個人の出費を楽しみたい一方で、将来に向けた夫婦のお金の形成も重視する必要がある。

複数のお金を管理するにあたり、共働き夫婦の多くは3つの悩みを抱えていると中山氏は言う。「まずは、お金の把握が難しいこと。自分のカードで家族のものを買ったり、その逆があったりと、把握しにくい状況になりやすい。2つ目は、家計管理にともなう手間のかかるタスクがたくさんあること。お互いにレシートを取っておき個人分と家族分を精算するなどの面倒な処理が出ます。3つ目は、将来のお金への不安。貯蓄はしているものの、人生100年時代において、このまま自己流の方法で果たして問題ないのかという不安を持っています。過去に実施した百数十人へのデプスインタビューでも、8割の共働き夫婦がこれらにあてはまりました」

一人用の家計簿アプリは数多く存在するが、登録した個人口座を相手に見られることに抵抗を覚える共働き夫婦は多い。FPに依頼するという手もあるが、直近の家計の管理を相談するにはハードルが高いのが現状だ。そこで考案されたのが、ひとつのアプリで2つのお金を管理できる『OsidOri』である。

特徴は、自分だけ閲覧できるものと夫婦で閲覧できるものを設定することでプライベートとシェアを両立できる点や、夫婦のお金のタスク削減に繋がる機能、また、積立や教育資金などの共同貯金についても、進捗管理や未来へのアクションのサポートをしてくれるような機能を拡充していくという。「今と未来のお金を、二人で見て使うことができるサービスは、今の日本にはまだありません」と中山氏は力強くアピールした。

『OsidOri』の興味深いポイントは、サービスを企業向けに展開しようとしている点だ。夫婦の課題に特化することで得られる世帯データを活かし、あらゆる金融サービスを繋げるハブになりたいと中山氏は語る。

「たとえば、保険会社に対して『OsidOri』をマーケティングツールとして提供することを考えています。保険会社の顧客が結婚するタイミングで『OsidOri』を導入してもらえば、ライフイベントを捉え、最適な保険を提案することができます。夫婦間での送金を銀行APIや送金アプリで投資にまわすなど、他社サービスとの連携もぜひやりたい。」

今回の起業の原点には、宮本氏のこんな思いがあったという。「コンサルするだけでなく自分で何かを生み出したいと思ったのがひとつ。あとは、夫婦間のお金の管理に対する課題感が僕自身にもありました。うちも以前は共働きで、銀行口座や仮想通貨などいろんな形の資産があったので、僕が万一いなくなったらこれらはどうなるんだろう? 妻とあらかじめ共有しておくにはどうすればいいんだろう?と漠然と思っていたんです。実際にヒアリングしてみたら、結婚した途端に同じような悩みを持ち始める20〜30代はけっこう多くて、ニーズは必ずあるだろうと思いました」

参加者からは率直な感想がいくつか挙がった。「使ってみたい」と答えた人からは、「結婚当初に自分のお金まわりを全部見せるのは抵抗がある(男性)」「夫より収入が多い場合に稼ぎを知られたくない(女性)」といったお金の分別管理に対する理解の声が寄せられた。

FinTech動向の振り返りと予測、そしてFinTechベンチャーとして新たなスタートを切ったOsidOriの起業ストーリーについて語られた第9回全体会は、参加者全員での集合写真撮影をもって終了。その後は場所を変え、任意参加の懇親会が催された。

2019年最初の全体会は、3ヶ月後に開催される予定。ウェルスナビ、ネストエッグ、ソラミツ、NTTデータ、住信SBIネット銀行、Ginco、マネーフォワードなど、FinTechを語るうえで欠かせない各企業からゲストを迎え、毎回密度の濃い講演を行っているFinTech研究会だけに、今後の活動からも目が離せない。

フィンテック研究会とは

FinTechの最新潮流や外部環境の変化をいち早く察知し、メンバー各々が自社における事業活動にイノベーションの種を蒔くことを目指すクラブ。在校生・卒業生約900名(2018年12月時点)が在籍し、分科会(自主勉強会、読書会など)やFinTechサービスを実際に体験する機会等を通して、基礎情報からマニアックな情報まで広く深くFinTechについて学べる機会をつくり、「事業展開の可能性を探っていく場」を提供しています。

クラブ活動とは

社会の「創造と変革」に貢献することをテーマに掲げ、グロービスの学生が自主的に取り組む活動です。共通の目的や問題意識を持った同志が集い、それぞれのクラブが多彩なテーマで独自の活動を展開しています。学年の枠を超えて、在校生と卒業生が知識や経験を共有し合うクラブ活動は、志を実現につなげるための場として、大きな意味を持つものとなっています。

グロービスのクラブ活動一覧はこちら

クラブ活動

FinTech研究会活動レポート