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投稿日:2020年09月07日

投稿日:2020年09月07日

「Digital Transformation(DX)~産業変革を支える真のリーダーとは~」 特別セミナーレポート

関灘 茂氏
A.T.カーニー マネージングディレクタージャパン(日本代表)
グロービス経営大学院 教員

2020年6月、グロービス経営大学院は、参加者約2,250名の特別セミナーをオンラインで開催した。本記事では、その様子を一部ご紹介したい。

スピーカーは、今年1月に史上最年少でA.T. カーニー日本代表に就任した関灘茂氏。消費財・小売プラクティス、および、デジタルトランスフォーメーションプラクティスの日本におけるリーダーでもある。

DXは組織横断でチームとして取り組む

コロナ禍でますます加速する企業のデジタルトランスフォーメーション(以下DX)。日本企業がDXを成功させるには、組織横断でチームとして取り組む必要があると関灘氏は言う。

「欧米では、ある企業でDXに成功したチームがそのまま他の企業に転職し、蓄積したノウハウをもとにDXを成功に導くという事例があります。一方、日本企業では、細分化された各組織の中で個人がDXを一から学ぶケースも。この場合、成長スピードは遅く、ノウハウも蓄積されにくい。まずは経営者がDXの必要性を理解し、個人ではなく組織横断型のチームを組成する。そしてチーム全体でDXとは何かを丁寧にひも解き、どこにリソースを投入していくか、徹底的に考え実行することが成功へのポイントです」

継続的な自己変革が真のリーダーを生み出す

(出所:関灘 茂氏)


真のリーダーとは、50年後も見据えた明確な理想像と覚悟をもち、自己変革を継続できる人だと語る関灘氏。

「A.T. カーニーには自己変革のマイルストーンがあります。第1段階は、高いコンサルティング能力をもつ『強い個』になること。第2段階は、経営者と同じ視座で 『経営を語れる個』になること。そして第3段階は、BTCスキル(※)を兼ね備えた『尖った個』になることです」

BTCスキルを身につけるコツについては「インプットした知識の構造化が重要」と解説。

「最初からあらゆる領域のつながりを考えるのは難しい。まずは1ヵ月、3ヵ月など期間を決め、特定の領域を集中的に学びインプットするのがオススメ。そしてインプットした知識を整理して構造化する。このプロセスが重要です。各領域の知識を構造化できると、違う領域ともつなぎ合わせやすくなります」

※ビジネス(B)・テクノロジー(T)・クリエイティブ(C)の各分野で求められるスキル

20代・30代が変革の鍵を握る

転職に対し柔軟な意識をもつ若い世代が次々に退職すると、経営層も強い危機感を抱き、DXなどの変革スピードが加速することになる。20代・30代の動きが、今後の企業変革や産業変革に及ぼす影響は大きいだろう。

そんな20代・30代のビジネスパーソンに「本物の基礎力を身につけてほしい」と関灘氏。

「自分の身を置く環境を意識的に変え、さまざまな刺激を受けてほしい。新たな刺激は、思考や言動を変え、自己変革を促すはずです」

最後に関灘氏は、「これからの世の中を変えていくのは20代・30代の皆さんです。私自身もこれから40代・50代となっていくわけですが、世の中をより良くしようと、創造や変革に挑む方々が活躍できるような環境づくりに尽力したい」と、参加者へメッセージを寄せた。

創造と変革で、日本そして世界を変えようとする関灘氏の今後の活躍を期待したい。

関灘 茂氏

A.T.カーニー マネージングディレクタージャパン(日本代表)
グロービス経営大学院 教員

兵庫県神戸市出身。神戸大学経営学部卒業後、A.T. カーニー株式会社入社。INSEAD(欧州経営大学院)MAP修了。消費財・小売・メディア・サービス・金融・不動産分野を中心に30社以上のクライアント企業と共に、新規事業創造、既存事業変革(デジタル・トランスフォーメーション)、マーケティング・イノベーション、組織文化・行動改革、M&A・PMIなどを経営テーマに100以上のプロジェクトを推進。経済産業省 「新たなコンビニのあり方検討会」委員、K.I.T.虎ノ門大学院 客員教授(マーケティング、及び、戦略プロジェクトマネジメント担当)、大学院大学至善館 特任准教授(マーケティングとイノベーション ー市場創造への挑戦-担当)、リーダーシップ教育・社会啓発を目的とした特定非営利活動法人ISLのリーダーシッププログラム・次世代経営者ゼミ ファカルティ。