グロービス経営大学院

お知らせ

2024年09月24日

2024年09月24日

AIを活用した「アンケート分析システム」を導入!
〜分析時間7割削減、より効果的に学習体験を向上〜

グロービス経営大学院は、AIによる自然言語テキスト解析エンジン「GAiDES」搭載のアンケート分析システムを導入しました。「GAiDES」は、学内のシンクタンク「グロービスAI経営教育研究所(略称 GAiMERi)」が独自に開発した自然言語テキスト解析エンジンです。
2023年1月期から本システムを運用し、アンケートの解析時間が70%短縮されるなどの効果がありました。

背景

グロービス経営大学院では、東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・水戸・横浜・オンラインで年4回(4月期・7月期・10月期・1月期)、各期ごとに延べ約40科目・300程度のクラス*1を開講。各クラスの授業は、2週間に1回(3時間)のペースで、全6回(3ヶ月)行われます。2回目の授業終了後に、各科目の学生に対して中間アンケートを実施。アンケートで学生から寄せられた要望やコメントをクラス運営の改善、学習体験向上に活かしており、授業に対する高い学生満足度(5段階評価で平均4.6以上)を支えています。

一方、アンケートの内容から即応が必要な課題を抽出し、速やかに3回目以降の授業に反映、改善につなげるためには、6,000件にものぼる自由記述アンケートを、教員およびアンケート解析スタッフが、数日という短期間で、細部まで見落としがないよう読み込む必要があり、時間を要する業務となっていました。

*1 同一科目において、開催場所や日程の異なる複数クラスを開講している場合は、開講したクラスの延べ数を「クラス数」としてカウント

アンケート分析システムについて

このシステムは、AIがアンケートの中から授業の改善に役立つ記述を抽出するものです。自由記述回答のうち、重要な箇所をAIがハイライト。さらに、内容に応じてラベルを分類します。科目や開講期、ラベルなどを指定した上で、回答を一覧表示することが可能です。

GAiMERiが独自に開発した言語モデルシステム(GAiDES:GLOBIS AI Document Evaluation System)を使用し、過去のアンケート自由記述から、対応が必要な課題に該当する記述部分を人間が抽出・分類し、アンケート記述と課題の関係をAIに学習させることで、AIが対応が必要な課題を大量のアンケートから該当部分を抽出・分類できるようにしています(図1)。

図1

アンケート分析システムの管理画面。
上部で条件設定を行うと、下部に条件に該当する回答があったアンケートが一覧で表示され、該当箇所がハイライトされる。
上図は授業構成に関する記述部分を抽出した例示。

システム導入によって、毎四半期約6,000件におよぶ中間アンケートの解析時間を70%短縮することに成功しています(2023年11月時点と2024年2月時点の比較)。アンケート解析のスピードアップにより学生の学習体験を支えるバックオフィスの作業が迅速かつ的確に進み、クラス運営の改善が早まることで学生の満足度や学習体験向上が期待されます。

開発者コメント

この中間アンケートの分析に導入開始した「アンケート分析システム」は、グロービス経営大学院の学内シンクタンク「グロービスAI経営教育研究所(略称 GAiMERi)」が開発し、2019年に特許取得した自然言語テキスト解析エンジン「GAiDES(GLOBIS AI Document Evaluation System、略称 ガイデス)」*2を搭載しています。

今回の導入にあたって、グロービスAI経営教育研究所 所長の鈴木健一は、以下のように話しています。
「GAiMERiはグロービス経営大学院の学内シンクタンクとして、次世代経営教育モデルの研究開発をAIの活用により進めてきました。その成果はすでに具体的な形となっており、記述式問題へのフィードバックシステムであるGAiL(GLOBIS AI Learning)、対話型の学習システムであるGAiChaL-2.0(GLOBIS AI Chat Learning)など、個々の学習者に対して個別化された新しい学習体験をすでにリリースしています。
さらに今回、学習体験を支える重要なバックオフィス業務である学生アンケート解析にもAIを導入しました。GAiDES(GLOBIS AI Document Evaluation System)の利用により、アンケート解析の効率化と質の向上を同時に実現しています。これにより、学生の声を従来以上により迅速かつ正確に把握し、教育プログラムの継続的な改善に活かすことが可能となりました。GAiMERiは、これらの成果を足がかりに、今後も次世代のビジネスリーダーの育成に貢献していきます」

7月29日にリリースした生成AIを活用した復習ツールの提供*3をはじめ、グロービス経営大学院は、学生の学びにも、バックオフィスにも最先端のテクノロジーを活用し、よりよい学習体験を提供しています。

今後も、GAiMERiの研究を活かし、AIやテクノロジーを使った創造と変革、すなわちテクノベート*4を担う次世代ビジネスリーダーの育成を推進していきます。

*2 ニュースリリース:https://globis.co.jp/news/other/4968-2021-12-03/
*3 ニュースリリース:https://mba.globis.ac.jp/news/detail-24191.html
*4 テクノロジーとイノベーションを組み合わせた造語

グロービス経営大学院におけるAI活用

グロービス経営大学院では、GAiMERiの研究を活かし、AIやテクノロジーを使った創造と変革、すなわちテクノベートを担う次世代ビジネスリーダーの育成を推進しています。 「テクノベート」を標榜する経営大学院として、2019年から入試の書類選考にAIを試験導入するなど、先進的な取り組みを行ってきました。2021年、AIによる自然言語テキスト解析エンジン「GAiDES(GLOBIS AI Document Evaluation System)」を搭載したレポート採点支援システムに関して、グロービス初となる特許を取得。次いで2022年に新たに特許を取得したAIラーニングシステム「GAiL(GLOBIS AI Learning」は、AIを使った記述式学習システムで、AIによるフィードバックをもとに学習を進めることを可能とし、動画とAIで学ぶMBA単位「ナノ単科」*5の学習サイクルにおけるAIによる実践演習に活用されています。さらに2023年3月には、ChatGPTを活用した対話型の学習システム「GAiChaL-1.0(GLOBIS AI Chat Learning)」を開発し、世界に先駆けて「ナノ単科」に実装。7月29日にリリースした生成AIを活用した対話型学習システム「GAiChaL-2.0」は、MBAプログラムの科目での復習ツールとして提供を開始しています。

*5 ナノ単科:
https://info.nano.globis.ac.jp/

グロービスAI経営教育研究所(略称 GAiMERi)の概要

2017年2月開設。国内最大のビジネススクールであるグロービス経営大学院、企業の人材育成や組織変革など教育現場から得られる知見と、AIをはじめとするデジタルテクノロジーや認知科学の発展がもたらすイノベーションを統合し、次世代の経営教育モデルの研究開発を推進する研究所。
URL:https://mba.globis.ac.jp/feature/technovate/gaimeri/