GLOBIS Articles

  • 思考
  • リーダーシップ
  • インタビュー

投稿日:2025年07月16日

投稿日:2025年07月16日

【JBCCインタビュー】「ひとりじゃ見えない景色」— チームの力で掴んだ優勝の軌跡

【JBCCインタビュー】「ひとりじゃ見えない景色」— チームの力で掴んだ優勝の軌跡

「日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)2024」で、グロービス経営大学院の学生チームが全国163チームの中から優勝・準優勝・特別賞を受賞する成果を収めました。本選の最終審査に進出した5チーム中3チームがグロービス生という結果となり、各チームの努力が実を結びました。

彼ら彼女らの成功の背景には、グロービスで培われた思考力、チームワーク、そして学びを実践につなげる力がありました。今回は優勝、ならびに文部科学大臣賞を受賞した大角さんチームのメンバーに、JBCCでの経験、グロービスでの学び、そして今後の挑戦について話を伺いました。

JBCCとは

日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)は、全国のビジネススクール生が企業の課題解決と戦略立案を競う国内最大級の大会です。2024年大会は「企業と資本市場の対話による価値共創」をテーマに開催されました。

今大会には国内外25校から過去最多となる163チーム、748名の現役MBA生が参戦。昨年より11チーム・40名増と、年々規模を拡大し続けています。

11月17日に行われた本選では、厳しい予選を勝ち抜いた20チームがセミファイナルで火花を散らし、勝ち残った5チームが午後のグランドファイナルへ進出。ビジネス界の第一線で活躍する10名の審査員を前に、緻密な分析と説得力ある提案、そして鋭い質疑応答が繰り広げられました。

チームメンバー紹介

大角チーム

※写真左より荒木さん、高橋さん、河上さん、大角さん、上田さん
※プロフィールはインタビュー当時(2025年1月時点)のものです

大角 康輔さん(東京校、2024年入学)
住宅メーカー勤務。ファシリテーターとして議論を進行し、リーダーとしてチームをまとめ上げた。

河上 千恵さん(東京校、2024年入学)
自治体向けサービスを開発するIT企業勤務。資料作成とストーリー構築をリードし、提案内容の説得力を高めた。

上田 純也さん(大阪校、2024年入学)
税理士事務所を経営。経営者視点を活かした戦略立案でチームを牽引した。

荒木 大輔さん(大阪校、2024年入学)
法人向けマーケティングリサーチ事業で営業マネジメントに従事。本選のプレゼンテーションを担当。

高橋 英里さん(大阪校、2024年入学)
外資系コンサルティングファーム勤務。戦略立案担当とレビュー実施で提案内容の完成度向上に貢献。

“強みの掛け合わせ”で生まれたチーム

― チームを結成しようと思われたきっかけは何だったんでしょうか?

大角さん:チーム結成は4月の早い段階で決まっていたんですが、実は私は誘われた側なんです。発起人は河上さんで、中心となってみんなに声を掛けてくれました。

河上さん:もともと大角さんと高橋さんとは「クリティカル・シンキング」でご一緒していたので、2人の強みをよく知っていました。JBCCに挑戦するにあたって、「この2人は絶対に外せない」と思って、真っ先に声を掛けました。

河上さん:まず高橋さんは、オールラウンダーとしての実力を知っていたので、迷わず即決でした。大角さんはアカウンティングやファイナンスなどのカネ系に強いので、この2人がいれば、きっといい線いけるだろうという確信がありました。

河上さん:また、2024年1月期の「ビジネス・アナリティクス」で荒木さんのプレゼンを拝見したんですが、これが本当に素晴らしくて。分析力もプレゼン力も抜群で、「この人は絶対にチームに迎えたい」と思いました。そして最後のピースとして、経営者の視点で考えられる方が必要だと感じていたんです。そこで、大学院(本科)入学直後にお会いした上田さんに、初対面ながら声を掛けることにしました。

上田さん:正直、びっくりしましたね。初めて会った日の夜にLINEが届いて、「JBCCやりませんか?」というメッセージが。それが、その日初めて顔を合わせた河上さんからだったんです。JBCCが何なのかも分からなかったので、まずは調べてみました。「ああ、こういうコンペティションがあるのか」と理解はしたものの、具体的に何をするのかもよく分からないですし、仕事も忙しかったので、「一週間考えさせてほしい」とお返事しました。

― 迷いながらも、結果的には参加を決断されたんですね。

上田さん:そうですね。一週間じっくり考えたんですが、最終的には「まあ、何事も経験だろう」という気持ちになって。率直に言うと、ほとんど勢いの部分が大きかったですね。結果的には本当に参加してよかったと思っています。

― チーム結成時、どのような目標を掲げましたか?

大角さん:正直なところ、厳格な目標設定をしていたわけではなくて、キックオフのときに「特別賞ぐらいもらえたらうれしいね」という話が出た程度でした。まずは、楽しみながら挑戦すること、そして経験を積むことを大事にしていましたね。

― なるほど。初対面同士でも、強みをうまく組み合わせて自然と役割が決まっていったチームの雰囲気が伝わってきました。

「平均以下」からの逆転

― チーム結成後、どのように進められたのでしょうか?

大角さん:4月には動き出していて、6月頃にはグロービスの先輩方が企画してくださった「プレJBCC」に参加しました。過去のケースを使って予選資料を作り、フィードバックをいただくという貴重な機会だったんです。

初対面のメンバー同士も、オンラインミーティングを重ねたり、大阪校のラウンジでホワイトボードを囲んで議論したりするうちに、自然とお互いの考え方が分かってきたように思います。

― プレJBCCで、印象に残ったフィードバックなどはありましたか?

大角さん:実は、プレJBCCではいただいた評価が平均以下だったんです。具体策が乏しく、もっとオリジナリティのあるアイデアを盛り込むように、という指摘がありました。それを受けて、本選の資料では本文をしっかり書くことを強く意識しました。

― 普段のミーティングでは、どのように進めていたんですか?

大角さん:ミーティングの進行は、基本的に私が担当していました。各回のアジェンダや全体計画は河上さんが緻密に準備してくれて、私はその場の議論をさらに深掘りする役割でした。とくに決めたわけではないけど、自然とそういう形になりました。

― 議論の中で、意見がぶつかることはありましたか?

大角さん:全くなかったわけではないですが、大きな衝突はなかったですね。ただ、「今日はなんかまとまらないな」って日も何回かありました。そんなときは無理に結論を出そうとせず、次回に持ち越してじっくり考えるようにしました。

“1文字単位”にこだわり抜いた3日間

― 予選突破に向けて、とくにこだわったポイントがあれば教えてください。

大角さん:予選資料の作成にはかなりこだわりました。予選では企業分析と戦略提案をA4用紙2枚にまとめなければならないんですが、これが想像以上に難しくて。資料提出前の最後の3日間は1文字ずつ削る作業を続けていました。言葉選びにもこだわり、メンバー全員で「この言葉は必要?」「この表現でちゃんと伝わる?」と確認しながら作り上げましたね。

― 本選に向けては、どのような工夫をされましたか?

河上さん:ただのレポートにならないように、と意識していました。審査員の方が初見でもスムーズにストーリーを理解できるような資料を目指しました。構成を何度も練り直して、ストーリー性を持たせることを意識しました。

― 予選や本選を通じて、とくに難しかった部分について教えてください。

大角さん:今回のケースでは、ステークホルダーの範囲が非常に広かったのが大きな難所でした。過去のケースは非上場企業が中心で、成長ストーリーにフォーカスできましたが、今回はアクティビストが絡んできて「印刷事業は売却すべき」といった外圧もあります。そのうえ、30,000人規模の大手企業でリストラ問題にも直面し、数字だけで意思決定することの難しさを痛感しました。この点については、チーム内で何度も議論を重ねましたね。

河上さん:個人的には、モチベーションを維持することが大きな課題でした。本選出場が決まると気分も盛り上がるのですが、予選中は見えないライバルと戦っている感覚で精神的にきつかったです。初めての挑戦で自分たちの実力も未知数でしたし、どこまでやればいいのか手探り状態で進めていました。

― ケース発表から予選締め切りまで、およそ1ヶ月ありますよね。その期間をどう乗り越えましたか?

河上さん:まさにその1ヶ月間がポイントでした。モチベーションが下がらないよう、進捗共有を頻繁に行い、やるべきことを明確にしていました。先輩からのアドバイスを取り入れ、目の前の作業に集中することで気持ちを維持できたように思います。

学びが“実践力”に変わる瞬間

― グロービスでの学びが、JBCCでどのように役立ったかについて教えてください。

大角さん:「マーケティング・経営戦略基礎」や「経営戦略」の学びが、かなり役立ちました。授業で先生が投げかける問いを思い出しながら、「この答えで大丈夫か?」「次にどんな問いが飛んでくるか?」と常に考えながら進めていました。その問いが思考を深めるヒントになったと思います。

河上さん:私は「ファシリテーション&ネゴシエーション」が役立ったと思います。とくに「準備8割」という言葉が心に残っていて。会議がうまく進むかどうかは、事前準備や良き参加者であろうという心掛けで決まる。だからこそ、ミーティングでは「ほかのメンバーに完璧を求めるのは難しくても、自分だけは必ず準備して臨もう」と決めていました。

上田さん:一番を選ぶのが難しいくらい、いろんな科目が役に立ちましたね。全体のポートフォリオを考えるときは「経営戦略」、アクティビストの動きを理解するには「ファイナンスⅠ」、コスト構造の分析では「アカウンティングⅠ」、事業計画の際は「マーケティング」と、まさに総合力が試された感じです。まるで玉手箱を開けるように、必要に応じて学びを引き出すような経験でした。

荒木さん:私は「マーケティング・経営戦略基礎」と「アカウンティングⅠ」がとくに役立ちました。「定量と定性を行き来する」という考え方がJBCCにぴったりでした。最初はざっくりと課題を洗い出して、次に財務諸表を見て定量的な裏付けを取る。さらにそこから定性的な要因を再確認するというサイクルが、学びとして深く定着しました。

高橋さん:今回のケースでは、投資家の視点で「この事業にどれだけ資金を投入すべきか」を考える必要があり、「ファイナンスⅠ」の観点が欠かせませんでした。でも最終的には、「クリティカル・シンキング」の重要性を一番感じましたね。予選も本選も、結局は「どれだけ論理的に考えられるか」が勝負を分けたと思います。

― 授業で培った知識や考え方が、実践の場で自然と発揮されていったんですね。

チームだからこそ見えた、ひとりでは見えない景色

― 今回のJBCCを通じて個人的に成長したと感じたポイントは何でしょうか。

高橋さん:「自分の強みを活かしてチームに貢献する」ということの大切さを学びました。役割分担をする中で、メンバーがそれぞれの得意分野で力を発揮し、補い合うことで一つの成果を生み出す。その経験が自分を成長させてくれたと思います。周囲と協力しながら前に進む力や、リサーチして情報を整理する力は強みかもしれないと、気付くことができました。また、何事も楽しんでやる姿勢も、今回の成果につながった気がします。

荒木さん:私も、チームで成果を出すことの力を実感しました。営業職なので、普段はどうしても営業の視点で物事を見がちなんですが、JBCCを通して会社全体を多角的に見る視点が鍛えられたと思います。それに、ひとりでは見えない景色をチームで見られたことが、大きな成長につながりました。

上田さん:やっぱり「経営者の覚悟」を学んだことですね。とくに、人員削減の判断を迫られる場面では、「中途半端な優しさは本当の優しさじゃない」と感じました。情に流されずに必要な決断をすることの難しさ、そして、その覚悟を持つことが経営者には欠かせないということを強く実感しました。

河上さん:チームを意識して行動することができたのが大きな成長だと思います。私はスタートアップ企業にいるのですが、若いメンバーからも積極的に学ぼうという姿勢に変わりました。JBCCで、メンバーが互いを尊重して知識を共有し合うことで得られる力を体感できたからこその変化です。

大角さん:普段のレポートや課題はひとりで全て完結しますが、JBCCでは違いました。例えば、荒木さんがプレゼンを担当し、河上さんがスライドをまとめる中で、私はその土台となる資料を準備したり、議論の方向性を調整したりする役割が多かったんです。ほかのメンバーが最高のパフォーマンスを発揮できるよう支える立場を経験できたことで、チームでの新しい貢献の仕方を学びました。

― みなさんのお話を伺っていると、チームの力や役割分担の大切さが伝わってきますね。

挑戦が生む、新たな可能性

― グロービスでの学びやJBCCでの経験を踏まえて、今後チャレンジしたいことを教えてください。

大角さん:私は来年のJBCCの実行委員に申し込みました。大会当日、多くの方が大会を支えている姿を見て、「次は自分が運営側として貢献したい」と思ったんです。舞台裏からこの素晴らしい場を作る経験をしてみたいですね。

河上さん:大角さんと同じく、来年は実行委員として大会運営に関わります。実は最初は「もう一度出るかどうか」迷っていたんですが、優勝後に色々な人から「感動した」「頑張ってよかったね」と声を掛けてもらううちに、恩返しをしたい気持ちが湧いてきました。次は挑戦者を支援する立場で貢献したいと思います。

上田さん:「人前で話す力」を伸ばしていきたいと思っています。実はJBCCのプレゼンで思った以上に緊張してしまったんです。それをきっかけに、最近はSNSでの発信に挑戦しています。経営者として発信力を高めることが、次の課題だと気付かされましたね。

高橋さん:私はJBCCを通して学んだ「チームで協力する力」を仕事に活かしていきたいです。秘書の仕事はひとりで完結することが多いのですが、この経験を通して「人と一緒に何かを作り上げる楽しさ」を知りました。今後はより積極的に周囲との連携を意識して、新しいプロジェクトにも挑戦していきたいと思います。

荒木さん:実は、もう一度JBCCに出場を考えています。現役生しか出られないこの貴重な機会、やっぱりもう一回挑戦してみたいと思うんです。一度経験しているからこそ見えてくる景色もあると思いますし、学びの総復習になるとも感じています。

― では皆さんから、これからJBCCに挑戦する後輩の方々へのアドバイスをお願いします。

大角さん:「気軽にエントリーしてみること」をおすすめします。最初からガチガチに構えなくても大丈夫。取り組む中で自然と熱が入り、学びも深まります。仕事や課題との両立は大変ですが、得られるものは本当に大きいので、ぜひチャレンジしてほしいです。

河上さん:JBCCの魅力は、短期間でひとつのプロジェクトをチームで成し遂げられること。授業のグループディスカッションはその日限りですが、JBCCは最初から最後まで一貫して取り組めます。迷っている人がいたら、「その迷い、思い切って飛び越えてみて」と背中を押したいですね。

上田さん:シンプルに「とりあえず出てみよう」です。私も最初は何も分からないまま参加しましたが、仲間と一緒に悩み、苦労を分かち合う経験は大きな成長につながりました。しんどいからこそ成長するんです。ひとりでは大変なことも、チームなら乗り越えられます。

高橋さん:「ネットワークを大切にすること」をおすすめします。実は本選後の懇親会で審査員の方から「利害関係のないネットワークを大事にしたほうがいい」とアドバイスをいただきました。今はみんな学生ですが、将来それぞれが影響力ある立場になったとき、このつながりがかけがえのない財産になります。JBCCを通じて得られる仲間との絆を大切にしてください。

荒木さん:皆さんとは少し変わっていますが「最高のビールが飲めるよ!」ですね(笑)。帰りの新幹線で、全部やりきった後に飲んだビールが去年一年間で一番美味しかったんです。あのときの「やり切った」という充実感は言葉では表せません。頑張った先には、そんな最高の瞬間が待っています。

― みなさんの言葉には、実体験に基づく温かさと説得力がありますね。ありがとうございました!

体験クラス&説明会日程

体験クラスでは、グロービスの授業内容や雰囲気をご確認いただけます。また、同時開催の説明会では、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)や忙しい社会人でも学び続けられる各種制度、活躍する卒業生のご紹介など、パンフレットやWEBサイトでは伝えきれないグロービスの特徴をご紹介します。

「体験クラス&説明会」にぜひお気軽にご参加ください。

STEP.1参加方法をお選びください

ご希望の受講形式と同じ形式での参加をおすすめしています。

STEP.2参加を希望されるキャンパスをお選びください

STEP.3日程をお選びください

絞り込み条件:

  • 7/31(木) 19:30~21:30

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催)
    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け

  • 8/2(土) 10:00~12:00

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催)
    本科(MBA)への進学を検討している方・進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向け

  • 8/6(水) 19:30~21:30

    オープンキャンパス

    開催:オンライン(Zoom開催) ※体験クラスはありません。
    グロービスMBAプログラムへの進学(出願)を検討している方向け

該当する体験クラス&説明会はありませんでした。

※参加費は無料。

※日程の合わない方、過去に「体験クラス&説明会」に参加済みの方、グロービスでの受講経験をお持ちの方は、個別相談をご利用ください。

※会社派遣での受講を検討されている方の参加はご遠慮いただいております。貴社派遣担当者の方にお問い合わせください。

※社員の派遣・研修などを検討されている方の参加もご遠慮いただいております。こちらのサイトよりお問い合わせください。