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投稿日:2025年01月17日
投稿日:2025年01月17日
【宇田川元一氏×野本周作氏】『企業変革のジレンマ』
――「穏やかな衰退」における変革の難所を乗り越える
スピーカー
- 宇田川 元一
- 経営学者/埼玉大学 経済経営系大学院 准教授
- 野本 周作
- 株式会社ローランド・ベルガー プリンシパル
モデレーター
- 田久保 善彦
- グロービス経営大学院 副学長
市場の変化や事業環境の厳しさを感じながらも、組織内で思うように新規事業が立ち上がらない…。多くのビジネスパーソンが直面するこの「穏やかな衰退」の難しさに、どのように向き合うべきなのでしょうか?今回は『企業変革のジレンマ』の著者・宇田川 元一氏と、事業会社において企業経営・事業経営を手掛けてきた野本 周作氏をお招きし、「変革が進まない理由」に焦点を当てて議論を深めました。組織変革や新規事業立ち上げに挑む皆さんにとって、新たな行動を起こすヒントとなるセミナーの模様をお届けします。
慢性疾患の状態にある企業や組織の変革
新規事業との間に生じるジレンマ
宇田川元一氏(以下、敬称略):私は先日、『企業変革のジレンマ 「構造的無能化」はなぜ起きるのか』という本を出版しました。テーマは「穏やかな衰退」です。変革について考えるとき、「変革を止める悪意ある人がいる」と感じる方は多いかもしれません。「本業に支障が出るから」と、事業部長が新規事業にストップをかけたり、逆に経営層やミドルの側が「皆の意識が低いから変革が進まないのでは?」と考えたりすることもあると思います。
しかし、いろいろな企業で実際にお話を伺うと、皆、どこかで「組織を変えなきゃいけない」と考えています。では、なぜ新規事業にNOが出るのか。事業部長には予算達成のプレッシャーがあり、長期的な新事業創出の必要性には合意しますが、短期の要求にも応えなければいけません。そのジレンマを乗り越える手段が見いだせないので変革が止まるのだと思います。
組織の問題が見えなくなる「構造的無能化」とは
そうした意味を踏まえ、私は「構造的無能化」という言葉をキーコンセプトに本を書きました。構造的無能化とは何か。著書にも書いた例ですが、あるときロンドンの地下鉄キングス・クロス駅構内でティッシュが燃えているのを駅員の方が発見し、その火を消しました。ただ、それで対応は終わり。火種がどこか考えようとしなかった。
火種は木製のエスカレーターにポイ捨てされたマッチでした。ところが通報は出火の22分後。保安要員はいましたが、「自分の目で燃えているのを確認し、止むを得ない場合のみ通報するように」とのルールがあったそうです。逃げる人々をかき分けて現場に行こうにも、なかなか辿り着かない。見かねた警察官が無線の通じる地上に戻ってなんとか通報したのが22分後でした。
その後、消防はすぐ到着しましたが、消火活動は出火から30分以上経ってから。消防隊には現場に設置されている消火栓を使ってはいけないというルールがあったためです。過去にそれでうまく消火できないことがあったのでしょう。それで自分たちが設置した消火栓を探していたら30分以上経ってしまったのです。
その間、誰も電車を止めませんでした。地下鉄には大量の空気が送られており、それが火に注がれ爆発的炎上を招き、最終的に31名の方が亡くなる惨事となります。駅には手動スプリンクラーもありましたが、誰も使い方を知らず動かせなかった。外部監査機関は「使い方を知らないのは問題では?」と以前から指摘していましたが、指摘を受けた部署に、その指摘をどう扱うかの指針がなく、そのままになっていたそうです。
この話をすると、多くの企業の方が「怖いですね。うちの組織みたいだ」と言います。一人一人はきちんと仕事をしていても組織として大事な問題が見えておらず、考えることもできていない。構造的無能化とは、このように個人が構造的に無能にさせられてしまった状態を指します。
この議論が、既存の企業変革論とどう違うのか。三枝匡さんの『V字回復の経営―2年で会社を変えられますか』やジョン・コッターさんの『企業変革力』といった著書で議論されているのは、業績が大きく落ち込んだ危急存亡の状況で行われる、外科手術的な急性期の変革だと考えています。
一方で、実際には「足元の業績はまずまずだが、明らかに先行きがない」という慢性疾患的な状況の企業は多いと思うんですね。そうした状況での変革があまり議論されてこなかったと考え、私はこちらに焦点を当て、慢性疾患の寛解など、少しでも良い状態を目指して議論しています。
経営層が全社戦略を「考えられる」ように
分業化が断片化を生み、断片化が不全化を生む
構造的無能化のメカニズムを簡単に説明します。企業は過去に事業が環境適応したから、今の状態があります。そこから、本社と事業部を分け、人事部や経営企画部を設けるなどして、より機能するよう組織を分化させるわけですね。
分業が進み、仕事のやり方のルーティンも定まっていく。これらは、組織が合理的に機能する上で不可欠ですが、各々の仕事のスコープは知らず知らずのうちに狭くなる。こうした組織の「断片化」が進むと、慢性疾患的な状況に陥っても問題が見えにくくなります。自分の業務範囲外のことは考えられなくなるし、何か考えついても組織の壁に阻まれて進まない。この状態を私は「不全化」と呼んでいます。
なんとか状況を打開しようと、例えば「人が辞めてしまうから」と離職対策を行いますが、これは傷口に絆創膏を貼るようなもの。背後の構造問題に手をつけなければいけないのに表層的な解決に終始するから、同じ状態でぐるぐる回って変革が進まず、だんだん悪くなっていく。これが構造的無能化です。
全社戦略のコンセンサスを形成する
こういうお話をすると、「大事なのはカルチャー変革ですね」とよく言われます。しかし、例えば「A事業部とC事業部で横串を通して新規事業を考えるように」とのお達しがあったとします。そこで両事業部が連携して新規事業開発を進めますが、ある程度進んだところでCの事業部長が「それ、聞いてないんだけど」と言ってストップをかける。
これはカルチャーで捉えきれない、既存事業と新規事業の間にあるジレンマの問題だと考えています。新規事業について経営層が戦略的な位置付けをしていない、または役員の間でコンセンサスが取れていないわけです。
それに対して、私は著書で「4つの論点で変革を考えましょう」と述べています。まずは経営層が全社戦略を考えられるようになること。「考える」でなく「考えられるようになる」です。「考える」というと、ときに外注してしまったりするので(笑)。企業の統合報告書に数字目標だけ書かれ、戦略が書かれていないことは結構あります。考えるための素材が経営層になかったり、役員レベルにまで機能が細分化され何を目指すか議論されていなかったりするためです。しかし、数字の積み上げは戦略ではありません。まず、戦略を考える能力を構築する必要があります。
その上で、全社戦略のコンセンサスを形成する。例えば、DX推進のために外部からCDO(最高デジタル責任者)人材を迎え入れても、コンセンサスがないと、経営層も「あ、DXは誰々さんの仕事だ」と考えてしまう。その状態でDXチームが事業部に協力を求めても、「うちの事業部の工数も取るの?」なんてことになって、結局は話が進まなくなります。
何を目指し、そこで自分たちにどんな役割があり、どんな問題をどう乗り越えるのか。変革の実行にあたっては、そうしたコンセンサスを、皆が自発性を持てるよう語り直さなければいけません。その上で、施策の実行を通して見えてきた事業アイデアや変革の方向性をアップデートする。
そのようにして各々のメンバーまたは階層を、変革者として機能させるのは可能だと考えています。ただし、それを促進するためには変革支援の機能をコーポレート側に構築する必要もあると考えています。
「なんかおかしいな」。違和感が変革の第一歩に
平時から“バトン”をつなぐ日本企業の変革
田久保善彦:昨年まで塚田農場を運営するエー・ピーホールディングスでCEOをお務めになり、今は古巣のローランド・ベルガーに戻った野本さんから、宇田川先生に聞いてみたいお話はありますか?
野本周作氏(以下、敬称略):急性期でなく、かつ日々の仕事で皆が精一杯にも関わらず、構造的無能の状態に気付いて変革を進めるための最初の一歩とは、どのようなケースになることが多いのでしょうか。
宇田川:新規事業開発やDXなど、多くの会社はなんらかの変革的な取り組みをしていると思います。で、それが進まないとき、「これはどういうことだろう」と考え、そこから踏み込む形があり得ると思いますね。分かりやすいのはジレンマに陥りやすい新規事業開発です。会社側で新規事業を応援しようとしても手が挙がらなかったり、手が挙がってもなかなか進まなかったり。そうした課題を一つ一つ紐解ける会社は変革も進む感じがします。
田久保:ローランド・ベルガーにも、慢性疾患状態の企業から相談がくることはありますか?
野本:ある経営者の方に、「儲かっているときだからこそ君らに発注するんだ」と言われたことがあります。2代目で事業を大きくしていらっしゃる方でしたが、ビジョンが明確で、そこへ行きつくためにTo be(あるべき姿)とAs is(今の姿)の差分をきちんと見ている方でした。
田久保:「少し売上が落ちているかな」といった程度の状況で変革を掲げても、「いろいろな施策を展開すると、皆のモチベーションを下げるのでは?」と考えてしまい実行に進めないケースはあるように感じます。
宇田川:あり得ますね。あるいは、「戦略を明確にしたら人を切らなければいけなくなるのでは? この事業が不要になるのでは?」と、“地獄の釜の蓋”のような感覚で避けている面もあると思います。
ただ、NECは遠藤信博社長のときに変革がはじまって以来、3代にわたって変革が続いていますよね。日立も今の小島啓二社長(鼎談当時)で4代目。両社とも“バトン”をつなぐ感じがあります。野本さんからお話のあった2代目の方も、受け取ったバトンを次に渡す感覚だったのではないでしょうか。これは日本企業の変革におけるひとつの特徴かと思います。
対話的思考で変革と課題の関係を明確に
田久保:野本さんのもとには「何が問題か探って欲しい」といった相談も来ると思いますが、そこでコンサルタントの方々はどのように動くのでしょうか。
野本:最近はコンサルティング業界の拡大に伴ってイシューが特定された案件も増え、「なんとなく調子が悪いんだけど、どうしたらいい?」といった話は減ってきました。そういうところこそ救わなければと思い、私自身も今は悩んでいるところです。
田久保:医療の話になりますが、日本には総合診療科が少なく、自分自身で最初の診断をして診療科を選ぶ人が多いと聞いたことがあります。「おなかが痛い。内科かな」とか。企業も同じで、気だるい理由も分からないまま部分最適で解決を図るため、本質的な変革が進まないのではないかと、お二方のお話を伺って感じました。
宇田川:断片化した問題へのソリューションが今は増えていて、企業側もソリューションドリブンで導入してしまう。それで、「エンゲージメントサーベイで出た悪い数字を改善するにはどうすればいいのか」なんて考えるわけです。
でも、現場は抽象概念であるエンゲージメントでなく「部下が辞めてしまう」「対競合で打開策が出ない」といった話で困っている。その困りごとと変革との関係を明確にする対話的思考がコーポレート側に必要で、変革が進むか否かの分かれ道はそこだと考えています。「おかしいな、現場で何が起きているのかな」と考えられるかどうか。
たとえば、ある消防士が、消しても消しても火の勢いが収まらず「変な感じがする」と一旦後退したら、次の瞬間に床が抜けたというケース。火災場所の下にフロアがあり、そこから出火していたわけです。逆に、消火中たまたま触れた床が熱かったのに同じ場所で消火を続け、床とともに落ちて亡くなってしまった例もあります。「なんか嫌な予感がする」「うまくいかない」というのは、ある意味で変革の一歩目に立っているときなんですね。
会社の問題を対象化し、多様な角度から眺める
書かれた言葉が“つるつる”していないか
宇田川:大切なのは、そうした「うまくいっていないところ」に経営層が目を向けること。サイゼリヤの正垣泰彦会長は「成功しているときは今やっていることを改める理由が見つからないとき。失敗しているときは今やっていることを改めるとき」とおっしゃっていました※。うまくいっているというのは「失敗することに失敗している」という話なんですね。
変革について、統合報告書にはパーパスや「こんなことをしています」ときちんと書かれていても、それらがどこか“つるつる”していて「失敗することに失敗している」と感じるときがあります。「なんか変だ」と違和感を抱く点は必ずあるはずで、大切なのはそれをテーブルに置き、場合によっては面白がって皆で見るぐらいの感覚を持つことではないでしょうか。
田久保:そうした既存施策の目詰まりも机上に乗せる役割が野本さんのような方々にはあるのかなと思いますが、実際にはどのように変革を支援していらっしゃるのでしょうか。
野本:私自身、以前はどちらかというと急性期の事業会社で経営をしていました。外様から執行役員として入ったので机上に触れにくい玉が置いてあること自体が珍しく、当時は何を机上に乗せるかという話から始めていましたね。
いずれにせよ、そこで1番大切なのは宇田川先生の著書にもある通り、対話だと思います。外から来たコンサルタントなど、しがらみのない人間には意外と話してくれるものです。そこでさまざまな角度からフラットに話を聞くと、全体像というか、無能になった構造もある程度分かってくる。それを客観的に見える化できるのが、コンサルである我々の強みだと思います。
※出典:「業績悪化を止められる社員とは サイゼリヤ会長の経営塾(3)」日本経済新聞 2013年2月27日
困りごとの掘り下げが問題の見極めにつながることも
宇田川:「数字は降りてくるが戦略はない」といった問題に気付いたとき、「そもそも、この事業の価値はどこにあるのか」という議論が必要なのだと思います。調子が悪かったとしても、お客さんが買っているということは、何を買っているのかなと。また、ある会社の役員の方に困りごとを伺うと「仕事が忙し過ぎて部下が辞めてしまう」という困りごとが出てきたことがあります。でも、それは実際には掘ってみると戦略につながる話でした。
忙しいのは、顧客に一律の高い品質の商品を提供していた。けれど、実際は、あるお客さんにはオーバースペックになっているケースもあり、そういうお客さんからは、せっかく高品質なものを提供しても喜ばれないし、こちらは忙しいし、だから疲れて部下が辞めてしまうということだったことが見えてきたんですね。これ、実は顧客セグメンテーションの問題でもあります。このように最初の入口は違っていいのですが、「なんかおかしいな」と感じたら、それが何かを掘り下げると、重要な経営上の課題に辿り着けるときがあります。
田久保:体がどこか痛むとき、「なぜかな」と考える感覚を流さないことが重要なんですね。
宇田川:「研究とは一旦時間を止めて“これは何か”と考えること」と先日ある方が仰っていたのですが、そういうことが大事だと思います。ある意味、これは会社で起きる問題についての「研究」なんですね。解く前に「これはなんだ?」と対象化して多様な角度から眺めていく。
野本:私は松下電工(現パナソニック)にいた時代、「なぜ良い戦略や計画があるのに実行して達成できないのか」と、当時の社長にその原因を調べるよう言われたことがあります。やはり変革は実行フェーズが難しい。そのための原因を探る、または無能に陥る構造を可視化することが大切なのだと思います。
議論のベースは対話やナラティヴ・アプローチ
「困った人は、困っている人」
会場:リソースが限られた状況で、ボトム層からはどんな変革ができるとお考えでしょうか。
宇田川:変革が進まない企業の多くは、長期スパンで考えるべき上の人が上の人としての仕事をできていない状態にあり、それをできるようにするのが下の人の大事な役割でもあると考えています。例えば、新規事業が会社の戦略や事業ドメインと照らし合わせてどんな位置付けで、どんな意義があるのか、論点整理して経営層にトスアップしたりするわけです。
あと、リソースが限られている状況でも、ちょっとうまくやっている人っていますよね。私の本では「Positive Deviance(ポジティブな逸脱者)」の概念を紹介していますが、そうした方々が何をしているのか探ってみるのも良いと思います。
野本:現場で起きていることって楽しいんですよね。私は経営していた会社で、現場のチャレンジでうまくいったことを意図的に褒めたり皆に紹介したりしていました。現場の方からすれば、チャレンジによって出した結果が横展開されたりするのは嬉しい話ですから。
会場:構造的無能化の危機感を経営層に持ってもらうためにはどうすれば良いでしょうか。
宇田川:私自身はナラティヴ・アプローチや対話を議論のベースにしています。私が企業変革とは別な軸で行っている精神障害ケアのフィールドワークでは、「困った人は、困っている人」という言葉があります。例えば、アルコール依存は困った行動ですが、実は背後でその人自身が仕事の辛さやDV被害で困っていて、その辛さをなんとか1人で解決しようとして困った行動に出る、と。その人の困りごとが何かを探ることで入り口が見えるわけです。
まずは興味・関心を持って対象の観察をしよう
田久保:観察や対話を通し、いろいろなことを少しずつ紐解くことの積み重ねでしか本質は見えてこないとういことでしょうか。
宇田川:そのほうが実際には合理的でもあると思いますよ。その人が意味を感じられなければどんな正論も無意味なわけで、その人が当方の考えを“買う”理由がどの筋にあるかを考える。組織論に「イシューセリング」という概念がある通り、これは営業のような面もあると思います。
田久保:先日、Takramの田川欣哉さんが、「深い興味・関心を持って顧客をよく観察し、話を聞くという当たり前のことが意外とできないんだよね」と話していらっしゃいました。
宇田川:いろいろな理論をリュックに詰めてフィールドワークに赴き、「これはこの理論で説明できるのでは?」「これはダメだ。これならどうか」と繰り返し、「最後にリュックが空になったとき、初めて対象を見ることができた」というお話を、ある人類学者の先生に伺ったことがあります。
田久保:知識ドリブンでなく虚心坦懐にものを見るのが難しい、と。
宇田川:まずは興味を持つことですよね。
人々に能力を構築するのがリーダーの仕事
ジレンマの状態から両者が包含できる視点を探る
田久保:本日伺ったような変革を進める上で、キーになるポジションや階層、あるいはリーダーシップ像はどんなものになるとお考えですか?
宇田川:ハーバード・ケネディ・スクールでリーダーシップを教えるロナルド・ハイフェッツさんは、「リーダーの仕事は人々を支配することでなく人々に能力を構築すること。リーダー自身が解決するのでなく、皆に責任を持って取り組んでもらうようにすること」と言っていて、私もそれに同意します。そのリーダーがいなければ会社や社会を変えることができない、という無力感をもたらす形にしたくないわけです。
そこで求められるのは、対立構造で考えないこと。2つのテーゼが対立するジレンマの状態から橋渡しをして、両者が包含できる視点を諦めず探ることが大事だと考えています。
野本:私は『アルプスの少女ハイジ』に出てくる「ヤギ飼いのペーター」が企業を変えるリーダーの姿だと思っています。彼は少し離れたところから群れを見て、「あの子が崖から落ちそう」となれば駆けつけたり、元気のない子に声をかけたりする。そんな風に全体を客観的に見て、臨機応変に自分のリーダーシップスタイルを変えて多様な役割を果たすことが今は必要だと思っています。
失敗を積み重ねた先、気が付けば違う境地に
田久保:最後に一言ずつ、皆さまにメッセージをいただければと思います。
野本:宇田川先生の本を読んだ方は皆、「当社で起きていることが書かれています」とおっしゃいます。ぜひ、そこで自社がどんな構造になっているかをしっかり表していただき、無能化している構造に突っ込んでいって欲しいと思いますね。そのとき変革が成功しなくても先々で役立つ日は必ず来ると考えています。
宇田川:平時の変革は、そのほとんどが「課題が分かっていく過程」なので、取り組む側は、ある意味でずっと失敗している感覚なんですね。「ここは少し進んだけれど、ここは分かっていなかったな」なんて失敗を積み重ね、3年後に振り返ったらまったく違う境地に来ていた。そんな感じだと思います。その意味では、野本さんがおっしゃってくださったように、必ず花が咲く日は来ますので、そのときまで地道に健全にちゃんと失敗を積み重ねていただきたいと思っています。
田久保:まずは皆さまが今回の著書をチームの人数ぶん買って勉強会をしていただく。そこで「うちは大丈夫? なんかおかしいね」と思ったら、それが何かを掴む第一歩になるのではないでしょうか。本書を読むと「これこれ」「それそれ」と、10回は思えるし、それだけでも読む価値があると思います。宇田川先生、野本さん、今日はありがとうございました。
体験クラス&説明会日程
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スピーカー
宇田川 元一
経営学者/埼玉大学 経済経営系大学院 准教授
野本 周作
株式会社ローランド・ベルガー プリンシパル
モデレーター
田久保 善彦
グロービス経営大学院 副学長