GLOBIS Articles

  • キャリア
  • 卒業生の活躍
  • イベント
  • 起業

投稿日:2024年04月12日

投稿日:2024年04月12日

【中野 智哉氏(i-plug)×原 雄介氏(デンソー)】卒業生が語る、自らキャリアを切り拓く方法

【中野 智哉氏(i-plug)×原 雄介氏(デンソー)】卒業生が語る、自らキャリアを切り拓く方法

グロービス経営大学院にて、卒業生である中野 智哉氏(株式会社i-plug 代表取締役CEO)と原 雄介氏(株式会社デンソー 総務人事本部 執行幹部 人事部・人事企画部担当)、田久保 善彦(グロービス経営大学院 副学長)によるパネルディスカッションが行われました。

  • ビジネスの現場でどのように成果を残してきたのか
  • 現在に至るまで、どのような困難に直面し、どう乗り越えてきたのか
  • MBAの学びをどのように実務で実践したのか

 といったことについてお伺いしました。多様なキャリアを自らの力で切り拓いてきた卒業生のリアルな体験談をお届けします。

営業から起業家へ

卒業と同時に、グロービスの同期と起業

卒業と同時に、グロービスの同期と起業

田久保:本日はゲストとして、2名の卒業生をお招きしました。起業した卒業生の中で最初にIPOを実現した、i-plugの中野さん。それから名古屋校の卒業生で、従業員数17万という大手自動車部品メーカーであるデンソーで、最年少執行役員・人事トップを務める原さんです。在学中から卒業後まで、お二人のお話をいろいろ聞いてみたいと思います。

まずは中野さんから自己紹介をお願いします。

中野:2010年にグロービス大阪校へ入学した中野です。現在は株式会社i-plugという会社を経営しており、12期目を迎えました。売上が昨年37億円、従業員は現在350名ほどの会社規模です。『OfferBox』という、就職活動や新卒採用を行う時のダイレクトリクルーティングサービスを展開しています。現在1学年24万名ほどの学生の方、そして約17,000社の企業さまに使っていただいているサービスです。本日はよろしくお願いします。

田久保:ありがとうございます。では、原さんお願いします。

原:原と申します。中野さんと同じ2010年に名古屋校に入学して、2013年に卒業しました。デンソーという自動車部品メーカーに勤めています。グロービスに通っていた頃はエンジニアでしたが、その後工場でマネジメントをしたり、海外に行ったり。さらに経営戦略に移ったりして、今は人事をしています。まさに社内転職みたいな、1社の中でさまざまなキャリアを歩んできました。今日はよろしくお願いします。

田久保:中野さんは起業されたわけですけれど、誰と、どんな経緯で起業したのかについて教えてください。

中野:グロービスに入学する前は、今でいうパーソルキャリア(旧:インテリジェンス)で、アルバイトの『an』と転職の 『doda』の営業として働いていました。飛び込みやテレアポをして企画営業をするというのを10年やっていましたね。

リーマンショックをきっかけに、もともと噂で聞いていたグロービスの体験クラスに行ってみたんです。そしたら「自分と同じような大人が勉強してるんだ」っていうのを目の当たりにして、衝撃を受けました。そこで単科生として1年間通う中で、「自分でもビジネスをやって、起業したい」という想いがあって、2010年に入学したんです。

私はずっと営業しか経験したことがなかったので、起業する前に会計やファイナンスをしっかり学びたいと思ったことも、入学を後押ししました。

そして在学中は同期と自分たちで起業の勉強会などを行ったりして、そのまま同期3人で卒業と同時に会社を立ち上げたという流れです。まさにグロービスに行って経営学を学んで、その通りに起業したという、そういったタイプですね。

事業撤退や大手からの買収打診―IPOまでの9年間

事業撤退や大手からの買収打診―IPOまでの9年間

田久保:起業したタイミングからIPOまでって何年かかったんでしたっけ?

中野:9年です。

田久保:その間、どれくらい事業の方向性とかを変えてきたんですか?

中野:設立した当初は人材紹介事業をしていたんですけど、20日で事業撤退しました。自分で考えた事業ですけど、「こんなもん売れるか」と思いまして、即撤退。そのときに思いついたのが 『OfferBox』で、そこからはずっとそれ1本ですね。

田久保:『OfferBox』は具体的にはどのようなサービスですか?

中野:まず学生の方は自分のプロフィールを公開します。人柄が分かるように、というコンセプトなので写真や動画なんかもアップします。それらを企業の人事担当の方が、自分たちでプロフィール検索して、オファーを送って、採用する…という流れです。採用できたら1人38万円という通常の成功報酬型プランと、就活初期からアプローチできる早期定額プランもあります。その2種類のマネタイズポイントでやっているサービスです。

田久保:20日で撤退した事業もあり、今の形になるわけですね。20日でやめてから今のような状況になるまでの8年と約340日間というのは、いろいろな紆余曲折があったのではないでしょうか。そうしたご自身の起業のプロセスの中で、最もハードだったチャレンジは何だったと思いますか?

中野:今考えると、特にハードだとは思っていなかったですね。ただ一般的な話をすると、一番大きいのはお金が尽きることだと思います。やってみると分かるんですけど、起業してお金が無くなるのって、上手くいっている雰囲気があるからなんですよ。だから使っちゃうんですよね。人を採用してどんどんお金が無くなっていくので、もちろんお金が無いピリピリ感はありますが、夢に向かって投資しているのでそれ以上に楽しいんです。そして最後お金が無くなって、「どうする?」っていうところが一番ハードだったかなと思いますね。

あと、お金が無いと打ち手がなくなるんですよ。そんなときに大手企業から買収の話がきて、結構心がグラグラしましたね。最終的には断ったんですけど、当時が一番自分の中で判断がグラついていた瞬間かなと思いますね。

田久保:大手からの買収の話は、なぜ断ったのですか?

中野:感覚です。本当に大きい会社だったので、論理的に考えたら売ったほうが絶対いいですよね。あと、もうひとつ同じようなサービスがあったので、買収を断ったら大手はそこを買って僕らと戦う流れになることも分かっていました。そうなるとほぼ負け戦になってしまうので、そっちに入ったほうがいいと思ってはいたんですけどね。

一度、創業メンバー3人で話し合いもしました。「自分たちの志を実現したいなら、サービスを売って大手の資本の中で実現するほうが論理的には絶対合っている」という結論になり、1回は決断したんです。しかし、家に帰って寝て起きたら、やっぱり嫌だと思ったので断りました。最後はもう感覚でした。けど、結果的にはそれがよかったんです。

田久保:起業家としての本能が、最後の最後に嫌だと叫んだ瞬間があったんですね。

中野:そうですね。創業メンバーにも「いつも何でもパッと決めるのに、あのときだけはすごいグラついていた」って言われました。

田久保:でも、そこに理由付けをしようと思っても、感覚としか言いようがない何かがあったということですね。

中野:そうですね。ちょっとだけ、その会社の考えている価値観と、僕らが考えている価値観が、ほんのちょっとだけ違いがあったんです。そこがたぶん受け入れられなかったんじゃないですかね。本当にそれだけでした。

田久保:その後も全て順風満帆だったわけではないと思うのですが、どんな感じの成長を遂げて上場に至ったのですか?

中野:結局その買収を断るというのは、大きい会社と戦うことと同義なんです。それ(買収の話がくる)までの2年間も、お金が無いなりに頑張っていたんですが、今考えると“エセ起業家”というか、あまり戦ってこなかったなと思うんですよね。

買収を断ってからは「大手が仕掛けてくる」というのが分かっていたので、ちゃんと資金調達をして投資をしていく方向に舵を切りました。それによって経営のスタンスがガラッと変わって、会社の成長スピードも一気に変わりましたね。それまでの売上は、初年度が400万円で、2年目が3,000万円ほどでした。戦うと決めて投資や採用に力を入れてからは、3年目が1億円。その後も2億円、4億円、7億円、10億円と上がっていきました。

戦うというのは、つまり投資をするということで、それって自分たちの場合は全部採用なんですよね。仲間を集めることで会社としてのパワーは大きくなるのですが、その分ずっとお金が無いんですよ。恐ろしいほど。毎月残キャッシュが大体200万円だったので、何かがズレたら会社がなくなるんじゃないか、みたいな。ただ、(投資をせずに)伸びなかったら競合に負けるので、どっちにしろですよね。周りから「そこまで攻めて、怖くないのか」って言われましたけど、伸ばさずに負けるほうが怖いという感覚でした。

田久保:伸ばさずに負けるほうがもっと怖い、と。

中野:怖いですね。いわゆるプラットフォームビジネスなので、やっぱり先行者利益が強いですし。前職で求人メディアも経験していたので、そういったイメージを当時も持っていました。少しでも多くデータを蓄積して、最適な形でビジネスを磨いていくことを考えると、とにかく早く伸ばさなきゃいけないんですね。僕らは小資本だったので、なかなか痺れる戦いだったかなと思います。

エンジニアから大企業の人事トップへ

教科書通りに、でも誰よりも真面目にやる

教科書通りに、でも誰よりも真面目にやる

田久保:中野さん、ありがとうございました。次は原さんにお伺いしたいと思います。僕が最初に知り合った当時は現役のエンジニアで、工場の現場課長をされていましたよね。

原:はい、生産技術のエンジニアでしたね。

田久保:その後はどのようなキャリアを歩まれてきたのでしょうか?

原:今お話にあったように、もともとは生産技術のエンジニアで、その後は工場の課長。そして海外に行って、ASEAN各国における生産の最適化や競争力強化に関する企画推進などをやっていました。本当は4年ほど駐在する予定でしたが、急遽2年で「経営戦略部」に異動することになり、全社の経営方針や経営改革などに大きくキャリアチェンジしました。

田久保:ちなみに、4年計画の駐在が、なぜ2年で日本に戻ることになったのでしょうか?

原:今でもよく分かっていないのですが、当時の社長がタイを訪問した際に、アテンドを担当していて、その中でいろいろな質問に答える機会がありました。そのやり取りが、もしかしたら社長の中で引っかかったんじゃないかなと思いますね。

田久保:いきなり経営の一端を担ったり、従業員17万人規模の会社の社長と議論をしたりする立場になったわけですよね。タイ工場でのマネジメント経験はあったとしても、いわゆる経営企画部といった“準備段階”なしになぜそんなことができたのか、その点についてぜひ聞かせてください。

原:グロービスの授業でも皆さん学ばれると思いますが、経営と一口に言っても、財務戦略もあればブランド戦略もあり、モノづくり戦略もあれば、人事戦略やパートナー戦略もある。本当に色々ありますよね。それらを自社と照らし合わせて、「今の会社の立ち位置はどこか、何が足りていないのか」ということを整理していきました。本当に当たり前のことなのですが、一つ一つやっていきました。奇策はない感じでしたね。

田久保:教科書通りにやっていった、と。

原:教科書通りに、でも誰よりも真面目にやるみたいな、そんな感じですね。

制度改革ではなく、運用改革

制度改革ではなく、運用改革

田久保:その後何年か経って、今度は人事のトップになられていますよね。これもまた全く違うフィールドだと思いますが、やっぱり教科書通りに、セオリーにしたがってやるべきことをやっていたのでしょうか?

原:そうですね。当たり前ですけど、最初にその分野の定石みたいなことは学びますよね。異動の1ヶ月前くらいに100冊ほど関連書籍を読んだりして。そこで基本的な知識は分かるようになります。あとはやっぱり人と話したり、現場の声を聞いたりして、現場で何が起きているのか掴むようにしています。

その際に、自分の会社だけでなく、社外の人にも話を聞くようにしています。そうすると、自社とのズレや芯を食う意見が分かるようになるので。グロービスのコミュニティやネットワークにはすごく助けられましたね。

田久保:そういう意味では、「当たり前のことを当たり前のように、きっちりやっている」というのが原さんのひとつのスタイルなのかもしれないですね。人事のトップになられて、チャレンジしたいことや今解決したい課題は何でしょうか?

原:チャレンジというか、課題という意味では、制度改革よりも運用改革ですね。いくら制度を変えても、結果が出なければ意味がない。現場でそれぞれの人に価値が届かなければ意味がない。となると、運用改革のほうが非常に大事です。実際に制度を運用するのはそれぞれの社員やマネジメント側なので、そこをいかに変えるかですね。今でもまさにそこに腐心してやっています。

田久保:運用を変えるというのは、結局一人一人の人間の心をどう変えていくのか、ということですね。

実務で役立つグロービスの学び

“共通言語”が意思決定のスピードをあげる

“共通言語”が意思決定のスピードをあげる

田久保:中野さんの話に戻りますが、IPOをして色々なことが変化したと思います。IRでさまざまなことを説明する責任が生まれたり、外部の方から株価について意見をいただいたり。そうした経営者としてのステージが変わった今、グロービスで学んだことはどのように活きているのでしょうか。

中野:上場前の7期目くらいまでは、CEO兼CFOといった形で、僕が資金調達を全て行っていました。営業経験しかありませんでしたが、最終的にデットで5億円ほど、6期目の終わりにエクイティで7.5億円ほど調達することができました。さらに、M&Aをしたり、IPO準備をしたり、IPOの公募価格を交渉したりしましたが、どれもグロービスでの学びがそのまま活きたのでびっくりしましたね。

また上場後に、ディスクロージャー優良企業※に認定されたことがあるのですが、これも僕や創業メンバーを含めたグロービス生3人で作成したIR資料でいただいたものでした。

※ディスクロージャー優良企業…企業による情報開示の質・量・タイミングなどの客観的な評価基準に基づいた表彰制度に認定された企業のこと。

色々な変化はありましたが、上場後に会社がいきなり大きく変わったという感覚は全然ありませんでした。上場の準備をする中で、いわゆるワイワイとしたスタートアップから、数百名の従業員がいても耐えられるような会社に変わっていきましたね。

僕たちは上場を手段だと捉えており、以前から「早く上場してチャレンジをしていく」と決めていました。そうしたマインド的な意味でも、上場してガラッと変わったわけではなく、昔も今もチャレンジし続けている感覚ですね。

田久保:実際に経営をする中で、会社にグロービス生がいることによる良さを感じることはありますか?例えば、MBAで学んだ者同士だからこそ、ある種の“共通言語”がある、とか。

中野:そうですね。創業からずっと毎週2時間の経営会議を行っていますが、そこでメンバーと同じ認識を持ちながら話せるということは、まさにそうだなと。最終的には、どんなビジネスも定石や原理原則に行き着くと感じています。スタートアップは最初、そことは変わったところから入っていきますけど、やっぱり“ど真ん中”を通らないと成長できない時期はやってくる。その際、共通言語があるとやりやすいと思いますね。

結局一つ一つの得意分野だけでは、経営の原理原則は掴めないですよね。いわゆる「ヒト・モノ・カネ」を総合的に見ることで、バラバラだった全ての数字がつながる。「ここを変えたら、こっちが動く」といったことをある程度分かっているメンバーで議論をすると、決断までのスピードが速いっていうのも、会社としてすごく強いなと思います。

なので社内には、グロービスの「クリティカル・シンキング」から始まって、定量分析やKPIのツリーといった認識を揃えるための“ツール”が存在しています。それによって、課題を特定し、それを解決したらどのような数字につながるのかということがある程度分かるんです。こうした取り組みが、会社の成長を支える土台になっていると思います。

当時の創業メンバーもそうですし、その2年後に入ってきた取締役、そして今のCOOもグロービス大阪校の同期なんです。4人の同期がいて、今も取締役として3人残っています。全員家族ぐるみの付き合いで、今でも変わらず仲が良いですね。こうした経験は、僕からしたらすごく貴重だなと思います。

「学び方」を学ぶ

田久保:原さんはどうでしょうか?この2〜3年間のグロービスでの学びを経験して、色々な仲間もでき、多くのことがあったと思いますが、今のお仕事を考えたとき、グロービスで得たもので一番役立っているのは何ですか?

原:一番役立っているのは、「学び方を学ぶ」ということですね。グロービスで学んだことを単純に当てはめたら答えが出る、なんてことはほとんどないです。学んだことに照らし合わせることは大前提で、そこから何を考えるかが大事だと思います。先ほど中野さんもお話ししていたように、物事を全体のシステムの構造として捉えたり、新しい情報から「それって全体の中でこういう位置づけだよね」と認知したり、そういうのができるようになって本当に助かっています。

田久保:俯瞰して見る、関係性を考える、短時間で要点を掴む、といったことですね。

原:あとは大量にある情報の中から、余計な情報や意味のない情報をふるいにかけて、全体の中で何が大事かを掴むとかですね。

田久保:ありがとうございます。

最後まで徹底的に比較してグロービスを選んだ

財務系が分からないと会社を潰してしまう、という不安

田久保:ここからは会場の皆さんから寄せられた質問に移りたいと思います。では、「MBA取得することになったきっかけや、なぜ色々ある大学院の中からグロービスを選んだのか」について、まずは中野さんからお願いします。

中野:起業しようと思ったのが一番のきっかけですね。実は僕の父親も起業していて、自分は次男だから違う会社を立ち上げましたけど、ずっと憧れていました。けど僕は、社会人になった最初の頃はニートだったんです。企業勤めは難しいと思っていましたが、地道な営業の仕事からスタートして、単科生としてグロービスで1年間勉強して、だんだんと全体感が掴めるようになりました。そのときに、「このまま起業するか?ちゃんと最低限学んでから起業するか?」を考えた結果、大学院で学んでから起業しようと決めたわけです。とくに「財務系が分からないと、会社を潰してしまうかもしれない」というのが大きかったですね。

グロービスの単科生として勉強していましたが、大学院に進むときは関西で行けるところは全て見にいきました。そして最後まで悩んだのが、グロービス含め2校。当時ケースを扱っていたのはその2校だけだったと思います。いろいろと資料請求したり体験授業を受けに行ったりして、最終的にグロービスを選んだんです。

学位や資格とか、そういうのはどうでもよくて。やっぱり起業したいという想いが強かったので、実践で使える学びが得られるかどうかが全てでした。その点でグロービスはぴったりでしたね。

田久保:原さんはどうでしたか?

原:きっかけは子どもが生まれたことでした。子どもが20歳になるのが2030年なのですが、生まれた当時(2010年)から、今問題となっているようなことがすでに想定されていました。自分の子どもが「日本で働きたいのに働き口がない」「魅力的な働き方ができない」ということにはなってほしくない。しかしエンジニアの力だけではどうにもならない、と思ったことが起点でしたね。

そこでなぜグロービスを選んだのかというと、「クリティカル・シンキング」を受けてみて、純粋に面白かったのが大きいです。大学の授業で面白いと感じたことはなかったのに、初めて学ぶことが面白いと感じたんです。授業で学んだことを仕事でやってみて、自分の力になっていく感覚が新鮮で、グロービスに通うことを決めました。

“お互いさま”でラフに頼り頼られる関係性

田久保:ありがとうございます。では続いて、「MBAで勉強していなかったら、どんなことが起きていたと思いますか?」という質問についていかがでしょうか。

中野:僕はたぶん起業してなかったですね。営業だけをしていたときと今では、考えられる幅の広さや範囲が桁違いなので、絶対に無理だと思います。もし起業したとしても、求人広告の代理店を数名でやっている姿しか想像できないですね。自分でサービスを作っていくなんて到底不可能だと思うので、そこが大きな差だと思います。

原:僕は本(創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか)を書いていなかったと思いますね。「研究・起業プロジェクト」で長寿企業の研究をしていたときに、田久保さんから「本にしたらどうか」と言われて、本当にしたんです。本を書くという経験は、たぶんここに来ていなかったらしていなかったと思います。

田久保:仕事的にはどうでしょうか?例えば、MBAで学んだフレームワーク的な考えが一切ないまま、社長に呼ばれていたらどうなっていたと思いますか。

原:「今の会社の立ち位置はどこか、何が足りていないのか」ということを整理するまでの、スピードが遅くなっていたと思います。アウトプットしてはじめて分かることって、いっぱいあるじゃないですか。思考するための土台がない分、そのアウトプットまでのスピード感が10倍くらい違ったんじゃないかと思いますね。

田久保:ありがとうございます。次の質問は「グロービス卒業後に、何か継続していることがあれば教えてください」について、いかがでしょうか。

中野:大学生向けのビジネスをしているので、創業当時から、関西の大学生や若手起業家向けに経営学を教えるというボランティアをずっと続けています。教えると自分も学んだことを忘れないので、これはいいなと。今でもファイナンスの式とか普通に書けますね。また、人と会って新しい情報を学ぶということと、自分でアウトプットするということはずっと続いているなと思います。これはたぶんグロービスの勉強会の癖で、もう十何年やっていますね。

本当に勉強してこなかった人生の中で、グロービスの単科生時代を含めた3年間が、僕にとっての勉強の全てなんですよね。だから「学生時代と比べてこうだった」とか、ほかのやり方との違いはあまり分からないですけど。まわりと切磋琢磨しながら学んで、アウトプットもどんどんしていくということが、グロービスの最大の特徴じゃないかなと思います。

田久保:ありがとうございます。原さんへの質問で「人事のトップとして、自社社員にMBAを取得してほしいと思いますか」ときています。どうでしょうか。

原:必ずしも、全員MBAを取得したほうがよいとは思いません。ただ、ビジネスリテラシーや思考力は、ベースとしては絶対に必要。その上に専門性が積み上がっていきますよね。例えば、ソフトウェアやシステム工学、マーケティングだとかいろいろあると思います。でも、その土台となるところ(=ビジネスリテラシーや思考力)は全員必要かなと。それをグロービスでやる場合もあれば、独学でやる場合もあれば、いろんなやり方があるかなと思います。

田久保:逆にどういう人には、経営学というものをちゃんと勉強してほしいなと思いますか。

原:ひとつの分野で尖って価値を出すこともすごく大事だと思いますが、いろいろなものをつなげて全体を束ねて価値を出す、みたいなところですね。これはやはりある程度の幅や深さがないと、物事を立体で見ることができないんですよね。そういうタイプとして役割を果たしたい、という人は経営学を学んだほうがよいと思いますね。

田久保:いろんなものをつなぐ、もしくは何かのハブになる人は、体系的に経営を学んでおかないと会話がそもそも成立しない、ということですね。

原:そうですね。一人一人を活かせず、全体の総和を「1+1+1=5」にすることはできないので。

田久保:具体的に言うと、ジェネラリストとしてマネジメントポジションを目指すタイプの方とかですかね。

原:今だと「ジェネラリスト」って言葉よりも、「プロフェッショナル」という感じだと思います。いろんなプロフェッショナルを束ねて、こういうプロジェクトで価値を出すぞとか。こういう分野で社会に貢献するぞ、というリーダーには学んで欲しいなと思いますね。

田久保:ありがとうございます。能力開発以外で、お二人がこれは印象に残ったなとか、これはインパクトがあったなとか、こういうものを得られたなとか、今も活きているよ、みたいなことがあれば教えてください。

中野:ネットワークという観点だと思うんですけど、在学中も卒業後も、本当に夜中みんなで勉強しているとか、卒業してからもみんなでビジネスの一線でめちゃくちゃ戦っているとか、SNSがあるのでその様子が見えるんですよね。この感覚ってなかなか得られないと思っていて、そういう人たちが近くにいて、戦い続けるのが当たり前みたいな感覚を得られるのがすごく良いなと思いますね。

田久保:起業家としてね。

中野:そうですね。別に起業していなくても、第一線で活躍している人が山ほどいるので。その人たちが卒業して3年5年経ってくると、みんな活躍し始めるんですよね。

田久保:現実的にFacebookなどを見ていると、2人の投稿だけに限らず、どこかのセミナーで「この人がキーノートスピーチをします」とか言って写真がタイムラインに出てきて、どこかで見たことがあるなと思ったらそれが卒業生だったりとか。そういうのって、僕みたいな仕事をしている人間からすると、なんとも言えないうれしさがあるんですよね。「あ、またいた」とか「ここにもいた」「あそこにも」という感じで。原さんはどうですか?能力開発という側面以外で。

原:やっぱり仲間ですね、ベタですけど。当時の仲間はもちろん、毎年新しいつながりが出てきて、それこそ今だと人事系をやっているので、それに関係するグロービスの方のつながりから紹介してもらったりとか。そういったネットワークのハブは、めちゃくちゃ価値があると思いますけどね、場の力というのは。

田久保:例えば、名古屋校で学年を超えて、とある会社の人事の方とつながって、その人がまた誰かを紹介してくれてとか、そういうパターンですか?

原:それもそうですし、東京とのつながりも多いので、東京のとある企業の方とか、「だったらこれ紹介してあげるよ」とか。そういうフラットな感じでつながることができるので、めちゃくちゃ助かります。紹介してあげますよね、頼まれたら大体。頼まれたら嫌って言わないで、なんとなくYESって言うじゃないですか。そう言ってくれる、“お互いさま”という関係のつながりがあるのがすごく良いですね。

田久保:それは僕もすごく感じるんですけど、なぜそうなるんだと思いますか?

原:自分もやってもらっているから。それですごく価値を感じているので、自分が頼まれた時は「じゃあ」とやれることは精一杯やろうみたいな。Give and GiveでTakeみたいな感じの。そういう方は多いですよね。

中野:多いですよね。ギバー(GIVER)の方ばかりが最終的に残っていくという感じがするので、それが当たり前の空気感になっていると思いますね。

田久保:それは僕的には嬉しい話なんですけど、なぜそうなっているのかをあまりサイエンスできていなくて。なんでみんなそう動いているんだろうなっていうのが、本当に素朴な疑問なんですよ。嬉しいので、そのままの文化でいてほしいなと思うんですけどね。

原:田久保さんとか、起点になる人が本当にギバーで、いろいろやってくださるじゃないですか。頼んだときとか、困っているときとか。ああいうのを1回体験すると、「じゃあ自分もそうしよう」という感じになってくると思いますけどね。

中野:そうですね。

卒業生からのメッセージ

田久保:ありがとうございます。まだまだいっぱいあるんですけど、最後に皆さんへのメッセージと、これから中野さん、原さん、例えば向こう5年とか語り得る近未来で、どんなことに自分の人生の時間を使っていきたいと思っていますか。そして最後に、今MBAに来ようかなと思っている方へのメッセージで締めていただければと思います。

中野:皆さんありがとうございました。原さんと同じように、子どもが生まれた時期にグロービスに入ってというスタートだったので、会社をつくるときに「自分たちの子どもが使ってくれるようなサービスを作ろう」というのを合言葉に、3人で起業したんですね。

今中学校1年生と2年生なので、いよいよあと10年も経てばというところまできています。今思っているのは、さらにもっと先で日本が「失われた30年」って言われているのって、たぶん僕ら世代が失わせてしまったと僕は思っていて。それをなんとか変えたいなと。

自分の事業を通してもそうですし、私は関西なので、関西を盛り上げるとか、もっと日本を盛り上げるみたいなことにどんどん時間を使っていきたいなと思っています。その中で、自分を介して何かが変えられた、というものを作っていくのが、今ずっと考えていることですね。なので、自社だけが成長するんじゃなくて、もっとその先も踏まえて、ここから20年30年まだまだ仕事できると思うので、そこに時間を投下したいなと思っています。

皆さんへの言葉で言うと、私はリアルにグロービスで人生変わったタイプの人間なので。もともと23歳のときニートだったんですよね。ニートが20年後に上場企業の社長になれるわけがないんですけど、たかだか2年3年本気で時間を投下するだけで人生変えられるというのは、まさにそうだなと。毎日1%でも努力するのを2年間続けると、1.01の730乗で1427倍なんですね。このくらいの価値は本当にあると思うので、やるんだったら徹底的にやったほうがいいかなと思っています。またお会いできることを楽しみにしております。今日はありがとうございました。

田久保:ありがとうございます。

原:今弊社では、環境と安心の分野で社会に貢献したいということで、交通事故死者ゼロとか、カーボンニュートラルとか、そういうものを目指しています。そういった会社の大義を果たすことと、やっぱり社員一人一人が「ここで働いてよかった」「こんな仲間と働いてよかった」「夢が叶った」みたいな、この2つの接続する部分を最大化したいというのが、僕が今一番やりたいことなので、今の役割としてしっかりとやっていきたいと思います。

皆さんここに来られているということは「やろうかな」と思っていらっしゃるということだと思います。最後に迷うのが「今やるか、いつかやるか」だと思うんですけど、残念ながらいつかやるっていう「いつか」ってなかなかこないものです。やりたいと思ったときがそのときなので、ぜひ。あれが大変、これが大変って、いろいろな言い訳はいっぱいあると思うんですけど。やりたいと思った気持ちを大切にしていくのが、いいんじゃないかなと思います。

体験クラス&説明会日程

体験クラスでは、グロービスの授業内容や雰囲気をご確認いただけます。また、同時開催の説明会では、実際の授業で使う教材(ケースやテキスト、参考書)や忙しい社会人でも学び続けられる各種制度、活躍する卒業生のご紹介など、パンフレットやWEBサイトでは伝えきれないグロービスの特徴をご紹介します。

「体験クラス&説明会」にぜひお気軽にご参加ください。

STEP.1参加方法をお選びください

ご希望の受講形式と同じ形式での参加をおすすめしています。

STEP.2参加を希望されるキャンパスをお選びください

STEP.3日程をお選びください

絞り込み条件:

  • 7/27(土) 13:00~16:00

    オープンキャンパス

    開催:オンライン(Zoom開催) ※体験クラス・卒業生スピーチあり
    本科入試検討者・グロービスMBAの特徴を確認したい方向け

  • 8/10(土) 10:00~12:15

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催) ※卒業生スピーチあり
    単科で1科目から学びたい方・グロービスMBAの特徴を確認したい方向け

  • 8/15(木) 19:30~21:30

    体験クラス&説明会

    開催:オンライン(Zoom開催)
    単科で1科目から学びたい方・グロービスMBAの特徴を確認したい方向け

該当する体験クラス&説明会はありませんでした。

※参加費は無料。

※日程の合わない方、過去に「体験クラス&説明会」に参加済みの方、グロービスでの受講経験をお持ちの方は、個別相談をご利用ください。

※会社派遣での受講を検討されている方の参加はご遠慮いただいております。貴社派遣担当者の方にお問い合わせください。

※社員の派遣・研修などを検討されている方の参加もご遠慮いただいております。こちらのサイトよりお問い合わせください。