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投稿日:2022年11月21日

投稿日:2022年11月21日

サステナブル・キャピタリズム〜先進国が投棄した廃棄物のアートで社会課題解決を志す〜MAGO CREATION代表取締役美術家・長坂真護氏

長坂 真護
MAGO CREATION株式会社 代表取締役美術家
田久保 善彦
グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長

先進国が投棄した廃棄物でアートを作り、ガーナのスラム街を救うことを志す、MAGO CREATION株式会社 代表取締役美術家の長坂 真護氏をお招きし、セミナーを開催した。長坂氏の持続可能な社会を目指した創作活動は、各方面から注目をあびている。2030年までに資金を集め、現地にリサイクル工場を建設、新たな産業と雇用を生みだすことを目標に掲げ、長坂氏自身がゴミからアートが作れなくなる状態にすることを目指している。長坂氏がガーナで目の当たりにした現実、そしてアートを通じて先進国に問い続けてきた活動の軌跡を辿り、世界や日本、そして身近で起きている“現実”から、私たちはどのような未来を創っていくべきなのかお話をいただいた。

講演の中では、「ガーナが好きで好きで仕方ない。”本当にスラムをなくしたい”、その気持ちで作った自分の作品は、ガーナへのラブレター。アートの売り上げで、スラムに教育・文化、そして経済をもたらしたい」「我々の生活の豊かさは資本主義のあるゆがみの上で担保されている。このまま行くと、1000年後の未来はない。資本主義を否定するのではなく、地球に負荷をかけない持続可能な資本主義(サステナブル・キャピタリズム)へ転換していくことが必要」など、長坂氏の熱い想いをお話いただいた。

「持続可能な資本主義の実現のためには、問題提起だけではなく、問題解決のステージに進まなくてはいけないと気付かされた」「資本主義の恩恵を感じ、その闇に対して目を瞑っている自分に気付き、ドキッとした」 などのコメントが寄せられ、多くの気付きを得られるセミナーとなった。


長坂 真護

MAGO CREATION株式会社 代表取締役美術家

1984年生まれ。2009年、自ら経営する会社が倒産し路上の画家に。
2017年6月“世界最大級の電子機器の墓場”と言われるガーナのスラム街“アグボグブロシー”を訪れ、先進国が捨てた電子機器を燃やすことで生計を立てる人々と出会う。
アートの力を使って、“我々先進国の豊かな生活は、このスラム街の人々の犠牲のもとに成り立っているという真実”を先進国に伝えることを決意。
「サステナブル・キャピタリズム」を提唱し、これまでに1000個以上のガスマスクをガーナに届け、2018年にはスラム街初のスラム街初の私立学校『MAGO ART AND STUDY』を設立。
2019年8月アグボグブロシー5回目の訪問で53日間滞在し、彼らの新しい希望と生活のために、スラム街初の文化施設『MAGO E-Waste Museum』を設立した。

この軌跡をエミー賞授賞監督カーン・コンウィザーが追い、ドキュメンタリー映画“Still A Black Star ”を制作し、2021年アメリカのNEWPORT BEACH FILM FESTIVALで「観客賞部門 最優秀環境映画賞」を受賞。現在、公開へ向けて準備中。

田久保 善彦

グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長

慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業、中央省庁、自治体などを中心に調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ系・思考系科目の教鞭を執る。 経済同友会幹事、上場企業、ベンチャー企業社外取締役等も務める。

著書:『ビジネス数字力を鍛える』(ダイヤモンド社)、『社内を動かす力』(ダイヤモンド社) 共著:『志を育てる』、『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』、『これからのマネジャーの教科書』、『人的ネットワークづくりの教科書』(東洋経済新報社)、『MBAクリティカル・シンキングコミュニケーション編』(ダイヤモンド社)ほか多数。