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投稿日:2022年06月23日
投稿日:2022年06月23日
モデル化して考えるとはどういうことか──物事の仕組みを単純化してつかめ
- 村山 昇
- キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
私たちは具体次元であれこれ起こる事象に振り回されます。すると往々にして、思いつきで手を打ったり、対症療法的な処理をするだけでその場しのぎをしたりします。しかしそんなときこそ、抽象次元に上がって状況を構造的にとらえ、図化してとらえる必要があります。
物事を類型化する訓練でモデル化の力を養う
私はコンセプチュアル思考の研修で、物事を類型化するワークをよく取り入れています。類型化とは、ある種の物事を共通する特徴や性質によって、より小さななかま(=類)に分けることです。
類型化の題材として例えば、「時計を類型化しなさい」とか「酒を類型化しなさい」のように物(モノ)を持ってくる場合があります。これは比較的簡単です。しかし、題材を「創造性を類型化しなさい」とか「幸福を類型化しなさい」などのように抽象的な概念をもってくると、難度が一気に増します。どんな基軸で創造性や幸福を切り取り、分けていくかには、とても多様な答えがあり、その人の思考の深さが試されるからです。
さて本稿では、「仕事の報酬」を題材にしたときの様子を紹介しましょう。私はこのワークを企業内研修で行っていますが、研修でなくとも、みなさんの職場で複数が集まってもできますし、個人でもできます。
【設問】
- 作業1:「仕事の報酬」として思い浮かぶものをいくつもあげなさい。
- 作業2:それら仕事の報酬を類型化し、1枚の図(絵)にまとめなさい。
「報酬」という言葉を辞書で調べると「労働に対する謝礼のお金や品物」などと出てきます。確かに報酬の第一義は勤労の対価としての金品です。しかし、仕事がそれを成し遂げた者に与えてくれるものは、金品だけではなさそうです。
研修の場合まず、作業1をグループでブレーンストーミングをやります。各自が付箋紙に仕事の報酬だと思うものをどんどん書き出します。すると予想以上にたくさんの付箋紙がテーブルに並ぶので受講者たちは驚きます。
例えば下図のような報酬が出てきます。この書き出しをどれくらい豊かにできるかはグループ・個人で差が出ます。仕事の報酬と聞いて、イマジネーションをどこまで掘り下げ広げられるかは、能力の差というより、仕事に対する意識の深さの差かもしれません。「仕事は給料を得るためだけのもので、できるだけラクにすませたい」と構えている人は、やはり答えは豊かに出てきません。
このようにモデル図を起こし固めていく過程で、「仕事の報酬」という概念が自分のなかにしっかりと構築ができます。さらには報酬観という自分なりのものの見方が醸成されます。漫然と世の中の事象に向き合うのではなく、このモデル化ワークのように、事象の奥にある本質は何か、要素間の関係性はどんなものか、それを引き出して単純な模型に表してみる。これがビジネスを力強く進めていく上で大切な思考態度となります。
書籍:『コンセプチュアル思考 物事の本質を見極め、解釈し、獲得する』
著者:村山 昇 発行日:2022/2/28 価格:2,970円 発行元:ディスカヴァー・トゥエンティワン
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村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表