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投稿日:2021年03月15日

投稿日:2021年03月15日

コロナによって変わる事業継承を取り巻くマネジメント(あとつぎ会議パネルディスカッション)

スピーカー

山村健司氏
株式会社SANYO-CYP代表取締役社長兼CEO
グロービス経営大学院 2014年卒業
高田海道氏
株式会社虎屋本舗代表取締役副社長
グロービス経営大学院 2018年卒業
堀江龍弘氏
株式会社ホリエ代表取締役
グロービス経営大学院 2017年卒業

モデレーター

田久保善彦
グロービス経営大学院研究科長

2021年2月、グロービス経営大学院は、約100名の参加のもと、「第3回あとつぎ会議」をオンラインで開催した。本記事では、第三部に行われたパネルカッションの様子を一部ご紹介したい。

登壇者は、株式会社SANYO-CYP 代表取締役社長兼CEO 山村健司氏(グロービス経営大学院 2014年卒業)、株式会社虎屋本舗 代表取締役副社長 高田海道氏(グロービス経営大学院 2018年卒業)、株式会社ホリエ 代表取締役 堀江龍弘氏(グロービス経営大学院 2017年卒業)の3人。モデレーターを、グロービス経営大学院 研究科長 田久保善彦が務めた。

コロナが事業に与えた影響とは

冒頭、田久保が話題にしたのは、コロナ禍の事業について。口火を切ったのは山村氏だ。

「コロナの影響禍の中、変動費の削減などに取り組んだ結果、会社を筋肉質に変えられました。社員の結束が高まったことも良いことでした

続く堀江氏は、(1)Webの活用の促進、(2)家に対する価値観の変化、(3)考察する時間の増加――を、コロナ後の変化として挙げたうえで、継承から1年が経つ所感を以下のように述べた。

「コロナという危機を前に『お客様や社員を何とかしなければ』という気持ちが先行していたため、プレッシャーを感じずに仕事に注力できた点は良かったと思います」

一方、高田氏は「ネガティブなことが頭に残った1年だった」と振り返る。

「和菓子屋は箱モノ商売なので、売上が半減してしまいました。また、コロナで会社の状況が危惧され、代替わりが1年延びたことも大きな出来事でした」

コロナ禍が先代との関係を好転させた

コロナによって三者はそれぞれの様相を見せているが、その影響は家族との関係にも及ぼしているようだ。

事業承継が1年延びたと話す高田氏。父親とはオフィスで顔を合わすたび口論が絶えなかったという。しかし、一緒にゴルフに出かけたことをきっかけに自身の気持ちに変化が起きたそうだ。

「ゴルフ場で話を聞くと、父の本音がそれまでとは違うところにあることが分かりました。父、社長、歴代当主など、いろいろな表情を持っているのですから、オフィスでの一面だけで判断してはいけないと感じました」

山村氏もまた、「胆管がん問題(山村氏の会社の労働災害問題。詳しくはこちら)の渦中は、父親との関係は良くなかった」と当時を回想。しかし、経営から身を引いて以降の父親には山村氏や会社を見守るようなスタンスとなり、コロナ禍のいまも自分の立場を慮ってくれている、と破顔する。


実業のなかで生きる、グロービスでの学び

話題は、「グロービスでの学び」へと移った。三者に共通して言えることは、グロービスが新しい知識と出合う好機の場になっていることである。

「“怖い”という感覚を知った」と話す高田氏。グロービスでの学びにより、事業を継続するにあたって、何が怖いのか、何がリスクになるのかを理解できるようになった、と言葉を継ぐ。

山村氏は「胆管がん問題」の話を引き合いに、実体験を語る。

「定性と定量の両面から客観的な分析力が身につくグロービスでの学びは、とても役立ちました。特にファイナンスは、事業を戦略的に進めるうえで大いに活用しました。何より嬉しかったのは、グロービスの多くの仲間に助けられたことです。」

このほか、経営者としての判断軸や価値観に関する話題では、「善悪の判断はできるが、新しいことと確かなこと、正しいことと美しいことがイコールにならないことが判断できるようになった」と話す高田氏に、田久保は「正しいことと美しいことのどちらを選ぶとしても、それはその人にとっての大事な価値観」と応じた。

なお、山村氏は、「社員110人全員にヒヤリングして作成した行動規範にある『GIFT』が、判断軸」と話し、「胆管がん問題」で、いろいろな人に助けていただいたので、その際のお返ししたいという想いが込められていると語った。

最後は、三者からの以下のメッセージで締めくくられた。

堀江氏「前回のあとつぎ会議でスピーカーの方が仰っていた『(事業承継者という)宿命に生まれ、(その)運命に挑み、(自ら見出した)使命に燃える』という言葉が刺さり、今日まで頑張ってきました。これからも頑張ります」

山村氏「今日、参加された多くの事業承継者の皆さんに、刺激をもらったので新たなチャレンジへの勇気をいただきました。ありがとうございました。」

高田氏「事業継続に対する怖いという気持ちを持っているなりにも努力を重ね、また次回成長した姿で変化のある話ができればと思います」

     セッションの途中に田久保が語った「人口72億分の1。余人をもって代えがたいというのが、事業承継者たる皆さま」という言葉のとおり、経営課題も事業展望も承継者の数だけ存在している。そのようななか、同じ立場から経営と向き合う三者のコメントは、参加者の励みにも学びにもつながったはずだ。

スピーカー

山村健司氏

株式会社SANYO-CYP代表取締役社長兼CEO
グロービス経営大学院 2014年卒業

2002年 ITソリューション会社を経て(株)SANYO-CYPへ入社。UVインキでの新事業成功後、新市場である電子部材製造にも展開。
2013年 BtoCビジネスを目的に子供向けフォトスタジオ事業(Studio LUCE)を開店。
2014年 労働災害問題解決後 代表取締役社長兼CEOに就任。
2019年 グロービス経営大学院同期のWMH㈱ 加福真介氏(GMBA2012期)と新会社を設立。電子デバイス毎の色味を調整する技術を開発、特許取得。
第15回(2019年度)「グロービスアルムナイアワード」変革部門を受賞

高田海道氏

株式会社虎屋本舗代表取締役副社長
グロービス経営大学院 2018年卒業

広島県福山市出身。早稲田大学卒業後、不動産会社、参議院議員秘書を経て2013年に和菓子家業の株式会社虎屋本舗へ入社。せとうち和菓子キャラバンが2019年外務省JAPAN SDGs AWARD受賞。
現在は、株式会社虎屋本舗 代表取締役副社長として活躍。2020年に創業400年を迎え、第十七代目当主として就任予定。

堀江龍弘氏

株式会社ホリエ代表取締役
グロービス経営大学院 2017年卒業

一級建築士。新潟大学卒業後、積水ハウス株式会社入社。2010年に家業工務店の株式会社ホリエ入社。
高級住宅事業、家具事業、ホテル事業、飲食事業、不動産事業立ち上げ展開することで売上5倍の成長に寄与する。2019年12月から代表取締役に就任。

モデレーター

田久保善彦

グロービス経営大学院研究科長

慶應義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修了。スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業、中央省庁(経済産業省、文部科学省他)、自治体などを中心に調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院及びグロービス・マネジメント・スクールにて企画・運営業務・研究等を行なう傍ら、グロービス経営大学院及び企業研修におけるリーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。経済同友会幹事、経済同友会教育問題委員会副委員長(2012年)、経済同友会教育改革委員会副委員長(2013年度)、ベンチャー企業社外取締役、顧問、NPO法人の理事等も務める。

著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』(ダイヤモンド社)、共著に『志を育てる』、『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』、『創業三〇〇年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか』(東洋経済新報社)、『日本型「無私」の経営力』(光文社)、『21世紀日本のデザイン』(日本経済新聞社)、『MBAクリティカル・シンキングコミュニケーション編』、『日本の営業2010』『全予測環境&ビジネス』(以上ダイヤモンド社)、『東北発10人の新リーダー 復興にかける志』(河北新報出版センター)、訳書に「信念に生きる~ネルソン・マンデラの行動哲学」(英治出版)等がある。