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2020年12月23日

2020年12月23日

あさって会議 全体会「新しい未来を創造するリーダー達へ」レポート

モデレーター

田久保 善彦
グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長

パネリスト

山田 邦雄
ロート製薬株式会社 代表取締役会長 兼 CEO

※あさって会議とは

グロービス経営大学院の教育理念である「能力開発」「志」「人的ネットワーク」を育てる場を継続的に提供するために、オンラインで開催したビジネスカンファレンス。日本全国、世界各地から、各界で活躍する2,200名ものグロービス経営大学院の学生(在校生・卒業生)および教員が一堂に集い、心ゆくまで語り合い、次の行動への決意を固めました。

「あさって会議」という名前は、「未来(あす)に向かって一人ひとりが新たな一歩を踏み出す。その一歩がやがて大きなうねりとなり、さらに遠い日本・世界の未来(あさって)を創る。そんなカンファレンスにしたい」という想いから、学生有志の皆さん(学生企画委員)によって名付けられました。

環境変化の激しい現代。最近では新型コロナウイルスが世界経済や社会に多大な影響を及ぼし、一寸先すら予測できない時代となった。その中でも未知の世界に立ち向かい、未来を創造することを志す者が目指すべき「リーダー像」とは? ロート製薬株式会社 代表取締役会長の山田邦雄氏から期待を込めたメッセージが贈られた。

「日本は一周遅れの国になる」という危機感

2019年2月に創業120周年を迎えたロート製薬。医薬品に始まり、化粧品、アグリ事業、飲食事業、再生医療へと挑戦を続け、今や売上の6割以上がスキンケア関連品、4割近くが海外売上となっている。


そんな同社を40年にわたり支え、牽引する山田氏は、現在の世の中をどう見ているのだろうか。

「私が若い頃の世の中は、右肩上がりの成長が当たり前。技術が進歩してどんどん便利になり、世界との距離が縮まることが当然だった。しかし、便利な世の中になって私たちの心は豊かになったのだろうか? 見失ってしまったこと、考えるのを後回しにしてきたことを、今改めて見直さなければならない時期にきているのではないか」


また、現在の日本に対する危機感についても語った。


「コロナ禍で先進国が右往左往している間に、若い国は未来を見据えた準備を始めており、日本は一周遅れの国になってしまうという危機感を抱いている。人口の観点から見れば日本は厳しい時代に入っているが、基礎研究の厚みや国民が持つ善良な精神、恵まれた国土があり、自然とともに生きる文化を持った素晴らしい国だ。真の豊かさを目指して、若い世代が立ち上がるべき」

自分たちの知恵と足で、多様性のある豊かな社会へ

「今の若い世代はおとなしい。順番を待たずにもっと上にあがって指導力を発揮してほしい」と鼓舞した山田氏。若きリーダーがこれから取り組むべきこととは何か。


「金融業界も情報業界も世界ではパワーゲームが加速しているが、強い者が勝つ世界は美しくない。多様性が尊重され、個人がそれぞれの生き方を実現できる社会こそが、豊かな社会だ。政治に頼るだけではなく、自分たちの知恵と足で未来を創造していくことが大事。次の世代、その次の世代が活躍できる仕組みをどうつくるかについても、もっとみんなで話し合っていかなくてはいけない」

ロート製薬では、一度退職した人のカムバックや社員の副業を歓迎するなど、個人の能力を最大限に活かす取り組みを行っている。そうした一つひとつの挑戦が、真に豊かな社会への変革につながっていくのだろう。


「何十年もかかると思うが、日本のやり方が本当の意味でサスティナブルであり豊かであると世界が認める未来が必ず来る。私たちの世代も邪魔せず支援するので、若いみなさんが先頭に立って社会を変えてほしい。応援しています」と力強いエールを贈った。

志を持ち、根を張れば、多少の雨風でも折れない

「みんながついていきたいと思うのは、自分のためではなく世の中のために心底頑張るリーダー。社会をこうしたいというフィロソフィーがないと、企業の長期ビジョンは見えてこない。志をしっかり持っていれば、多少の雨風でも折れることはないし、結果として会社や事業も発展していく。会社は道具と捉えて自由に使いながら、豊かな未来の創造を目指してほしい」


 最後に、これからの時代に必要なリーダー像について語った山田氏。多くの参加者にとって、自分たちが目指すべき未来、そして自らの「志」を再認識する機会となったに違いない。

モデレーター

田久保 善彦

グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長

慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業、中央省庁、自治体などを中心に調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ系・思考系科目の教鞭を執る。

経済同友会幹事、経済同友会・新産業革命と社会的インパクト委員会副委員長(2016年度)、新産業革命と規制・法制改革委員会 副委員長(2017、2018年度)、ベンチャー企業社外取締役、顧問等も務める。


著書:『ビジネス数字力を鍛える』(ダイヤモンド社)、『社内を動かす力』(ダイヤモンド社)

共著:『志を育てる』、『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』、『これからのマネジャーの教科書』(東洋経済新報社)、『MBAクリティカル・シンキングコミュニケーション編』(ダイヤモンド社)ほか多数。

パネリスト

山田 邦雄

ロート製薬株式会社 代表取締役会長 兼 CEO

昭和54年3月 東京大学理学部物理学科卒業 昭和55年4月 ロート製薬株式会社入社。営業現場を経て、商品開発・マーケティング等に携わる。平成2年 慶應義塾ビジネスMBA 平成3年6月 取締役就任、営業全般の指揮を取る。専務、副社長時代は海外への展開をはかり、中国、ベトナム等に進出。平成11年6月 代表取締役社長就任。新規分野であった化粧品ビジネスへの大幅シフトをすすめ、主力事業に転換。米国メンソレータム社会長兼務。平成21年6月 10年任期の予定通り53才で社長交代、代表取締役会長 兼 CEO就任。現在に至る。