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2020年12月23日

2020年12月23日

あさって会議 第2部分科会B「なぜ、私はこのビジネスをやるのか~突き動かされた使命感~」レポート

モデレーター

廣瀬 聡
グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長/事務局長

パネリスト

河野 健一 氏
株式会社iMed Technologies 代表取締役CEO 医師
グロービス経営大学院 2019年卒業
民秋 清史 氏
株式会社モルテン代表 取締役社長 最高経営責任者
グロービス経営大学院 2016年卒業
町井 恵理 氏
認定NPO法人AfriMedico 代表理事
グロービス経営大学院 2015年卒業

※あさって会議とは

グロービス経営大学院の教育理念である「能力開発」「志」「人的ネットワーク」を育てる場を継続的に提供するために、オンラインで開催したビジネスカンファレンス。日本全国、世界各地から、各界で活躍する2,200名ものグロービス経営大学院の学生(在校生・卒業生)および教員が一堂に集い、心ゆくまで語り合い、次の行動への決意を固めました。


「あさって会議」という名前は、「未来(あす)に向かって一人ひとりが新たな一歩を踏み出す。その一歩がやがて大きなうねりとなり、さらに遠い日本・世界の未来(あさって)を創る。そんなカンファレンスにしたい」という想いから、学生有志の皆さん(学生企画委員)によって名付けられました。

医師の経験を生かしてAIによる手術支援を模索する株式会社iMed Technologies代表取締役CEOの河野健一氏、アフリカで日本発の置き薬の事業化に挑戦中の認定NPO法人AfriMedico代表理事の町井恵理氏、株式会社モルテン 代表取締役社長 最高経営責任者の民秋清史氏が、起業の背景や志、あるいはリーダーのあるべき姿勢や課題の乗り越え方などについて、ざっくばらんに語った。オンライン開催ながら、参加者からも多くの質問が寄せられ、熱いセッションとなった。

情熱の根源は説明のつかない衝動性

ビジネスにおいて狙ったゴールへたどりつくには、予想外の壁や困難があっても、くじけない情熱や使命感が欠かせない。強靭な精神力や尽きることのない行動力を持つビジネスパーソンを支えているものは何だろうか。


モデレーターのグロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長である廣瀬聡は、起業間もない河野氏と、町井氏に、最初の一歩を踏み出すきっかけを、そして民秋氏には経営者として外部環境が大きく変化をする中で、大切にしている想いを問いかけた。

河野氏はグロービスに入るまでは起業を考えていなかった。ただ「グロービスで志を何度も問われる中で、起業への想いが芽生えた。今のままでは、今後の人生のすべてをかけても助けられる患者さんは限られている」と起業を決意。町井氏も、グロービスに入学した目的はマネジメント力をつけることであり、起業ではなかった。「入学時からアフリカと日本をつないで、薬を通じて貢献したいと思っていた。ただ、実現する方法がわからなかった。ある科目で100ほどのビジネスモデルを考え、現在の形に行き着いた。考え抜いた結果だったので、自分の中での納得感は高かった」と力強く語った。


「私はソニーのデジタルキッズ世代で、MADE IN JAPANが魔法の言葉だった。でも今、日本のブランド力は落ち続けている。次世代に日本ブランドを残したい。」と話す民秋氏。「コロナ問題が生じ経済合理性で動く社会に、志だけでは太刀打ちできないという現実を目の当たりにした。では、どうするか。必要なのはアニマルスピリット。ケインズが語った“行動せずにはいられない衝動”に従って、挑戦していくことが大切」と情熱的に述べた。

困難を乗り越えるための人脈や、仲間の存在があるか

志の実現に向けて努力していると、挑戦を後押しするような思いもよらぬ追い風が吹くことがある。起業家や経営者はその時機を信じて、ただひたすら挑み続ける。一方で、後ずさりしてしまうような絶壁に直面することもある。挑戦者たちは、どのように壁に向き合い、乗り越えていくのだろうか。

河野氏は、グロービスの仲間たちに助けられたとコメント。「グロービスには、似たような失敗や困難を乗り越えてきた先輩がいて相談すれば、気軽に時間をつくって答えてくれる。私も起業してまだ1年だが、とても多くのことを学んだ。最近では、起業間近の後輩の相談に乗る機会も増えた」。町井氏は一時期、責任に押しつぶされそうになって体調を崩したが、仲間に助けられたという。「その時に気づいたのは、自分を犠牲にしていては上手く進まないということ。自分が楽しめていることが大切」とリーダーとしての心構えにも触れた。

他者の意見で行動を変えるか、自分の意見を押し通すか

参加者からは「リーダーとして、他者の意見で行動を変えるか、自分の意見を押し通すか」といった質問も出た。民秋氏は「人の意見を聞く際の基準は、自分と同じ船に乗っているかどうか。だから社内の人の意見は聞く。一方で、外部のコンサルの方の意見はあまり聞かない。ちなみに、話を聞きたいと思った人がいたら、同じ船に乗せてから聞く」と明かした。河野氏は「世界初の取り組みなので、理論的な正しさは誰にもわからない。この分野は自分が一番よく調べて理解しているので、人の意見は参考にはするが、最後は自分の考えで決めることが多い」と言う。町井氏は「揺れる時が未だにある」としつつ、「結局、最後は自分の責任。結果を受け入れられる覚悟があるかどうか」と結論づけた。

最後にパネラーの3人が参加者へ行動を呼びかけるメッセージを贈った。このセッションの当日、朝のミーティングで初めて会ったグロービスの学生3人と翌週の予定を決めたという河野氏は「グロービスのネットワークを活用してすぐに行動してほしい」と参加者を激励。町井氏も「グロービスで学んだからにはぜひ行動を」と呼びかけ、民秋氏は「MBAという高等教育を受けた責任を果たすべく、世の中を一歩前に進めるために行動してもらいたい。99%は好きなことをやればいいが、1%は世の中のために動いてほしい」とメッセージを贈り、セッションは幕を閉じた。

モデレーター

廣瀬 聡

グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長/事務局長

慶応義塾大学経済学部卒業、カーネギーメロン大学大学院経営管理工学科(MSIA/MBA)修了(学位:MSIA/MBA)。


大手銀行にてデリバティブ・リスク管理・提携推進業務に従事後、米系戦略コンサルティング 会社に入社し、大手金融機関や事業会社の全社/事業部戦略立案、提携戦略支援、M&A推進プロジェクト等多数のプロジェクトに参画。その後AIG/AIU保険会社執行役員、ベルシステム24常務執行役員・共同COOを経て、2016年よりグロービスに参画。経営戦略策定とその執行の両面で豊富な経験を有する。既存事業の変革、新規事業の立ち上げ経験多数。また、危機管理面での経験も豊富。

パネリスト

河野 健一 氏

株式会社iMed Technologies 代表取締役CEO 医師
グロービス経営大学院 2019年卒業

脳神経外科医師として医療現場で16年間勤務し、脳梗塞・くも膜下出血などの治療に携わる。医療現場で脳血管内手術の課題を感じ、「世界に安全な手術を届ける」という志を掲げ、2019年4月にグロービス卒業とともに、病院勤務を辞職し、株式会社iMed Technologiesを設立し起業。現在、脳梗塞やくも膜下出血に対する脳血管内治療のリアルタイム手術支援AIを開発中。

民秋 清史 氏

株式会社モルテン代表 取締役社長 最高経営責任者
グロービス経営大学院 2016年卒業

2001年 矢崎ノースアメリカインク入社。米国の自動車業界に身を置き単一文化にとらわれない仕事の素地を育む。2006年 株式会社モルテン入社。取締役兼執行役員として海外営業や経営企画、広報部門を担当し、2010年8月より現職。スポーツ用品、自動車部品、医療・福祉機器の3事業を柱としている当社にしかできない独自の戦略を志向し、多岐にわたる市場にモルテンブランドの製品を提供している。1974年11月22日生まれ。

町井 恵理 氏

認定NPO法人AfriMedico 代表理事
グロービス経営大学院 2015年卒業

薬剤師。外資系製薬会社で6年間勤務後、青年海外協力隊としてアフリカのニジェール共和国にて2年間医療ボランティアに従事。アフリカの医療環境を持続的な仕組みで改善したいと考え、グロービス経営大学院大学へ進学。アフリカの医療を改善し、持続可能な仕組みを創りたいと日本発祥の置き薬事業を進めるため2015年3月NPO法人AfriMedico設立。置き薬を置くのみではなく教育と共にセルフメディケーションを促進し「アフリカ版」「現代版」にすべく、画像認識のAIを導入し改革をしている。


受賞暦:TOKYO STARTUP GATEWAY 最優秀賞(2014)/人間力大賞受賞(2016)/Forbes JAPAN 「世界で戦う日本の女性55人」(2016)/日経ソー シャルビジネスコンテスト 海外支援賞(2018)/日経ビジネス「世界を動かす日本人 50」(2019)/Newsweek「世界が尊敬 する日本人 100 人」(2019)