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投稿日:2020年12月23日

投稿日:2020年12月23日

あさって会議 第2部分科会A「グローバル市場におけるビジネス」レポート

モデレーター

河尻 陽一郎
グロービス経営大学院教員

パネリスト

大山 尚貢 氏
ノバルティスファーマ株式会社 メディカル本部 執行役員本部長
グロービス経営大学院 2010年卒業
中田 義則 氏
Brand’s Suntory International Co.,Ltd Vice President Manufacturing
グロービス経営大学院 2018年卒業
吉本 明憲 氏
タイガーインディア(タイガー魔法瓶株式会社インド支店) Managing Director
グロービス経営大学院 2012年卒業

※あさって会議とは

グロービス経営大学院の教育理念である「能力開発」「志」「人的ネットワーク」を育てる場を継続的に提供するために、オンラインで開催したビジネスカンファレンス。日本全国、世界各地から、各界で活躍する2,200名ものグロービス経営大学院の学生(在校生・卒業生)および教員が一堂に集い、心ゆくまで語り合い、次の行動への決意を固めました。

「あさって会議」という名前は、「未来(あす)に向かって一人ひとりが新たな一歩を踏み出す。その一歩がやがて大きなうねりとなり、さらに遠い日本・世界の未来(あさって)を創る。そんなカンファレンスにしたい」という想いから、学生有志の皆さん(学生企画委員)によって名付けられました。

言語、文化、商習慣、あらゆる面で日本とは異なる海外市場。海外で経営やマネジメントを担う上で必要なこととは何か、グローバルに活躍するグロービス経営大学院の卒業生にお話を伺った。コロナ環境下だからこそのチャレンジや海外で働く意義といった刺激的な内容は、多くの参加者の挑戦意欲をかき立てた。

コロナ環境下でますます求められている“言語力”

モデレーターの教員・河尻陽一郎がまず問いかけたのは、海外かつコロナ禍という状況で乗り越えるべき壁についてだ。

サントリーのアジア太平洋地域4か国・6製造拠点を統括する中田義則氏は、コロナの影響で出張ができず、タイから遠隔で他拠点をマネージしている。「オンラインでできること、できないことがある。KPIの数値報告やそれに対する指示はある程度できるが、現場に赴いてリアルに製造やコミュニケーションの状況を把握し、改善活動や問題の未然防止、アイデア創出などが難しくなった。これまで現地で暗黙知として運用していた手法を、形式知化・言語化し、問題を細かくブレイクダウンしてから施策を考えるようにしている」と現状の取り組みについて言及した。

海外勤務経験の豊富なノバルティスファーマ株式会社の大山尚貢氏は、ネイティブレベルの英語力を持ちながらも、さらに力を高める重要性を感じているという。

 「母国語が異なる人たちが集まる際は、共通言語は英語になる。オンラインでの英語コミュニケーションは、熱量や空気や表情が伝わる対面での場合とは違う。日本語を直接訳さない、結論まで言い切る、熱量が伝わる言い方を選ぶなどを強く意識しなければならない」

異文化コミュニケーションで大切なこと

一方で、環境に影響されず普遍的に求められる能力もある。

現地従業員を動かす難しさについて語ったのは、タイガー魔法瓶のインド法人を瀕死状態から成長へと導いた吉本明憲氏だ。

「時間感覚の違うインド人スタッフに悩んでいたが、あらゆるサービスをジャストオンタイムで提供する高級ホテルのスタッフを見て、あらかじめスケジュールを細かく組んでおくという解決策を見つけた。人種やポジションに限らず、お互いにストレスなく動くためには、仕組み化が重要になる」

中田氏も対人問題について触れ、「異文化コミュニケーションは量と質。コロナ前は量にこだわっていたが、今は“伝えたいことをシンプルに伝える”という質も大事になってきている」と語った。

グローバルリーダーとして働く意義

続けて河尻は、世界を舞台に活躍してきた3名に、海外で働く意義を問うた。

「限られた数の日本人で役割分担するため裁量があり、マネジメント力を伸ばせる」「日本では想像できないトラブルがたくさん起こるので、瞬時に問題を解決する力が鍛えられる」「多様な業種の日本人と接点が持てる」など多くの利点を挙げた吉本氏。「海外で働くことは、自分の興味関心を満たし続けてくれる」といきいきとした表情で語った。

中田氏は、「異なる価値観に触れることで生まれる衝撃を吸収し成長できる点と、日本を俯瞰して見ることで、日本の良さや悪さがより理解できる点。“外”と“内”に目を向けられることが海外で働く魅力。今は難しい意思決定も多い時期だが、だからこそリーダーとして誰も描いたことのないシナリオやビジョンを打ち出すべき」とコメント。

大山氏は、「日本もグローバルの一部。今の仕事自体がグローバルビジネスであるという観点が大切。我々グロービス生はもっと海外に出ていくべき。海外でどんどん腕試しをしてほしい」と背中を押した。

海外での実体験を交えながら語られた本セッション。今後グローバルリーダーとして活躍していくグロービス生に多くの気付きと勇気を与える時間となった。

モデレーター

河尻 陽一郎

グロービス経営大学院教員

東京大学法学部卒業
ケース・ウェスタン・リザーブ大学Mandel Center for Nonprofit Organizations修了
学位:Master of Nonprofit Organizations

外資系戦略コンサルティングファームに入社。経営コンサルタントとして戦略立案及び実行支援を行う。その後、グロービスに入社。現在、グロービス法人部門グローバル人材育成チームディレクター、グロービス経営大学院におけるグローバル領域科目や、企業の経営幹部育成研修における講師も務める。

パネリスト

大山 尚貢 氏

ノバルティスファーマ株式会社 メディカル本部 執行役員本部長
グロービス経営大学院 2010年卒業

北海道大学医学部卒。日本内科学会総合内科専門医・日本循環器学会循環器専門医。

北海道大学循環病態内科に入局し、臨床医として病院に勤務後、同大学大学院にて医学博士を取得。Harvard Medical Schoolでのポスドクを経て、2006年アストラゼネカ株式会社へ入社。同社シンガポールにてアジア太平洋全域を担当し、要職を歴任。2013年ノバルティスファーマ株式会社へ入社。スイスバーゼル本社にて勤務後、現在、執行役員 メディカル本部 本部長として従事。

中田 義則 氏

Brand’s Suntory International Co.,Ltd Vice President Manufacturing
グロービス経営大学院 2018年卒業

サントリー(株)(現サントリーホールディングス)に中途で入社し、国内飲料事業を担当した後、海外での新規生産拠点の戦略検討のため、2013年よりシンガポールで海外駐在をスタート。
その後、サントリー初のベトナム(ハノイ)駐在員となり、新会社・新工場の設立に従事。ゼロから50名程の組織を構築し、ビジネスを軌道に乗せる。現在は、タイを拠点に、タイ、マレーシア、台湾、フィリピン4か国6工場の製造拠点マネジメントに奮闘中。

吉本 明憲 氏

タイガーインディア(タイガー魔法瓶株式会社インド支店) Managing Director
グロービス経営大学院 2012年卒業

GEヘルスケアにて、アジアパシフィック地域のマーケティング担当をきっかけとして、海外でのビジネス展開の面白さを実感し、海外で腰を据えてビジネスを行うために2017年4月にタイガー魔法瓶株式会社に入社。2017年7月からインド駐在開始し、9月にManaging Director就任。
就任時100万ルピー(約150万円)の現金しかなくひん死の状態のインド現地法人を、インド国内及びバングラデシュ、ブータン等のインド周辺国等の市場開拓を行い、日本本社とインド人と日々戦いながら毎年平均140%の売上成長を牽引。