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2020年12月16日

2020年12月16日

「『論語と算盤と志』~あたらしい時代の実践的イノベーション経営と価値観~」 特別セミナーレポート

朝倉 祐介
シニフィアン株式会社 共同代表

2020年7月、グロービス経営大学院は、参加者約970名にも及ぶ大規模な特別セミナーをオンラインで開催した。本記事では、その様子を一部ご紹介したい。


スピーカーは、シニフィアン株式会社 共同代表の朝倉 祐介氏。株式会社ミクシィCEO、スタンフォード大学客員研究員等を経て、現在は様々なスタートアップを支援し続ける、希代の若手ビジネスリーダーだ。

世の中の未来予測に惑わされないように

コロナが今後のビジネスにどう作用するのかは、企業変革を志す人にとって専らの関心ごとだろう。しかし、こうした不透明な未来を臨むにあたり、朝倉氏は以下のように警鐘を鳴らす。


「今日、ご参加の方は、自分のビジネスやキャリア、あるいは社会問題に対して課題意識を持つエッジの立った方であり、周りにもそういう方が多いことでしょう。しかし、こうしたイノベーター層の考えだけですべてを片付けてしまうと、世の中の趨勢を見誤りかねません。色々な識者がwithコロナの時代を予測していますが、これらの話題を客観視する自制心を持ち、むしろ変わらないものに思いめぐらすことが大切です」

『創造と変革』。それぞれに必要な要素とは

この心持ちのもと、企業に変革を起こすうえで重要なのは、「嫌われる勇気」と「外部の視点」と朝倉氏は話す。


「会社を変えるための方法論を考えること自体は難しくありません。むしろ、それをできなくしている企業の体質や携わる人の考えを変えることのほうが難しい。実行するには痛みもともないますし、徹底的に嫌われもします。それでも嫌われる勇気を持って引き受け、やりきる胆力が重要です」


もう一つの「外部の視点」とは、冷静な観点で自分たちの組織のあり様を捉え、あるべき姿を考えること。


 「必要なのは、できない理由を100並べることよりも、そのうちの40、50でも、少しでもできない理由をつぶしていく執念。一方で、外部の人も、できないなりの理由に思いを馳せ、実行者にリスペクトしながら、どうすれば理想像に近づくことができるかを議論していかなければならない。投資家は経営者の、経営者は投資家の目線を持つべきです。本当に事業の可能性を信じ、良くする意思があれば、長期的に両者の観点はそろうはずです」

一方、創造を目指すスタートアップやビジネスパーソンにとっては、どのような視点が必要になるのか。朝倉氏は、以下の三つを示した。


・現実に起こっている問題の解決に貢献しているか?


現実に起きている切実な社会課題の解決に向けて、オンラインを活用しながら働きかけていくこと。


・経営資源を集めるための大義を掲げられるか?


起業家一人ができることには限界がある。いかに一緒に働く仲間や資金提供者を集められるか。そのために求心力のあるテーマを据えて大風呂敷を広げられるか。


・自分なりの原理、原則を持っているか?


どれほどの情熱と思い入れのもと、自分の考えやビジョン、価値観、使命感を世に問えるのか。


「創造と変革は、ゼロからイチを生み出すのか、出来上がったものを軌道修正するのかの違いだけで、実行者の志や思いは同じです。アントレプレナーシップとは、誰からも頼まれてもいないのに“自分が成し遂げなければならない”と思うことを実現するために率先して動くことだと思っています。皆さんも“誰かからの、頼まれ仕事ではないこと”を大事にしてください」


そう言ってセミナーを締めくくった朝倉氏。参加者にとってはたくさんの「創造と変革」のヒントを得る貴重な機会となった。

朝倉 祐介

シニフィアン株式会社 共同代表

兵庫県西宮市出身。競馬騎手養成学校、競走馬の育成業務を経て東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。東京大学在学中に設立したネイキッドテクノロジーに復帰、代表に就任。ミクシィ社への売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。業績の回復を機に退任後、スタンフォード大学客員研究員等を経て、政策研究大学院大学客員研究員。株式会社セプテーニ・ホールディングス社外取締役。Tokyo Founders Fundパートナー。主な著書として、『論語と算盤と私』、『ファイナンス思考』がある。