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投稿日:2019年12月26日

投稿日:2019年12月26日

運送費って販売費及び一般管理費ですか?

溝口 聖規
グロービス経営大学院 教員

運送費は「販売費及び一般管理費」に含めるべきでしょうか?これもよく学生から質問されます。運送費は、荷造発送費、配送費、運賃等、表記がいろいろありますが、当コラムでは運送費とします。

さて、質問の答えは、運送費は販売費及び一般管理費に含められる場合とそうでない場合があります。会計ルール上、どういう場合に発生する運送費かによって会計処理が異なります。今回は運送費の会計処理について説明します。

棚卸資産の仕入時に発生する運送費

原材料や商品などを仕入れる際に負担する運送費は、原材料や商品の仕入代金の一部とされます。購入した原材料や商品を自社の工場や物流倉庫などの所定の保管場所へ納入するまでに直接要する運送費は、棚卸資産の購入対価に係る附随費用として棚卸資産の取得原価に含められます。なお、機械装置や車両運搬具等の有形固定資産を取得する場合の運送費も同様に有形固定資産の取得原価に含められます。

製造過程で発生する運送費

メーカー等、製品の通常の製造過程で原材料や仕掛品の工場内や工場間の移動などで発生する運送費は、製造経費として製品の製造原価に含められます。

これらの場合の運送費は、棚卸資産の取得価額に含められるため期末に製品等の棚卸資産が未販売のまま残っていれば、棚卸資産として貸借対照表上翌期に繰り越されます。翌期以降、棚卸資産が販売等された時点で売上原価として費用として処理されます(詳細は「費用収益対応の原則ってなぜ必要なの?」を参照ください)。

販売時に発生する運送費

得意先へ販売する製品、商品の仕向け地等への運送費を販売会社が負担する場合があります。荷造発送費とも言われ、内容としては荷造に係る梱包資材費、外注費等の費用、発送に係るガソリン代、運送業者等へ支払う運送料等の費用が含まれます。製品、商品の販売に直接要する運送費は販売費(販売費及び一般管理費)として処理されます。製品、商品が販売された期間の費用として処理されるため、この場合も費用収益対応の原則に従った会計処理と言えます。

内部管理上発生する運送費

内部管理上、商品等の物流倉庫間の配送が生じる場合があります。また、本社と支店の書類等の送付もあるでしょう。この場合に発生する運送費は、運送が発生した時点の費用として販売費及び一般管理費に含めて費用処理されます。

溝口 聖規

グロービス経営大学院 教員

京都大学経済学部経済学科卒業後、公認会計士試験2次試験に合格し、青山監査法人(当時)入所。主として監査部門において公開企業の法定監査をはじめ、株式公開(IPO)支援業務、業務基幹システム導入コンサルティング業務、内部統制構築支援業務(国内/外)等のコンサルティング業務に従事。みすず監査法人(中央青山監査法人(当時))、有限責任監査法人トーマツを経て、溝口公認会計士事務所を開設。現在は、管理会計(月次決算体制、原価計算制度等)、株式公開、内部統制、企業評価等に関するコンサルティング業務を中心に活動している。

(資格)
公認会計士(CPA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、公認内部監査人(CIA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA)