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投稿日:2019年01月24日
投稿日:2019年01月24日
堀義人のダボス会議2019速報(3)世界をリードする日本「Japan Day in Davos」
- 堀 義人
- グロービス経営大学院 学長 グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー
今年で12回目となるダボス会議だが、日本に対する見方がこれだけ良かったことはかつてなかった。
安倍総理のスピーチは、ダボス会議に参加するリーダー達に強い印象を与えた。アベノミクスによる経済成長の成果、女性の社会進出、高齢者が働ける社会、幼児期の教育の無償化、縮まる格差。G20から始まり、ラグビーW杯、東京オリパラ、大阪万博。今年は天皇陛下の皇位継承がある。希望ある未来が続く。
さらには、TPPなどを通した自由貿易へのコミットメント、海洋環境や地球変動へのコミットメント。カーボンキャプチャーと再利用。データの信頼あるフローの確立やWTO改革など幅広い分野で力強く日本の立場を力説した。日本は完全に復活し、再活性化されたことを世界に示す、自信と希望に溢れる内容であった。
一方、今回のダボス会議は、悲観論が多かった。その一番大きな要因は、世界を牽引するG7の国々が、様々な課題を抱えて内向きになっているからだ。アメリカはトランプ体制により保護主義・孤立主義的だ。英国はBREXIT問題で身動きが取れない。ドイツはメルケル首相が力を失い、フランスは黄色いベスト運動で弱体化した。全体主義的な中国・ロシアが世界を牽引することを誰も期待していない。そうなると世界で残された希望は、日本だけになる。
今年のG1サミットのテーマは、「世界をリードする日本」だ。僕ら日本人は、(自覚は全くないだろうけど)世界のリーダーの一員として世界に貢献する宿命を負わされているのかもしれない。今まで欧米が作ってきた自由な世界秩序を日本が享受して発展してきた。だが欧米も息切れしてきた。これからは、日本がもっと積極的に世界に貢献しなければならない。まさに「世界をリードする日本」として自信と誇りを持って進んで行きたい。
今日のダボス会議は、完全に「Japan Day」であった。でも、感傷に浸っている暇はない。まだ今年のダボス会議は続く。明日に備えて就寝することにした。
2019年1月23日
ダボスにて
堀義人
追記:
過去12年間ダボス会議に参加したけど、 こんなに楽しい1日は初めてだ。やはり、親しい仲間と一緒にいるだけでそれだけで楽しめるものだと痛感。
尊敬する安倍総理と個人的にも親しくさせてもらっている昭恵さん。30年前から友人で家族ぐるみでお付き合いがある河野外務大臣と大親友の世耕経産大臣がダボスに来られて、本当に嬉しい。
安倍総理のスピーチ全文だ(⇒'Defeatism about Japan is now defeated': Read Abe's Davos speech in full )。読み返したけど、涙が出てくるほど感動的だ。日本は蘇り、さらに強く、良くなっていく。未来に希望が持てる。世界のリーダーの評価もとても高い。Safe trip back to Japan!
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堀 義人
グロービス経営大学院 学長 グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー
京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。2013年6月より公益財団法人日本棋院理事。いばらき大使、水戸大使。著書に、『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。