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仕事やプライベートなどで起こる様々な問題を、上手にさばき、スピーディに解決していく人っていますよね。
特にビジネスでは「課題を解決すること」が企業の存在価値でもあるので、必然的に「問題解決能力」はあらゆるビジネスパーソンに必要とされる能力となります。
そして、難易度の高い問題を解決できる人ほど、市場価値も高くなります。
本記事では、問題解決能力の高め方についてご紹介します。
問題解決能力とは
問題解決能力とは、文字通り「問題を解決する」能力のことです。
具体的には、問題や課題があった時に、問題の本質を見極めて、解決までのアクションプランを計画し、実行していける力のことを意味します。
問題解決能力が高い人の特徴
問題解決能力が高い人には、大きく3つの特徴がみられます。
- 特徴①:論理的思考力が高く、物事を体系的に捉えることができる
- 特徴②:日ごろから物事に対して「なぜだろう」と疑問を持ったり、考える癖がある
- 特徴③:迅速にPDCAを回していく習慣が身についている
問題解決能力が低い人の特徴
- 特徴①:まったく問題でない所に時間をかけて取り組んでしまう。
- 特徴②:本質的な問題を解決できない。
- 特徴③:同じようなミスを繰り返す。
問題の種類
問題には、大きく分けて「発生型」「設定型」「潜在型」の3種類があります。
発生型
環境や条件によって、自然と発生する問題です。
すでに起きている問題で、課題が明確に見えていることが特徴です。
例えば、「売上が前年よりも落ちた」「業務でミスが発生した」などです。
問題が表面化しているので、比較的解決策を考えることが簡単な問題です。
ただ、気を付けたいケースもあり、表面的に見えている問題の奥に「根本的な問題」が隠れている場合があります。
詳しくは後述しますが、そうした「問題の本質」を見極める能力が重要です。
設定型
自ら目標を設定し、達成するうえで発生する問題です。
目標を達成するためには、理想と現状のギャップを埋めるためのアクションプランを作る必要がありますが、そのギャップがここでの課題となります。
例えば、何か希望のポジションに就きたいと思った場合、そのためには「何の勉強やスキルアップをすべきか」「どのように学ぶか(自習か、スクールに通うか)」「勉強時間はどう捻出するか」などを検討していく必要があります。
これらの検討要素が、ここでの問題に該当します。
潜在型
まだ表面化していないけれど、今後発生する可能性がある問題です。
例えば、チェックや指示が細かいマイクロマネジメントをするチームリーダーがいて、チームメンバーは自ら考える力や自主性が鍛えられていなかったとします。
そうすると、そのリーダーがまとめている時はチームとして機能しますが、異動や転職により真逆のタイプ(=メンバーの自主性を重んじる)のリーダーに代わってしまった場合、チームとしての成果が出にくくなってしまいます。
問題解決能力を高めるメリット
問題解決能力と鍛えると、様々なビジネスシーンや個人のキャリアにおいてメリットがあります。
メリット①:思考力が向上する
問題解決能力は、「論理的思考」や「仮説思考」といった思考法と密接に関わる能力です。
問題解決能力を鍛えると、これらの思考力も高められていきます。
メリット②:予想外の出来事にも対応できる
ビジネスでもプライベートでも、すべてが順調に計画通りに進むとは限りません。
問題解決能力が高いと、予想外の問題が発生しても冷静に受け止め、原因を分析し、解決していくことができます。
とくに今は、VUCAと呼ばれる何が起こるか分からない予測不可能な時代です。
現代において、問題解決能力が高い人は「市場価値の高い人」と言えます。
メリット③:仕事の成果が上がる
ビジネスは、問題解決の連続です。
短期間で問題を的確にとらえ、解決していく能力が高いと、それだけ個人やチーム、組織としての成果も上がっていきます。
問題を解決するための3ステップ
問題解決は、大きく3つのステップから成ります。
ステップ①:問題の本質をとらえる
そもそも問題をどうとらえるか。
ここのステップでつまずくと、後のステップも的外れのまま進んでしまうので、「労力をかけたのに無駄に終わってしまった...」なんてことになりかねません。
なので、問題解決における、最も重要なステップと言えます。
「問題の本質」を正しくとらえることができた場合と、そうでない場合の例をご紹介します。
「電話での製品の問い合わせが多くさばききれない」といった問題があるとします。
【問題解決能力が低い人の場合】
「さばききれない」という目に見えている状況を問題ととらえるため、「さばききれないのであれば、電話を取る人の数を増やそう」となります。
【問題解決能力が少しある人の場合】
「電話という手法」に対して疑問を持ち、「チャットボットなど、電話の問い合わせ以外の問い合わせ方法があるのではないか」と別の方法を検討します。
【問題解決能力が高い人の場合】
「電話で商品の問い合わせが多くさばききれない」が問題ではなくて、「なぜ問い合わせがいっぱい来るのか」といった根本の問題に目を向けます。
問題の本質を押さえるためには、物事を整理し構造化する力と、「因果関係(原因と結果)」を正しくとらえる力が必要となります。
ステップ②:解決策と解決までの道筋を計画する
次に、具体的な解決策を考案しやすいように、問題の細分化をしていく必要があります。
ここで役立つ概念が「MECE」「ロジックツリー」の2つです。
MECEとは、「全体集合として、それぞれが重複することなく、漏れがない状態で網羅されている」という意味です。
MECEができておらず、「モレ」や「ダブり」がある状態では、的外れな解決策になってしまったり、非効率な資源配分が起きてしまうため、問題の細分化をしていくうえで、重要な概念となります。
ロジックツリーは、問題の原因を深堀りしたり、解決策を具体化&特定化するときに役立つ考え方です。
MECEの考え方をベースとして、「ダブり」や「モレ」がないよう、ツリー状に要素を分解&整理していきます。
ステップ③:解決策を実行する
このように、ロジックツリーによって問題の細分化と解決策の洗い出しができたら、その中で実際に実行に移す施策の優先度をつけ、絞り込んでいきます。
ビジネスにおいて、時間とコストは有限です。
絞り込む軸は3つあり、これらの軸の掛け合わせによって優先度を決めていきます
- ①スピード(仕込みのスピード、成果が出るまでのスピード)
- ②コスト(時間、費用、投下する必要のある人数)
- ③インパクト(どのくらいの成果が見込めそうか)
そして、優先度が高いものから実行に移していきましょう。
問題解決能力を鍛えるための方法
問題解決能力を鍛えるために、ぜひ日常的に取り組んでいただきたいものを3つご紹介します。
方法①:課題発見力を高める
問題を解決するには、まず「課題そのもの」を見つける必要があります。
こちらの記事で、課題発見力の鍛え方について詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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課題発見力を高める方法。潜在的な問題を見つけるための3ステップとは 課題発見力とは、「現状を把握・分析し、問題を見つけていく力」です。あらゆる社会人に必須のスキル「課題発見力」を身に着けるための方法をご紹介します。
方法②:論理的思考力を身に着ける
論理的思考とは、物事を体系的に整理し、矛盾や飛躍のない筋道を立てる思考法のことです。
物事を本質的に捉えるうえで、鍛えておくべき能力です。
こちらの記事で、詳しい論理的思考力の鍛え方を紹介していますので、ぜひ合わせて読んでみてください。
方法③:自分の考えを批判的に見る癖をつける
問題解決能力を鍛えるためには、「思い込み」を捨てることと、自身の「思考の癖」に気づくことが必要となります。
「クリティカルシンキング(批判的思考)」という、意識的に自分の考えを批判的にみる思考法の習得が、思考の癖の改善に有効です。
クリティカルシンキングを鍛えることで、主観や先入観に捕らわれずに物事を見る力が養われていきます。
一方で、クリティカルシンキングは、書籍を読んだり、動画を観ただけでは、なかなか習得が難しい思考法でもあります。
グロービス経営大学院など、講座として提供しているビジネススクールもあるので、こうした外部の機関を活用するというのも1つの手です。
講座は2週間に一度、計6回の開催。
3ヵ月でかなり思考の仕方が変わりますので、ぜひ検討してみてください。
(▼講座の詳細はこちら)
『クリティカルシンキング』講座
またグロービス経営大学院では、随時オンラインにてクリティカルシンキング講座の『無料体験クラス』を実施しています。
授業の雰囲気や進め方を知りたい方は、まずはこちらからのご参加をおすすめします。
(▼日程一覧はこちら)
まとめ
問題解決能力を鍛えるためには、日々の積み重ねが大事です。
まずは、日常のあらゆることに目を向け、疑問を持ってみる習慣をつけてみてください。
そのうえで、論理的思考力やクリティカルシンキングなどの思考法の積極的な習得もおすすめします。
オンライン体験クラス&説明会日程
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。