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「タスク管理が苦手で、抜け漏れが多い」「タスクが多すぎて、どれから手をつければいいか分からず、頭が疲れてしまう」そんな悩みを抱えていませんか?
現代のビジネスパーソンにとって、タスク管理は避けて通れないテーマです。メモ帳やデジタルツール、メールや議事録、付せんやチャットなど、さまざまな場所に散らばるタスクの数々。気付けば、それを"管理すること"自体に疲れてしまうこともあるかもしれません。
筆者も、かつてはそのひとりでした。社会人としてのスタートは、比較的タスクが少ない職場。特別な管理をしなくても仕事は回っていました。しかし、経営企画の部署に異動したことで状況が一変。種類も優先度も異なる大量のタスクに囲まれ、次第に抜け漏れが発生し、思考のエネルギーをタスクそのものに奪われるようになりました。
そんな中で試行錯誤を重ね、ようやくたどり着いたタスク管理の「いくつかのコツ」があります。本記事では、その4つのコツをご紹介します。
コツ①:「その日やるべきこと」を切り分ける
まず大切なのは、「その日に絶対やるべきタスク」と、それ以外のタスクを分けて考えることです。重要なのは、単純に"緊急"かどうかではなく、今日終わらせないと仕事全体の流れに支障が出るかどうかという視点です。
たとえば、その日の会議で使用する資料作成は、まさに今日やるべきタスクです。 また、今日中に処理しないと翌日の工程に影響を及ぼすような作業も、優先順位が高いと考えられます。
こうした「やるべきこと」の定義は、人によって違って当然です。だからこそ、自分なりの判断基準を持っておくことが、安定した仕事の進行に役立ちます。
コツ②:柔軟に動かせるタスクを持っておく
すべてのタスクが「今日中に」片付けるべきものではありません。だからこそ、"調整用"のタスクを持っておくことも有効です。
たとえば、経費申請やファイル整理などの単純作業。頭はあまり使わないけれど、確実にやっておく必要があるタスクです。こうしたタスクは、余裕のある日に組み込み、急な仕事が入ったときには柔軟に後回しにすることができます。
また、会議の中には「参加は必須だが、実際に自分の出番はごくわずか」といった時間もあります。そんなときは、空いた時間をこうしたタスク消化に充ててみるのもひとつの工夫です。
コツ③:脳のエネルギーは順番で守る
筆者が最も重視しているのは、「タスクをこなす順番」です。脳にも"体力"があるという前提に立ち、そのエネルギーをどう使うかが日々のパフォーマンスを左右します。
思考力を必要とする作業、たとえば音声配信の収録やアイデアを練るような仕事は、頭が最も冴えている朝の時間帯に行うようにしています。逆に、頭が疲れてくる午後や夕方には、あまり思考を必要としないタスクへと切り替えます。
これは、ゲームにたとえるなら、序盤の弱い敵に強力な魔法を使いすぎて、後半の強敵と戦うときに力が残っていないような状態です。自分の思考体力を「どのタイミングで何に使うか」を意識することで、日々の疲労感が変わってきます。
コツ④:道具は「使いやすさ」で選ぶ
タスク管理の道具としては、Googleカレンダーなどのデジタルツールをおすすめしています。特に、予定の変更が頻繁に起こる方には相性がよいはずです。
紙の手帳では、タスクを移動するたびに書き直す必要がありますが、デジタルツールであればドラッグ操作一つで簡単に予定をずらせます。この柔軟性が、日々のストレス軽減にもつながっていきます。
完璧なツールを探すよりも、自分にとって使いやすく、続けやすいものを選ぶことが重要です。
まとめ:「全部やる」ではなく「どうやるか」
タスク管理は、すべての仕事を完璧にこなすための技術ではありません。むしろ、限られた思考体力をどのように配分するかという、自分との向き合い方です。
今日すべきことを見極め、調整の余地を残しつつ、自分のエネルギーを賢く使う。その積み重ねが、日々の仕事の質を高め、心のゆとりへとつながっていくことでしょう。
完璧を目指さず、まずはひとつずつ試してみてください。「今日やるべきことは何か?」を見つめ直すところから始めることで、きっと働き方に変化が生まれるはずです。
著者情報

加藤 想(グロービス経営大学院 大阪校企画営業責任者)
神戸大学工学部卒業、同大学院工学研究科修士課程(工学)修了。グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA)修了。大手通信会社にて設備設計業務、採用活動に従事した後、サービス戦略部門にて新サービスの立案、AI、BPRなどを担当。その後、グロービスに入社。グロービス経営大学院の学生募集企画にて学生のキャリア相談、新規施策立案などを行っている。また、グロービス経営大学院のVoicy「ちょっと差がつくビジネスサプリ」のパーソナリティを務める。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。