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毎日のように発生する「確認依頼」。何気ないコミュニケーションの一部ですが、その依頼の仕方ひとつで、相手からの信頼度も、仕事の進み方も大きく変わります。今回は、相手の手を止めさせる「確認依頼」をどう伝えれば、スムーズかつ快く対応してもらえるのか。実際のビジネス現場で学んだ3つの実践ポイントをご紹介します。
確認依頼は「信頼構築の場」になる
確認依頼は、ただの事務連絡ではありません。相手の手を止めて時間をもらう行為だからこそ、やり方ひとつで「仕事ができる人」かどうかの印象を大きく左右します。
同じように依頼を受けたはずなのに、ある人からの依頼はスムーズで心地よく、別の人からの依頼にはモヤモヤする。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。そこには、依頼の段取りや言葉選びの差があります。
①期日を明確に、丁寧に伝える
「なるべく早くお願いします」や「急ぎです」といった曖昧な依頼では、受け手はスケジュールの調整がしにくく、結果的に対応が後回しになることもあります。
「〇月〇日までにご確認いただけると助かります」と、具体的な期日を示すのは最低限のマナーです。そのうえで、「この日までに必要な理由」や「どの工程がその確認に依存しているのか」を添えると、相手も納得感を持って対応しやすくなります。
また、相手の忙しさやスケジュール感にも配慮し、現実的な締切を設けることが信頼感につながります。
②確認すべきポイントをしっかり絞る
「この資料、確認お願いします」だけでは、どこまで確認すればいいのか分からず、相手に過度な負担をかけてしまいます。資料全体の構成や内容を見てほしいのか、それとも特定のページや文言だけを確認してほしいのかを明確にしましょう。
たとえば、「P4の表現が適切か見てほしい」「このキャッチコピーはターゲットに刺さるか判断してほしい」と伝えれば、相手は安心して対応できます。参考資料がある場合も、必要最低限にとどめ、読み解くのに余計な負担がかからないよう工夫が必要です。
自分で確認できる点(誤字脱字など)は済ませた上で、本当に助言がほしいポイントだけを依頼するようにしましょう。
③相手視点で依頼を組み立てる
「このタイミングで送ったら、相手はどう感じるだろう?」と、ほんの数秒でも相手の立場を想像することが、良い依頼につながります。
たとえば、外出中の相手にはPDFで送る、忙しそうな時間帯を避けて依頼をする、といったちょっとした配慮があるだけで、相手の印象は大きく変わります。
確認する側の立場に立った依頼をすれば、無理なく、前向きに応じてもらえる可能性が高まります。
小さな工夫が大きな信頼につながる
確認依頼は日常的な業務だからこそ、丁寧さや気遣いが習慣化しているかどうかが問われます。期日、範囲、配慮。この3点に気を配るだけで、相手の負担は減り、仕事全体がスムーズに進むようになります。
「ただの確認依頼」に思えるやり取りも、実は信頼を積み重ねる絶好のチャンス。明日から、ぜひ意識してみてください。
著者情報

加藤 想(グロービス経営大学院 大阪校企画営業責任者)
神戸大学工学部卒業、同大学院工学研究科修士課程(工学)修了。グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA)修了。大手通信会社にて設備設計業務、採用活動に従事した後、サービス戦略部門にて新サービスの立案、AI、BPRなどを担当。その後、グロービスに入社。グロービス経営大学院の学生募集企画にて学生のキャリア相談、新規施策立案などを行っている。また、グロービス経営大学院のVoicy「ちょっと差がつくビジネスサプリ」のパーソナリティを務める。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。