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想定外のことが起こっても、状況をスピーディに判断して、的確な対応をする人っていますよね。
そうした人は、「洞察力が高い」という共通点があります。
本記事では、洞察力がある人の特徴と高める方法を紹介します。
洞察力とは
洞察力とは、「物事の本質を見抜く力」のことです。
よく「観察力」と似た意味で捉えられることがありますが、観察はあくまで「表面的な部分を注意深く見る」行為です。
洞察力は、「表面的な部分」を含め、さらにそこから「見えていない部分」まで見抜いていく力です。
なので、洞察力が高い人は、当然、観察力も高いという関係性になります。
近年、マーケティング領域で、「顧客インサイト」という言葉がよく出てきますが、まさにこのインサイトが「洞察」という意味です。
顧客インサイトは、表に現れているニーズではなく「顧客の潜在的な意識や欲求」を意味します。
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ビジネスにおいて、洞察力を高めるメリット
洞察力を鍛えておくと、様々なビジネスシーンで役立ちます。
メリット①:問題解決能力の向上
状況を正確に把握したり、問題の本質を見抜くことができるため、適切な判断や効果的な改善策を考案することができます。
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メリット②:コミュニケーション能力の向上
相手の本心や意図を読み取ることができるため、コミュニケーションがスムーズに進みます。
察知する能力が高いので、先回りした行動により、「気が利く人」と好意的な印象を持ってもらえることもあります。
洞察力がある人の特徴
大きく4つの特徴があります。
特徴①:観察力がある
冒頭でも説明しましたが、洞察力は「表面的な部分」を含め、さらにそこから「見えていない部分」まで見抜く力です。
当然、表面的な部分をよく見る「観察力」も、備わっています。
特徴②:物事をゼロベースで捉える
本質を見抜くことの阻害要因として、個人の主観や思い込み、先入観があります。
洞察力が高いと、こうした要因を「ゼロ」にした、まっさらな状態で物事を見ることができます。
特徴③:多角的な視点を持っている
様々な視点から物事を見ることで、本質は浮かび上がってきます。
「洞察力のある人は主観で物事を捉えない」と先述しましたが、代わりに、様々な側面から見ようとします。
特徴④:情報に敏感で、インプット量が多い
本質は、複数の情報をつなぎ合わせることで、明らかになります。
つなげるだけの情報を持っていることを前提とするので、日ごろから周囲に興味関心を持ち、様々な情報をキャッチしています。
洞察力を高める方法
洞察力は、日々の積み重ねによって鍛えられていきます。
方法①:よく観察する
洞察力を鍛えるためには、やはり「物事を注意深く観察する癖」をつけることがスタートになります。
具体的な特訓方法は、周囲の人や身の回りで起こることに対して、「いちいちよく見てみる」ことです。
人を対象とする場合は、放つ空気感やコミュニケーションの特徴、表情、仕草などをよく観察してみましょう。
ただし、ジロジロと露骨に見てしまっては、相手に「気持ち悪い」という印象を与えてしまいますので、さりげなく行ってみてください。
方法②:クリティカルシンキングを鍛える
洞察力を鍛えるためには、「思い込みや先入観」を捨てることと、自身の「思考の癖」に気づくことが必要となります。
そのためには、「クリティカルシンキング(批判的思考)」という、意識的に自分の考えを批判的にみる思考法の習得が有効です。
クリティカルシンキングを鍛えることで、主観や先入観に捕らわれずに物事を見る力が養われていきます。
一方で、クリティカルシンキングは、書籍を読んだり、動画を観ただけでは、なかなか習得が難しい思考法でもあります。
グロービス経営大学院など、講座として提供しているビジネススクールもあるので、こうした外部の機関を活用するというのも1つの手です。
講座は2週間に一度、計6回の開催。
3ヵ月でかなり思考の仕方が変わりますので、ぜひ検討してみてください。
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『クリティカルシンキング』講座
またグロービス経営大学院では、随時オンラインにてクリティカルシンキング講座の『無料体験クラス』を実施しています。
授業の雰囲気や進め方を知りたい方は、まずはこちらからのご参加をおすすめします。
(▼日程一覧はこちら)
方法③:あらゆることに興味を持つ
洞察力が高い人は「情報同士のつなぎ合わせが上手く、インプット量が多い」と先述しました。
インプット量を増やすには、普段から様々なジャンルのことに興味を持ち、身の回りで起こることに対して「自分には関係ないや」で済まさずに、立ち止まって情報を集める習慣を持つことです。
そして、さらにもう一歩踏み込んで、「なぜそのようなことが起こっているのか」「〇と△は関連した話なのではないか」など、自身の解釈も加えていくようにしてみてください。
方法④:視野を広げる
例えば営業担当だったら、営業の視点だけでなく、経営者の視点や顧客の視点、マーケティング担当の視点など、複数の視点を持つことを意識しましょう。
多角的な視点は、特定の立場の人が「どのようなミッションやKPIを持っているか」「興味関心ごとは何か」といったことを把握することで養われていきます。
方法⑤:深く考える癖をつける
洞察力とは、ある種「思考の深さ」でもあります。
生活の中で起こる問題やニュースの出来事について、漠然と眺めるのではなく、「なぜそのようなことが起こっているんだろう」と考えるようにしてみてください。
自身の知識だけでは検討がつかない場合は、調べても構いません。
「なぜだろう」と疑問を持つことが、自分の頭で考えることの第一歩です。
まとめ
変化が激しく、先行きの不透明な時代、見えないものを感じ取り、本質を見抜く「洞察力」は、ますます重要なスキルになってきています。
すぐに習得できるスキルではないので、日々の積み重ねによって少しずつ鍛えていってみてください。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。