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仕事やプライベートにおいて、コミュニケーションが上手な人ってうらやましいですよね。
本記事では、コミュニケーション能力を鍛えるためのコツをご紹介します。
コミュニケーション能力とは
コミュニケーションの語源は、ラテン語の「コミュニス(communis)」という「共有、共通」を意味する言葉です。
コミュニケーションとは「対人間での情報共有や意思の疎通」のことであり、コミュニケーション能力は、それらををスムーズに行うことができる力のことです。
コミュニケーションは「双方向のもの」
コミュニケーション能力を高めようとすると、「相手にいかにうまく伝えるか」に意識がいきがちです。
しかし、コミュニケーションを考えるうえで最も大切なことは、「双方向のもの」であるということです。
相手への伝達だけでなく、「相手からの情報をいかに上手に(正確に)受け取るか」という観点も持っておきましょう。
「外交的=コミュ力が高い」わけではない
内向的な性格の方や人見知りの方が、外交的な人を見て「コミュニケーション能力が高くてうらやましいな」と思うことがあるかもしれません。
しかし、必ずしも「外交的=コミュニケーション能力が高い」というわけではないのです。
コミュニケーションは「双方向のもの」なので、外交的であっても、相手の話を聞かずに一方的に話をしたり、相手の感情や状況を無視して話をするようであれば、コミュニケーション能力は高いとは言えません。
内向的な性格であっても、相手の気持ちを察するスキルが高く、言葉のキャッチボールが上手な方はたくさんいます。
コミュニケーション能力が高い人の特徴
コミュニケーション能力が高い人の特徴を調べた研究で「ピンポンルール」というものがあります。
1:1の会話において、話す時間をおおよそ4~6割でお互い話すと会話が弾むというものです(たとえば、「自分:相手=4:6」「自分:相手=5:5」など)。
こちらが話す時間が6割を超えると、相手は「自分の話を聞いてくれないな」と思い、逆に4割を下回ると「自分の話に興味がないのかな」と感じたり、話すことを負担に思う可能性が出てきます。
なので、このちょうどよいバランスが、おおよそ4~6割の枠におさめることになります。
自身の会話を振り返って、「現状少しバランスが悪いかな?」と感じる方は、コミュニケーションは「双方向のもの」であることを念頭に、ピンポンルールを会話に取り入れてみてください。
コミュニケーションの手段
コミュニケーションには、大きく2つの手段「言語」「非言語」があります。
言語
言語は、言葉そのものです。
頭の中にある「考え」「価値観」「知識」といった情報を言葉に変換し、私たちは相互にやりとりをしています。
非言語
目の動きや表情、声のトーン、身振り手振りなどです。
相手の「感情」や言葉の裏に隠された「本当の思い」などをくみ取るうえで重要になるのが、こうした非言語の領域です。
ノンバーバルコミュニケーションも大事
コミュニケーション能力を鍛えようと思うと、「どう話すか」「何を話すか」など、言語領域のスキル向上に意識が向きがちです。
しかし、非言語(ノンバーバル)領域も非常に重要です。
「メラビアンの法則」という、非言語コミュニケーションに関する実験があります。
この研究では、相手の感情を読み取る際に、大部分の情報を非言語領域(視覚、聴覚)から得ていることが分かっています。
コミュニケーション能力を構成する4つのスキルと鍛える方法
コミュニケーションは「相互のもの」であり、2つの手段(言語、非言語)があることをふまえると、コミュニケーション能力は4つのスキルに分解することができます。
言語に関する能力は「正確に伝え、正確に受け取る」うえで重要であり、非言語に関する能力は「信頼関係を築いていく」のに重要です。
苦手もしくは不足を感じるスキルから優先的に鍛えていき、結果的にすべてのスキルがバランスの良い状態になっていることが理想です。
それぞれのスキルを鍛えるコツをご紹介します。
①自分の言いたいことを「伝える力」
相手に分かりやすく、そして自分の言いたいことをきちんと伝える力のことです。
こちらの記事で詳しい鍛え方を説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
(▼言語化能力を高める方法)
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②相手の言葉を「聴く力」
聴く力を鍛えるためには、まず「相手の伝えたいことを最後までしっかりと聴く」という姿勢と態度が重要です。
聴く力が不足している人で、相手の話の展開が見えたら先回りをして話し始めたり、途中でさえぎって質問をする人がいます。
また、すぐに相手の言葉を否定してしまう人がいますが、これらのことはやめましょう。
人は「自分の話は聴いてもらえない」と感じると、尊重されていないと受け取ってしまいます。
信頼関係は、互いに尊重し合えている人同士で成り立ちます。
また、「聴く力」は相手の伝えたいことを理解する力でもあります。
相手の言葉だけで理解しきれない場合は、適宜質問や「このような理解で、合ってますか?」などと確認をして情報を補完し、理解を進めましょう。
③非言語を「伝える力」
非言語は、目の動きや表情、声のトーン、身振り手振りなどです。
「言語を聴く力」にも関連しますが、相手が話しやすい雰囲気を作るために、非言語でのコミュニケーションが重要となります。
相手にしっかりと聴いていることを伝えるために、相手の方へ体や視線を向け、うなづいたりあいづちを打ったり、表情で反応をしたりなどを行いましょう。
④非言語を「読み解く力」
相手の感情や言葉の裏に隠された本当の思いなどをくみ取るうえで重要になるのが、非言語を読み解く力です。
たとえば分かりやすい例でいうと、相手が感謝の言葉を述べつつも表情が暗かったら、他に本心があるのではないかと推測ができます。
人は気持ちに寄り添ったリアクションをしてくれたり、共感をしてくれる人に信頼を寄せるので、信頼関係を築くうえで重要なスキルです。
(中にはプライドが高く本心を悟られるのを嫌う人がいるので、その場合は気づかないふりをするということも大事です)
読み解く力を鍛えるためには、「相手に興味・関心を持つこと」「相手を観察すること」「情報をストックすること」が基盤となります。
本来読み解く力は、人間が本能的に持っている力です。
普段のコミュニケーションを言語に頼っている部分が多い人や相手に興味関心を持たないままのコミュニケーションでやり過ごしている人は、場数によって"思い出していく"ので、日常で相手に興味を持ち観察することを習慣化していってみてください。
そして、観察と同時に、非言語で得た情報をストックしていきましょう。
感情の起伏や表にどのくらい出すかは人によって異なるので、先ほどの「言語と表情が合っていない」例でいうと、人によっては単に疲れていたり体調が悪いことが原因である可能性があるので、すべてをテンプレート化することは危険です。
同時に、相手が使っている言葉や行動を観察することで価値観や軸がみえてくるので、そちらの情報もストックしてみてください。
そうした個々の言語/非言語コミュニケーション、行動パターンといった情報のストックから、相手との会話でいつもと違う変化やその人の価値観とのズレを感じた時に「あれ?」と気づくことができるようになります。
また、こうした分析を繰り返していくと、似たようなパターンの人に出会った時は、初めて会う人でも本心などを読み解きやすくなります。
まとめ
コミュニケーション能力を高めるためには、「言語」「非言語」領域で4つのスキルをバランスよく鍛える必要があります。
実践で磨かれていきますので、ぜひ日常のコミュニケーションで意識してみてください。
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著者情報
新宅 千尋(グロービス経営大学院 大阪校 スタッフ)
神戸大学理学部生物学科卒業、京都大学大学院生命科学研究科修士課程修了。幼少期より「思考や感情の発生」に興味があり、独学で心理学や脳科学を学ぶ。一方、「内なるものの表現」にも関心があり、10年ほどアトリエ教室に通う。学士/修士課程では脳の再生の基礎研究に従事。新卒で大手総合通販会社に入社後、Webマーケティングチームに配属。心理学や行動学の知識とアトリエ教室で培った感性を融合させ、売上や購入率向上に貢献。その後、社内から「人の力」で会社を強くしていく人材教育領域に興味を持つようになり、次世代のビジネスリーダー育成と輩出を目指す、グロービスに転職。グロービス経営大学院のコンテンツメディア企画チームに所属し、自身のキャリアに悩んだ経験から、グロービスキャリアノート制作・運営に携わる。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。