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中村直太#4|『その人らしさ』を活かしたい。パラレルキャリアへの挑戦

中村直太#4|『その人らしさ』を活かしたい。パラレルキャリアへの挑戦

目次

※前回の記事(キャリアインタビュー#3)は、こちら

12.「ギブ&テイク」は成り立たなくてもいい

ー名古屋拠点で3年間過ごした後は、再び東京本社に戻られたのですね。

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この3年間で「学校運営は卒業生によって支えられている」と実感したため、東京に帰任してからは、卒業生のキャリアや活躍を支援する組織の設立に携わりました。

そして、名古屋での経験により価値観も変化しました
名古屋には縁もなかった"よそ者"が、なぜ本気で仕事ができていたかというと、そこのコミュニティの人達が良くしてくれたり、名古屋校のために卒業生や在校生の方が尽くしてくれていたからでした。
それまでは、「やってもらったからやる」というギブ&テイクの発想が自分の根底にあったように思いますが、もそも名古屋校に着任した時点ですでに恩恵を受けていて(そこに仕事があるのは卒業生や前任者たちのおかげ)、テイクを受けまくっている状態だということに気がつきました

さらにさかのぼると、そもそも私たちは自分の力で生まれることもできません。
生まれるというイベントで、すでに返しきれないテイクを受けている状態です。
そう考えると、全てはテイクから始まっていて、散々テイクを受けてなんとか育ち、ようやく社会に恩返しできるようになってきた頃に、いきなり「ギブ&テイク」と言い始めるのはおかしいのではないかと思い始めました。

ー価値観の変化によって、業務面でも何か変化はありましたか?

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グロービス経営大学院の講師として、授業にも登壇するようになりました。
最初は、(何度もいいますが、本当に)人前で話すことが苦手ですし、自分なんかが登壇しても良いんだろうかという葛藤がありました。
しかし、今できることがあるんだったらやり始めないと、またずっとテイクしているだけになってしまう
今度は自分がギブする側に回りたい、という自分の中の整理つき、登壇させていただく決意ができました。

13.その人らしさを活かしたい

ー講師業に励みつつ、翌年には、学生募集チームに異動していますね。

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社内的な理由もあり、これもご縁で6年ぶりに入社時の学生募集チームに、チームリーダーとして戻りました。
自分の中で「その人らしさ」を活かすことに関心が出てきており、多種多様な人が各々の能力を存分に発揮しつつ目的を果たせるチームにしたいということだけ決めました。
成果を出すこともリーダーとして大事な仕事ですが、それ以上にチームとして多少の不整合があっても、「個人の主体性を信じる」ことを軸にチーム運営をしました
国内のMBAマーケットが横ばいのなかで、グロービス経営大学院の入学者数は、この2年で825名から1,095名へと133%成長しました。
この成長に微力ながら貢献できたことがあるとすれば、人を活かし成果を導くことが証明され、とても誇らしく思います。

14.パラレルキャリアへの挑戦

ー直近では、新しい働き方『パラレルキャリア』への挑戦とありますが、これはどういったことでしょうか?

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正社員から契約社員に雇用形態を変え、週4日勤務の働き方を実現させていただきました。
事業推進と
講師業に引き続き携わりながらも、生まれた1日の余白で、コーチングの学びや実践、組織という枠にとらわれずに社会の中で自分の活かし方を試行錯誤し楽しみながら探したいと考えています。
最善の自分で、他者の"豊かに生きる"を支援したい」という、ど真ん中のテーマはブレません。

ー突然の働き方の切り替えのように感じますが、何がきっかけだったのでしょうか?

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直接のきっかけは家庭の事情で、もう少し仕事と家庭のバランスを取る必要が出てきたからです。
さらに、
以前よりパラレルで多様な経験や成長ができる働き方に興味を持っていたので、このきっかけを「チャンス」に変えたいと考えました。

週5日を100%としたら1日は20%です。
勝手に「20%ルール」と呼んでいますが、20%の時間を人生の探索に使います。
『両利きの経営』という書籍では、変化に適応する企業は両利きで、「深化」=既存事業の収益性(競争力)強化と、「探索」=新たな成長機会の模索と獲得の両方に取り組んでいるといいます。
個人のキャリアも両利きであることが、この変化の時代を生き抜く一つの戦略ではないかと思っています。

また、ライフワークと呼べるような、まさに一生かけて取り組みたいテーマを持ち、それを実現していくことが、人生100年時代を豊かに生き抜く条件だと考えています。
私は、テクノロジーやツールに頼ることなく、この自分の体と知恵だけで人の可能性を開花させられるコーチングという手法にその可能性を見出し、動き始めました。

本来人がもっている可能性を引き出すという点で、グロービスでの仕事は自分にとってど真ん中です。
しかし、1つの組織で個人がやりたいことを100%満たす以外の発想もあると思います。
社会に点在する機会を組み合わせながら、自分のキャリアを創り上げていくイメージです。

自分の新しい学びや活動が、グロービスでの仕事の質を高めることにつながり、結果的に自らのパフォーマンスや市場価値を高める。
それは、自分らしいやり方で、自分が大切にするテーマにおいて、社会により一層の貢献をしていく試みになります。

選択には2つの責任が伴います。
選ぶ責任と、選んだものを正解に導く責任です。
与えられたありがたい機会に感謝しながら、自分が選択した生き方の責任を果たしていきます。

まとめ:中村さんのインタビューを振り返って

「自分自身と深く向き合う」フェーズと、「直感を信じて"ひとまず"動いてみる」フェーズの行き来をされていることが印象的でした。
また、「生き方への興味」という学生時代からの軸は変わらなくとも、その時々の価値観や状況の変化に応じて、働き方や仕事の内容は柔軟に変えていらっしゃいました。
先が見通しにくい時代におけるキャリア形成方法のヒントとなりそうです。

【中村さんのキャリアインタビュー一覧】

・#1:「就活迷子で理系修士進学。ゼロリセットで人材業界へ
・#2:「希望叶い異動。しかし、事業買収で再び迷いフェーズに
・#3:「転職とMBA進学。多様な生き方とキャリアにふれる
・#4:「『その人らしさ』を活かしたい。パラレルキャリアへの挑戦

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著者情報

新宅 千尋(グロービス経営大学院 大阪校 スタッフ)

新宅 千尋(グロービス経営大学院 大阪校 スタッフ)

神戸大学理学部生物学科卒業、京都大学大学院生命科学研究科修士課程修了。幼少期より「思考や感情の発生」に興味があり、独学で心理学や脳科学を学ぶ。一方、「内なるものの表現」にも関心があり、10年ほどアトリエ教室に通う。学士/修士課程では脳の再生の基礎研究に従事。新卒で大手総合通販会社に入社後、Webマーケティングチームに配属。心理学や行動学の知識とアトリエ教室で培った感性を融合させ、売上や購入率向上に貢献。その後、社内から「人の力」で会社を強くしていく人材教育領域に興味を持つようになり、次世代のビジネスリーダー育成と輩出を目指す、グロービスに転職。グロービス経営大学院のコンテンツメディア企画チームに所属し、自身のキャリアに悩んだ経験から、グロービスキャリアノート制作・運営に携わる。

※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。

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