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どんなに完璧にみえる人でも、まったく失敗やミスをしないという人はいません。
とくに、今までまったく携わったことのない仕事に取り組む時や、入社して間もない新人や若手社員時代などは、程度の差こそあれ、何かしらの失敗をしてしまいやすい時期です。
本記事では、仕事で失敗をした時の対処法と、失敗を未然に防いでいくための方法を紹介します。
仕事に失敗はつきもの。大事なのは次に活かすこと
「人は誰しも何かしらの失敗はしてしまうもの」という前提に立った時に、大事なことは、いかに早く気持ちを立て直し、その失敗を教訓に同じようなミスをしないように対策を立てていくことではないでしょうか。
いつまでも落ち込んでいたり、「思い出すのも辛い」と放置したままでは、また同じような失敗を繰り返してしまう恐れがあります。
私も若かりし頃、たくさんやらかしました。
例えば、旅行会社に勤めていた時に、顧客からキャンセル依頼のあったチケットの変更手続きを忘れるという失態をしたことがあります。
旅行会社は、航空会社や宿泊施設の代理店なので、キャンセル手続きがきちんとできていないと、そうした会社へのキャンセル料が発生してしまうんですよね。
結局キャンセル料は自腹で支払ったのですが、「もう二度とこのような失敗はしたくない」という気持ちをエネルギーに、今後の対策を必死で考えました。
そうした「失敗⇒改善」のフローを繰り返していくことで、同じ類の失敗の数はぐんと減りましたし、どのように動けば未然にミスが防げていくかもわかるようになっていきました。
仕事で失敗した時の対処法
ここからは、仕事で失敗してしまった時に取るべき行動を具体的に5つほどご紹介します。
しっかりと謝罪する
基本中の基本ですが、他者にまで迷惑をかけるような失敗やミスをしてしまった場合は、しっかりと自分のミスであることを認め、誠意を込めて謝罪するということが非常に大切です。
「しまった、どうしよう」と頭が真っ白になってパニックになってしまっている場合もあると思いますが、事態が落ち着いてからでも良いので必ず謝るようにしましょう。
気持ちを引きずりすぎない
気持ちが落ちこんでしまうと思いますが、長い期間引きずりすぎないということも大事です。
失敗したという事実は変えられないので、「この失敗がきっと自分の成長につながる日が来る」と信じ、「どうリカバリーし、巻き返していくか」「失敗を繰り返さないようにどのような対策を取っていくか」と、未来志向へ頭を切り替えるようにしましょう。
失敗の原因を分析する
未来志向で改善策を考えていくためには、感情を一旦横に置いておいて、客観的に失敗の構造を分析していく必要があります。
当時の状況を振り返りながら、起こってしまったことと自分の行動の関係性に着目し、何が失敗の主たる原因だったか分析してみてください。
同じ失敗を繰り返さないように、今後の対策を考えていく
失敗の原因が分かったら、今後同じことを繰り返さないために、どのようなことを意識していけばいいのか、考えていきましょう。
ただし、どれだけ注意しても誰もがうっかりとミスをしてしまうことはあるので、「失敗しない仕組み化作り」までできるとベストです。
上司や先輩にアドバイスをもらう
ここまでは、自分で失敗の原因を分析したり、改善策を考えていくことを前提としてきましたが、そうは言っても「一人ではなかなか状況の整理ができない」、あるいは「受け止めきれない」という場合もあると思います。
そうした時には、上司や先輩にアドバイスをもらったり、客観的に分析してもらうことをおすすめします。
上司や先輩もきっと同じような経験をしてきているはずなので、話すだけで気持ちが落ち着くこともありますし、自身一人では気付けなかった観点から指摘をもらえたりします。
失敗を減らしていくためにおすすめの方法
ここからは、失敗を未然に防ぎ、減らしていく方法をお伝えします。
担当業務の全体像をしっかりと把握する
1つ目は、担当業務の全体像を広く理解しておくということです。
自分が担当している領域のことはよく分かっているけど、その前後の工程にある他者が担当している領域についてはよく分からないという方は、ぜひこの機会に捉えなおしてみてください。
仕事同士のつながりが理解できると、全体からみて自分が取るべき動きがみえてくるので、失敗やミスも減っていきます。
能力開発に取り組む
自身の知識不足やスキル不足が失敗を引き起こしてしまう、というのもよくある話です。
新人の時はある程度しょうがないかもしれませんが、できるだけ早い段階で能力開発をしていくようにしましょう。
なるべく若いうちにスキルを身につけておいた方が、その後の職業人人生においてのリターンも大きいからです。
「何から能力開発すればよいのか分からない」という方には、まずは「論理的思考」の習得をおすすめします。
論理的思考はあらゆるビジネススキルの土台となる思考法のため、全体的な仕事のパフォーマンスが上がりやすくなります。
リフレクションを行う
「日々の振り返り(=リフレクション)」を習慣化することもおすすめです。
リフレクションとは、日常の仕事の進め方や考え方などについて、失敗したこと・成功したことを含めフラットに振り返り、今後同じような事態に直面した時にどのように対応していくかについて未来志向で考えていきます。
リフレクションが習慣化されると、自分自身への理解が深まり、客観的に自分をみることができるようになり、社会人としての自律性が高まります。
ビジネスパーソンとして活躍する人や成長し続ける人の多くは、日常的にリフレクションを取り入れていると言われています。
具体的なリフレクションの取り組み方については、こちらの記事で紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
それでも些細なミスを繰り返す場合は...
「いろいろと気を付けているけど、それでもポカミスが減らない」という場合は、2つほど要因が考えられます。
心身の疲れやモチベーションの低下が原因
身体やメンタルの不調により、注意散漫になっている可能性があります。
軽度の不調であれば、睡眠時間を見直す、土日にしっかりと休むなど、日々の生活を見直していきましょう。
もし重度の場合は、思い切ってしっかりと一定期間のお休みをとり、仕事から離れてリフレッシュするといったことも検討してみましょう。
そもそも仕事の内容が合っていない可能性がある
究極的には、「今取り組んでいる仕事内容がそもそも合っていない」という可能性もあります。
仕事にはそれぞれ特性があるように、人にもそれぞれの性格・志向性があるので、当然仕事の向き・不向きはあります。
ただ、単に経験不足やスキル不足が原因である可能性もあるので、一時的な感情に流されることなく冷静に判断をする必要があります。
仕事の向き・不向きの判断方法や、今の仕事に向いていないと感じた時の対処法については、詳しくはこちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひ合わせて読んでみてください。
まとめ
「思い出すのも辛い...」という失敗やミスをしてしまうこともありますよね。
ただ、それだと同じ失敗を繰り返してしまう可能性があります。
まずは、できるだけ早く未来志向に頭を切り替え、失敗の原因を分析し、同じような失敗をしないようにするためにはどうすべきかと改善策を考えていくようにしましょう。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。