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「今の仕事は自分に向いていないかも...」
多くのビジネスパーソンがこのように感じたことが一度や二度はあるのではないでしょうか。
しかし、その時の「向いてないかも」という一時の感情に流されてその仕事を諦めてしまったり、会社を辞めてしまったりするのは大きなリスクを伴います。
そこで本記事では、「今の仕事に向いていないかも」と感じた時に、冷静に判断し行動するために考えておくべきことをご紹介します。
仕事に向いていないと思いやすい時期を知っておく
まずはじめに、知っておいてほしいことがあります。
それは、多くの人が「今の仕事に自分は向いていないのではないか」と思いやすいタイミングがあるということです。
このことを事前に知っておくと、「今はそんな時期かもしれない」と気持ちを切り替え、モチベーションを保ちやすくなります。
入社して間もない1年目
入社して1年目の新人の頃は、しばらくは先輩や上司のサポート、簡単な電話応対など、任される仕事は限定的であることが一般的です。
仕事に慣れていないため、先輩や上司からの注意や指摘をされることも多くなるでしょう。
注意や指摘を何度も受けていくうちに「自分はこの仕事に向いてないのかも」と感じてしまうことがあります。
しかし、入社1年目は注意や指摘を受けるのは当然のことです。
先輩や上司は新入社員に一人前になってもらいたいからこそ目をかけてくれています。
そのことを理解し、注意や指摘をきっかけに成長できるよう意識するとよいでしょう。
仕事に慣れてきた2~3年目
入社2年目、3年目は、ようやく仕事を一通り覚えてきた時期です。
周りからは「もう新卒ではないからこれくらいの仕事は任せられるだろう」と徐々に期待され始めます。
そんな中で新入社員が入社してきます。
そこでちょっとしたミスや失敗をして、入社間もない新人と比較されると、必要以上に負い目やプレッシャーを感じてしまい「やっぱりこの仕事に向いていないかも」と感じてしまうことがあります。
また、入社3年目にもなると、同じスタートをきった同期入社の中でも、成長のスピードの違いが明確になり始める時期でもあります。
自分よりも周りのほうが大きな仕事を任されていると感じたり、自分では頑張っているのになかなか成果が出ないことが続いたりすると「この仕事は自分に向いてないかもしれない」と思う人も出てきます。
しかし、入社2年目、3年目になったからといってミスを完全になくすのは難しいことです。
ここは入社1年目の時と同様、ミスから何を学び、繰り返さないように次からどのような行動を心がければいいかを考えるとよいでしょう。
そして、成長スピードは人それぞれです。
思うように成果が出ないからといってその仕事に向いていないとは限りません。
求められる役割が変化してくる30~40代
30代にもなると、仕事の範囲が広くなり取引先、他部署との繋がりが増えてきます。仕事の全体像が把握できるようになり、会社全体のことや人事に関することなど、今まで見えなかった部分が見えてくるようになります。
リーダーや主任、課長、部長など、昇進して新たな役割を担う人も出てきます。
これまでプレーヤーとして実績を出してきたのに、リーダーになりメンバーを持つようになった時に、チームとしての成果をうまく出せないことで悩み、リーダーに向いていないのではと思う人が出てきます。
一方で、周りが昇進していく中で自分は昇進にまったく関心が持てないことで、その仕事に向いてないのではと感じる人も出てきます。
仕事の向き/不向きは確かにある
社会には多種多様な仕事があり、それぞれに特性があります。
そして人にもそれぞれの性格・志向性があります。
仕事の特性とその仕事に取り組む人の性格・志向性が一致すれば良いのですが、仕事によってはどうしても合わないことが確かにあります。
例えば、人とコミュニケーションをしたり新しいアイデア生み出したりすることは得意な一方で、見積もりや資料作成などの事務系の仕事は苦手という人がいます。
その逆で細かい事務系の仕事は得意だけれど、人前で話すことが苦手という人もいます。
自分がやりがいを感じる仕事でも、他の人にとっては苦痛に感じることがあるように、仕事の向き不向きは確かにあります。
仕事の向き/不向きを判断する方法
仕事の向き不向きがあるとすれば、どのような軸で判断すればいいのでしょうか。
「今の仕事に向いてないかも」と感じた時は、一時的な感情に流されることなく冷静に判断をする必要があります。
仕事の向き/不向きを判断するための2つの軸をご紹介します。
自分の価値観を明確にし、仕事と合致しているかを確かめる
自分の価値観に沿った仕事をしていると、やりがいを感じやすく、反対に自分の価値観に沿えていないと、やりがいを感じづらくなります。
そのため、まずは自分自身が大切にしている"価値観"を知る必要があります。
自身の価値観を知る上で参考になる理論をご紹介します。
アメリカの心理学者ホランドが提唱しているもので、6つのパーソナリティ・タイプの頭文字をとって「RIASEC(リアセック)」と呼ばれている理論です。
- Realistic(現実的タイプ):物や道具を扱うこと、秩序や組織的な活動を好む。技術関係の仕事に向く
- Investigative(研究的タイプ):数学、物理、生物などに興味が強く、物事の分析や調査の仕事に向く
- Artistic(芸術的タイプ):曖昧で系統立っていない活動を好む。創造的・独創的な発想の仕事に向く
- Social(社会的タイプ):対人関係を得意とし社会的な活動に積極的。教育や人を援助する仕事に向く
- Enterprising(企業的タイプ):他人を導くリーダーシップを発揮する。指導や説得を行う仕事に向く
- Conventional(慣習タイプ): 情報を緻密にまとめるのが得意。データの処理など事務系の仕事に向く
人はどれか1つのパーソナリティ・タイプしか持たないのではなく、それぞれのパーソナリティ・タイプに強弱、グラデーションを持っています。
自分のパーソナリティ・タイプと一致するような環境で仕事ができれば、より高い満足感を得ることができるでしょう。
自分のパーソナリティ・タイプを調べてみたい方は、こちらのサイトから簡単に調べることができますので、ぜひ参考にしてみてください。
仕事で成果が出せているかを確認する
仕事で成果が出せているかどうかも、分かりやすい判断基準になります。
向いている仕事は、自分のパーソナリティを活かすことができる仕事であり、結果として成果も出やすくなります。
仕事で成果をあげられていれば、成果自体がモチベーションとなって、やりがいのある仕事だと感じることができます。
ただし、注意が必要なのは、成果が出ないからといって必ずしもその仕事に向いてないとは限らないという点です。
成果が出ない要因は様々です。
本当は向いているのに、仕事のやり方が間違っていたり、スキルや経験がまだ十分に足りていなかったりという可能性もあります。
また、そもそも成果をあげにくい環境にいる場合もあるかもしれません。
成果を出せていなくても、その仕事に取り組むことが純粋に楽しいと思えたり、努力する気持ちが沸いてきたりする場合は、向いている可能性があります。
仕事に向いていないと感じた時の対処法
「今の仕事に向いていない」と判断した場合、どのような行動をとればよいのでしょうか。
今の仕事に向いていないとしたら、「異動希望を出してみる」「転職する」というアクションが思い浮かびます。
しかし、仕事に向いていないからといってすぐに異動や転職が叶うほど現実は甘くないでしょう。
そこで、取るべきアクションをおすすめ順に2つほどご紹介します。
今の仕事で成果を出すために徹底的に努力する
まずは、「目の前の仕事をやりきる」ことから始めましょう。
「今の仕事に向いていない」と感じているのに、「今の仕事で成果を出す努力をする」というのは矛盾しているように聞こえるかもしれません。
しかし、先述したようにスキルや経験が不十分なために仕事の成果が上がらないことが原因のケースも多々あります。
「目の前の仕事を十分にやりきったと言えるか?」と自問自答し、「まだ十分とは言い切れない」という場合は成果を出すための努力を徹底的に行ってみてください。
仕事の成果が出てくることをきっかけに、今の仕事にやりがいを見出すことができるかもしれません。
一方で、やりきったうえで、「どうしても今の仕事に向いていない」という気持ちが解消されないことも、当然起こりえます。
その時は、異動や転職が選択肢として入ってきますが、異動希望を出すにしても転職するにしても、現在の仕事での成果やどんなスキルを持っているかが問われます。
そうした意味でも、「今の仕事で成果を出す努力をする」ことは決して無駄にはなりません。
仕事へ取り組む姿勢や身につけたビジネススキルはきっと自分の強みとしてアピールし、次のキャリアに活かすことができるでしょう。
自分に合う仕事か「試してみる」
異動や転職が視野に入ってきた時に、「いきなり飛び込む」というのはリスクがあります。
「やりがいを持って働けると思ったのに、実際は違った」ということも起こりうるからです。
そのため、今の仕事に取り組みながら、興味のある職種に少しずつ軸足をずらし、自分に合うかどうか「試してみる」ことをおすすめします。
代表的な方法は、「兼務」や「副業」などがあげられます。
フラットな組織なら、興味のある職種の仕事を手伝わせてもらいながら試すということもできるかもしれません。
また、ビジネススクールで他の職種を広く「疑似体験する」という方法もあります。
例えば、国内最大のビジネススクール『グロービス経営大学院』では、経営戦略やマーケティング、組織マネジメント、アカウンティングなど、経営に関する知識やスキルを広く学ぶことができます。
他の職種に関連する勉強をし"疑似体験"することで、本当に興味のある分野を見出すことができるかもしれません。
さらに、ビジネススクールには様々な業界や職種の社会人が集まるので、キャリアチェンジの相談や情報収集をするうえでも最適な環境といえます。
実際に、2022年のグロービス経営大学院の卒業生アンケートでは、「キャリアにポジティブな変化があった」と回答した人が93.2%、「人生の選択肢が広がった」が98.1%と高い数字が出ています。
グロービス経営大学院では、随時オンラインにて体験クラスを実施しているので、授業の進め方や雰囲気などを知りたい方は、ぜひのぞいてみてはいかがでしょうか。
(▼日程一覧はこちら)
まとめ
「仕事の向き不向き」について、向いていないと思いやすい時期、判断するための軸、乗り越えるためのアクションについてご紹介しました。
自分のパーソナリティやスキルを活かした仕事ができると人は充実感ある生活を送ることができます。
まずは自分自身の価値観を振り返ってみて、どんな仕事だと向いてそうか、ワクワクしそうかを自分の心に聞いてみましょう。
一方で、仕事が向いていないと感じた時、安易に転職するのは考えものです。
たとえ向いていないと思えるような仕事でもそこで努力できるかどうかでキャリアの方向性と可能性は大きく変わります。
今の仕事で成果を出すために足りていないと思うスキルがあれば、学びの一歩を踏み出し成長機会としていただけると嬉しく思います。
著者情報
高原 雄樹(グロービス経営大学院 福岡校 スタッフ)
北九州市立大学法学部卒業。グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA)修了。楽天株式会社にてインターネットショッピングモール「楽天市場」の出店営業、ECコンサルティング、松山支社の立ち上げ、メンバーのマネジメント等を行う。その後、グロービスに入社。グロービス経営大学院福岡校の成長戦略の立案・実行や組織マネジメント、チームの責任者として従事。キャリアコンサルタント(国家資格)で得た知識・技能をもとに日々学生のキャリアと向き合っている。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。