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リフレクション(内省)とは?人材育成で注目される理由と実践方法

リフレクション(内省)とは?人材育成で注目される理由と実践方法

目次

人材育成の観点でも注目されるリフレクションの実施は、個人にとっても企業にとっても大きなメリットがあります。
本記事では、リフレクションで得られる効果や具体的な実践方法についてお伝えします。

リフレクションとは

リフレクション(内省)とは、一言でいうと「自分自身の行動や状態を客観的に振り返ること」です。
具体的には、日常の仕事の進め方や考え方などについて、失敗したこと・成功したことを含めフラットに振り返り、今後同じような事態に直面した時にどのように対応していくかについて未来志向で考えていきます。
リフレクションは、社員の自律性の促進や組織としての生産性向上を目的として、人材育成の分野でも注目されています。

反省との違い

リフレクション(内省)と似た言葉で「反省」がありますが、意味合いは少し異なります。
反省は、自分の失敗や誤りに焦点を当て、「なぜそうなってしまったのか」とその理由や原因を分析し、正していくことを目的としています。
一方、リフレクションは、失敗や誤りのみならず、自分がとった行動や考え方に対して、良い面も悪い面も含めてフラットに見つめ直し、そこから新たな気づきを得て、次の行動へ活かしていくことを目的としています。

リフレクションの効果・メリット

企業・個人双方にメリットがあります。

個人のメリット

リフレクションが習慣化されると、自分自身への理解が深まり、客観的に自分をみることができるようになります。
自身の感情や行動をコントロールしていくことの意識が強まるため、社会人としての自律性も高まります。
その結果、物事の考え方や仕事への意識、モチベーション向上など、マインド面での変化がみられ、自己成長へとつながっていきます。

企業のメリット

人材育成の観点で、企業が率先して社員にリフレクションを身につけさせる支援を行うことには大きな意義があります。
社員一人ひとりの自律性が高まり、各々が主体的に業務改善に取り組んでいくため、チーム全体の力が底上げされ、組織としての生産性が向上します。
さらに、客観的に物事をみる力がつくため、チーム全体を冷静にみることのできるリーダー人材の育成にも役立ちます。

具体的なリフレクションのプロセス

リフレクションは、大きく3つのステップから成ります。

ステップ①:起きた出来事を振り返る

まずは、起こった出来事や事象について振り返ることからスタートします。
振り返りのポイントは3つあります。

  • 何が起こったのかを淡々と事実ベースで振り返る。
  • 1つの出来事を細かく分解しながら、それぞれの工程を振り返る。
  • 良かった点・悪かった点を含め、出来事の工程を細かく分解しフラットに振り返る。結果的に成功した出来事の場合は、もっと改善できる点についても考えてみる。

ステップ②:状況を振り返る

次に、その出来事に関わった他者の状況を丁寧に振り返っていきます。
ここで注目するのは、登場人物それぞれの役割や行動、反応、感情の動き、動機などです。

ステップ③:自分自身の行動について振り返る

最後に、自分はその出来事に対してどのような行動をとったのかについて振り返ります。
自分の行動は適切なものだったか、本来期待されていたものに対し実際はどうだったか、ありたい姿と現実のギャップを埋めるためにはどのような行動をとればよかったのか。
そういったことについて客観的に振り返ってみてください。
また、ここでの大事なポイントは、「自分がコントロールできたこと/できなかったこと」の2軸でも考えることです。
リフレクションの目的は、未来志向で自分の行動やマインドをより良いものに変えていくことなので、「自分がコントロールできること」に注力して考えていくべきだからです。

リフレクションのポイント

リフレクションの効果を上げるためのポイントを3つ紹介します。

ポイント①:感情と切り分けて振り返る

リフレクションでは、ありのままの事実を客観的に捉えるということが非常に重要です。
つまり、「起こったこと」と「自分の感情」を切り分けて考えるということです。
例えば、腹が立つ出来事の場合、ついつい他者のせいにしてしまいたくなることもあると思います。
しかし、リフレクションでは、そういった出来事についても淡々と事実ベースで振り返っていきましょう。

ポイント②:習慣化する

普段リフレクションを大きく意識していない人でも、何か大きな失敗をした場合などは自然と「何が良くなかったんだろう」と振り返る人は多いのではないでしょうか。
しかし、リフレクションの効果を得るためには、出来事の大小に関わらず、振り返りの習慣を持つことが大事です。
できれば日常的に、もっと言うと毎日することをおすすめします。
例えば私自身は、毎晩寝る前に1日の出来事を振り返り、どのような行動をとって、何が良くて悪かったか、今度からどうすべきか、といったことについて考えることを習慣化しています。

ポイント③:未来志向で振り返る

リフレクションの最大の目的は、自分の成長です。
単に過去のことについて振り返るのではなく、しっかりと自分に矢印を向けながら「今後どのような行動をすべきか」と未来志向で考えることが大事です。
自分の感情のコントロールが上手くいかず、冷静さに欠ける行動をしてしまった場合は、「人としてもっとこういったことを意識していかなければいけないな」と自分を見つめ直すきっかけにもなるでしょう。
また、自身のスキル不足によって上手くいかなかった場合は、これからどのような能力開発をしていけばよいのか知ることができます。

「自分の成長に向けて優先課題を発見する」
そういったことを意識してリフレクションに取り組んでみてください。

まとめ

「この人素敵なリーダーだな」と感じる人は、ほぼ100%リフレクションを習慣としています。
他人を変えることはできませんが、自分は変えていくことができます。
今までリフレクションをあまり意識したことがないという人は、習慣化するだけでも自己成長できるモードに入っていきますので、ぜひ日常的に取り入れてみてください。

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著者情報

村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)

村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)

関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎リーダーシップ開発と倫理・価値観経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。

※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。

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