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社会人が身につけておきたいスキルの1つである「語彙力」。
語彙力があると、話に広がりや深みが出ますし、何より自分の考えを的確に伝えることができます。
本記事では、語彙力を高めていくうえで、ぜひ日常的に取り入れていただきたいおすすめの方法を紹介します。
語彙力とは
「語彙力が高い人=知っている単語数が多い人」とイメージされる方も多いですが、それだけでは不十分です。
語彙力は、2つの能力の掛け合わせから成り、「適切に使えるかどうか」も同時に意識していく必要があります。
- ①語彙の量:どれだけ多くの言葉を知っているか
- ②語彙の質:状況に応じて、それらの単語を適切に選び、使えるかどうか
語彙力が低いとどうなる?
それでは、語彙力が低いと具体的にどのようなデメリットがあるのでしょうか。
伝える力が弱くなる
誰かと会話をする中で「いまいち相手に伝わっている気がしない...」と感じるタイミングがある人は、語彙力が乏しい可能性があります。
語彙力がある人は、類義語や言い換えの言葉をたくさん知っているので、話の内容に合わせて細やかな表現ができますが、語彙力が不足している場合は、ごく限られた言葉しか使うことができないため、自分の伝えたいことを上手く表現できなくなります。
理解力や読解力が低くなる
語彙力が低いと、相手の話を理解する力や読解力の低下にもつながります。
言葉の意味自体を知らなかったり、ちょっとした言葉のニュアンスを理解できなかったりするため、表面的にしか内容を捉えることができなくなります。
生きている世界が狭くなり、思考が浅いものになる
人間は、頭の中にある「言葉」を使いながら物事を考えます。
そのため、知っている言葉の数や使いこなせる言葉の数が多いほど、思考は広く、深いものになります。
逆にいえば、語彙力が低いと、それだけ「世界を感じ取る力」が弱く、思考が浅いものになってしまうということになります。
語彙力を高める方法
語彙力は、日々の心がけや努力の積み重ねによって鍛えられていきます。
おすすめの方法を4つほど紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
言葉への感度を高める
一番大事なのは、日常的に「言葉というものへの感度を高める」ことです。
「言葉にこだわる」と言ってもよいかもしれません。
例えば、私たちは一日の中で、ニュース記事を読んだり、誰かと会話したり、ドラマや映画を観たりなど、たくさんの言葉にふれます。
そこで使われている言葉をなんとなく聞き流すのではなく、「どのような言葉が、どのような場面で、どのように使われているか」を意識するようにしてみてください。
そして、「素敵だな」と思える表現があればメモしたり、知らない言葉が出てきたらすぐに調べる習慣をつけるようにしましょう。
様々なジャンルの書籍を読む
当たり前ですが、書籍にはたくさんの言葉が使われています。
そのため、読書習慣を持つことも語彙力を高めるうえで非常に有効です。
ここでのポイントは、多様なジャンルの本を読むことです。
特定の分野に偏ると、そこで使われる語彙に詳しくなってきた時に、新たに出会える語彙量が減ってしまうからです。
例えば普段「ビジネス書ばかりだな」という人は、小説やエッセー、科学書、哲学書などのジャンルの本も意識的に手にとるようにしてみてください。
多様な人と会話する
よく使われる単語や言葉の表現方法は、属しているコミュニティなどによって、微妙に変わってきます。
なので、自分とは異なる世代や性別、職業、価値観、ライフスタイル、趣味嗜好の人と話してみるという方法もおすすめです。
相手が使っている「面白いな」「素敵だな」と思う言葉の言い回しや表現を、自分の会話の中で取り入れていくことで、自分自身の世界も広がりますし、語彙のレパートリーもぐんと増えます。
アウトプットする
インプットだけでなく、「書く」「話す」といったアウトプットをしていくことも重要です。
アウトプットの手段は、言葉を使うならなんでもかまいません。
日常会話はもちろん、現代はSNSやブログ、動画、音声メディアなど、個人が情報を発信できる手段がたくさんあります。
そうした場を上手く活用しながら、自分の考えや意見などをアウトプットする習慣を持つようにしてみてください。
「他者に読まれている」という感覚が適度なプレッシャーになるため、自然と正しい言葉を使うことを意識したり、もっと良い表現がないか調べるようになります。
まとめ
言葉は、私たちのコミュニケーションを支える重要な要素であり、私たちの世界を広げてくれるツールです。
日本語という言語は、本当に豊かな言語で、使える語彙数が多いほど、心の機微や微妙なニュアンスも的確に伝えることができますし、理解することもできます。
ぜひ今回ご紹介した方法を日常で意識して取り入れ、語彙力を高めていってください。

村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。