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コミュニケーションを円滑にするために、社会人が身に付けておきたいスキルのひとつである「語彙力」。
語彙力があると、話に広がりや深みが出ますし、何より自分の考えを的確に伝えることができます。
本記事では、語彙力を高めていくうえで、ぜひ日常的に取り入れていただきたいおすすめの方法を紹介します。
語彙力とは
「語彙力が高い人=知っている言葉の数が多い人」とイメージされる方も多いですが、それだけでは不十分です。
語彙力は、以下2つの能力で構成されており、「言葉をどれだけ知っているか」に加えて「適切に使えるかどうか」も意識する必要があります。
- ①語彙の量:どれだけ多くの言葉を知っているか
- ②語彙の質:状況に応じて、知っている言葉を適切に選び、使えるかどうか
語彙力が低いことによる3つのデメリット
それでは、語彙力が低いと具体的にどのようなデメリットがあるのでしょうか。
伝える力や表現力が弱くなる
誰かと会話をする中で「いまいち相手に伝わっている気がしない...」など、自分の意見やイメージを相手にうまく伝えることができません。
語彙力がある人は、類義語や言い換えの言葉をたくさん知っているので、話の内容や相手に合わせて適切な言葉や表現を選ぶことができますが。
しかし、語彙力が不足していると、ごく限られた言葉しか使うことができないため、自分の伝えたいことをうまく表現できなくなります。
理解力や読解力が低くなる
語彙力が低いと、相手の話を理解する力や読解力の低下にもつながります。
言葉の意味自体を知らなかったり、ちょっとした言葉のニュアンスを理解できなかったりするため、表面的にしか内容を捉えることができなくなります。
思考が浅いものになる
人間は、頭の中にある「言葉」を使いながら物事を考えます。
そのため、知っている言葉の数や使いこなせる言葉の数が多いほど、思考は広く、深いものになります。
逆にいえば、語彙力が低いと、それだけ「多面的に物事を捉える力」が弱く、思考が浅いものになってしまうということになります。
語彙力を高める4つの方法
語彙力は、日々の心がけや努力の積み重ねによって鍛えられていきます。
おすすめの方法を4つほど紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
言葉への感度を高める
一番大事なのは、日常的に「言葉への感度を高める」ことです。
「言葉にこだわる」と言ってもよいかもしれません。
例えば、私たちは一日の中で、ニュース記事を読んだり、誰かと会話したり、ドラマや映画を観たりなど、たくさんの言葉に触れます。
そこで使われている言葉をなんとなく聞き流すのではなく、「どのような言葉が、どのような場面で、どのように使われているか」を意識するようにしてみてください。
そして、「素敵だな」と感じる表現があればメモしたり、知らない言葉が出てきたらすぐに調べたりする習慣をつけるようにしましょう。
さまざまなジャンルの書籍を読む
当たり前ですが、書籍にはたくさんの言葉が使われています。
そのため、読書習慣を持つことも語彙力を高めるうえで非常に有効です。
ここでのポイントは、多様なジャンルの本を読むことです。
特定の分野に偏ると、そこで使われる語彙に詳しくなってきた時に、新たに出会える語彙量が減ってしまうからです。
例えば普段「ビジネス書ばかり読んでいる」という人は、現代小説や古典文学、エッセイ、科学書、哲学書などのジャンルの本も意識的に手に取るようにしてみてください。
多様な人と会話する
よく使われる単語や言葉の表現方法は、属しているコミュニティなどによって、影響を受けることが多いです。
そのため、自分とは異なる世代や性別、職業、価値観、ライフスタイル、趣味嗜好の人と話してみるという方法もおすすめです。
相手との会話の中で「面白い」「素敵だ」と感じる言葉の言い回しや表現を、自分の会話の中で取り入れていくことで、自分自身の世界も広がりますし、語彙のレパートリーもぐんと増えます。
アウトプットする
インプットだけでなく、「書く」「話す」といったアウトプットも重要です。
アウトプットの手段は、言葉を使うならなんでもかまいません。
- SNSやブログで発信する
- 日記をつける
- 動画や音声メディアを活用する
など、現代は日常会話はもちろん、個人が情報を発信できる手段がたくさんあります。
そうした場を上手く活用しながら、自分の考えや意見などをアウトプットする習慣を持つようにしてみてください。
このときに重要なのが、抽象的な言葉や指示語、形容詞をなるべく避けて、「よりよい表現はないか」と推敲を重ねることです。
「他者に読まれている」という感覚が適度なプレッシャーになるため、自然と正しい言葉を使うことを意識したり、もっと良い表現がないか調べるようになります。
まとめ
言葉は、私たちのコミュニケーションを支える重要な要素であり、私たちの世界を広げてくれるツールです。
日本語という言語は、本当に豊かな言語で、使える語彙数が多いほど、心の機微や微妙なニュアンスも的確に伝えることができますし、理解することもできます。
ぜひ今回ご紹介した方法を日常で意識して取り入れ、語彙力を高めていってください。
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著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。