目次
想像力は、対人関係はもちろん、日常生活のあらゆるシーンで求められる能力です。
本記事では、想像力がある人の特徴と高めるコツを紹介します。
想像力とは
想像力とは、「自身が経験していないことや未来のこと、現実には存在しないことを、頭の中で思い描く力」のことです。
何が起こるか分からないVUCA時代に不可欠な力の一つといえます。
想像力が求められるシーン例
想像力が必要とされる代表的な場面を3つ紹介します。
コミュニケーション
この世に「考えや価値観が全く同じ」という人はいません。
当然、相手の立場やバックグラウンドによって、見えている世界は異なります。
そのような"異なる者同士"で円滑にコミュニケーションを図るためには、表層には現れていない相手の気持ちや前提を想像し、補う必要があります。
新施策や新ビジネスの立案
新しい施策やビジネスを考える際には、顧客インサイトや起こり得る市場の動きなど、まだ"見えていない"売上に影響を及ぼす様々な要素についても想像していかなければなりません。
交渉や提案
クライアントとの交渉や上司への提案は、相手の立場や状況、関心ごと、ニーズを押さえたうえで行う必要があります。
情報として取得できる場合もありますが、想像で補わなければならないことも多々あります。
想像力がある人の特徴
想像力がある人には、共通点があります。
特徴①:気が利く
相手のリアクションや求めているものを想像できるので、先回りして行動することができます。
結果、周囲から「いろんなことに気が付く人」「心配りができる人」と評価されることが多いです。
特徴②:リスクマネジメントが上手い
発生しうるリスクについて予測ができるため、危機察知能力が高いです。
さらに、対処法や回避策のパターン出しも上手く、様々なことに対してシミュレーションする習慣もついていますので、イレギュラーな出来事にも強いです。
特徴③:仕事が速い
先々のことを予測できるため、タスクの優先順位付けが上手く、スピーディにこなしていきます。
また、上司に提案する際にも、「上司はどういった情報を欲しがるだろうか?」と事前に想像し準備をするので、提案の手戻りも少ないです。
想像力が乏しい人の特徴
反対に、想像力に欠ける人にも、共通点がみられます。
特徴①:主観が強い
「他者はどう感じるんだろう」という視点が欠落し、視野が狭い傾向にあります。
主観による行動や発言が多いので、「自分勝手な人」と受け取られることも少なくありません。
特徴②:興味のない情報はスルーする
関心のない分野については、ほとんど気に留めずスルーします。
自分が精通している分野以外のことに関しては、前提知識が少ないため、想像力も乏しくなります。
特徴③:知識や経験に頼りがち
すでに知っていることや経験していることを軸に、判断や意識決定をしがちといった特徴もあります。
応用力に欠けるため、イレギュラーな出来事や初めて見聞きすることに対して、思考停止になってしまいます。
想像力を鍛える方法
想像力は、日々の積み重ねによって鍛えられていきます。
日常でぜひ意識していただきたい5つの方法を紹介します。
方法①:「人」に興味を持つ
対人関係において想像力が乏しい人の多くは、「他者」への興味が薄いことが原因です。
「あんまり人が好きじゃないんだよね...」という人もいるかもしれませんが、分析的に人間を見るという観点でも構わないので、まずは何らかの関心を持つことから始めてみてください。
方法②:様々な領域の情報にアンテナをはる
誰しも、まったくのゼロから想像することはできません。
何かしらの「取っ掛かり」となる知識や、想像を広げていくうえでの知識が必要です。
想像力が豊かな人ほど、様々な分野の知識を持っている「世界が広い人」です。
まずは、全く土地勘がない領域についても、積極的に学んだり、情報をキャッチするようにしてみましょう。
方法③:仮説を立てる習慣をつける
想像力を鍛えるためには、当然ですが、「想像」をしていかなければなりません。
「想像癖」を身に着けるには、日常で物事を考える際に、「仮説(=自分なりの仮の答え)」を立てていくことをおすすめします。
例えば、買い物の際に「最近よくこういった商品を見かけるけどなんでだろう」「なぜ今このようなキャンペーンを打ち出しているんだろう」などと、普段なら気にとめなさそうそうなことも、いちいち立ち止まって考えるようにしてみてください。
方法④:反対の立場を考えてみる
想像力が豊かな人は、多角的な視点で考えられる人です。
視点の数を増やすための第一歩として、常に「反対の立場」の視点を意識することから始めてみてください。
ある物事に対して、「自分はこういう意見だ」と思ったら、「そうは思わない人は、どういったことを考えるんだろう」とセットで考えるようにしましょう。
方法⑤:多様な価値観に触れる
自分の軸をしっかりと持っておくべき一方で、自分とは異なる他者の多様な価値観にも触れていくことが重要です。
想像力を鍛えるために、意識的にこういったことにも取り組んでみましょう。
- 多様は価値観の人が集まるコミュニティに身を置く
- 友人にはあまりいないタイプの人と、定期的に話をしてみる
- 「ちょっと苦手だな」という人と、あえて話をしてみる
まとめ
想像力は、人間関係を良くしたり、仕事をスムーズに進めるうえで、非常に大事な能力です。
「現状、ちょっと想像力が弱いかも...」という人は、今回ご紹介した5つの方法を意識的に実践してみてください。
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著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。