
目次
前回の記事では、何が起こるか予測不可能なVUCA時代において、キャリアプランを立てるメリットと考え方についてご紹介しました。
今回は、実際にキャリアプランの書き方とコツについてご紹介します。
そもそも、面接でキャリアプランを聞かれるのはなぜか?
転職活動中に、面接官から「あなたのキャリアプランを教えてください」と質問された経験はありませんか?この質問には明確な目的があり、面接官は応募者の将来性や組織への適合性を判断しています。
採用のミスマッチを防ぐため
面接官がキャリアプランを質問する最大の理由は、採用後のミスマッチを防ぐためです。応募者の描く将来像と企業が提供できるキャリア機会が一致しているかを確認することで、入社後の早期離職や不満を未然に防ぐことができます。
例えば、マネジメント志向が強い応募者に対して、専門性を深める役割を提供することはミスマッチにつながります。面接でキャリアプランを共有することで、企業側は適切な配置や育成計画を検討でき、応募者自身も企業が自分の目標実現に適した環境かを判断できるのです。
十分に自己分析ができているかをみるため
キャリアプランの内容から、面接官は応募者の自己分析の深さを評価します。明確なキャリアプランを持つということは、自分の強み・弱み、価値観、将来への展望を深く理解している証拠だからです。
具体的で現実的なキャリアプランを語れる人は、自分を客観視できており、入社後も自立的にキャリアを構築していける可能性が高いと判断されます。逆に、曖昧で実現性に乏しいキャリアプランしか語れない場合、自己理解が不足しているとみなされることがあります。
キャリアプラン作成前の心構え「主観を大切にする」
まず、作成に着手する前に、キャリアについて心にとめておいていただきたいことが2つあります。
- ポイント1:客観的な正解はない。
キャリアには、誰もが目指すべきゴールや画一的な評価基準はありません。
客観的な基準がなければ、「自身にとっていかに納得度の高い選択をしていくか」が重要となります。
- ポイント2:終着点(ゴール)はない
ゴールだと思っていた到達点は、到達すると通過点となっていきます。
なので、キャリアプランは一度作成したら終わりではなく、随時アップデートしていく必要があります。
自分の判断軸を把握する
正解もなく終着点もないとなれば、主観で判断し選択していかなければなりません。
そして、客観的な意見(世間で良しとされているものなど)に流され、後になってから不満を感じるような就職や転職をしてしまわないためにも、自分の価値観を知っておくことは非常に重要です。
キャリアや働き方を選択するうえでの判断軸を知るためには、自身の「キャリアアンカー」のタイプを把握することが有効です。
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キャリアプラン作成の3ステップ
キャリアプランは、なりたい自分(目標)と今の自分のギャップを埋めるため「アクションプラン」です。
キャリアプランを作成するためのプロセスとコツについてご紹介します。
- ステップ①:なりたい自分を描く
- ステップ②:今の自分とのギャップを明らかにする
- ステップ③:達成手段と中間目標を考える
【ステップ①】理想像(なりたい自分)を描く
キャリアプラン作成プロセスにおいて、もっとも重要なステップです。
なりたい自分を描くことができれば、キャリアプランの8割は完成したようなものです。
簡単に描けるものではありませんが、以下の4つのポイントを押さえつつ考えてみてください。
ポイント1:今の延長線で考える必要はない
キャリアセミナーに登壇していると、組織から提示された社内キャリアパスのような、なりたい自分を描く方がいらっしゃいます。
なりたい自分は、必ずしも現在のキャリアの延長線上である必要はありません。
キャリアの選択肢や自身の可能性の幅を狭めないためにも、まずは「今の延長線でなくても良いのならば、どんな自分になりたいか」をフラットに考えてみてください。
ポイント2:実現可能性も考慮する
一方で、漠然とした夢のままで終わらせないためには、実現可能性も考慮しなければなりません。
フレームワークを使って多面的に考えていくことをおすすめします。
3つの視点「①何ができるか(Can)」「②何がしたいか(Will)」「③経済的に成り立つか」から、なりたい自分を考えてみてください。
この3つを満たしていると、仕事としてうまくいくので、キャリアの選択肢としてもぐっと現実的なものになります。
ただし、「①何ができるか(Can)」はスキルアップで増やすことが可能なので、ここではとくに②③に重点を置いて考えてみましょう。
3つの円の詳しい考え方については、こちらの記事で説明していますので、参考ににしてみてください。
ポイント3:言語化してみる
ポイント2に関連するのですが、なりたい姿のイメージが具体的であればあるほど、アクションプランも考えやすくなり、目標も達成しやすくなります。
具体的にしていくためには、とにかく言語化することが重要です。
その過程で、うまく表現できない曖昧なことにも出くわすかもしれません。
「なぜうまく言語化できないのか」を明らかにしていくことも、思考を深める助けとなります。
ポイント4:120点の理想に修正する
なりたい姿が描けたら、一度「120点の理想に修正するとしたら?」と自問してください。
もしかしたら、無意識に手の届きやすい目標を選んでいるかもしれません。
キャリアの選択肢の幅を狭めないためにも、最初から守りに入るのではなく、少しストレッチした理想像で考えてみましょう。
【ステップ②】今の自分とのギャップを明らかにする
なりたい自分を描けたら、これまでの経験や獲得した知識、スキルなどを棚卸してみてください。
そして、なりたい自分になるためには、何が不足しているかを洗い出してみましょう。
ここでのポイントは「現状の自分を盛らない」ことです。
自分の足らない部分に向き合うことは辛い作業でもありますが、目的は自分を慰めることではなく、ギャップを知ることです。
目を背けず、正しく(やや厳しめに)差分を明らかにしましょう。
【ステップ③】達成手段を考える
最後に、ギャップを埋めるための具体的なアクションプランを考えていきます。
スキルが足りないなら能力開発計画を、特定の知識が足りないのであれば学習計画を、経験が足りないのならばどうすれば経験を積む機会を得られるかを考えてみましょう。
より良いアクションプランを作成するためには、ポイントが2つあります。
ポイント1:手段は複数オプションあげる
ぱっと思いついたものが、必ずしも最適な手段とは限りません。
積極的に情報収集し、手段は複数オプション考えておきましょう。
そして、複数のオプションの中から、自分の性格に合っているものや、楽しみながら取り組めそうなもの、コスト感(時間、費用)など様々な観点から、最適と思えるものを選択してみてください。
複数の選択肢をあげておくことで、実行した手段Aが不発だった場合、クイックに手段Bへと乗り換えることもできます。
ポイント2:中間目標を立てる
成果を得られるまで長い目標や大きな目標を立てた場合、モチベーションの維持が難しく、途中で挫折してしまう可能性が高くなります。
モチベーションを保つためには、目標を分割して中間目標を立てていき、こまめな達成感を得ていくことが重要です。
そして、中間目標をクリアしていくことで、自分が着実に前に進んでいる感覚も得ることができます。
実際に行動してキャリアプランをアップデートしていく
こちらの記事で詳細は紹介していますが、キャリアプランはあくまで現時点で考え得る仮の答え、つまり「仮説」に過ぎません。
途中で軌道修正しアップデートしていくものです。
実際に行動してみて初めて分かることや見えてくる世界もあるので、一度作成したキャリアプランは「β版」と捉え、まずはそれを正としながら動き始めてみることをおすすめします。
動き始めると、考えるための材料も集まりますし、自己理解も深まっていきます。
仮説が検証されていく過程で、より納得感の高いキャリアプランに修正するためのヒントも得られます。
考えながら動き、動きながら考える。この繰り返しでキャリアプランはバージョンアップされ、その積み重ねによって皆さんの人生は形成されていきます。
【職種別】キャリアプランの答え方を例文付きで解説
面接でキャリアプランを聞かれた際、自分の職種に合った答え方をすることで、より具体的で説得力のある回答ができます。以下では、主要な職種別にキャリアプランの考え方と回答例をご紹介します。
営業職
営業職の場合、営業スペシャリストとして深い専門性を追求する道、チームリーダーからマネージャー、営業部長への管理職ルート、営業企画や事業企画などの企画職への転身、さらには起業・独立による自身の事業展開といった選択肢があります。近年では営業DX(Sales Tech)の知識やデジタルツールを活用した営業プロセスの最適化スキルが特に重要視されており、データ分析に基づく効率的な営業活動が求められています。
面接では数字で表現できる具体的な目標を示すことが重要で、顧客との関係構築力や課題解決力を強調する必要があります。キャリアプランの回答では、具体的な売上目標や期間を明示し、そのための具体的なアクションプランを含めることで説得力を高めることができます。
【回答例文】
5年後には営業マネージャーとして年間売上目標10億円のチームを率いることを目指しています。そのために、まずは個人として年間売上3億円の実績を維持しつつ、部下の育成経験を積み、営業戦略の立案・実行能力を身につけたいと考えています。将来的には新規事業の営業責任者として、市場開拓に貢献したいと思います。
事務職
事務職では、専門性を高めた事務のスペシャリスト、管理職への昇進(課長、部長など)、人事・総務・法務などの専門職への転身、業務効率化やシステム導入のプロジェクトリーダーなどの道が考えられます。近年は定型業務の自動化により事務職の役割が再編されつつあり、単純な事務処理から「業務改善の伴走型支援者」として組織の生産性向上に貢献する価値の高いポジションへと変化しています。
面接では効率化への取り組みや他部署との連携経験、学習意欲を具体的にアピールすることが大切です。キャリアプランの回答では、業務改善への意識と具体的な成果目標、継続的な学習姿勢を示すことで、成長意欲と実務能力をバランス良く表現できます。
【回答例文】
事務職として業務の効率化と品質向上に貢献し、3年後には部署の業務改善リーダーとして活躍したいと考えています。現在学習中のRPAツールの活用により、定型業務の自動化を推進し、チーム全体の生産性を20%向上させることを目標としています。将来的には総務部門の管理職として、組織全体の業務改善に携わりたいと思います。
経理職
経理職のキャリアパスとしては、経理のエキスパートとして税務・会計の専門性を深める道、財務企画や予算管理への展開、経理部門の管理職、公認会計士や税理士などの専門資格取得による更なる専門性向上があります。近年クラウド会計ソフトの導入支援やERP導入スキルが重視される傾向があり、デジタル化に対応できる経理人材の需要が高まっています。
面接では、数字に対する責任感と正確性、法制度への理解力、経営への貢献意識を示すことが重要です。キャリアプランの回答では、専門知識の向上と資格取得への意欲、経営への貢献姿勢を具体的な期間と目標で示すことが効果的です。
【回答例文】
経理として会計・税務の専門知識を深め、5年以内に経理部のチームリーダーとして月次決算の早期化と分析の高度化を実現したいと考えています。同時に簿記1級の取得を目指し、将来的には財務企画部門で資金調達や投資判断の分析業務に携わることで、経営戦略の意思決定に貢献したいと思います。
販売員
販売員のキャリアでは、店舗責任者・エリアマネージャーへの昇進、商品企画・バイヤーへの転身、独立開業による店舗経営、EC事業や新しい販売チャネルの開拓といった多様な選択肢があります。
面接では、顧客満足度や売上実績、チームワーク、新しい販売手法への取り組みを具体的に説明することが重要です。キャリアプランの回答では、接客経験を活かした成長戦略と、変化する小売業界への対応力を示すことで、適応力と向上心をアピールできます。
【回答例文】
販売員として顧客満足度とリピート率の向上に取り組み、3年後には店長として店舗運営全体を担いたいと考えています。現在の接客経験を活かしながら、デジタル化が進む小売業界で、オンライン・オフライン融合の新しい販売手法を学び、将来的にはエリアマネージャーとして複数店舗の業績向上に貢献したいと思います。
マーケティング職
マーケティング職では、デジタルマーケティングの専門家、ブランドマネージャー・商品企画への発展、マーケティング部門の管理職、事業責任者・CMOへの昇進といったキャリアパスがあります。
面接では、データ分析力、創造性、市場感度、ROI意識を具体的な成果と共に示すことが大切です。キャリアプランの回答では、数値目標と新技術への取り組み、戦略的な思考力を組み合わせることで、マーケティング職に求められる総合的な能力をアピールできます。
【回答例文】
マーケティング戦略の立案・実行を通じて顧客獲得コストを30%削減し、5年後にはマーケティングマネージャーとして事業成長を牽引したいと考えています。特にデジタルマーケティングの専門性を高め、AIを活用した顧客分析や個別最適化された施策により、LTVの最大化を実現したいと思います。将来的には事業部のマーケティング責任者として、新市場への展開を主導したいと考えています。
プログラマー
プログラマーのキャリアには、技術スペシャリストとしての深化、システムエンジニア・プロジェクトリーダーへの発展、CTO・技術責任者への昇進、フリーランス・起業による技術事業の展開などがあります。
面接では、技術力の継続的な向上、新技術への学習意欲、開発効率や品質向上への取り組みを示すことが重要です。キャリアプランの回答では、技術的な成長と組織への貢献、最新技術への対応力を具体的な学習計画とともに表現することで、技術者としての向上心と実践力をアピールできます。
【回答例文】
プログラマーとしてクリーンなコード作成とシステムの可用性向上に貢献し、3年後にはリードエンジニアとしてチーム開発をまとめたいと考えています。現在学習中のクラウド技術とAI・機械学習を活用した自動化により、開発生産性を向上させ、将来的には技術責任者として組織全体のDX推進をリードしたいと思います。
システムエンジニア
システムエンジニアのキャリアには、プロジェクトマネージャー・PMOへの発展、ITアーキテクト・技術コンサルタント、IT部門の管理職・CIOへの昇進、独立系コンサルタント・起業などの選択肢があります。
面接では、プロジェクト管理能力、顧客折衝力、技術トレンドへの対応力、課題解決力を具体的に示すことが重要です。キャリアプランの回答では、技術的専門性とプロジェクト管理能力、顧客への価値提供を組み合わせることで、SEに求められる総合的なスキルセットをアピールできます。
【回答例文】
システムエンジニアとして要件定義から運用まで一貫したプロジェクト管理能力を身につけ、3年後にはプロジェクトマネージャーとして大規模案件を担当したいと考えています。クラウド移行やDX推進の専門性を高め、顧客の事業成長に直結するシステム構築により付加価値を提供し、将来的にはIT部門の責任者として組織のデジタル戦略をリードしたいと思います。
技術職
技術職では、研究開発のスペシャリスト、技術管理職・プロジェクトマネージャー、コンサルタント・技術アドバイザー、特許取得や論文発表による業界への貢献といったキャリアパスが考えられます。
面接では、技術革新への貢献、品質向上への取り組み、技術的な課題解決能力を具体例と共に示すことが大切です。キャリアプランの回答では、専門性の向上と社会課題への貢献意識、技術的リーダーシップへの意欲を組み合わせることで、技術者としての使命感と成長意欲を表現できます。
【回答例文】
技術職として製品の品質向上と新技術の開発に取り組み、5年後には技術開発チームのリーダーとして次世代製品の開発を主導したいと考えています。現在の専門分野に加えて環境技術への理解を深め、持続可能な製品開発により社会課題の解決に貢献し、将来的には技術部門の管理職として技術革新の推進をリードしたいと思います。
【年齢別】キャリアプランの答え方を例文付きで解説
年齢によって求められる経験や能力は異なります。各年代の特徴を理解し、その時期に適したキャリアプランを描くことで、面接官により説得力のある回答ができるでしょう。
20代
20代では主体的な成長意欲と幅広い経験を積む姿勢が重要視されます。基礎的なスキルの習得、失敗を恐れずチャレンジする精神、学習への意欲が特に求められる年代です。組織の中で様々な業務に積極的に取り組み、自身の適性や興味を発見していく時期とも言えます。
面接では、成長への意欲、学習能力、目標に向けた具体的な行動計画を示すことが大切です。長期的なビジョンよりも、まずは3-5年の中期目標を明確にし、どのようにスキルアップを図っていくかを具体的に述べることが効果的です。失敗から学ぶ姿勢や、新しいことへの挑戦意欲をアピールすることも重要なポイントとなります。
【回答例文】
まずは営業の基礎をしっかり身につけ、様々な業界・規模の顧客との関係構築経験を積みたいと考えています。3年後には個人目標150%達成を継続し、マネジメント研修にも参加して後輩指導の経験も積みたいです。将来的にはチームリーダーとしてメンバーの成長をサポートしながら、営業企画などの戦略的業務にも携わり、組織全体の成長に貢献したいと思います。
30代
30代では専門性の確立と同時に、リーダーシップやマネジメント能力の発揮が期待されます。後輩育成や課題解決力、判断力がより重要になる年代です。これまでの経験を活かしながら、組織の中核メンバーとして責任ある役割を担い、チームや部署の成果向上に貢献することが求められます。
面接では、これまでの実績を基にした専門性と、マネジメント経験や人材育成への取り組みを具体的に示すことが重要です。単なる個人の成果だけでなく、チーム全体のパフォーマンス向上にどのように貢献してきたか、そして今後どのような組織貢献を目指すかを明確に述べることが効果的です。
【回答例文】
営業マネージャーとして10名程度のチームを率い、年間売上目標を安定的に達成する組織づくりに注力したいと考えています。メンバーの能力開発プログラムを導入し、個々の強みを活かした役割分担により、チーム全体のパフォーマンス向上を実現したいです。将来的には営業部長として、新規事業の立ち上げや市場開拓といった戦略的な取り組みをリードし、組織の成長を牽引したいと思います。
40代
40代では組織運営能力と戦略策定力が重視されます。部門間の調整力、経営視点での判断力、組織全体への影響力の発揮が期待される年代です。単一部門の管理だけでなく、全社的な視点を持って事業戦略の立案・実行に関わり、企業の成長を牽引する役割が求められます。
面接では、これまでの管理職経験を活かした組織改革や事業成長への貢献、次世代人材の育成実績を具体的に示すことが大切です。個人の専門性に加えて、経営的な視点からの判断力や、変化する事業環境への対応力をアピールすることが重要なポイントとなります。
【回答例文】
営業統括責任者として複数部門の連携強化と営業戦略の変革をリードしたいと考えています。デジタル化推進による営業プロセスの効率化と、若手人材の早期戦力化を図る育成体系の構築により、組織全体の競争力向上に貢献したいです。将来的には執行役員として事業部門の責任者を担い、新たな成長領域の開拓を主導し、企業の持続的な発展に寄与したいと思います。
50代以降
50代以降では豊富な経験を活かしたメンター的役割と、経営戦略の立案・実行が期待されます。組織の知見継承や若手育成、業界への貢献も重要な役割となります。これまでに蓄積した専門知識やネットワークを活用し、企業の長期的な発展と業界全体の向上に寄与することが求められる年代です。
面接では、長年の経験と実績を基にした組織への貢献、知見の継承、業界や社会への影響力について具体的に述べることが重要です。単なる過去の成功体験だけでなく、これからの変化する時代においてどのような価値を提供できるかを明確に示すことが効果的です。
【回答例文】
営業部門の顧問として、これまでの経験を活かした戦略立案と若手管理職の育成に注力したいと考えています。業界ネットワークを活用した新たなアライアンス構築や、海外市場展開のプロジェクトリーダーとして組織の成長に貢献したいです。また、社内外での講演や執筆活動を通じて、営業職の地位向上と業界全体の発展にも寄与し、次世代への知見継承を行いたいと思います。
キャリアプランが思いつかない時の考え方
「具体的なキャリアプランが思い浮かばない」という悩みを抱える方は少なくありません。そんな時は、焦らずに段階的なアプローチで考えてみることが大切です。
まず効果的なのは、数十年後の理想像から逆算して考える方法です。将来の自分がどうありたいかを想像してみましょう。「どんな成果を残していたいか」「どのような人として評価されていたいか」「どんな環境で働いていたいか」といった長期的な視点から考えることで、現在への道筋が見えてくることがあります。
また、他人のキャリアを参考にすることも有効なアプローチです。業界の先輩や理想とする人物のキャリアパスを調べ、自分なりにアレンジして取り入れてみましょう。ただし、完全にコピーするのではなく、自分の価値観や状況に合わせて調整することが重要です。その人がなぜそのキャリアを選択したのか、どのような価値観に基づいて判断したのかを理解することで、自分なりの判断軸を見つけるヒントになります。
グロービス経営大学院では、多様なバックグラウンドを持つ学生たちのキャリアストーリーを紹介しており、転職やキャリアチェンジの具体的な事例を知ることができます。
【学び始めたきっかけ別のキャリアストーリー】
描くキャリアとのギャップを感じており、スキルや知識をつけたい
キャリア実現に不可欠なコミュニケーション力を高める
キャリアプランの実現には、自分の考えを適切に伝え、周囲との良好な関係を築くコミュニケーション能力が不可欠です。面接でのキャリアプラン表現から、職場での提案力、チームマネジメントまで、すべての場面でコミュニケーション力が成果を左右します。
ビジネスコミュニケーション能力を向上させるには、外部の教育機関を活用するのもひとつの方法です。例えば、グロービス経営大学院ではコミュニケーションの基盤となる思考力から実践的なスキルまで学べるカリキュラムを提供しています。
「クリティカル・シンキング」では論理的思考の基礎を固め、「ファシリテーション&ネゴシエーション」では合意形成や交渉のスキルを習得できます。「ビジネス・プレゼンテーション」では説得力のある伝え方を実践的に学ぶことが可能です。日々の実践に加えて、このような専門的な学びの場を活用することも検討してみるとよいでしょう。
各科目の具体的な内容をより詳しく知りたい方は、グロービス経営大学院の体験クラスに参加することで、実際の授業の雰囲気や学びの深さを体感することができます。
まとめ
先行きの見えない時代のため「キャリアプランは不要だ」という意見もありますが、私はこのような想定外のことが起こる時代だからこそ、キャリアプランを立てる必要性があると思います。
キャリアプランの作成は時間がかかりますが、より良い人生を歩むうえでとても重要なものなので、ぜひトライしてみてください。
著者情報
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中村直太(グロービス経営大学院 教員)
慶應義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修士課程(工学)修了。グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA)修了。株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア)にて約1,000名のキャリアコンサルティングを経験した後、事業企画にてサービス企画、営業企画、BPRなどを担当。その後、グロービスに入社。グロービス経営大学院のマーケティング(学生募集)企画、名古屋校の成長戦略の立案・実行や組織マネジメント、アルムナイ・キャリア・オフィス(卒業生向けサービス企画)や学生募集チームの責任者などを経て、現在は顧客コミュニケーション設計やセミナー開発・登壇、WEBコンテンツ企画・執筆など様々な事業推進活動に従事。同時に個人としては、人生の本質的変化を導くパーソナルコーチとして活動。グロービス経営大学院の専任教員としては、思考系科目『クリティカルシンキング』、志系科目『リーダーシップ開発と倫理・価値観』に登壇。また、キャリア関連プログラムのコンテンツ開発及び講師を務める。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。